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(2004年1月〜4月)
こんな酒を飲みました2004年



4月30日(金)
山形県東置賜郡高畠町・米鶴酒造
「米鶴(よねつる)」
 バニラのような香りがする。やや甘いやわらかな味が、なんとなく懐かしさを感じさせる。特定名称酒の部類には入らないが、味わいは深く、蔵元の妥協しない酒造りの姿勢がうかがえる。それにしても、この懐かしい感じはなんだろう?と、考えると、幼い頃に親しんだ駄菓子屋の素朴な味の菓子にどこかしら似ているような気がする。ふわっと感じる甘さは、とてもやさしく親しげ。昔からの友人に久し振りに会ったような雰囲気がある酒。


4月24日(土)
北海道旭川市・高砂酒造
「純米酒 法螺吹(ほらふき)」
 なんともユニークなネーミング。すっきりとしてさわやかな後味が印象的。でも、しっかりとふっくらした米の味がする。強烈なインパクトはないものの、それを潔しとするような雰囲気があり、とても好感がもてる。地の米(ゆきひかり)と良い水で醸すことに徹するといったシンプルな造りが反映されている味というか、なんのてらいもなく、気取らずに飲める。味に余計なクセがないので、食中酒としては最適かもしれない。


4月20日(火)
秋田県仙北郡神岡町・福乃友酒造
「純米吟醸 生原酒 冬樹」
 毎年のできばえが、とても楽しみな酒。今でこそ、無濾過の生原酒がポピュラーなものとして受け入れられているが、この酒は、十年以上も前から、そのこだわりを持って造り続けられており、年ごとに微妙に味わいが違うのがおもしろい。味うんぬんよりも、蔵元の酒造りに対する姿勢が、飲み手に伝わってくる酒だと思う。口に含んで味を確かめていると、一瞬だけど本当に幸せな気持ちになれる。苦労のたまものである一滴一滴を大切にしなければ、と思わせる貴重な酒だと思う。


4月9日(金)
福島県西白河郡矢吹町・大木代吉本店
「純米吟醸 行雲流水」
 ギラギラとしていない、まろやかな香りと味。派手なことを、あえてしないといった泰然として落ち着いた雰囲気がある。とはいえ、控えめというわけではなく、しっかりとした米の旨味は純米酒ならでは。絶妙なアルコール度数も、かなり味わいに関わっていると思う。
「行雲流水」は、好きな言葉なので、この酒を飲んでいる時だけでも、悠々とした心境になれればなぁ、と思いました。


4月4月(日)
長野県諏訪市・舞姫酒造
「純米吟醸 舞姫」
 飲み口は、すっきりとしているものの、辛さを主とする味には、複雑さがあり余韻が残る。落ち着いた雰囲気に加え、他の酒とは似ていない独特の味わいがあり、とても個性的。しつこい味の料理との相性も良い。飲み進むうちに、どっしりとした風格が伝わってきて、とても感激しました。存在感がある酒だと思う。



3月23日(火)
高知県高岡郡中土佐町・西岡酒造店
「吟醸一本釣」
 吟醸香が心地よいすっきりとした辛口の酒。繊細な味ながら、しっかりした柱がある。色々な食べ物と合わせても、料理を蹴飛ばすことはなく、とはいえ、かげに隠れることはなく、ちゃんと自分の持ち味をわきまえている。もちろん、この酒だけでも充分楽しめる。
 蔵元が土佐の一本釣りで有名な町にあるとのこと、初鰹が出回る頃に、もう一度、飲んでみたい酒。


3月13日(土)
京都府伏見区・招徳酒造
「純米大吟醸 招徳」
 米の旨味がきれいな水に溶け込んでいるような、なめらかで、さらりとした飲み口。全体から受ける印象は、とてもまろやかだが、穏やかな香りが味を優しく包み込んでいる。力強いがむしゃらな主張というのではなく、さりげないながらも伝えたいものを、しっかりと持っている感じがする。



2月27日
岐阜県各務原市・小町酒造
「純米酒 長良川」
 川の清流のように、澄んだ色沢。やや酸味を感じるが、片寄らない味がある。使用米は「飛騨ほまれ」、「やまひかり」。個人的には、聞き慣れない品種だが、おそらく地の米なのだろう。他の酒にはない独特の旨味を感じる。醸造期間中に、ゆったりとした音楽を聴かせていたとのこと、こんなにまろやかな味なのだから、酵母がゆっくりと働いたに違いない。長良川の鵜をイメージした、いかにも日本酒然としたラベルも良い雰囲気。しっかりとした日本酒の味がする酒です。


2月22日(日)
宮城県栗原郡金成町・萩野酒造
「純米酒 萩の鶴」
 今年の新酒ということで、買い求めました。
 新酒の若々しい香りにそそられながら、ゆっくり味わうと、心地よい酸味とほのかな甘さを感じ、ほどなくすっきりとした辛さの後味に変わっていく。「うん、うん」と、うなずきながら盃を重ねているうちに、気がつくと、あっという間に瓶の半分がなくなっている。バランスがとれた味というか、飲み飽きないというか、いや!もっと飲みたくなる美味さがある。
 ちょっと気が早いかもしれないが、秋のひやおろしの頃には、どんなふうになっているだろう?と、期待させる一本。


2月19日(木)
高知県安田町・土佐鶴酒造
「蔵出ししぼりたて」
 若々しい香りに包まれたやわらかな味わい。すっきりとした辛口の中に、米のうまみがある。気取りがなく、ぐいぐい飲める気安さというか、皆でにぎやかに飲むのに適しているような雰囲気がある。酒の楽しみかたというのは千差万別、同じ酒でも、その時の気分や状況によって、味が微妙に違うのだろうが、この酒に関しては、とにかく楽しい場面で飲みたい酒。難しい顔をしながら飲むのではなく、楽しい笑顔が似合う酒といったところか?


2月16日(月)
宮城県志田郡松山町・一ノ蔵
「純米生原酒 しぼりたて」
 しぼりたてで生原酒であるならば、酒飲みなら思わず心が躍ってしまう響き。精米歩合は吟醸酒クラスで、「さすがに美味い」と思わせる味わいがある。若々しい酒であるにもかかわらず、なぜこんなに落ち着いた雰囲気なのだろう。自信たっぷりで堂々とした感じがする。香りも良く、とても完成度が高い酒だと思う。


2月3日(火)
山形県山形市・寿虎屋酒造
「槽前原酒 霞城寿 山田錦 しぼりたて」
 山田錦を使ったしぼりたての原酒。きれいでありながら力強いというか、荒々しいはずの原酒が、とても上品に感じられる。米の甘い香りにつつまれたしぼりたてのフレッシュさが、盃を重ねるごとに、どんどん攻めてくる。米の旨味も強く、飲み応えは申しぶんなし。グイグイ飲んで、この時期にしか味わえないすばらしい美味しさを堪能しました。


2月2日(月)
滋賀県伊香郡木之本町・冨田酒造
「七本鎗 花下遊楽(かかゆうらく) 赤米仕込水使用」
 寝かせておくと、ほんのり色づくというので、一年近く「観察」していました。買い求めた時は透明だったものが、数か月過ぎた頃から、ほんのりと桜色に変わっていくのが楽しくて、なかなか栓を開けられなかったのだが、立春の頃なので、思い切って開けました。味はフルーツを思わせる甘酸っぱさがあり、ドライなロゼワインのようでもある。すっきりとした後味で、全体的に軽やかな印象。それにしても、赤米(古代米)を使った仕込水とは、どのようなものなのだろう?不思議です。



1月26日(月)
佐賀県小城郡小城町・天山酒造
「特別純米酒 純天山(じゅんてんざん)」
 太陽の燦々とした光を存分に浴びて育った米で醸されたのだろう、やわらかい水といっしょになって、清々しい美味しさがある。ごはんをよく噛んで食べる時に感じる米の旨味と甘さが、とても純米酒らしい。純朴な天真爛漫さというか、今はあまり使われない表現だが、健康優良児のような明るさが感じられて、とてもおもしろい。どちらかといえば、焼酎のイメージが強い九州地方で、このような酒が造られているのだから、うれしい驚き。おいしいです。


1月19日(月)
山形県天童市・水戸部酒造
「大吟醸 酔芙蓉(すいふよう)」
 しとやかと言うか、つつましいと言うか、かすかに白粉をつけている程度なのに、自然な艶っぽさが伝わってくるような、和装の女性を連想させる。これみよがしに作った美しさではなく、黙っていても充分感じられる、ほのあたたかい美しさのようなもの。とても雰囲気が良い。穏やかな香りと、しっとりした味が、気持ちを落ち着かせてくれる。ゆっくりした時間を楽しみたい時に、ぴったりだと思います。


1月13日(火)
愛媛県伊予三島市・篠永酒造
「純米大吟醸 森の翠」
 飲み進むうちに、いつのまにか不思議な力に引っ張られているような感覚になってくる。強いインパクトというものではなく、何かとても大きくて深いもの、優しいとか穏やかというよりも、とにかく深いもの。味覚で味を表現するのが、愚かしくなるくらいだ。味うんぬんよりも、その存在感に圧倒されました。すばらしい酒です。


1月8日(木)
宮城県黒川郡富谷町・内ケ崎酒造店
「本醸造原酒 鳳陽(ほうよう)」
 濃醇でありながら、とてもクリアな飲み心地がある。鳳陽さんの醸す酒のイメージは「清澄」なのだが、どの酒を飲んでも、それがしっかりと感じられて、それに加えて、その酒の個性が活かされているのだから、何も言うことはありません、という感じで、ただ黙々と猪口を傾けてしまう。この酒も然り、力強さの中に感じられる繊細さには、他の酒にはない独特の佇まいがあり、すばらしいと思います。


1月5日(月)
福島県郡山市・仁井田本家
「特別純米酒 鳳金寶(おおとりきんぽう) 自然酒」
 滋味あふれるとは、まさにこんな酒のこと。何度か飲んではいるものの、飲むたびに、しみじみとした気持ちになり、じんわりと身体に沁みわたる。子供の頃、乳酸菌飲料を飲むと、なぜかほっとしたものだが、それと似たような気持ちになる。もちろん、美味しい酒であり、かつ、飲み手の心をゆっくりと揉みほぐしてくれるような、優しさも兼ね備えている。時々飲みたくなる酒です。


1月1日(木)
福岡県浮羽郡田主丸町・若竹酒造場
「博多練酒」
 原料に米、米麹とモチ米を使った白酒。糖類は無添加だが、とろりと甘く深いコクがある。米だけなのに、ここまで甘いのだから米の持つ力に、改めて驚かされた。アルコール度数は低く、日本酒の原点を想像させる。ここぞとばかりに、元旦の朝、浅めの盃に静かに注いで、チビチビなめるように、お屠蘇代わりにいただきました。新年の始まりに、ぴったりくる酒でした。



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