Volume
29
どうしてもバーべキュー?
しばらくぶりに書こうと思い立ったのは他でもない、たくさんの励ましのメール&「はよ、書かんかい!」という脅しにも似たメールに「おお、思い出した!」とあわてて容量の少ない脳からその記憶を引き出そうと必死になった結果なのである。
*** その昔、○村家は日曜日になるたびにどこかに出かけては、とっとと家に戻ってきて「やっぱりウチが一番いいねぇ〜」などと自己満足している一家であった(笑)。しかし子供の成長につれ、一家でお出かけする機会はだんだん減っていき、しまいには一人いなくなり、二人いなくなり、とメンツが揃うこともままならなくなってしまった。 そんなわけでメンツが揃えばみんなで食卓を囲まずにはいられない性分の○村家は、大学から地方へ出ていた妹が戻ってきてはバーベキュー、私が戻ってもバーベキューと有無をいわさぬバーベキュー攻撃だったのである。その攻撃を指揮しているのが他ならぬ母であった。 母「材料切ったらあとは焼くだけ〜」 確かにその通りである。父も私も自分が料理をするわけではないので容認である。ただ妹だけは毎度うんざりしていることも付け加えておこう。 ニャ「そこまで毛嫌いせんでもええんちゃうのん?」 妹「いやぁ・・・姉ちゃんは甘くみてるで」 ニャ「あ、甘い?」 最初のうちはその意味がよくわからなかった。妹はどうも○村家のノリとは一風変わっており(といったら怒られそう)食事時のわけのわからぬ笑いと会話についていけないだけかと思っていた。そんなこんなでいつかの○村家オールスターメンバーズの夕食時である。 母「今日はバーべキューにしよーなー!」 ニャ「ほいほい」 父「ビール冷やしとかな!」(←世のお父さんたちの共通意見である) 母「じゃーん、この日のためにバーベキュー用の七輪買ってきました〜」 ニャ「おお〜!!(感動)」 妹「うわ〜家こげるで」 ・・・・・・そして楽しい夕食はモクモクと煙る部屋の中盛大に?行われたのである。 *** いつかの夕食からまたしばらくたった。 母「今日は外でバーべキューにしよーなー!」 ニャ「げ、外なん?」 父「ビール冷蔵庫にあるんやろな!」(←ビールの心配は毎度のことである) 妹「外でバーベキューなんて蚊に刺されるからいやや〜」 母「そんな意見もあろうかと思い、蚊取り線香を大量に購入しましたっ!!」 一同「・・・・・・・・・・・・」 そしてバーベキューの煙と蚊取り線香の煙の立ちこめる中、一同はもくもくと牛肉の争奪戦(ここからは犬のタローも参戦)を行ったのであった。 *** そんな夕食からまたしばらくたった。 母「みんな、バーべキューがええよね〜!」 ニャ「それってうんって言わせたいんかな〜?」 父「ビール飲みすぎたらあかんから小っちゃな瓶にしとこう」(←でも必ず飲む) 妹「いくら蚊取り線香があったって、夏も終わったんやで。こんなに暗かったら何食べてるかわからへんよ」 母「じゃーん、そんなこともあろうかと思って秘密兵器を設置しました!」 一同「秘密兵器?」 母「2階に注目〜」 見上げてみるとそこにはベランダにつけられたライトが2個、見事に庭を照らし出しているではありませんか!! 母「昼間に苦労して取り付けたんやで〜!!」 一同「・・・・・・・・・・・・」 ニャ「そこまでしてバーベキューを・・・(絶句)」 妹「な、甘かったやろ」 「なぜそこまでバーベキューにこだわるんだろう」とその場に居合わせた母を除く一同全員が決して口には出さないが、でも確実にそう思ったであろう。そんなわけで明るく照らされた庭で蚊取り線香を炊きながら、牛肉争奪戦を・・・・・・(以下同文)。 *** バーベキュー攻撃にもすっかり慣れてしまったある朝のことである。 母「みんな、バーべキューがええよね〜、なんてことは言わないけどブレックファースト(朝ごはんと言えばいいのに)を太陽のもとで食べましょう〜!」 ニャ「は?は?は?」 父「朝からビールはなぁ・・・でも一本くらいいいかな?」(←でも結局飲む) 妹「ホント勘弁してください」 ニャ「今日は何が出るんかなぁ〜」 母「じゃーん、パラソルつきテーブルを購入しましたっ!!」 ニャ「パラソルつきテーブル?」 ふっと庭を見てみるとそこには真新しい折りたたみ木製テーブル&セットのパラソルがすでに設置されているではありませんか!!! 母「こういうのに憧れていたのよね〜」 一同「・・・・・・参りました」 朝っぱらから日よけのパラソルを出して風に吹かれながら食べる朝食は相当恥ずかしかった。特にお隣さんは洗濯物を干しているところであり、「あら〜○村さん、みんなで朝ごはんなの〜?」なんて声をかけられた日にゃ「これは母の趣味でして、はははのは〜」と笑ってしまうしかなかったのである。しかし次回の○村家オールスターメンバーズのつどいの時にはどんな仕掛け?が待っているのかとワクワクしないでもない。そこがクールな妹と姉の差であろう(笑)。 おしまい。 |