芝生の永年維持を目的として、造成時に下層土の通気性や透水性を保持するため対策を講じる必要があります。
芝床土として望ましいのは、透水が良い土壌です。粘土分が多いと踏圧により土が固くなり排水が悪くなり、根の伸長にも妨げになります。
〜床土の作り方〜
播種する場所の雑草、石などを完全に除去し、機械やスコップなどで30cm位までの土壌を耕起する。
透水性が悪い土壌では、暗渠や排水層を設置し客土しなければならない場合もあるが、常時停滞水やぬかるんでいなければ土壌改良剤の混合・細かな火山礫を客土混合でOK。
強アルカリ・強酸性土壌は、pH改良が必要です。(弱酸性がベスト)また、油がしみた土は、搬出し客土する。客土する場合は、水はけの良い細かい火山礫が安価でお勧めです。客土した火山礫または砂と現地の土と良く混合します。
その際、土を細かく砕き、出てきた草木の根や石は取り除いて下さい。
この作業の良否が、後々まで影響しますので、労力を惜しまず行いましょう。ここまで出来た時点で、粗整地します。水が溜まらないよう、全体に傾斜をつけるか、中央を高くして雨水が溜まらないようにしてください。
〜基肥〜
一般的には、堆肥が・・・ピートモスが・・・など云われ様々な商品があり迷うところですが、寒地芝の場合堆肥系の有機物を敬遠したほうが無難です。それは、畑のように年に数回耕したり出来ないので、特に有機物の未熟醗酵な商品は注意が必要です。理由は通気性の重要性から説明しなければなりませんが、通気性は芝草の生育と重要な関係があります。夏季には微生物の活動が活発になり、土壌中の酸素を多く消耗し微生物の炭酸ガス排出量は多くなります。微生物の菌数が同じと仮定した場合、高温下で有機物が多い土壌の方が、菌の活動が活発になり炭酸ガス濃度が高くなります。芝生は、表層を覆っているので、土がむき出しの畑と比べると、芝地は大気との通気が良くないので、土壌中のガスが大気中に放出されにくく炭酸ガスが高濃度で停滞してしまいます。これにより有害還元性物質(メタンガス、水素ガス、有機酸等)を生成、嫌気性微生物の活動を活発化させ、病害発生の要因となるからです。
有機物がすべての植物に良い結果をもたらすとは限らないのです。有機農法は素晴しく良い方法ですが、成功させるには、土壌中の微生物が排出する炭酸ガスと、微生物が消費する大気中の酸素を早く交換させることが必要なのです。
更新作業(コアリング)などで緩和する事は出来ますが、病害発生要因を更新作業で1発解決することはできません。逆に、床土に有機物を入れなかったから、全く病気が発生しないという訳でもありません。
芝育成に於けるマイナスの要因の1つでも外すことが、必ず後の管理のしやすさにつながります。
私が施工するなら、真珠岩及び珪酸質商品との植物性の有機化成肥料(有機分は、微量要素の補給程度に)を50g〜100g/uほど散布し深さ15〜25cmの表土と良く混合します。
改良剤、肥料の商品名は、「お勧め肥料・資財」のコーナーで紹介しています。
〜本整地〜
床土の表面が粗整地のイメージとおりに平坦になるま均したら、鎮圧します。小規模の範囲であれば、足踏みでOKです。軽く足跡が付くくらいの程度まで鎮圧できたら平レーキ(通称トンボ)で凹みが無い様に整地します。凹みがあると、播種後に降雨により種が流れ寄る為、鎮圧と整地を数回繰返すのがポイントです。
整地が出来たら、金属製のレーキなどで床土表面全体に5mm程度の深さの筋を付けて、床土の完成。