Volume 5

北京原人の子孫

私は思っているよりも「チビッコ」である。態度がデカイから、とか声がデカイからということだけで、昔、取引先のお兄さんはナマの私の姿を見て「うわぁ〜ちっちゃ〜!!」とビックリしていたものである。ということを踏まえた上での驚きの新事実。

大学では「体育学」を専攻していた。現在では「スポーツ科学科」というかっちょいい名前に変更しているらしいが、その頃某女子大は「体育学」というお堅い名前になっていた。もともと興味がある分野だったので、私は苦労の末?入学したのだが、「水泳実習」(3キロ遠泳)やら「スキー実習」(合宿みたいなもんですな)やら何かと体力の要る学科だったのである(当たり前か)。

ある日のこと。それは確か「スポーツ生理学」か何かの授業だったと思う。

S先生「今日は皆さんの脳の容積を測ってみたいと思います。」

P「(何か面白そうやな〜)……。」

S先生「では今から言う部分を測っていきましょう。」

そういうと先生は計測する部分を言い始めた。これは体力も使わないし、なかなか楽しいやん〜♪などと私はルンルン気分であった。確か頭の周囲とか頭のてっぺんから耳までの長さとか、いろいろあったけど忘れた。要は頭蓋骨の大きさから脳の容積を割り出そうというのだ。

S先生「では測れたら、この黒板の式に当てはめて計算してください。」

そして世にも難しそうな計算式をずらずらと黒板に書き出していった。その式は長く、そして計算機を持たない私にとっては非情であったのを覚えている。私は訳のわからないまま式に当てはめて計算してみた。

S先生「出来ましたか?」

P(やっと計算終わったぜぃ。むずかし〜。ところで1160って数字は何かなぁ〜)

S先生「出てきた数字が皆さんの脳の容積のグラム数ですね。」

P「ふんふん。1160グラムってことよね〜。」

そこで私は周りのみんなの容積を聞いてみることにした。しかしだいたいみんなは1300〜1500グラムくらいである。私よりも少ない人がいない。おかしい…?

P「あり〜。何か少ないよなぁ…」

その不安を後押しするかのように先生は言った。

S先生「人間の平均は1400〜1500グラムってところかしら。女性だと少し小さいので1300〜1400グラムぐらいかな。」

「!?!?!?」

N「Pちゃん、何グラムやったん〜?」

P「そ、そ、それは言われへん、秘密や!ひ・み・つ!!

私は冷静になって考えた。

P(1160グラムってことは頭が小さいから脳の容積が少ないんや、そやそや。それはそれでいいねんけど、昔、小学校で習ったあのへんてこな人類の進化の図では『アウストラロピテクス』が500グラムやったやろ、『ネアンデルタール人』は1300グラムくらいあったなぁ。ということは『北京原人』並みやんか!!ひぇ〜)

その後クラス全員の脳の容積を聞かれたか、書かされたか、情報交換したかは忘れたけど、28人のクラスで後ろから2番目であった。ということはもう一人私の後ろにいたわけで(笑)。でも脳の容積がその人の頭のよしあしを決めるものではないことを、これを読んでいる皆さんは理解していただけると信じている。

でも最近はもう一度計算し直してみたいという気持ちで一杯なのだが(やっぱり気にしている?)、いかんせんどこかにノートを封印してしまったようで見当たらない。誰かノート持ってませんかぁ〜2年生のときだったと思うよ。

さてさて。これを読んで某女子大に入学してみたくなったでしょ?その後S先生はエラクなってしまったので現在はいらっしゃらないのです、残念ながら。付け加えておきますがS先生は女性です。会話で不安に思われた方のために。

おしまい。