目黒の羅漢さんとお不動さん

2012年6月






 
JR目黒駅西口前
 JR目黒駅西口前

 JR山手線目黒駅西口の前を走る大通りは、その名も目黒通り。今日はここ目黒駅前からスタートして、人気の羅漢さんとお不動さんをお参りした後また目黒駅前に戻って来るという、目黒ご利益散歩です。





目黒通りを渡る
 目黒通りを渡る

 先ずは駅前の横断歩道で大きな目黒通りを渡ったら、右方向へ。





V字路を左へ
 V字路を左へ

 細くてノッポの高層ビルを中心に、道はV字に分かれます。右方向の大きな目黒通りは権之助坂へ、左方向の小さな通りは行人坂へと続きます。権之助坂はあとで歩くとして、ここは行人坂を目指して左の通りへと入って行きましょう。





行人坂
 行人坂

 目黒通りとは対照的な静かな通りは、間もなく下り坂になります。これが行人坂。行人とは、修行僧の事。江戸時代の初め頃から、この辺りに多くの修行僧たちが住んでいた事がこの坂の名になったのでした。ところであそこに小屋が見えるけど、いったい何があるんだろう?





勢至菩薩石像
 勢至菩薩石像

 仏さまの石像でした。傍らの案内板によると、これは目黒川架橋供養勢至菩薩石像。時は江戸時代中期の1704年、西運という僧が目黒不動と浅草観音に毎日参詣し、その途中に江戸市民から報謝をうけて近くを流れる目黒川に橋を架けた事から、この仏像が造立されたのだとか。

 この西運と言うお坊さんの名前、あとでまた出て来るので、よーく覚えといてくださいな。





大円寺
 大円寺

 勢至菩薩の石像は大円寺と言う寺の門前にあるのですが、行人坂の中ほどにあるこのお寺さん、ちょっと気を惹かれるので中に入ってみましょうか。





釈迦三尊像と羅漢像
 釈迦三尊像と羅漢像

 境内に入るといきなり目に飛び込んできたのは、斜面に並んだ圧倒されんばかりの石仏群。

 1772年2月、この大円寺を火元として出火した火事は見る見る江戸中に広がって、4,700人余りが犠牲となりました。





五百羅漢像
 五百羅漢像

 江戸の街のおよそ1/3を焼き尽くしてしまったこの大火の犠牲者を供養するために建立されたのが、釈迦三尊像や五百羅漢など520体のこの石仏群でした。





行人坂を更に下る
 行人坂を更に下る

 さてさて、坂の中腹にある大円寺をあとにして、行人坂を更に下って行きましょう。次の目的地もまた、羅漢さんのいるお寺です。





目黒雅叙園 アルコタワー
 目黒雅叙園アルコタワー

 坂を下り切った辺りにあるのは、老舗結婚式場の目黒雅叙園と、隣接するオフィスビルのアルコタワー。ここで小さな井戸を見つけました。案内板の説明によると井戸の名前はお七の井戸。あの「八百屋お七」の言い伝えが由来だとか。





お七の井戸
 お七の井戸

 時は江戸中期。本郷の八百屋の娘お七は、一度恋仲になってその後離ればなれになった寺小姓の吉三に逢いたいがため自宅に放火、それが大火になって捕えられ、鈴ケ森で火刑に処されます。一方の吉三は事件後出家し僧侶になって西運と名乗り、嘗て目黒のこの地にあった明王院という寺に入ります。そしてお七の霊を慰めながら水行をした井戸が、明王院の境内にあったこの井戸だったのでした。

 さーて、ここで問題です。この西運というお坊さん、覚えてます?





太鼓橋
 太鼓橋

 目黒雅叙園の前を通り過ぎると間もなく、目黒川に架かる太鼓橋が見えて来ました。





目黒川と目黒新橋
 目黒川と目黒新橋

 太鼓橋の上から目黒川を眺めると、少し向こうにもう一つ橋が見えています。あれは目黒新橋。今日の散歩の終りの方で渡ることになります。





山手通りを左折
 山手通りを左折

 太鼓橋で目黒川を渡って道なりに真っすぐ歩いて行くと、山手通りにぶつかります。この大通りを左へ。





歩道橋を渡る
 歩道橋を渡る

 すぐに歩道橋があるので、これを渡って山手通りの向こう側を歩きましょう。





羅漢寺交差点
 羅漢寺交差点

 山手通りを150mほど歩いて行くと、右斜め方向へと分かれる道がありました。通りの脇に立つ信号機の看板には「羅漢寺」の文字が。山手通りを離れて、この羅漢寺交差点を右へ進みます。





海福寺
 海福寺

 明治通りを外れて間もなく、今までとは打って変わった静かな通りの右側に海福寺があります。目指す羅漢寺はもう少し先なんですが、このお寺もちょっと気になります。と言う事で、寄ってみる事にしました。





海福寺境内
 海福寺境内

 境内の案内板によるとこの海福寺、明治43年にこの地に移るまでは、現在の江東区深川にあったのだとか。時は更に遡った江戸末期の1807年、12年振りに催された深川富岡八幡宮の大祭の為に、多くの見物客が集まりました。





供養塔(1807年) と石碑(1856年)
 供養塔(1807年) と石碑(1856年)

 そして大祭に向かう群衆が永代橋を渡っていた時、あまりの重みで橋が崩落してしまい、440名と言われる多くの溺死者を出す大惨事になります。その時の供養塔と、50回忌に建立された石碑が、この境内に残されていました。





天恩山五百羅漢寺
 天恩山五百羅漢寺

 海福寺の50mほど先にあるのが、今日ふたつ目の羅漢さんのいるお寺、天恩山五百羅漢寺。境内の羅漢堂や本堂に並んだ、元禄時代建立になる羅漢さん逹の姿は圧巻なんですが・・・、残念ながら境内は撮影不可でお見せ出来ません。これは絶対に現場へ行ってその目で見るしかない! 拝観料大人300円。





右側の細い道へ
 右側の細い道へ

 さぁ-てお次は、今日のもう一方のタイトルにもあるお不動さんへと向かう事にしましょう。五百羅漢寺の目の前の通りをそのまま進むと、寺のすぐ先で道は二手に分かれます。ここは「目黒不動尊」の看板が見える右側の細い道へ。





看板に従って進む
 看板に従って進む

 看板の矢印に従って、細い道を道なりに歩いて行きましょう。





目黒不動尊仁王門
 目黒不動尊仁王門

 間もなく目の前に朱塗りの門が現れました。これは目黒不動尊の仁王門。江戸五色不動と呼ばれる目白・目赤・目青・目黄といったお不動様のひとつであるこの目黒不動尊には、多くの貴重な文化財が残されています。





比翼塚
 比翼塚

 境内へと入って行く前に、仁王門の門前の参道で見つけたのがこの比翼塚。歌舞伎でお馴染み「ご存じ鈴が森」の白井権八とその愛人小紫の供養のために建立されたものだとか。





前不動堂
 前不動堂

 それでは境内に目を向けましょう。

 目黒不動尊の正式名称は泰叡山瀧泉寺。808年の創建になる天台宗のお寺です。写真の前不動堂は江戸時代中期の建立。





役の行者倚像
 役の行者倚像のお堂

 台地の斜面の横穴を利用して造られたこのお堂に安置されているのは、役の行者倚像(えんのぎょうじゃいぞう)。





銅造役の行者倚像
 銅造役の行者倚像

 これが役の行者倚像。素材は銅製で、1796年の造立です。案内板によると、役の行者は奈良時代の人物で、山岳修行である修験道の祖として崇拝されているのだそうですが、この黒光りした銅像から、そのへんの威厳がよぉーくにじみ出てますナ。





大本堂
 大本堂

 目黒不動尊の境内には平地と台地の起伏を上手く利用して、多くの立派な建築物が配置されています。そして台地の一番高い所に位置するのがこの大本堂





大日如来坐像
 大日如来坐像

 大本堂の裏手に廻ってみると、3m近くはありそうな大きな仏像を発見。





銅造大日如来坐像
 銅造大日如来坐像

 1683年の造立になる、銅製の大日如来座像でした。座高285.1cm、総高は385cmにもなる大きな銅像で、頭部や腕、胴体、膝など十数か所をパーツごとに鋳造しておいて、あとで組み立てると言う技法で作られたんだそうです。





境内の裏口
 境内の裏口

 それじゃぁそろそろ、次なる目的地へと進んで行きましょう。大日如来坐像の後方には、寺の境内の小さな裏口があります。これを抜けて左へ。正面に見えているのは不動公園。





十字路を右へ
 十字路を右へ

 すぐに小さな十字路があるので、これは右折。





不動公園入口
 不動公園入口

 目黒不動尊に隣接した不動公園の正面入口を右手に見て、通りをまっすぐ進みましょう。





目黒通りが見えて来た
 目黒通りが見えて来た

 およそ300m程歩いて来ると、正面に広い大きな通りが見えて来ました。目黒通りです。そして大通りへ出る手前、左側の角に建つ細長いビルが次なる目的地。





目黒寄生虫館
 目黒寄生虫館

 今日のタイトルの羅漢さんやお不動さんとの関連性はまったく無いんだけど、目黒を歩いたら絶対に外せない場所がここ、財団法人目黒寄生虫館





目黒寄生虫館 館内
 目黒寄生虫館 館内

 ここは世界中でもたった一つの、寄生虫専門の小さな博物館です。入館無料。





寄生虫の標本
 寄生虫の標本

 6階建てのビルの1階と2階が展示スペースになっていて、ホルマリン漬けにされた寄生虫の標本がところ狭しと並んでいます。





日本海裂頭条虫(サナダムシ)
 8.8mのサナダムシ

 必見は、背筋もゾッとする全長8.8mのサナダムシの標本。

 説明文によると、幼虫がいるマス寿司を食べてしまった人の体内で成虫になったもので、そのマス寿司を食べた3ヶ月後に、ちぎれた虫の体の一部を便の中から発見して気付き、昭和61年8月に薬で排出させたものです。その大きさは、写真右側に写っている大きなガラス扉のサイズと比較しても分かると思いますが、こんな巨大な生物が体内に居座っていながら、ナントこの人、3ヶ月間全くなんの症状も感じなかったんだって・・・
    (こわ)





目黒通り沿いに進む
 目黒通り沿いに進む

 目黒寄生虫館を出たら、目の前を走る目黒通りを右方向へ進んで行きましょう。





大鳥神社
 大鳥神社

 通りの右側にあるのは大鳥神社。806年の創建になる、目黒区内最古の神社です。





山手通りを越えて
 山手通りを越えて

 間もなく通りは、山手通りと交わる大鳥神社交差点に差しかかりました。このまま目黒通りを直進。





目黒新橋
 目黒新橋

 やがて目黒新橋が見えて来ました。足元を流れるのは目黒川です。





太鼓橋を望む
 太鼓橋を望む

 橋の上から目黒川を眺めると、今日の散歩の初めの方で渡って来た太鼓橋が見えています。





権之助坂
 権之助坂

 目黒新橋を過ぎると、通りはゆるくて長い上り坂になります。これは権之助坂





JR目黒駅
 JR目黒駅

 そして坂を上り切ると、今日のスタート場所だったJR目黒駅にゴールイン。









★交通 JR山手線 目黒駅下車
★歩行距離 約 3.0 km



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