第3話「ばけばけ文字化け」

 ここは、あおばの家。今日は、シルクファイブの活動もなく、自分の部屋で、のんびりと、パソコン通信をしようとしていた。
 ログインすると、あおばに、メールが届いていた。
「ねえ、文字化け祓いって、知ってる?GO MOJIよ。」
 という内容で、送信者は、「もじもじ」となっていた。
「え、誰、この人?そんな会議室、あったの?」
 最近、文字化けが多くて困っていたのである。文書を送信しようとすると、
「麒麟、犀、鴨嘴、駱駝、」といった文字が出てきて、目茶苦茶になるのだ。
 あおばは、さっそく、行ってみた。
「へえ、けっこういろんな人が、来てるんだぁ。」
 このコーナーができたのは、2、3日前のようだが、文字化けで困っている人は多いらしく、書き込みがずいぶんあった。
「へえ、人によって、出やすい文字が違うんだ。あたしは、動物の名前が多いけど、鯖とか鰊、鯨、鱶なんかで困ってる人もいる。あれ、『桜子』さんも来てる。躑躅、薔薇、紫陽花、万年青とかが出るのね。えっと、もじもじさんのコメントがある。ふむ、花が好きな人に、出やすい。最近、大切な植物を枯らしてしまいませんでしたか?まぁ、やっぱり、心当たりがあるんだ。しらかばさんも、来てるぅ。あの人、ごつくて無口だけど、文章は、女性みたいなんだよね。」
 そして、ここに悩みを書いた人達には、「もじもじ」から、文字化け祓いの呪文入りフロッピーディスクを郵送することになっていた。あおばは、さっそく、自分の症状を書き込み、フロッピーを送ってもらうことにした。

* * * * * * * * * *

 2日後、あおばに、フロッピーが届いた。さっそく、ワープロで、中身を見てみようとしたところへ、
「ツーツーツーツ−」
 ブレスレットが、鈴木博士からの、連絡を知らせた。
「はい、ブルーです。」
「君のところに、文字化け祓いのフロッピーは来たかね?」
「ええ、今、文書呼び出しをするところでした。」
「駄目だ!それを持って、すぐ、基地へ来たまえ。」
「え?はい、了解。至急そちらへ向かいます。」

* * * * * * * * * *

 あおばが到着すると、待ち構えていた、鈴木博士と、グリーンは、フロッピーを解析しはじめた。そこへ、他のメンバーも集まってきた。
「やはり、そうか。」
「ええ、間違いありません。」
「俺のと、同じか?」
「そうだ。ホワイト。これは、文字化け祓いの呪文なんぞではない。魔神獣を呼び出すプログラムだ。このフロッピーを通信で使うと、電話回線から、電送されて、魔神獣が現れるようになっている。」
「それじゃ、GO MOJIのコーナーは?」
「もちろん、やつらが造り出した架空のものだ。」
「敵ながら、素晴らしい科学力です。」
「ホワイト、使う前に、よく気付いたな。」
「・・・。たいしたことではない。」
「博士、他のフロッピーも、回収しました。敵が、郵便を使ったおかげで、届くのが、遅れ、なんとか、間に合いました。」
 ブルーは、回収されたフロッピーを調べていたが、
「ねえ、桜子さんの分がないわよ。」
「なんだって!本当だ。しまった。」
「シルクファイブの諸君、桜子さん宅へ急行せよ!」
「了解!シルクファイブ、出動します!」

* * * * * * * * * *

 桜子の家にシルクファイブが到着すると、
「きゃ〜〜〜!助けてー!!」
 という、叫び声が聞こえた。
「しまった、遅かったか。早く、助けるんだ!」
 家に入ると、桜子が、魔神獣に襲われていた。
「待て、モジバケラー!桜子さんを放せ!」
「なんだ、貴様等!」
「グリーンバックライトフラッシュ!」
「うわぁっ、これはどうしたことだ。空間が歪んでいる!」
 モジバケラーは、グリーンの幻術にかかり、桜子をつかむ手が一瞬ゆるんだ。その隙に、レッドとブラックが、桜子を助け出した。
「しまった!」
 逃げ出す、モジバケラー。しかし、すぐに追いつかれ、5人に取り囲まれてしまう。
「パソコン通信の弱点、文字化けを悪用し、会員を襲うとは、卑劣な奴め!我我が相手だ!」
「な、何者だ!」
「5人揃って、我ら、通信戦隊シルクファイブ!」
「エネルゲーターをやったのも、お前らか。」
「モジバケラー、覚悟!」
 5人は、合体技を出した。
「シルクパワーネット!」
「必殺!スーパーPowerクラッシュ!!」
「う、うげげげ〜〜〜〜!」
 どっかーん!モジバケラーは、粉々に砕け散った。

「ありがとうございます。おかげで助かりました。あなた方は一体・・・・。」
「桜子さん、お礼なんて、要りません。これが、シルクネットを守るシルクファイブの使命です。これからも、ネットで活躍してください。では。」
 一陣の風と共に、シルクファイブは去っていった。
 桜子は、夕日を見つめ、平和を愛するシルクファイブを心から応援するのであった。
(第3話おわり)




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