第4話「狙われた会員」

 敵の、指令本部。所在地は不明。そこに、二人の人物がいた。
 男は、グラスを手にし、なみなみと注がれた深紅の酒を飲んでいる。その立ち姿、グラスを口許に運ぶ手の動きにまで、優雅さと気品があふれている。
 女は、体にぴったりとしたメタリックな服を着て、コンピュータに向かい、忙しくキーを叩いていた。
「総帥、これが、計算結果でございます。」
 画面に目をやる総帥。
「ふむ・・・。私の計画を邪魔する奴が現れたとはな。で、そいつの正体はわかったのか?まだ、データが足らぬようだが。」
「かなり、可能性の高い、シルクネットの会員がおります。私の計算によると、総帥の崇高な計画の邪魔をしているのは、知識が広範囲にわたり、ネットのあらゆる事情に通じている者。そのような会員は、そう多くはいません。」
「して、そいつの名は?」
「神出鬼没と言われている『典B』です。おそらくそやつが総帥の捜す人物かと。」
「わかった。典Bを捕らえよ。」
「ははっ。」

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 オフラインミーティングの帰り、黒海は、典Bと共に、駅まで、歩いていた。
 ふと、不気味な静けさが、辺りを覆った。黒海は、はっ、として、見回すと、今まで通りを歩いていたはずの多くの人が、いなくなり、典Bと2人だけになっていた。
 驚いて立ち止まった2人の目の前に、魔神獣が現れた。
「待っていたぞ、典B。総帥の計画を邪魔しおって。覚悟!」
 魔神獣は、典Bを捕らえる。黒海は、今、シルクファイブに変身すれば、敵と典Bに正体が知れてしまう、と、一瞬ためらった。
 がつん!黒海は、敵に殴られ、気を失ってしまった。意識が遠のく中、魔神獣が消え去るのが見えた。

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 数ある敵の基地の一つに、典Bは、連れてこられた。待ちかねていた女が、さっそく尋ねる。
「可愛い魔神獣を倒し、計画の邪魔をしていたのは、お前だね。」
「なんのこっちゃ、さっぱりわからへん。ワイなんか捕まえて、どないしょっちゅうねん。」
 魔神獣によって鎖に繋がれながら、典Bは答えたが、女は、信じようとしない。
「ま、強がっていられるのも今のうちだけさ。イジメジ、自白剤を打ちなさい。」
 魔神獣イジメジは、抵抗する典Bを殴りつけ、無理やり注射した。
「ほーら、効いてくるよ。お前はあたしに逆らえない。お前の目的はなんだい?仲間はいるのかい?」
「・・・・知らんがな・・・そんなもん・・・。」
 また、イジメジが腹を蹴る。
「もう一度聞くよ。お前の仲間はどこにいるんだ?」
「う・・、ワイ・は、関係あれへんがな。」

* * * * * * * * * *

 黒海が、目覚めると、4人のメンバーと鈴木博士が、心配そうにのぞきこんでいた。
「こ、ここは・・・?」
「シルクファイブの秘密基地よ。」
「君達に、異変がおこると、ブレスレットから、この基地に信号が入るようになっておるのだ。何があったのだ?」
「典Bさんが、魔神獣に連れ去られたんです。早く、助けないと!」
「よし、シルクファイブ出動せよ!」
「了解!チェンジシルク!」
 5人はシルクファイブに変身し、典B救出に向かった。

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 敵の基地。典Bは、体のあちこちに痣や傷をつくり、床に倒れている。
「なかなかしぶといやつだ。自白剤も効かぬとは。それじゃぁ、真っ赤に灼けた鉄板の上で、踊りを踊ってもらおうか。そうすりゃ口も滑らかになるかもしれないよ。イジメジ、用意をしなさい!」
 弱々しく抵抗する典Bを、鉄板の上に乗せようとする、まさにその時、
「ブラックダイナマイトモデム!」
 ブラックの投げたモデムが直撃し、鉄板は、ただの鉄の塊となり、4人が典Bを助ける。
「よくも、何も関係ない典Bさんをひどい目にあわせたな、我々シルクファイブが相手だ!」
「ふっ、総帥の邪魔をしたのはお前らか。ちょうどいい、イジメジ、やっておしまいなさい!」
 イジメジと闘うシルクファイブ。イジメジの隙をつき、合体技を出す。
「シルクパワーネット!」
「今だ!必殺スーパーPowerクラッシュ!!」
「ぎ、ぎや〜〜〜!」
 イジメジは倒れた。
「この次は、きっとお前らを倒してやる、覚えといで!!」
 女は逃げ去っていった。

「典Bさん、我々の為に、危険な目に合わせてしまい、申し訳ありません。」
「いや、そんなもんかめへんかめへん。それよりなあ、ワイもあんたらと一緒に悪の組織と戦いたいねん。」
「いえ、あなたをこれ以上危険に曝すことは、できません。善良な会員を守るのが我々の使命ですから。」
「・・・・。さよか。そやけどいつか、素顔のあんたらと、会える日がくるやろ。その時はまたよろしゅう頼んまっさ。」

 こうして、典Bは、平和な生活へと戻っていった。
 だが、シルクファイブは、敵の総帥を倒すその日まで、安らぎの時はないのだ。
(第4話おわり)




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