第8話「俺にまかせろ!」 |
早朝、怪電波が発せられ、シルクファイブは、現場に急行した。 「確か、この辺りだ。みんな、手分けして、発信源を捜そう!」 と、そこに、 「その必要はないぜ!」 一人の男が、ビルの影から現れた。バトルスーツを身に付け、明らかに、好戦的な態度である。 「俺が、お前達に来てもらったのさ。結構、早いじゃねぇか。」 「貴様、敵の一味か?」 「へっ、そんなこたぁどうでもいいだろ!俺は、お前等みたいな、正義ぶったいい子ちゃんが嫌いなのさ。覚悟しな!!」 男は、攻撃を開始した。バトルスーツの肩に組み込まれたマシンガンが火を吹き、シルクファイブを襲う。 「おいおい、逃げるばっかりか?それじゃぁ、こっちから、いくぜ!」 一気にジャンプして、男は、シルクファイブの行く手をさえぎり、素手で攻撃し始めた。男の動きは、機敏で、次々繰り出すパンチやキックは、シルクファイブの5人を相手にしてもその威力は衰えない。 「おい、レッド。こいつ、強いぜ。」 「う・魔神獣ではないようだが、何者だ。」 「敵の一味じゃないの?早いところ、必殺技でやっつけましょうよ。」 「だが、こいつの正体が、わからないうちは、殺せない。」 「しかし、ただ者ではないぞ。」 「きゃー!とにかくなんとかしないと、こっちがやられるわ!」 5人は、闘いながら、相談するが、隙を見せるとすぐに攻撃されてしまう。 「仲良くお話し合いか?麗しいこったな。本気出してんのか。俺をなめるなよ。」 男は執拗に攻撃し、なかなか決着はつかない。 その時、 「わーん、誰か〜、助けて〜〜!!」 近くで、子供の悲鳴が聞こえた。 「今の、何?」 「行ってみよう!!」 シルクファイブは、声のした方に、走っていった。 「おい待てよ。逃げるのか?俺との勝負が先だ!」 男も、追い掛けてきた。 * * * * * * * * * *
悲鳴のした方へ急行すると、歩道橋から、子供が落ちそうになっていた。首が壊れた柵にひっかかっており、このままでは、命が危ない。 「登って助ける暇はないっ!」 レッドが、出力を最低にしたレーザーで柵を切り取ると、子供は、真っ逆さまに落ちてきた。ブラックとホワイトが、子供を下で受け取った。ブルーとグリーンが、即座に、子供に怪我がないか、確かめる。 「大丈夫よ。よかったわね。」 泣きじゃくる子供を抱きしめるグリーン、それを取り囲む4人。 「ふん、かっこつけてるんじゃねえよ。せっかく闘ってたのに、気がそがれちまったぜ。続きは、またの機会にするとするか。」 「・・・君は、誰なんだ?」 「俺の名前は、『SeeNa-mk2』 。じゃ、早く、怪我、治しなよ。」 ブラックは、切り落とした柵が足にささり、血を流していた。そしてSeeNa-mk2は去って行った。 * * * * * * * * * *
「これは、ちょっとひどい怪我じゃな。医者に診てもらったか?」 秘密基地の指令室。黒海の足を見て、鈴木博士は尋ねる。 「なに、かすり傷さ。」 「違うわよ。お医者様は、数日間は安静にしていろっておっしゃったじゃない。無理して、もっと悪くしたらどうするのよ!」 「・・・そうか。では、帰って休みたまえ。」 ピピー、ピピー!緊急信号が敵の出現を知らせる。 「諸君、出動じゃ。あ、ブラックは、残っておれ。」 「そうはいくか!もう痛くはないんだ。」 心配する鈴木博士を後に、5人は出動した。 * * * * * * * * * *
魔神獣ハカイジュウオウは、シルクネット・ショールームで、暴れていた。展示された機械を破壊している。 「魔神獣め、通信戦隊シルクファイブが相手だ!!」 ハカイジュウオウと闘うが、ブラックは、足の怪我で、思うように動けず、集中的に攻撃されてしまう。 「なんだ、シルクファイブとは、この程度の奴等だったのか。たわいもない。」 ついに体勢が崩れ、倒れるブラック。このままでは、必殺技も出せない! 突然、マシンガンが、魔神獣を襲った。SeeNa-mk2 が攻撃したのだ。 「待て、魔神獣!シルクファイブを倒すのは、俺だ!お前のような、魂の腐った奴に、シルクファイブを倒す資格は無い!」 SeeNa-mk2 は、ハカイジュウオウに速効攻撃を浴びせかける。ふらふらになるハカイジュウオウ。 「今だぜ、やっちまいな!」 「ありがとう!必殺、スーパーPowerクラッシュ!!」 どっかーーん!魔神獣は、砕け散った。 * * * * * * * * * *
「SeeNa-mk2 さん、助けてくれて、ありがとう」 「礼なんか、いらねぇよ。やっと見つけた好敵手に死んでもらいたくなかっただけさ。でも、今、あんたらを倒すと、困る人が、随分いるようだな。あんたらのお仕事とやらが、終わるまで、俺との勝負は、おあずけにしといてやるぜ。あばよ!」 バトルスーツを夕日にきらめかせ、一人の男が去って行った。 (第8話おわり) |