Volume 24

幸せそうなひと

性格が明るいか、暗いかといわれたらたいていの人は「明るい方」と答えるんじゃないだろうか? 私ももちろんそう答える。今でこそ憂いのあるアンニュイな雰囲気も持ち合わせればよかった!「ちぃっ(シャア風)」などと思ったりもするが、そんな私を先生はどう見ていたのか・・・?

高校時代。「自由」を校風の基盤に持つS陽高校は服装に関しても、髪型に関しても本当に何でもオッケーの学校であった。だからといって私の後ろの髪の毛がはねてようが一向にお構いなしだった、ということではない(笑)。

ゆみ「あのさぁ〜後ろの髪の毛はねてるよ!」

ニャ「うん?別にかまへん。私は見えないから」

と若き日の私は言ったらしいが、記憶にございません! 今どきそんな高校生がいたらお会いしたいものである(笑)。

少し話がそれました。

***

進学校とも言われた高校ではあったが、大学受験のための面談などはほとんどなかった。なんせ「自由」な学校であったため、「大学に行くのも自由、行けなくて浪人するのも自由」ということなのか!?

ニャ「なせばなる、なさねばならぬ何事も」

私はいつまでたっても、この調子であった。当然浪人する(笑)。

たった一度の面談は2年生の秋。その頃に行われた実力テストの結果を参考に先生と親と本人の三者面談で将来を相談するのであった。私はタイミングの悪いことに高校三年間でもっとも悪い成績をとった!660人中600番代である。

ニャ「目も当てられんわい・・・」

母「・・・面談出かけたくないわ」

ニャ「そらそうやろ〜なぁ、わっはっは!」

母「あんたはそんなノー天気やから、こんなアホになってしまって、もっとしっかり勉強しないとおちこぼれて・・・行きたい大学も行かれへんようになって・・・以下、長いのでフェードアウト)

ニャ「まぁしゃーないわ・・・」

覚悟を決めて出かけた三者面談であったが、予想を上回るほどの打撃を受けた!

モンゴル先生(注「えー、この成績は・・・」

ニャ「・・・・・・」

モンゴル先生「えー、これでは・・・」

ニャ「・・・・・・?」

モンゴル先生「えー、行けるような短大もありませんね(きっぱり)」

母「先生、短大ってたくさんあると思うんですけど・・・。どこにも行けないんでしょうか?」

モンゴル先生「えー、行きたいと思えるような短大はムリでしょう(やはりきっぱり)」

ニャ「そんな殺生な・・・」

私は乾いた笑いをうかべながら半ば呆然として、部屋を後にした。そのことを知ってか知らずしてか、同じ社会科のF田先生は、

F田先生「そんな派手なリボンしてる場合じゃないで〜」

と冗談とも本気ともわからないアドバイスをしてくれた。ちなみにその頃の髪型は篠原ともえのように髪の毛を左右二手にお団子を作り、そこでリボンを巻いていた。そこに爪楊枝の国旗でもさそうものなら「お子様ランチ」である!

ニャ「ははぁ・・・」

***

月日は流れ、受験シーズンに突入。受けても受けても落ちまくる当然の結果・・・。

ニャ「うーん、予想通りやね!」

その間、一年生のときに同じクラスで最下位を勝ち取ったこともある?M氏が現役でD大学に合格してしまい!物議を醸し出しだしたが(笑)、大方それぞれがそれなりに進路も決まり、卒業を待つばかりとなった。もちろん私はS予備校である。

ところで・・・。

学校の成績はよくても中の中。推薦入試などは夢のまた夢であった私は出願校数よりも多く内申書をもらっていたため、一通手元に余ってしまった。

ニャ「くそ〜腹いせや。中身みたろ」

そう思い私は内申書の封を切ってみた。

ニャ「何々・・・。成績悪いなぁ〜ひどいなぁ〜(笑)」

ニャ「・・・・・・なんやこれ?」

私が驚いたのは成績の悪さではなかった。人物総評である。そこには一言、

いつも幸せそうである

と書かれていた。

ニャ「いつも幸せそう?・・・これって褒め言葉なんだろうか?」

母「何にも考えていないってことじゃないの〜(爆笑)」

ニャ「ちょ、ちょっとシツレイじゃない!私が何にも考えていないように見えるってか。こんな悩み多き年頃の女子高生にむかって〜(怒)」

母「いいんじゃない、S予備校行くって喜んでたから」

ニャ「・・・はい。確かに」

三年の担任T田先生の人物総評に愕然としながらも、私は一年の浪人ののち見事大学に合格したのであった(詳しくはVolume3参照)。それにしても内申書に書かれた人物総評は的を得すぎて?失礼極まりない!と今でも思っている(笑)。

合格したのち、S陽高校に報告に行った私は社会科教室でまたF田先生に会うことが出来た。

ニャ「先生、私、某女子大に合格したんですよ〜」

F田先生「お!よかったなぁ〜」

ニャ「よかったでしょ?」

F田先生「ん?・・・どこって??」

ニャ「某女子大!」

F田先生「・・・・・・うそや〜ん!!」

ニャ「うそじゃないですよ、本当ですよ。合格しましたよ」

F田先生「お前がそう思っているだけで実は違う大学やったりするんやで〜」

と先生はなかなか私を信用しようとはしなかったのを覚えている(笑)。

ニャ「これから女子大生になってブイブイいわせますよ〜」

こう宣言した私はこののちブイブイいわせるどころか、海の藻屑同然の素晴らしい?海洋生活を歩むのであった。

おしまい。

注)モンゴル先生=モンゴルにすっかりとりつかれてしまったすごく風変わりな社会科の先生。黄緑色のワンピースなどを着て来られた日には驚いたものである(笑)。