浜離宮・芝離宮
大名庭園をハシゴする
2009年6月
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都営大江戸線 築地市場駅出口 |
都営地下鉄の大江戸線を築地市場駅で降りて、A-1の出口に出て来ました。近くには駅名のとおりに築地市場、あの魚河岸が控えています。 |
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新大橋通りを進む |
・・・ってことで今日は副題の様に、由緒ある大名庭園を2軒ハシゴしようと思います。
先ずは「浜離宮恩賜庭園」への指導標に従って、目の前を走る新大橋通りを向かって左手に歩いて行きましょう。 |
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浜離宮大手門橋 |
通り沿いに500m程歩いて行くと、浜離宮の大手門橋が見えて来ました。
ここ浜離宮恩賜庭園は、国から特別名勝と特別史跡にダブル指定された国内でも稀有なトップクラス・国宝級の庭園で、この様なダブル指定は東京都内では現在、この浜離宮と小石川後楽園のみしかありません。 |
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大手門 |
因みに特別名勝は芸術的に、特別史跡は歴史的に価値が高く特に重要と認められたものが指定されます。
大手門橋を渡ると正面は浜離宮の出入口となる大手門。入園料300円を支払い、さっそく園内へと入って行きましょう。 |
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園内の石垣 |
この地は元々、徳川3代将軍家光の三男で甲府藩主である松平綱重のお屋敷だった場所です。しかしその後綱重の子家宣が6代将軍になった事で、将軍家の別邸にして江戸城を守る役割でもある出城となりました。そんな訳でこの庭園内はご覧の様な石垣がある事でも分かるとおり、城の作りがベースになっています。 |
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内堀 |
入園するとすぐに、大名庭園ではあまり見られない内堀が見えて来ますが、この内堀からも城の造りが取り入れられている事を窺わせます。 |
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延遼館跡 |
江戸時代に浜御殿と呼ばれていたこの地は、その後の明治維新を経て皇室の離宮となり、名称も現在のように浜離宮と改められます。その頃には敷地内に延遼館と言われる洋風迎賓館も建てられ、多くの外国賓客が招かれましたが、残念ながら建物自体はその後に取り壊されたため、現在は確認する事が出来ません。 |
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潮入の池(大泉水) |
この庭園の池は隣接する東京湾の海水を利用した、江戸庭園としては唯一の現存する潮入の池。今日この後に訪れる芝離宮や、清澄庭園、安田庭園の池なども嘗ては海水だったのですが、現在では全て淡水利用に切り替わっているので、その意味ではここ浜離宮の潮入の池はとても貴重です。 |
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船着き場 |
写真は船着き場の跡。この池で徳川歴代の将軍は、釣りや舟遊びに興じていたのでしょうか。海水のため現在でもボラ、ハゼ、ウナギやカニなどが生息しています。 |
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水門 |
これが潮入の池と東京湾を繋ぐ水門で、ここから海水を取り入れています。海水なので干満によって水位は変動し、その差は2mにもなるとか。 |
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水門盤 |
水門から少し離れた場所に設置されたこの機械。この装置で水門を操作して、池の水位をコントロールしています。 |
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お伝い橋 |
潮入の池に浮かぶ中島のお茶屋へと続くこのお伝い橋。全長およそ118mのこの橋は、高知県産の総檜造りです。 |
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中島のお茶屋 |
元は接待施設だった中島のお茶屋、最初のものは1707年の建設になります。その後、皇室の離宮となっても国賓接待に使われていました。 |
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中島のお茶屋 |
火災などで焼失・再建を繰り返したこのお茶屋、現在のものは昭和58年に建設されたもので、大名庭園を眺めながら抹茶と饅頭でのんびり休憩する事も出来ます。 |
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富士見山へ |
小高い丘へと続く石段。脇には富士見山と記された案内板があります。ここに限らず当時は江戸の町の至る所から、富士山の雄姿を目の当りにする事が出来たとか。 |
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富士見山山頂からの眺め |
石段を上って頂へ。 現在の東京は高層ビルが立ち並び、歴代の徳川将軍が眺めた様な富士の姿は確認できませんが、それでも御覧のように美しい庭園内を見渡すことが出来る絶景スポットです。 |
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三百年の松 |
18世紀初頭、徳川家宣の別邸だった時代に植えられたと伝えられるこのクロマツ。園内では唯一戦前からある樹木で、他のものは震災・戦災などで全て失われました。 |
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ハナショウブ |
取材時はちょうどハナショウブの旬の時期。園内ではオールシーズン何時でも季節の花々が咲き乱れ、来園者の目を楽しませてくれます。 |
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鴨場の小覗(このぞき) |
庭園内には鴨猟をしていた施設、鴨場の跡が残されています。 |
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小覗 |
鴨場には小覗と呼ばれる小屋が作られていて、ここから池に降りてきた鴨の様子を窺いながらおびき寄せて、鴨猟を楽しんでいました。 |
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小覗をのぞいてみると |
小覗の覗き窓から向こう側を眺めるとこんな感じ。窓の上下に見られるシミは、江戸時代からの長年の、おでこや鼻先の油が染み付いちゃったんでしょうか・・・? |
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可美真手命(ウマシマデノミコト) |
なにやら大きな銅像が建っています。いくさの神様ウマシマデノミコトの銅像でした。明治27年、皇室の離宮時代に作られたもので、明治天皇の銀婚式の記念として、当時の陸海軍の将軍たちがお金を出し合って寄贈したものです。 |
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中の御門 |
浜離宮の出入り口は大手門と中の御門の2か所あります。この辺りでこの中の御門を抜けて、そろそろ浜離宮を後にする事にしましょう。 |
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高架下の横断歩道を渡る |
中の御門を出たら左へ。首都高速道路の高架沿いを50mほど進んだ先に横断歩道があるので、これを渡って道を横断します。 |
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突き当りを左へ |
更に150mほど歩くと、正面突き当りには新幹線とゆりかもめの高架が構えています。ここを左折。 |
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通りの向こうは芝離宮 |
新幹線の高架を右手に置いて歩くことおよそ600m、正面を走る通りの向こう側に今度は芝離宮恩賜庭園入口の門が見えてきました。と言う訳で、浜離宮と芝離宮は目と鼻の先に位置しています。入園料大人150円。 |
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芝離宮 出入口の門 |
浜離宮同様この芝離宮も、元は大名屋敷だったものが明治に入って宮内省の所管するところとなり、皇室の離宮、そして迎賓館として利用される様になりました。 |
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庭園内の池 |
1678年、相模の小田原藩主だった大久保忠朝がこの地に下屋敷を築いて作庭を始めます。そして当初は既記の通り、この回遊式庭園の中心となる泉水は潮入の池でした。しかしその後時代は移り、東京湾の埋め立てが進んで海水を引く事が出来なくなり、ついに昭和30年代の中頃に淡水利用へと切り替えられました。
庭園の広さは浜離宮の約7万6千坪に比べるとグッと小さい1万3千坪ながら、見所いっぱいに凝縮されています。 |
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浜辺を模した池 |
庭園の池には砂浜を模した場所がありますが、海を再現する場合は磯などの岩場を模すことが多い日本庭園において、これは珍しい例です。 |
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洋館跡の基礎石 |
皇室の離宮時代はここに洋館が築かれ、海外からの賓客接待にも利用されました。今でも、当時の洋館に使われていた基礎石が残されています。 |
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雪見灯籠 |
池の畔に設置されたこの灯籠は、明治時代に迎賓のための演出にと作られたもの。当時はこの灯籠と池と、そしてその向こう側には品川の浜辺が一望できたそうで、外国人の目にはとても幻想的に映ったのではないでしょうか。 |
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大山 |
大山は庭園内でいちばん高い場所です。ちょっと登ってみましょう。 |
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大山からの眺め |
この大山の頂は、庭園が一望できる園内屈指の景勝地です。 |
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枯滝 |
枯滝では、大きな石を組み合わせて滝を表現しています。通路の様なつくりになっていて通り抜けることも出来て、あたかも山奥の秘境に迷い込んだようです。 |
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石柱 |
長い間庭園内の謎だったこの4本の石柱、最近分かったところでは大名屋敷時代に茶室の柱として使われていたものだとか。 |
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戦災の傷痕 |
しかしこの石柱を近くでよく観察してみると、大部分黒く変色している事が分かります。これは戦争中にアメリカ軍の空襲で焼けただれた事に因る、戦災の傷痕です。 |
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西湖堤 |
これは西湖堤。中国東部の沿岸に位置する浙江省にある美しい湖、西湖とそこに築かれた堤を模したものです。 |
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中島 |
西湖堤で池を渡ると、その先にあるのは中島。仙人が住む不老不死の山、中国の伝説の蓬莱山を表しています。 |
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九尺台 |
庭園の東端には九尺台があります。嘗て明治天皇は眺めの良いこの頂に立ち、目前に広がる海辺の眺望や漁民たちの様子を眺めたと言われます。 |
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九尺台からの眺望!? |
しかしながら、現在の九尺台からの眺めは様変わり。かつて海岸線が広がっていた場所は、コンクリートのビル群に塞がれて御覧のとおりです。 |
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根府川山 |
既述のように、この庭園を作庭した大久保忠朝は小田原藩主でした。そんな事から、この根府川山と呼ばれる小高い丘の斜面に配置された大きな岩石は、自らの藩地から産出され運び込まれた根府川石が利用されています。 |
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池の畔の溶岩 |
一方、池の畔に並べられたこれらの石は、やはり藩地の近くにそびえる、あの日本一の富士山から流れ出た溶岩です。 |
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海水取入れ口跡 |
これは、潮入の池だった頃に活躍していた海水取入れ口の跡。周辺の埋め立てが進み淡水利用になった現在、もちろん稼動はしていません。 |
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園内のアジサイ |
浜離宮同様ここ芝離宮でも、一年中四季折々の花を見ることが出来ます。取材時は六月初旬。時期には少し早いですがアジサイがちらほら咲きだしました。 |
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JR浜松町駅 |
コンパクトながら魅力と見どころに溢れた芝離宮を、惜しみつつ出てきました。庭園を背にして左方向へ歩くと、間もなくJR山手線(京浜東北線)の浜松町駅に到着。 |
★交通 |
都営地下鉄大江戸線 築地市場駅下車 |
★歩行距離 |
約 4.5 km |
周辺地図
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