Volume
10
中華街〜おみやげは豚まん〜
私は浪人して大学に入った。浪人時代の一年間は私にとっては本当に貴重な一年だった。勉強はまったくしなかったと言っても過言ではないが(スミマセン、両親へ)、S予備校で出会った人たちは今まで見たこともないような?いろんな人たちがいてその後の私に様々な影響を及ぼしつづけるのである!そんな友人をたずねて横浜へ行く。 平成〇年秋 横浜で大学に通う友人に会う約束をした。初めての東京!初めての横浜!ということで本当に楽しみだった。昼間は彼女(=けいた)の通う某〇浜〇立大学のキャンパスを散策する。 けいた「どこで夕食食べたい?」 P「そりゃ、横浜まできたら中華街に行くしかないやろ〜」 けいた「わかったわ(笑)。そうや、『もり』も呼ぼうか、ヤツも横浜で住んでいることやし」 P「どうせなら2人より3人のほうが楽しいもんな!」 ところが。「もり」に電話をしたところ、突然の誘いには出て来れなかった。帰り際に家によってほしい、という。 P「しゃーないな。んじゃ、女2人で食べにいきますか!!」 というわけで初の中華街に繰り出した。何でもけいたオススメのおいしい店に行く(名前は当然ながら忘れた)。さすがにおいしいというだけあって、店内は結構混んでいた。 店員「円卓の相席でしたらすぐに座れますけど…」 P「じゃ、そこでいいです」 と、案内された席は円卓で7人がけ。モチロン5人は座って食事をしていた。座ってみて5人が本当に楽しそうに食事をしているのにはいささか驚いた。当然のことながら5人で食事にきたものだと思い込んでいた。 おっちゃん「君は関西からきたの?」 P「そーです!何でわかったんですか?」 おっちゃん「わかる、わかる(笑)。まぁ頼んだものが来るまでここにのっている料理でもどうぞ」 P「え、いいんですか!?」 おっちゃん「食べ食べ!!」 こうして一人のおっちゃんが円卓の料理をすすめてくれたので、お腹がすいていた2人は遠慮なく食べることにした。話していくうちにわかってきたのだが、この5人は今知り合ったところだという。夫婦できた2人、新聞記者の2人、そしてこの気さくなおっちゃんは日本料理の板さんであった。おっちゃんというよりももうおじいちゃんといった風格である。 おっちゃんはたまに違うジャンルの料理を食べて研究しているらしい。勉強家であった。 そうこうしている間にようやく注文した料理もきた。 P「うわぁ〜これ、本物のフカヒレスープ!!」 けいた「今日は思いっきりゴージャスにいこう!!」 …とさんざん注文していたのである。 P「こっちのスープも食べてくださいね〜」 とおっちゃんにもスープをすすめ、7人でそれは楽しい食事の時を過ごした。今から考えてもあんなに楽しい食事はめったにないだろうと思う。料理もさることながら初めての店で出会った人たちとの会話で、食べる料理もさらにおいしく感じられたのだろう。 そうこうしている間に時間はすぎた。 おっちゃん「先に失礼するわ。ゆっくり楽しんで!」 P「本当に楽しかったです、ありがとう」 そしておっちゃんは去っていった。今から思えばおっちゃんの店の連絡先くらい聞いておけばよかった。そんなことは思いも寄らない2人は満腹になるまで食べ続け(笑)、ようやく店をでることにした。 店員「ありがとうございました〜」 P「あのぉ…お会計を」 店員「先ほどの方がお支払いをお済ませですが?」 2人「!!!!!!」 店員「?」 P「あのぉ、お名前とか連絡先とかご存知ですか?」 店員「うーん。わからないです………」 こうして見ず知らずのおっちゃんは私たち2人の分まで払っていったのである。今でもそのお礼が言いたいのは山々なのだが、いまだ名前も店も場所もわからないのでどうしようもない。 P「なぁ、『もり』におみやげでも買っていく?」 けいた「そうやな〜こんないいことがあったから、『もり』にも豚まんでも持っていこうか(笑)」 そうして2人は「もり」に豚まんを持っていった。 けいた「一緒に行ってたら、豪華ディナーやったのにねぇ〜」 もり「うわ、マジで!? でオレには豚まんかぁ!?」 P「そりゃ、しゃーないわ。でも『もり』が一緒やったらきっとこんなラッキーなことにはなってなかったわ。美人2人組やったからね〜」 もり「何ゆーてんねん(笑)」 おしまい。 もしこのページをどこかでおっちゃんが見ているかもしれないので?お礼を言いたいと思います。おっちゃん、ありがとーーー!!! |