楽苦画飢7-煙草の吸い殻争奪

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未だ唾の乾かない吸い殻に我先にと捨てられたタバコの吸い殻に群がり、列より脱兎の如く飛び出し 警戒兵に銃床で小突かれながら拾う姿を眺めて、こうまでしなくてもよいのではと話し合っていた。
(楽苦我記)
刻みタバコ(マホルカ) 給与支給にはタバコも1日5瓦と規定されていたが1年位は、規定があっても手元には有ったり無かった りで、1袋で幾日分と纏めて支給されるので其の日にち相当の瓦数は不明であった。 ソ連人ですら配給が不安定で節約しながら大事そうに喫っているのを見掛けた。タバコには刻みタバコ のマホルカと吸い口付きのパピロスの2種類があり、マホルカは新聞紙を切って、その上にタバコを均 して置き巻き込み、唾で端末を止めると云う方法で西部劇のカーボーイがタバコを巻くのと同じである が、あの様な器用さは無いが、(中略)
私も見かねて、この間まで日本軍の一員であった彼らの、この 姿を見ると情けなく「止めろ」と云う。拾い集めた吸い殻は新聞紙を選り分け、新しい新聞紙に巻き 替えて喫っていた。シャフタマでは一般労働者はマホルカであり、上級監督級になるとパピロスであ り、警戒兵でも将校はパピロス、兵はマホルカであった。(後略)
(解説)
抑留記にマホルカと言うタバコの配給やそれを物々交換で手に入れるなどの話が良く出てくる。 「楽苦我記」のマホルカの部分も長い、その他、マホルカは新聞紙で巻いて吸う訳だが、新聞紙に よって味が違うとある、プラウダは旨く、イズベスチャは不味かったと、紙質で味に違いが有った ようだ。又マッチも粗末だったようだ。私の父はタバコを吸ったかどうか記憶に無いし、今では母に 確認も出来ないが、今夏の墓参にはタバコをたっぷり持参し、亡くなられた皆さんに存分に吸って 頂いた。もう肺ガンを気にする事も無いし・・・