(2003年5月〜8月)
Sorry,Japanese Only.



8月30日(土)
宮城県古川市・寒梅酒造
「宮寒梅 愛国」
 自社の田で栽培した幻の米「愛国」を6割精米し、アルコール無添加で醸された辛口の酒ということが、装飾もなにもない、まるで手作りのようなラベルのなかに、淡々と記されている。たしかに、独特の辛さが特徴的だが、なによりも感じるのは、日本酒らしい香りと力強い米の味。多少の苦み渋みが、まろやかな味にアクセントを加えている。派手さはないものの、なんのてらいもない佇まいは、堂々おしており、酒好きには、たまらない雰囲気がある。


8月25日(月)
山形県寒河江市・月山酒造
「純米吟醸酒 月山の雪」
 50%に磨かれた米と月山の自然水によって醸されただけあって、とてもきれいに澄んだ味がする。物足りないどころか、とても心地よい。清涼感もあって、ついゴクゴク飲んでしまいたくなる。ずっと飲み続けていても、この爽快さが持続するのだから驚き。まさにクリアな味。
 暑さが残る日々だが、風呂上がりの一杯に、適度に冷やして飲んだら、ビールよりもおいしいのでは?と思います。


8月15日(金)
秋田県平鹿郡平鹿町・浅舞酒造
「純米酒 天の戸」
 変な表現だが、上品な出し汁のような色沢が独特。黒蜜や黒砂糖のような甘さと苦みとほのかな酸味が旨味に繋がっている。味は濃醇だが、余韻を残しすぎず、きれいにさばけていく感じがする。 ちょっとだけ枯れた感じもあり、とても良い雰囲気。酒飲みにはうれしい酒というか、純米酒のふくよかな感じに加えて、この酒にしかない味わいがあり、とても個性的。おもしろい酒です。


8月1日(金)
奈良県奈良市・今西清兵衛商店
「純米生酒 生がこい 春鹿」
 ほのかな酸味と苦みがあるが、口当たりがとてもやわらかで、まろやか。くせがないと言ってしまえばそれまでだが、米と水だけで仕込まれた潔さが伝わってきて、かつ、この酒にしかない不思議な佇まいを感じる。それにしても、ふっと感じる甘さのようなものは、なんだろう?はっきりと甘いとは表現できないのだが、ほのかに香るような、かすかに舌に残るような甘さ、バニラの香りほど強くはなく、花の蜜のようなもの?でも、日本酒なのだから米の甘さなのだろうなぁ、と納得しました。



7月28日(月)
宮城県玉造郡岩出山町・森民酒造店
「特別純米酒 純米冷酒 森泉(もりいずみ)」
 無濾過の生酒。ごくわずかに、にごりがある。味はすっきりとしていて、どちらかといえば、辛口だと思うが、甘く感じる独特の香りと絡んで、飲み心地はとても良い。純米酒らしいコクもあり、個人的には、食中酒にはしたくない、とても味わい深い酒だと思う。蔵元で買い求めたのだが、隣接して江戸時代の当地の武士の子弟たちの学問処だった「有備館」という史跡があり、そのロケーションも手伝ってか、とても風情のある蔵元でした。


7月22日(火)
神奈川県茅ケ崎市・熊澤酒造
「吟醸酒 湘南」
 つやつやしているというか、水飴をゆっくりと舐めているような、独特の甘さがある。片寄ってはいないが、他の味よりも甘さが勝っていると思う。でも、まとわりつかずに、す〜っと消えていくので、しつこさはない。やわらかでとてもおいしい味。梅の花の咲く頃に、鎌倉で買い求めたものを大切に寝かせておいたのだが、いつまでも明けそうにない梅雨空を、うらめしく思いながら、熱い太陽がギラギラとふりそそぐ湘南の海を想像して、いただきました。


7月17日(木)
山形県米沢市・香坂酒造
「吟醸酒 香梅」
 落ち着いていてまろやかな味。ほのかな吟醸香があり、すっきりしているが、適度な重さもあり、米の旨味は充分に伝わってくる。やさしい雰囲気のためか、飲み進むうちに、こちらも穏やかな気分になってくる。世の中のガヤガヤとした喧騒を忘れたいときには、このような酒をゆっくりと味わいながら、ぼんやりとすごすのが良いのだろうなぁ…。


7月14日(月)
宮城県古川市・寒梅酒造
「宮寒梅 本醸造うすにごり 初観雪」
 瓶の中に漂っているもろみが、まるでラメ模様に見えて、とてもきれいで、しばらく見入ってしまう。栓を開けると、酒がゆっくりと目覚めるように、ひとつふたつ泡が立ちはじめて、それがとても奥ゆかしくて、なかなか猪口に注げない。意を決して瓶を傾けると、またびっくり。炭酸水のようにシュワ〜っと音を立てながら猪口の中で酒がプチプチと踊っている。今まで飲んだにごり発泡の酒とは、一線を画すほどの美味しい酒がもっと美味しく感じられるようなエンターテイメント性がある。味はもちろんよし。これほど楽しめる酒も多くはないだろう。


7月10日(木)
山形県寒河江市・月山酒造
「吟醸酒 銀嶺月山 月山の花(がっさんのはな)」
 子供の頃、雨の中を歩いて、ふざけて口を開けて雨粒を食べた(飲んだ?)記憶があるが、そんなことを思い起こさせるほど、この酒の一滴一滴が甘い露のようだ。とてもやさしい味と香りがあるのは、なでしこの花から採ったという酵母を使っていることも関係があるのだろうか。おとなしい、いや、しとやかと言ったほうがいいだろう。そんな雰囲気が漂う品の良い酒。


7月6日(日)
秋田県本荘市・斎彌酒店
「純米吟醸 雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ)」
 生酒の新鮮な感じがしっかりとしており、程良い酸味に甘さ辛さが、うまく絡んで絶妙な味わいがある。飲み応えは充分あるのに重くなく、かえって軽やかに感じるのは使用米の「吟の精」の個性なのだろうか?精米歩合(50%)といい、アルコール度数(16度〜17度)といい、吟醸酒らしいしっかりとした造りが堪能できる逸品だと思う。


7月3日(木)
山形県南陽市・山栄遠藤酒造店
「東の麓(あずまのふもと) 精撰」
 なんでもそうだが、物事においては単純・明快が一番わかりやすいと思うのだが、この酒の主張もそのとおり。余計なものは何もいらない、酒は酒の味がすることが一番大切、と言わんばかりのシンプルに徹した味という感じがする。しみじみとした雰囲気もうれしい。手頃な価格で、しかも、おいしい。コストパフォーマンスとは、このようなことを意味するのだろう。良い酒だと思う。



6月28日(土)
岩手県遠野市・上閉伊酒造
「吟醸酒 遠野夢街道」
 深いコクと辛口の味が、後を引くおいしさというか、炊きたてのごはんのような香りがうれしくて、猪口を口に運ぶペースがつい早くなってしまう。ちょっと枯れた感じの雰囲気も良い。まだ行ったことがないが、一度は訪れてみたい遠野地方に思いを馳せて、美しい風景を想像しながら、しみじみといただきました。


6月23日(月)
秋田県由利郡仁賀保町・飛良泉本舗
「山廃本醸造 しぼりたて生酒 飛良泉(ひらいずみ)」
 山廃の野性的な味をイメージして口に含んだのだが、とても穏やかな味がする。買い求めてからしばらく時間が経ったためなのか、しぼりたての荒々しさは落ち着いて、まろやかな風味をもった生酒という感じになっている。やわらかな酸味が心地よく、余韻のある味わいは、さすが。使用米が美山錦で、磨きすぎない精米歩合も米の旨味が複雑になって酒好きには、うれしいところ。二重丸といった感じです。


614日(土)
秋田県仙北郡神岡町・福乃友酒造
「亀の尾で造った純米吟醸酒 生酒」
 口に含むとやわらかい酸味が、じんわりと広がって、ちょっと遅れてから米の旨味がやってくる。その時間差というか、間がなんとも良い。一粒で二度おいしいというわけではないが、味の複雑さが楽しめる。ちょっと辛口に感じるが、全体の印象としては、まろやかで、片寄らない味わいがある。なによりも、使用米が「亀の尾」というところがポイントか?独特の個性が感じられて、とてもおいしくいただきました。


6月8日(日)
滋賀県伊香郡・冨田酒造
「七本鎗(シチホンヤリ)  にごり酒 かすみ草」
 にごり酒は、寒い季節に似合うもの、というイメージがあるのだが、初夏の頃に飲んだら、どうだろう?ということで、登場となりました。冬であれ夏であれ、季節を問わず、おいしいものはおいしい、というのが、正直な感想。にごり酒を飲むときは、いつもなんとなく郷愁めいた感情を抱いてしまう。酒を飲み干すたびに、グラスの内側いっぱいにつくりださされるもろみの粒の模様が、なんとなく、かすみ草の小さな花に見えなくもない。酒の中に懐かしい風景が見えるようで、やっぱりしみじみとしました。


6月8日(日)
山形県酒田市・酒田酒造
「純米吟醸 生 上喜元(じょうきげん)」
 吟醸酒らしい上品な香りと味がある。やや低めのアルコール度数(12〜13度)のためか、優しく穏やかな印象だが、やわらかな酸味が全体を引き締めており、物足りなさはない。軽く冷やして、あっさりした味のつまみを肴に、ゆっくりと飲むのが似合いそうだ。


6月2日(月)
三重県上野市・森喜酒造場
「純米酒 妙の華(たえのはな)」
 香りはもとより、味わいは華やかというよりも、かなり落ち着いている。心地よい苦みを感じるが、それが米から出てくる旨味なのだろう。飲み進むうちに味の変化を期待するが、飲み始めの味が首尾一貫そのまま続くという感じがして、フラフラせずに頑固さを貫いているという印象を受ける。個性的な純米酒であるがゆえのビシッと筋が通った性格(性質?)というか、流行に左右されない酒のひとつだと思う。



5月29日(木)
東京都青梅市・小澤酒造
「澤乃井 吟醸新しぼり」
 心地よい吟醸香と、さわやかで優しい飲み心地がある。きれいに澄んでいる印象だが、米の旨味とコクは、十分に伝わってくる。やや辛さを感じるものの、味のバランスは良く、スイスイと入ってくる。単調ではない、かといって複雑になりすぎない、きめの細かさというか、ちょうど良い加減の味わいがうれしい。サラサラ流れる小川のせせらぎというか、水の音が聞こえてくるようだ。


5月26日(月)
山形県西村山郡河北町・和田酒造
「本造り原酒 谷地男(やちおとこ)」
 さすがに原酒だけあって、アルコール度数が高く、とろりとした濃醇な飲み口は果物のリキュールのようで、日本酒らしからぬ味わいがある。圧倒的な存在感と独特の個性は、唯一無比で他に類しないものが感じられる。酒の名は、蔵元がある地元で行われる祭りにちなんだものらしいが、郷土色豊かというか、味わいから想像するに、とても力強く勇壮な祭りなのだろう。男達は、景気づけにこんな酒を飲んで祭りに出て行くのだろうなぁ。


5月23日(金)
山形県寒河江市・古澤酒造
「本醸造 紅葉盛(こうようもり)」
 よく使われる表現だが、スッキリしているのにコクがある。飲み進むうちに、サラリとした印象を受けるのは、やっぱり水が良いからだろう。ちょっと辛口の味が、じんわりとカラダに染みこんでくる。料理を食べながら飲むと、一層味が冴えるような気がする。冷や奴から蒲焼きまでOKという感じです。


5月18日(日)
秋田県仙北郡神岡町・福乃友酒造
「純米吟醸酒 無調整 生 冬樹(ふゆき)」
 今年の出来は、どうだろう?と、期待させる酒のひとつ。その年の天候や仕込む時期などでも味が変わってくると思うのだが、それが楽しみ。今年の印象としては、きれいな吟醸香とやわらかい酸味が心地よく、それに加えて、原酒とは思えないほどのまろやかさがあり、とてもおいしくいただきました。いつ飲んでも、安定した味のある酒ももちろん良いのだが、その酒にしかない味わいというか、味の柱は同じなのに、その年によって微妙な違いを感じると、やっぱり日本酒は人間と自然によって造り出されるものなのだ、ということを実感してしまう。うーむ。


5月15日(木)
新潟市・今代司酒造
「今代司(いまよつかさ) あらばしり」
 うすにごりのしぼりたて。初めのうちは、まろやかさを感じるが、飲み進むうちに、段々と勢いを感じてくる。荒々しいというわけではなく、酒が楽しそうに躍っているというか、跳びはねているというか、とても陽気な感じがする。と、いうことは、飲んでいる側も、当然その影響を受けてしまうということで、なにも考えずに、ただ「おいしい」と言いながら、盃を重ねてしまう。気がついたら、あっという間に瓶がカラになっていました。おいしかったです。


5月11日(日)
宮城県気仙沼市・角星
「特別純米酒 両国」
 なんの根拠もない全くの先入観でしかないのだが、海にほど近い蔵の酒は、米以外の旨味、たとえば塩の味のような旨味(?)も含まれているような気がする。この酒にも、なんとなくそんな雰囲気が感じられる。それに加えて、純米酒のふくよかさが味わいをいっそう豊かにしている。新鮮なホタテとホヤをいただいたので、この時とばかりに、この酒を選んでみたのだが、ちょっと辛口の味が海の幸にとても合う。三陸の沿岸では、晩春から初夏にかけて、山々の緑と青い海のコントラストがとても美しい季節なのだが、そんな風景を思い起こさせてくれる酒でした。


5月4日(日)
秋田県平鹿郡平鹿町・舞鶴酒造
「純米酒 田人人(正しくは、「人人」と書いて一文字です)(たびと)」
 一口飲んで、思わず「あー、米の酒だぁ」と、声に出してしまうほど、米の旨味とコクがなによりも強く感じられて、いかにも純米酒然としている。香りは、味の邪魔にならない穏やかさがあり、土のにおいのような朴訥さを備えている。使用米であるフクヒビキに惚れ込んだ杜氏が、琵琶寒泉(びわしず)と呼ばれる奥羽山系の雪解け水を仕込水に用いているとのことで、酒造りに対するかなりのこだわりを感じる。浮き足立たずに、地道にしっかりと良い酒を醸しているといった、静かな自信がうかがえる酒だと思う。



Return to the homepage of minexyz.みねがとおります