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ポトチャリポラパ/コミック/2005年
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2005年/11月
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2005年/11月/29日
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「デビルエクスタシー」 1巻 押見修造(講談社)

・そうだ、おれはこの人の名前を覚えていた。

「アバンギャルド夢子」押見修造(講談社)

・あれだよ、「みなみけ」で大ブレイクしてる桜場コハルと同じに取り上げてるよ。


ドーンって長編を描いたら大ブレイクとかありえそうです。


・で、本作は長編なんですよ。「ドーン」かどうかわかりませんが。

・巨乳にトラウマがある男。ひょんなことで風俗に入る。しかし、そこはサキュバスのワナだった。いっしょにいった男は次の日死んだ。そして、巨乳嫌いがために命が助かった男は、その秘密を知ったためにサキュバスに狙われることになる。

・サキュバスってのは、悪魔の一種です。淫魔って感じですか。ものすごい快楽とともに「吸い尽くして」しまうのですね。

[Amazon.co.jp:くノ一忍法帖―山田風太郎忍法帖〈5〉講談社文庫: 本]

・この山田風太郎氏の名作で、体中の体液をすべて吐き出させるくノ一の忍法が登場しますが、それを思い出させますね。実はとてもそれにアレしてた少年時代だったのです。それが山田風太郎に興味がわいた最初だったりするおれです。

・そして、ぶっちゃけ、このサキュバスによる最期ってのはとても甘美なものに感じるのです。死にたくなったらこれで終わりにしたいよなあと。

・そのエロイメージ、エロドリームだけでも、ありがたいものです。久々に「エロいな」ってのを思い出させてくれましたし。

・そして、最高だったのが「あとがきマンガ日記 告白」でした。笑った笑った。

・ということで、真価は2巻以降だろうなあ。「あとがきマンガ」どおりなのかどうかも2巻以降でわかるわ。
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2005年/11月/27日
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「ONE PEACE」 39巻 尾田栄一郎(集英社)

・さて、よくわかりますが、バトルの最中のワンピースはおもしろいですね。というか、それがつまらなかったらアウトですわな。39巻もつづきません。さ、39巻だってえええ? と、十分長いですよなあ。もうすぐドラゴンボールの42巻ってのを超すぞ。

・で、バトルの話ですが、ジャンプにおいて、バトルがおもしろいのはデフォルトです。最低限のクリアすべきハードルですね。戦いが面白くないマンガは10週でSAYONARAです。ギャグマンガですら、バトルマンガになってきます。

・だから、ポイントとしては、バトルとバトルの合間です。メリハリってもんが必要ですからね。そのバトルまでの御前立てが、ジャンプ系バトルマンガ家の真骨頂です。

・で、毎回書いてますが、尾田さんは未だにうまくないよねえ。そのバトルとバトルのジョイント。というか、逆か。いろいろと盛り込みすぎて、バトルとバトルの間を飽きさせないようにってことにココロ砕きすぎて、メリハリのメリをハリにしてハリハリになって、読んでいて、「うぜ」と2文字で判断されるようなマンガになるわけです。

・ずっと力んでる作風なんですね。便秘のひどい人みたいな状況のまま39巻です。

・サンジもゾロもルフィもそげキングもバトってる39巻です。力んでいいときに好きなだけ力むって展開だと尾田はとてもおもしろいです。

・前にネットで噂になった、コミックのカバー見返しの作者コメントでの富樫批判を実証するかのように、力んで力んで力みまくった39巻ですね。詰め込めば詰め込むだけおもしろくなるという信条で駆け抜けたマンガ家ライフですね。

・それはまちがってはなかったのは、売れてることが証明されてます。正しいのでしょう。ただ、おれには、脂分が多すぎるようなときがあります。

・ただ、今はバトルの真っ最中ですから。このおもしろさがいつもないなあと思った39巻でした。その「おもしろさ」にしても、今回はまだピークじゃないなあと。

・サンジのバトルからはじまった39巻ですが、一流のコックとしてのプライドとして手も包丁も使わないのが主義だそうですが、調理場でタバコを吸うのはどうだろう? おれ、タバコ吸っていたころもそれはタブーとしてたぞ。

・あ、そういや、次の仲間候補として有力なサイボーグやろうのバトルもよかったね。フランキーか。なかなかいいキャラだ。こんな超人ばかりでのウソップのがんばりは本当しびれるね。今回もそげキングとしてがんばっております。
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「スティール・ボール・ラン」 5巻 荒木飛呂彦(集英社)

「ウルトラジャンプ」に舞台を移しての5巻です。4話しか入ってないんだけど、読んだ感じはこれまでの「ジョジョ」シリーズと皮ってないねえ。「よくも悪くも」ね。

・と、なんか、「いつもの」ジョジョになってきましたね。
・敵のスタンドの謎を解いて、やっつける「いつもの」アレよ。
・だいたい、毎回、それに加えていくつかの「しばり」や「状況」があるんで、それが今回は、アメリカ横断のレースだったのね。

・それが悪いはずもなく。偉大なるジョジョシリーズですからね。これはイヤミもなく、そのままの気持ちで。ただ、おれは「ああいつものか」と。1,2巻のアドレナリンが沸騰する感じはなかったなあ。

・未読の日本人もそうだけど、海外の人に、本作とかジョジョシリーズがどのようにみえるのかたずねてみたいよなあ。

・いつも主人公のスタンドが弱くみえるのがポイントであるよねえ。
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「スティール・ボール・ラン」 6巻 荒木飛呂彦(集英社)

・んー? 薄くない? 6巻です。

・2ndレースが終わってそのまま3rdレースへ。

・そいでDioが出てきました。敵の親玉やら、レースの目的やら、いろいろと提示された、ページは薄いけど内容は濃い6巻です。

・で、バイオハザードなディノクライシスってカプコンが悔しがるようなすばらしいシチュエーションでしたね(そういやジョジョの格闘ゲームはカプコンが出してましたね)。

・で、聖者の遺体を捜すレースか。すげえなあおい。

・薄いので薄く片付けました。
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2005年/11月/25日
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「グミ・チョコレート・パイン」 6巻 大槻ケンヂ&佐佐木勝彦&清水沢亮(講談社)

・最終巻です。巻末で、原作の大槻氏が、佐佐木氏に「打ち切り?」とたずねられるような、うまいといえばうまいまとめ方だし、つづけようと思えばつづくような感じの微妙な終わり方ではあります。

・おれは原作のほう、「グミ編」しか読んでないので、原作のラストにも似た位置といわれても、それがどうなのかよくわかりませんが、この終わり方は実に本作らしいと思う。

・全部のあらすじを書くならば、学校でも目立たないピラミッドの底辺にいるやつらがクラスのやつらを「あっ」といわせる目的でバンドをはじめます。バンドはいろいろありましたが、学校の放送室をジャックして、ワンマンライブの告知をします。そして、ライブを決行します。

・6巻では、そのワンマンライブにむけての1巻でしたね。終わるための1巻といった感じで。そして、ミゴトに本作での落とし前をつけました。

・いや、逆説的に、それはミゴトではなかったかもしれません。所詮、高校生がない知恵しぼってやったレベルですけどね。だけど、それは美しいわけです。よくあるアレですけどね。

・一応、ヒロインとして存在して、女性が描けない佐佐木氏のために女性描画のために清水沢氏まで呼んだというのに、ヒロインと主人公は6巻では接触ナシです。動きや想いはシンクロしてますけどね。あと、原作だと悪女だったそうですが、そこいらも描かれてなかったです。

・あと、大槻氏もたずねていた原作での重要人物である「じーさん」というキャラはまったくカットされてましたよ。

・そして、29話と30話では、同級生が同じ時間をどう使っていたかをねちっこく描いてます。これが多分、本作において最重要であり、佐佐木氏の真骨頂だったりしますよ。


佐:あれは"痛くしよう系"。みんなを痛くさせてやれと(笑)。


・と、巻末の原作者対談での佐佐木氏ですよ。野球部の人、新島にナンパがてらバイトに行く人、マンガ家を目指してる人、豊胸手術した人など、いろいろな人を描いてます。それぞれの夏ってことで。
・しかも、バッドエンドげな夏をねちっこく描いてる佐佐木氏の底意地の悪さよ。

・ごめん。でも、いろいろと考えた末にイマイチなラストになっちゃったかなあって。とくにムリにヒロインをからめようとしたあたりがなあ。なんか、クライマックスが早めにあった感じがしたり。どっちかというと、合宿シーンのほうが感動が大きかったもんなあ。

・そもそも、山之上とケンゾーのキャラがごっちゃになりがちでした。うん、キャラ的にどうかと思ってはいたのですよねえ。主人公に近い立場で、なおかつ、バンドの座付き作詞家という位置づけだと、逆にケンゾーのキャラが消えてしまいましたね。主人公としての地位が揺らぐというかね。まあ、そこいらは最後までクリアにならなかったですね。

・でも、トータルでとってもいい作品ではあります。イッキ読みするとまたちがう感慨がありそうです。

・そして、おれは思ったよ。もう、この手のモテないマンガは逆に控えようと。もはや、おれは痛いというより「青春バンザイ。それもいい思い出!」になりつつあるしなあ。

・あ、オススメ。ややご祝儀。お疲れ様でした。
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2005年/11月/24日
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「名探偵マダム・ホームズ」 1巻 鍋島雅治&花小路ゆみ(実業之日本社)

・すごいマンガだよ。
・この場合の「すごい」は、純粋な意味の「すごい」と、不純な意味の「すごい」と5:5です。

・名探偵シャーロックホームズのひ孫で、大富豪で、未亡人で、警察のお手伝いをするという女性が登場します。香港に在住ということで、いつも、チャイナ服を着たり、ピンチのときは、さらに半裸になったり、ときには全裸になったりもします。
・で、相棒として、どこでもMA-1を着てる野暮天の生え抜きキャリア刑事の和籐孫一(わとうそんいち=ワトソン)とコンビで事件を解決するというものです。

・2時間ドラマが近いニュアンスですが、ホームズが無意味にセクシーです。ただ、男性にとってムダなオッパイはないので、それは2時間ドラマ的な話であっても絶対に必要です。

・でもって金持ちなので「富豪刑事」的なニュアンスもありますね。大株主だという理由で、客室乗務員として潜入捜査したりします。

・ああ、そういわれてみれば、1番要素として薄いのは、安楽椅子探偵な「推理」のところかな。

・絵のタッチはレディースコミックを思わせます。そういったことも2時間ドラマっぽさを思わせます。こんなにヌードが頻出する2時間ドラマは古谷一行のでもお目にかかりませんけどね。

・だから、あからさまにサスペンス、お色気、ミステリー、ラブロマンスと、ワンプレートに盛り付けたランチみたいに、お手軽に味わえます。しかも、リーズナブルな感じ。大衆的な感じ。

・毎回、貞操の危機に陥ったり、ヌードになってるシャーロックホームズのひ孫(って、これ、シャーロキアンはどう思うのだろうか?ってヤリマンだったシャーロックホームズの孫って成年コミックもあったからいいか「シャーリィーホームズ/後藤寿庵」)ですが、妙に少女で処女です。「亡くなった夫にしかみせたことなかったのに」と、全裸で自宅のプールで泳いでいて、会いに来た相棒(和籐)がみたときにテレてたりするのです。

・未亡人だけど貞淑ってあたりがこのマンガを読んでるオッサンらのハートをつかむんでしょうかね。
・で、そうじゃない世の中をナナメにみたり、ひねくれた読者には、殺人現場に胸の谷間がみえるチャイナ服を着たムダに色気をふりまいた女がいるってありえない図式などを「あほか!」とツッコミをいれてみたりもできます。

・そういった各種ニーズに応えてる「すごいマンガ」です。Vシネマ化希望です。主演はだれがいいのかはわかりませんが。
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2005年/11月/23日
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「小田原ドラゴンくえすと!」 2巻 小田原ドラゴン(小学館)

・小田原ドラゴンとユカイな仲間たちが繰り広げられるドキュメントコミックです。
・1巻ほどいろいろなところにはいかなくなりましたし、この手のエッセイコミックでは必ず陥るワナである、「楽屋オチ」度が高くなってきます。

「こいつホントおもしろいやつなんだって」

・って紹介されるやつは、いうほどおもしろくないって法則です。これをマンガで繰り広げられてしまうのです。ここのサジ加減と、「おもしろ」の感覚ってのは、エッセイコミックやってる人には1番といってもいいくらい重要なコトガラですよ。

・で、2巻ではクライマックスとして、いっしょに取材同行してるライターの誌上告白ですか。キャバクラに年間200万以上使う男が「このコだけはちがうんですよ(1巻でもそういってた)」といったキャバ嬢に見開きで告白です。

・この方、人間的にはどうかわかりませんが、マンガのキャラとしてはおもしろくないんですし、オチもミエミエでした。

・ただ、このライターに引っ張られるように「キャバクラ」率が高くなっていくのですよ。

・そして、個人的に白眉だったのが、小田原氏が、父親とキャバクラにいく話しですよ。なんだか、おれ、まったく関係ないのに、胃の下あたりが痛くなるくらいでした。

・この全体的にしょぼくれたムードはもう小田原氏の持ち味なんですが、本当に、「人間ってなんだろう?」「生きるってのなんだろう?」「女ってなんだろう?」「モテるってなんだろう」と、非常に考えてしまいます。
・それはおれがシンクロ率が高いからだろうと。そうじゃない人には、しょぼくれな非モテマンガです。

・1巻にもあった巻末オマケのキャバ嬢の来店催促ラブメールがとってもイヤな気分にもなります。

・しかも、毎回の「その後」の描き下ろしによると、1巻では、キャバクラを唾棄しつつも、騙されるってわかりつつ乗るのもいいもんだなと思って、2巻では「いきつけのキャバクラのお気に入り」までいた(彼女をオヤジに会わせた)のが、後日談では「キャバクラいかなくなったなあ…」ですからねえ。

・読後、さびしくてさびしくて泣きそうになりました。山頭火の句より孤独な感じがします。人は一人で生まれ一人で死んでいく。そんな歌があったことを思い出します。
(22:25:58)amazon


「性別が、ない!〜両性具有の物語〜」新井祥(ぶんか社)

・両性具有の方のエッセイコミック4コマです。

・4コマ雑誌ったら、有名なところで、竹書房、ぶんか社、芳文社に、双葉社、エンターブレイン、少年画報社あたりもそうなんすかね。で、なんていうかな、出版社のカラーみたいのがありますよね。
・本作はとっても「ぶんか社」な感じ。

・以前、CHACOとして現役ヘルス嬢の体験4コマを描いてらした記憶があります。

・染色体検査で半陰陽ということが判明して、30歳以後、男性として暮らしていくことにした方のエッセイコミックです。

・ネタはとてもおもしろいんだけど、それを上手く調理できない感じですかね。

・エッセイコミックのハマリ技であるところの「おもしろ」のズレ現象が起こります。

・ここいらはセンスのちがいによるところも大きいんでしょうが、せっかくの「半陰陽」だしねえ。実際問題、普通に暮らしてらっしゃるので、そう波乱万丈なネタが毎月出てくるわけじゃないんでしょうが、そんなこといったら大半のマンガ家がそうなわけで、半陰陽というアドバンテージが活きてないとなると、読むのが苦痛な普通よりおもしろくないエッセイ4コマでしかないんですね。愛地球博の見物記なんかみたってしょうがないんですよ。とくに絵が魅力的なわけじゃないし。丁寧ですが。あと、「ウミンタ」は美味そうでしたが。(参照:[*ボリビアの食べ物・ウミンタ*])

・だから、結論になりますが、プラマイで「まあまあ」なマンガなんですよね。半陰陽のライフに興味がある人はその割合が増えていきます。

・おれがおもしろかったのは、マイノリティはいわゆる「お水」に流れるというか、「お水」のフトコロの広さを感じたこと。
・あと、人間として「楽」なのは「男」ということ。それもすげえよくわかる。で、男として男を愛するそうです。ふーん。それもなーんとなくですがわかるような気がします。

・ま、波乱万丈な人生を送っていた人が、波乱万丈な人生を語ることができるかというと、それはまた別の話ということなんですね。

・念のためにもう1回おくと、おれのセンスではおもしろくなかったってことね。そういや、CHACOのときのヘルス嬢マンガもおれにはちっともおもしろくなかったわ。なんつーかな、両方とも「もっと書くことあるだろ?」って不完全燃焼げな煙がもうもうと。それがなにか? って聞かれても「いや、知らんけど」ってこっちも煙をあげることになりますが。
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2005年/11月/20日
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「完全版 マンガ 水木しげる伝 戦前編(上)」 水木しげる(講談社漫画文庫)

・これで、なにげにコミック文庫は熱いものが発売されるのであなどれません。

・文章でもマンガでもいろいろな自伝をお描きになられてる水木サンですが、本作は、「ボクの一生はゲゲゲの楽園だ」を再構成した感じで、1冊500p弱の全3巻で水木サンの生涯を語られております。

・全三巻通してわかるのは、やはり、「残る」マンガ家は絵がうまいってことですね。まわりまわってこのシンプルな結論にいたるんだなと思いました。
・そして、その残り方が、現在残ってるマンガのセオリーとちがうのです。それは水木氏の持ち味が大きいのですが、同時に、手塚治虫にまったく影響を受けてない数少ない生き残りでもあるんですよね。

・だから、かなり、なんていうか、クセがあると思われます。万人には向いてないです。そして、それゆえに、合うとヤミツキになります。というか、おれはにわかに水木しげるブームがきております。現在進行形です。書店にいくと必ず在庫をチェックしております。

・あと、内容としてはもうまちがいなくおもしろいです。
・3巻通して共通してるのは、水木サンは自分に興味があることだけして生きてきたということで、その興味は「妖怪」などもそうですが、それよりもなによりも「食」です。3巻通して、かなり食べたり食べることへの欲求を描いておられますし、食うに困らないなんて本当の本当に、人類史上、つい最近のことだし、それは依然としてごく一部のことだということがわかります。いやいやホントにホントに。

・そいでもって、各巻500p弱で計1500pほどで水木サン80数年の人生を描いておられますが、「戦中編」というのがあるくらい、さらにいえば、上巻の半分以降もずっとそれです。つまり、過半数は「それ」です。やはり、戦争を体験すると、人生のクライマックスに「それ」がきてしまうんだなと思ったりします。

・上巻では、誕生から、出兵までを描かれております。絶えず、ハラを減らしており、国旗の棒の先の金の玉にかぶりついてまわりの金メッキを食べて倒れた話とか、妖怪などを教えてくれた「のんのんばあ」。バイオレンスとウンコに明け暮れていた少年時代。全校集会で校内中に響く屁をこいたり。

・そいでも、軍靴の響きは様々な変化をもたらすとばかり、後半は、日本が「戦争」のムードに飲み込まれていくサマを「傍観者」「第三者」として、描いてます。描いてますが、水木サンも知らないうちにその熱狂に飲み込まれて、ついには、召集令状がきてしまうのですよ。
「ああ、死ぬんだなあ」とばかり河原を散歩してると旧友と出会う。彼もアカガミがきてる。そして、河原でお菓子を食べたのが最期だったのですよ。

・こういうの、割合と淡々とノンキなペースで、まあ、水木リズムとでもいいましょうかね。それは上巻からすぐにはじまる「地獄」の軍隊生活においてもどことなくノンキな印象を与えます。

・だいたい3pに1回は上等兵からぶん殴られてる水木サンです。そして、いよいよ戦地にいくところで上巻が終ります。
オススメ
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「完全版 マンガ 水木しげる伝 戦中編(中)」 水木しげる(講談社漫画文庫)

・1巻まるまる戦争編です。水木サンの人生が大きく変わる戦争ですよ。片腕を失うところ、九死に一生という場面が連続。現地人との交流。

・でも、「生涯でこれほど困ったことは無い」ということが肥だめに足を突っ込むことってあたりのハズシ用が水木サンの真骨頂なのかもしれないですね(いやまあいろいろとあるんですが。それよりも困ったことはこの先山のようにあるとお見受けするのですが)。

・それにつけても戦争ですよ。いや、いろいろと考えさせられます。いろいろな意見がございますですが、水木サンの実際にいってあったことを描いたってのが最も説得力をもってます。そら、一生忘れられないよなあと。また、賛美するムードになりつつありますが、それはウソだよなあと。

・しかも、戦争が終ってからもずーっと「大変」が続いてますからね。

・でも、戦地からは結局、太って帰ってきてるってのが水木サンです。

・戦争が終っても「戦争」は続いてるのですね。ドン底のビンボー生活で、文字通り「食う」ために働いてますよ。ちなみに、闇市では「おからずし」ってのがあったのですね。おからをシャリの替わりにして、上にタラコとかイカを載せて食うんだそうです。5個5円だか。

・紆余曲折のうちに紙芝居の絵描きになる。つまり、今の仕事のスタートラインに立つわけですね。30歳くらいです。で、結婚問題が勃発して中巻が終るわけです。

・戦争はイヤだなあと、シンプルだけど重たい感想が横たわる、ヘヴィな1巻です。
オススメ
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「完全版 マンガ 水木しげる伝 戦後編(下)」 水木しげる(講談社漫画文庫)

・戦後です。食えない貸し本マンガ家をこじらせて、まわりにもそういう変人ばかりが集まって、なんだか戦中とはちがった点で苦労されてる感じです。下だけでも波乱万丈ではありますよ。

・借金取りが待ち伏せしてる(と思い込んでるのかしら?)ので裏道しか歩かない男や、ネズミ男のモデルになったインチキくさい儲け話を持ちかける男。

・で、ビンボーのドン底にいたとき空に金の霊、「金霊」をみた日に、講談社から仕事の依頼。そして、「ゲゲゲの鬼太郎」へとつながるのですよ。で、40歳。

・それからは、今度、構成も変わり、自分の分身を主人公とした短編なども挿入されるようになり、水木サンの作品に触れることもできる親切設計で、ラバウルの現地人を訪ねる旅。メキシコでマジックマッシュルーム体験などの旅行記もあり、超盛りだくさん。

・すなわち、水木しげるの生涯を追いながら、昭和史、戦争論、作品、自伝、エッセイコミック、ギャグ、シリアス、SF、ホラーとね。

・あと、平成になったら平静になったというのも、戦争を体験してる方には深い言葉なのですね。つまり、天皇の名のもとにはじめた戦争だったからね。元号が変わるってのはかなり大きな意味を持つのですね。

・ともかく読み応えならここしばらくで1番ですね。人1人、なおかつ超巨人を読むんだから当然ですが、圧倒されますよ。どれか1冊なんてケチなことをいわずに3冊ドーンと買うべきです。

オススメ
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「赤い雪 勝又進作品集」勝又進(青林工藝舎)

・縁は異なものなんてことを申しますが、これ、今、めぐり合えて正解。人でもモノでもそういうのってありますよ。

・たぶん、知ってるはずです。だけど、本はもってないと思います。「ガロ」にかぶれてても、つげ義春氏からはじまって、みうらじゅん、根本敬とか、そういった、当時にしてみれば「表面」をなぞって「おれってマンガくわしい!」っていきがっていた時代から名前は存じ上げておりましたし、たぶん、いくつかは拝見してるはずなのですが、どうもあやふや。
・そして、たぶん、当時から、つい最近まで、読んだらこう思っていたことでしょう。「古くさい」と。

・復刻です。1979年に発売された同作品集に単行本未収録作を加えての再編集版ということで、CDの復刻のそれといっしょですね。

・日本です。日本を舞台としたマンガです。なるほど、オビで水木しげる氏がつげ義春氏の「紅い花」と本作の「桑いちご」をひきあいにだして絶賛するあたりのわかりやすさにおれも丸乗りしよう。

・つげ義春氏の旅マンガとかあそこらのノリですね。そのつげ氏もコメントを載せられております。

・つげ義春氏と村野守美氏をいい具合にシェイクさせた感じに、とぼけたムードを足したような。

・4コマで売れたために4コマの人というレッテルがあったそうですが、それが画面になんともいえぬ弛緩をかもし出して、おだやかな空気が流れてるのです。

・たとえば、「桑いちご」という話。地方のひなびた温泉場を舞台としたボーイミーツガールで、ガールが第二次性徴! 初潮フォー!といったマンガなんですが、少年の相棒にはタヌキが登場しております。これが文字通りタヌキ。喋るけどさ。

「木魂」は、木こりが年頃の娘と2人で暮らしてるのですが、毎夜、金しばりに遭い、その間に娘の元になにものかが夜這いにきてる。その正体とは?

「鈴虫坂」も温泉地が舞台か。「ごしんぞさん」と呼ばれた老女の生涯。

「袋の草紙」は男衆がカラフトに出稼ぎにいってるムラに迷い込んだ坊主が女たちの「重宝な袋」になるってエッチなやつです。あ、だいたいエッチな感じの話ばかりですねえ。と、イマサラわざとらしく気がついてみる。

「夢の精」も坊主が登場する。落ちていた化粧クリームの空き瓶からの香りで淫夢を見るって話。

「虎二郎河童」では河童が大フィーチャーだ。乱暴モノのオヤジと河童とのガチンコ勝負というケンカマンガ。

・ベストはタイトルにもなった「赤い雪」かね。作り酒屋のみならいと宿屋で働く娘との恋物語か。

・マンガなところはマンガ。精緻なところは精緻。ユルいところはユルい。シビアなところはシビア。なるほど、藤本和也、山川直人、こうの史代、TAGROあたり、通じるものがあるのではないかと。まあ、少なくともそれらのマンガ家と勝又進氏とのまちがいのない共通点は「おれが好き」ということです。

・いい絵だよ。表紙のコはツンデレだよ。艶子っていうんだよ。グッとくるシーンあるよ。

・カワイイキャラにやわらかくもたしかな背景ってことでね。とってもいいマンガです。呉智英氏の解説とおり「人間の生」そのものを描いてますね。

・残るのはいい絵を描く人だな。

オススメ
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2005年/11月/19日
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「ヴィンランド・サガ」 1巻 幸村誠(講談社)

・あの「プラネテス」の人が描いたヴァイキングマンガです。
・その情報は知ってましたが手に入れるのが遅れました。今のところ2巻も出てます。そして、ここで軽く逆ギレ風のダメ出しをしておくと、この1巻の表紙はねえんじゃないか? 装丁が悪いよ。地味だし。見逃すおれも仕方のないところだろ。

・でも、中身は最高でしたね。

・11世紀。後の世にヴァイキングと呼ばれる略奪者を描いたマンガです。

「プラネテス」譲りの「みてきたんかい!」ってくらいの、膨大な資料を基にした精緻な、ともすれば圧倒したり、息苦しさを覚えるような背景で重厚なドラマが展開されてますよ。

・トルフィンは父親の仇を討つために、仇の海賊の親分にやっかいになってる。そして、「はたらき」をみせることと引き換えに、仇討ちの権利を得ることができる。トルフィンは戦士だから、正々堂々と父親の仇を討ちたいのです。でも、親分は一筋縄ではいきません。

・という「現在」を半分やってからいきなり10年前に飛びます。トルフィンが子供のころの回想がはじまります。

・なるほど、1巻の半分までは大いなる「つかみ」だったのですね。

・タイトルの「ヴィンランド」は、その回想で登場します。「草原の国」という名前のホラ吹きのオッサンがいった場所として登場します。

・単行本1冊を4回の連載で描いてます。正直、どういう状況だったのかよくわかりませんが、水も漏らさぬ完成度ではありますし、この雄大な感じは、「プラネテス」の宇宙をもしのぐ感じもありますし、その時代のどうしようもなく「せまい」感じも同時に現れてます。

「寄生獣」の岩明均氏の切り開いた道をちゃんと敬意を払いつつ「整地」して追従してる感じはしますね。

・個人的には雪国在住ってことで、吹雪の描写にしびれましたね。まさに吹雪は127pの描写のとおりです。

・2巻が楽しみです。これを執筆の時点で2巻を手に入れてますけどね。だから、後は読むだけ。幸せです。
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2005年/11月/17日
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「御石神落とし」 3巻 永久保貴一&増田剛(白泉社)

・なんか続いてるね、3巻。
・作画の増田氏が夕刊の日刊連載というのをはじめるなんてあったので、2巻で終わりかなーと勝手に思い込んでました。

・呪いで石のチンポにされました。呪いで、どんな大きさにもなるし、呪いで、強烈なフェロモンが出るので、どんな女もメロメロです。そいで、呪いで時空も飛び越えて、今昔の女とやりまくりです。

・やっぱりツッコミを。「どこが呪いかよ!」

・基本的には古今東西SEX問題を解決するわけで。

・たとえば現代では痴漢冤罪で恐喝する女子高生をキャンといわせ、幼少時にトラウマのあるT大出なのにヤリマンの女性の問題を解決します。
・今回、タイムスリップ編では、主人公のひいじいさんに憑依して、古き時代のムラのしきたりや、筆卸のアレとかを。そういう民俗学SEXマンガの要素が強いですねえ。

・で、「昔の女性は気持ちいい」(括約筋がハンパなく鍛えられてるから)ってのがなんだか目からウロコ。あと、「出産は気持ちいい」んだと。あと、月のモノの処理の仕方とかねえ。

・このひいじいさん編はおもしろいわ。なるほど、昔の農村での生活ってのもいいもんなんだなあと。ま、やれっていわれたら土下座で「すんません」ですが。

・このひいじいさん編は4巻もつづくそうで。エッチだし、勉強になりますです。いつの時代になっても女性というのはいいもんですね。
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2005年/11月/14日
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「SWWEEET スウィート」 1巻 青山景(小学館)

「イッキルーキーズ」ってことです。「イッキ」というトンガリキッズ御用達のマンガ雑誌に載ってる生え抜きあたりを並べたシリーズですん。
・若いっていいですね。若い感性がキラめいてるですよ。

・インパクトのあるツカミを用意するのが若さってもんですよ。「大御所ならこれでもいいけど…」なんていわれるので、新人はとにかくインパクト重視ですよ。「若いけど荒削り」ですよ。

・本作のツカミは逆レイプですよ。

・幼馴染はいじめられていた。主人公もいじめられていた。そして、イジメの一環で、衆人環視の元、シロクロショーがはじまるわけです。これが1回目。

・ということで、逆レイプからはじまるラブストーリーということになるんでしょうか。あるいは、逆レイプのある「タッチ」でしょうか。

・主人公は一卵性双生児でしたが、兄が行方不明。そして、不意に弟のカガミの前にだけ姿を現すようになる。そして、幼馴染は兄のほうにホレてると。そういうことではじまるトライアングルですよ。

・なんか、荒削りね。いろいろなところで「落ち着け」っていいたくなる感じが。とくに、話に。トートツにいろいろなコトが起こります。「なにこれ?」と。
・まあ、「それチョーわかる」となるのがヤングの証拠で、オッサンにゃあわからなくてトーゼンってことになるでしょうか。オッサンだから逆レイプばかり目がいっちゃうんだよ。でも、エロいわけじゃないんでね。なんか痛々しい逆レイプなんだよ。それが青春の痛みってかよ。

・一応、兄の行方。そしてできたカップルの行方あたりが目指す先ですね。

・キャラはそれぞれいろいろなものを背負わせてますね。取り回しがしんどそうなキャラばかりで、今後自家中毒起こさないか心配ですね。とくにヒロインね。かなりエキセントリックな設定になってますからね。

・おれは、この誰も好きになれないマンガを好きになれるのでしょうか? 逆レイプ以上のインパクトはこの先あるんでしょうか?
・そんなこんなも含めて2巻を楽しみにしたいと思います。
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「イキガミ」 1巻 間瀬元朗(小学館)

・残り1日の人生を告げられると人はどうする? というマンガです。それアリきで逆算して設定があります。明日死ぬかもという緊張感を持って生きると、生産力につながり、国が繁栄するってな理屈で、国民が期限付きの毒を全員注射されるわけです。で、死ぬ1日前に「イキガミ」というのが配られてくるのですね。「逝き紙」ってことですね。その紙をもらった人の1日を追うマンガです。

・2エピソード収録されてます。すなわち、2人死にます。 イジメられっ子と、ミュージシャンね。

・いろいろなことを思いますが、「DEATH NOTE」チックなちくちくと組み上げた設定(ルール)に、「バトルロワイアル」的な国が決めた不条理で残酷なことに、「ハッピーピープル」みたいな人間ドラマって感じかしら。

・たとえば、「死神くん」という死神が出てきて明日死ぬからお迎えにくるって設定にすればシンプルでいいんですけど、本作はそれがないために「重さ」が伴っているんですよね。その「重さ」は「リアリティ」の重さもあるけど、うぜえの重さもあると。

・だから、明日死ぬといった元いじめられっ子が、いじめていた女をレイプして、いじめていて美容師見習いだった男の指にナイフを突き立てるという行動に「意味」ができてくるんですよね。
・この手の余命いくばくな話で、自暴自棄になるシーンがあります。けど、思いとどまるってシーンもまたよく見かけられます。「こんなことしてどうなる?」と。でも、本作だと、逆にいってしまうわけです。なぜか?という細かい理由は読んでいただいたほうがいいんですが、その行動の「ツケ」など、あくまで重く重く展開していきます。

・作者は知らないんですが劇画調の絵と地を這うような重い展開は、ちょっと考えれば「アホか?」と思うような本作の設定に説得力を持たせてます。ここいらも前記の諸作品に共通してますね。

・ただ、もうひとつふたつ「抜け」なかったなあ。この2つのエピソードや、合間にはさまれる細かいルールやリアリティはかなりおもしろかったのですが、オビにあるように魂は揺さぶられませんでしたね。それは「重さ」が原因です。ただ、シンプルに感動をするのを阻害してる感じ? これは痛し痒しですけどね。そういわれれば、おれは「DEATH NOTE」も「バトルロワイヤル(マンガ版だけど)」も感動したりハマりきれなかったな。これらは話と設定のバランスがおれのセンスには相容れないものがあるってところでしょうか。

・でも、本作、読む価値は十分にあります。これはまちがいないです。よくもまあというくらいです。

・2巻では「抜け」があるといいなあと思います。
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2005年/11月/13日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「野蛮の園」 3巻 西川魯介(白泉社)

・おれひょっとしたら西川魯介作品でこんなへたるほど笑ったのってはじめてかもしれないなあ。でも最終巻。

・あれだね、「ロボコン」とかで高専が有名になってきましたが、そこを舞台としたマンガです。「金字塔」とありましたが、あるいは、西川作品のそれにおいても「金字塔」なのかもしれません。

・あれだね、つまり学園マンガってのはたいていの人が卒業したり過ぎてから描いてるわけでね。どうしても、ある種の「ユートピア」描写になってしまいますよね。まあ、地獄描写になる場合もあるんでしょうが。
・そういった意味じゃ、5歳の天才女児がセンセイで、ロボットがあちこち徘徊し、女子下級生にメイドのかっこうをさせて官能小説を朗読させ、猫耳茸がとりつくと猫耳少女になり、エロい上級生女子が手ほどきしてくれて、奴隷のショタがいて、セーラー服の図書委員長(成人)がいて、だいたい日がなランチキ騒ぎをしてるという学園生活です。

・おれがツボったのは、「バレンタイン」ネタ。「聖バレンタインのくじ」がとてもおかしかった。

・それが呼び水になったのか、ほかのもとても楽しかったなあ。エロ描写もあるにはあるけど、不可分ってことはないんで、この手のマンガでは控えていったほうがすっきりしてよろしいんじゃないかと思ったり。少なくとも3巻においては、電気科の先輩後輩(男が後輩でメガネ)のラブストーリー以外はあまり重要でもなかったですね。といってもそれほど直接的描写はないんですが。

・いやでも最高によかったです。全3巻ともオススメというとムラがあったような気がしますが。
・ネクスト1がベスト1になりそうな予感はします。
・うらやましくて楽しそうではありますが、高専には入りたくないなとも思ったり。
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「BAMBOO BLADE バンブーブレード」 1巻 土塚理弘&五十嵐あぐり(スクウエアエニックス)

・原作の土塚氏ってのは有名な方なんでしょうか? オビによるとキャンペーンが実施されてるようです。

・日本が起源の剣道マンガです。剣道の天才少女を軸として展開する剣道コメディマンガですね。

・貧乏教師が、寿司1年食べ放題という賭けに乗るために、5人の女子を集めて、賭けを持ちかけた5人の女子に勝とうとするマンガです。そこで、天才少女と出会うわけですよ。家が道場でやってるので学校で部に入る必要がないんですね。

・こういうのって往々にして、「剣道」を入れ替えても成立することが多いです。上記のあらすじだと空手でもいいし、なんとなれば、将棋でもマンガでも俳句でもOKです。

・本作も半分くらいまでは差し替え可能な気がします。最近のながれでの「ムード」優先のそれってやつ。つまり、剣道にしたのは「なんとなく」ってやつかなーっと。なんとなく、古風な大和撫子で剣を使う少女ってステキじゃね? 萌えね?ってことで逆算したのかな?と思ったほどです。クールで強い美少女ね。

・だが、後半まさに面を打たれたかのようにビシッ!と「剣道」が決まるのです。剣道ってカッコええええええ!と。タマキちゃん(主人公の女性)すげええええ!って。

・竹でできた「剣」だから剣道というのがビシッ!と決まるんですよ。いや、ここいらの鮮やかさは、キャンペーンされるだけのことはあるなあと思ったですよ。

・鮮やかといえば、作画もとても鮮やか。そう、自分で書いて感心ですが、「鮮やか」というのがふさわしい絵ですね。
・マンガを読むじゃないですか。そして、コマからコマへと視線をずらして読んでいくわけです。そのたびに、キャラにズームインしてピッとピントが合う感じ。トーンワークの賜物なんでしょうかね。ここいらはよくわかりませんが。

・5人の女子のうち3人まで集まった1巻です。これは2巻でオススメ出せそうです。おもしろい。
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2005年/11月/12日
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「すもももももも」 3巻 大高忍(スクウエアエニックス)

・ウマ仮面がたまらない3巻ですね。
・いやらしい格好をしてその恥ずかしさをパワーとして強くなるという原理。そして脱げば脱ぐほど強くなる。とってもこのマンガに、そして男性読者にやさしい設定になっております。
「恥ずかしいから」という理由で顔を隠して全裸で悪を退治する「けっこう仮面」という永井豪氏のマンガがございましたが、それよりもこなれた設定ですね。

「恥ずかしい」というのがポイントですね。すべてのエロメディアに精通(おお、ダブルミーニング)してるわけではないんですが、女性の羞恥する姿というのは、基本的に男性が屹立する重要なポイントではあります。

・マンガ表現でいうと、「かーっ」であり、「ドキドキドキ」であり、目の下の斜線(赤くなってる)ということです。あと、目がウルルであり、涙だったりねえ。
・こういうのにビビビとくるわけですよ。

・そして、3巻はまたそういうのがうまくなりましたよね。

・乖離してるし、どうでもいいと思っていた格闘部分や、ストーリー部分も、よくなってきましたね。

・いい意味で「抜いてる」のがよくなってきたんじゃないのかと分析しますよ。デフォルメという名の「省略」が功を奏してるんじゃないかと思うのです。
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「おキツネさまでchu」 3巻 速野悠二(秋田書店)

・3巻。
・こっちのは「エロ」というより「お色気」ですね。
・どうしてこうも往年の少年漫画エロな雰囲気が漂ってるのか不思議です。
・と、「あっけらからん」ってのがポイントでしょうか。あっけらからんと多数の女性がすっぽんぽんです。まあ、往年の少年マンガとちがうのは、さりげなく、本当にさりげなく、女性性器も描いてることでしょうかね。
・でも、それに「エロ」は汲み取りにくい。それこそ、せいぜいで下着のエロコメ(「すもももももも」とか)のほうがエロかったりもします。

・ただ、ま、それがどうであれ女性の裸をみるとうれしいのが男ってもんでね。よくいうフレーズ「華をそえる」ってのは、つまり、そういうことなんです。女性はそこにいるだけでうれしいんですよ。ただ酔っ払うのが目的ならクラブとかスナックとかキャバクラに女性はいらないんですしね。

・3巻ではヒメコって強力なキャラが登場しました。メイドで縦ロールの髪型で、ロリで、ボク女で、ロボットです。そいで天然で、主人公にホレて、強引にアタックするという、どれだけ背負わせてるんだ?ってくらいのキャラです。これが3巻では全編大暴れです。

・こう、ヒロインをイイコや欠点ナシのオールマイティにしすぎると、カウンターとして、こういう問題や特徴だらけのキャラが生まれるってもんですよ。むしろ遅すぎたくらいです。

・と、彼女に暴れさせればストーリーは適度ににぎやかに過ぎていくので、あとは、女体描写に命をかければいいんですね。ここの丁寧加減はたまりませんね。1人1人サイズが厳密に決まっていて、どこから描写してもそれが破綻しないようにしてます。まあ、1巻から表紙のよーこはオッパイ大き目ですけどね。それは表紙ってことですか。

・あまり展開を一生懸命追わなくてもいい、1話完結&設定リセットげな読みやすさも往年の少年マンガのエロコメチックでいいですね。
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2005年/11月/8日
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「拝み屋横丁顛末記」 5巻 宮本福助(一迅社))

・これもドラマCD化か。なんでもかんでもドラマCD化ですね。これで声優さんはウハウハなのか、どうなのか?
・ちなみに本作ジジイ度が高いのでキャスト平均年齢が激高だそうです。さもありなん。

・拝み屋横丁という、オカルティな横丁の住人がおりなすドタバタコメディ。

・横綱相撲ですね。揺るぎのないおもしろさですよ。男率が高く、オッサン率が高い世界ではあります。基本は、3人の隠居ジジイがヤンチャしてモメゴトが起こるパターンです。それに各キャラがからんでいきドタバタと展開するのです。

・キャラが立ってるってのが大きいですね。それでいて、なんもかんも出演させてワヤになるってんじゃなくて、必要なところに必要なだけのキャラというコントロールっぷりも確か。
・4巻からのエンジェルというオカマの幽霊という超強力なキャラも「ここぞ」というところでしか使わない。それがストイックでもなく、力量不足(キャラを動かしきれない)とも思わせないうまさ。

・ジジイたちの「スタンドバイミー」な話がとてもよかったね。

・まさに言葉どおりの「涙アリ、笑いアリ」ですよ。

・なんで、世のマンガ好きは本作を騒ぎ立てないかまったく不思議。渋すぎるからかしら。

・ま、オススメはイマサラですが、これがマンガの王道のおもしろさだと思いますです。ハイ。
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2005年/11月/5日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「UG★アルティメットガール」 濱元隆輔(メディアワークス)

・アニメやらノベルやらいわゆるマルチメディア展開のやつですね。
・これを知ってたら買いませんでした。この手のに美味いものナシ。いろいろ買わないと全貌がつかめないようなものはなんかそろばんのパチパチ音がノイズでイヤなんです。あかほりさとる式というかねえ。広井王子式でもいいけどね。まあ、双方あまり知らないんですけどね。

・ということで本作。

・突然巨大怪獣が現れたのです。そしてそれを退治するヒーローも現れたのです。ある日、ヒーローは女子高生3人をあやまって踏みつけたのです。そいで、ヒーローは自分の命を与えたのです。そいで、ヒーローのかわりに怪獣と戦うことになったのです。
・ところが、3人分に命を与えたために、長く戦ってると、衣装がはげていくのですね。

・ま、そういう設定のエロコメウルトラマンです。

・作者もセルフツッコミされてますが、微妙に絵が移ろいでいきますが、「カワイイ」というラインは守られてます。そいでもって、設定やら原作は決まってるのでしょうが、いろいろなフェチにもヒットしそうですよね。でかい女性が好きな方。衣装がだんだん溶けていくってのがたまらない方。あとぶっかけ(これがなにを意味するかは読んでのお楽しみ)。

・3人の女子高生もロリと貧乳と巨乳と美味い具合になっていますし、怪獣もエロエロ攻撃をしてくるという、ウルトラマンのギャグ&エロパロとするならとても笑える作品になってますよ。

・エロは個人差があると思われますが、おれは記号としてのエロネタをギャグとして受け止めました。股間から戦車の砲台が突き出ている怪獣が放つ白い物体はジャーマンポテトとか(ドイツ戦車なんですね)。

・んまあ楽しかったですが、いかにも半年後に「ブックオフ」の100円コーナーに並んでそうです。そういう「安さ」も兼ね備えてます。これはどうだろう?ホメコトバとはなりませんかね。「親しみやすい」ってことで。
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2005年/11月/3日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ぼのぼの」 27巻 いがらしみきお(竹書房)

・やっぱり27巻にしても竹書房の看板タイトルなんでしょうね。毎巻オビがついていて、最近はどうしたの?っていうくらい有名人を起用してますよ。27巻ではあるある探検隊のレギュラーですよ。んー? 33巻くらいになると、「こいつら誰だっけ?」ってことになりそうな気がしないでもないな。そういうミーハー度が高まってるような。果たしていがらしみきお氏はレギュラーのことを存じ上げておられるのだろうか? というか、家の人はよろこんでそうですね。娘さんとか。

・ま、それはそれとして27巻。微妙に変わってはいますよね。ふきだしの字の大きさの割合が多くなってる気がする。セリフが黒いといいますかね。
・通常、ふきだし内のコトバが大きいのはマンガにおける大きな声ということです。

・あと、毎回新キャラが登場するようになってきましたよね。モグラ、カワウソ、ネズミ。それにレギュラーキャラがからんでくるわけでね。

・おもしろいのが前提です。27巻もおもしろかった。スナドリネコさんが久しぶりに活躍してましたよ。
・それにしても、スナドリネコさん、アライグマクンのおとうさん、クズリのおとうさん、と、ぼのぼのたちの視点からは「大人」ですが、それらがみんなひょうひょうとしてる「大人」ってのがステキな世界ではありますよね。アライグマくんのおとうさんはやや天然入ってきましたね。
・そういう大人たちに囲まれて暮らしてるぼのたちは幸せかと思いますし、おれもああいう人たちになりたいとは思います。

・と、もはや27巻ともなるとこういう感じにしかなりませんね。ラスト、レギュラー陣のみのシマリスくんが飛ぶネタのオチはどこかの遊園地にありましたよねたしか。あのラストの顔はとてもよかったです。いつの間にかシマリスは男の子になったな。
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2005年/11月/2日
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「暗闇の用心棒」 羊崎文移(今日の話題社)

・いや、これが、「異郷秘話」羊崎文移(今日の話題社)を取り上げたら反響が大きかったんですよ。ものすげえぶっちゃけたところ、アフィリエイトで2冊、メールで1冊、購入報告がありましたよ。うわびっくり。

・あと、作者本人にも反響があったです。

・で、そんなこんなで気になる作家になったわけですよ。だから、ブックオフで買うわけです。200円です。たぶん、これらの反響がなかったら華麗にスルーしていた可能性は高いし、いろいろある未読を押しのけて早く読むこともないのです。

・3編の話が入った作品集です。
・女子高生2人が猟奇殺人事件の現場でキモ試しする「遠い昔の日に」
・妖怪退治時代劇「わらくぼ退治」
・マカロニウエスタンな「暗闇の用心棒」

・読んでよくわかりました。羊崎文移と井上雄彦はどちらも「絵」でページをめくる手が止まるという点でいっしょだと。ま、羊崎氏の場合、複製画を30万円で売り出したり、整髪料のCMに登場したりは難しいですけどね。あと、トレースされることもないでしょう。というか、むしろトレースしてみたらどうだ?と思ったりもします。

・ホメてみます。この3篇、どれもおもしろい。やや掛け値ありますがおもしろいです。「楽しみ方」を知るとおもしろいと書くと誠実かもしれない。

・ここいら、マンガのマジックなところですが、絵がうまい、話がうまい、だけじゃあないんですよ。もっとトータルなマンガ力というものがあります。
・たとえば、赤塚不二夫と手塚治虫と水木しげるのどのマンガが1番おもしろいか?という質問に明確な答えを出せる人はいませんでしょ? その答えを出すことが無意味だから。それぞれ巧いところと不味いところがありなおかつおもしろいと思うポイントがちがう。

・そういった意味においての「マンガ力」は、羊崎氏の場合、けして低くない。いろいろな意味で、たくさんの残るものがありましたからね。それは絵がアレだ!ってツッコミも込みです。

・あとがきにもありましたとおり、レトロなオマージュな話が多いです。

・そういわれてみれば、昔のマンガ雑誌にやたらとついてきた別冊マンガ(貸本マンガは知らない)の「やっつけ」な感じを意図的に再現してる超展開は1970年代以前のニオイがあります。それは3作ともあります。
・オチがとってつけたようなもので終わるマンガって多かったよなあと思い出したりします。とくに「わらくぼ退治」のアンチカタルシスのオチはそのニオイが濃厚です。

「暗闇の用心棒」の超展開もいわれてみればこんなのあった気がするなあと思います。東京12チャンネルの昼にやってる雑にカットされた洋画のニオイがあります。「どうしてこうつながんの?」的なばっさりカットとかね。コマ間のギクシャクしたつながりは天然のものも感じられるんですが、効果的なところもあります。

・しかも、それらはちゃんと「作られてる」わけです。なんていうかな、ただのパクリじゃなくて、構造やニオイを再現しながらも21世紀の現在に作者は立ちながら作ってるとお見受けされるわけです。気分オンリーのレトロじゃなくてコアな部分での再現といいますかね。

・この空気を再現するのにあの見るものの手が止まるすばらしい絵(この場合、イヤミの含有量は少ない)も貢献してるわけです。

・ただ、それをそうと気づかせないというテクニックや作画技術の問題とかはありますけどね。たとえば、唐沢商会などのほうがパロディという点では高いわけです。高橋葉介の「夢幻紳士」とかもね。

「異郷秘話」にモーレツな違和感があったのは、やはり題材が不味かったからです。絵がリアルならリアルなほど、精緻なら精緻なほど効果が出るマンガだったのにあのあっちょんぶりけ具合でしたからね。屈強でマッチョな米軍軍曹が女装して女風呂に入って盗撮くらい無謀だったわけです。
・あとさ、「異郷秘話」の絵のほうが「やっつけ」だよな。本作のほうが書き込んでいる気がする。まあ、大宇宙から比べるとちっぽけ差異なんですがね。

・本作のような活劇やファンタジーのような、どこか現実世界から乖離してる世界を描くには「適してる」とは口が裂けてもいえませんが、まだ合ってるんじゃないかな?とは思えます。ま、ちょっと覚悟はしておけ。「ファンタジー」というくくりで、「異郷秘話」も現代を舞台としたファンタジーというフォローも思い浮かんだけど、そこまでじゃないしね。

・本作は女の子がかわいかったね。服が汚れるからって下着でかつての猟奇殺人現場にはいる女子高生や、謎のインディアン少女とかかわいかったですよ。

・おまけエッセイマンガもあとがきの文章もおもしろかった。おれもあんなトイレみたことあるわ。

・なるほど、なぜ、全国で本が売られているのかの理由がちょっとだけわかった気がした。やっぱ話し作りはうまいし独特ですよ。

・ただ、やっぱり絵に目が釘付けになって手が止まりがちですがね。「惜しい」よ。読者が「ここはこういうことを意味してるんだな」と想像補完しなければならないシーンとかが頻繁にあるもんなあ。ま、それすら、昔の特撮ドラマのオマージュともいえるんですけどね。

・だから、「もったいない」から、「暗闇の用心棒」は誰かリメイクしてください。最近は手塚治虫氏のマンガを永井豪がリメイクって時代ですしね。ノリとしては、hitomiがメジャーデビュー前のcuneの「samurai drive」をカバーしたみたいな感じでさ。
[Amazon.co.jp:音楽: GREAT SPLASH]

・そうか。それでいうと本作はシャッグスの「イエスタディワンスモア」になるんだな。[Amazon.co.jp:音楽: シャッグス]

・おもしろかったです。ただ、定価850円+税の価値はないですが。200円だったので十二分に楽しませていただきました。
(09:40:33)amazon

「ゼロイン」 4巻 いのうえ空(角川書店)

・衝撃の超悲劇な3巻から、ゆり戻しがかかってる4巻です。
・2巻で警察バトル三角関係ラブコメみたいな世界から一転して3巻でそのラブコメの1人が殉職。4巻ではそれをひきずりつつもとのバイオレンスなラブコメな感じに戻りつつあるという。

・いやあ、力技だと思うよなあ。美少女とバイオレンス。これでゴリ押ししてくるんだもんなあ。「細かいことは気にするな」と暴走トラックで吹き飛ばしながら、読者を魅了していくタイプのマンガですよね。

・4巻の白眉は冒頭です。美少女2人によるマジのキャットファイト。ああいう絵でぶん殴られてげちょげちょになってる美少女を「ちゃんと」描くのはすばらしいですね。鼻水やよだれや血が出て、殴られてはれたまぶたなどを描いて、「ちゃんと」成立してるどころかそれはそれでかわいいんですよ。

・あとは、あいかわらず、肉感的な女子高生かと思えば、アホほど強い警察だったりと、まさに硬軟自在で進行してます。まあ、軽い重いでいうと、基本的にみんな重いですね。質感があるというかね。もうコミック自体、物理的に重いんじゃないかと思うくらい、地球の重力を感じますよね。

・で、ずーっと身内巻き込まれ編ばかりですよね。最近はこのパターンのマンガが多いですね。「花子と寓話のテラー」もそうだったもんなあ。まあ、本作の場合も「花子〜」にしても仕方がないところがあるんだけどね。

・おもしろいです。安心して楽しむことができます。ああ、ちょっとうそ。ストーリーの進行とか、やや心配。ややスリリング。
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「るくるく」 5巻 あさりよしとお(講談社)

・漫画家デビュー25周年だそうです。おめでとうございます。
・25年全部かどうかわかりませんが、徳間書店の「リュウ」とかに描いていたころから存じ上げております。
・そのころからブレが非常に少ない作家さんではございますね。
・しかも、古くも新しくもない位置に居続けてますよね。だって25年ですよ? 絵柄も描いてる内容も同じですよ。25年前ったら、あんた、25歳の若者がまだ精子と卵子に分離してたころですよ。ファザーのホーデンとマザーの子袋に納まっていたころですよ。いやそうじゃなくて、まあ、かなり価値観とかいろいろと変化してるってことをいいたいわけです。それなのに受け入れられ続けてるってことがすごいでございますね。

・そして、ポイントは四半世紀前ってのはちょうど「オタク」の誕生とリンクしてるってことですよ。あさり氏はほぼ世代的には最初のオタクにあたるころですよね。厳密にいうと、「宇宙戦艦ヤマト」のファンクラブに入ってる感じ?(たしか、同郷(北海道)の唐沢俊一氏がそのファンクラブやら再放送嘆願とかで活躍してたそうで)

・その第一世代がまだ一線である「アフタヌーン」で連載してるってのはスゴイ話ですよ。だって、同じキャリアで同じところに立ってる方はいるか?

・で、5巻。かわいい悪魔のるくちゃんと悪魔の人たちと同居する少年のほがらかマンガ。

・第一線の理由はシャープさにあると思われるのです。いろいろなものをそぎ落とした上で成立してる絵と話です。
・悪魔と神との戦い(非バトルですが)と、昭和を喚起するビンボー生活とノスタルジー。あとギャグと。
・オルゴールが鳴ると踊りだするくちゃん。
・見世物小屋の子供との交流。
・炭火を入れるアイロン(祖母の家にあったなあ)の話。

・で、おもしろかったのがこだわりのラーメン屋の話ですか。たしかに最終的に行き着く先はこだわりすぎて1杯4800円になってしまうって話ね。
・このときの特徴の捉え方にうなったねえ。切り株の板に毛筆で「らあめん」。食券の自動販売機。高い。壁に能書き。黒いTシャツ。アタマにタオル。で、その後の「行列のできるラーメン屋」ノウハウ。うーん、そうかあ。勉強になるなあ。

・これが非常にシャープ。すなわちあさりマンガの最大の特徴はシャープということですよね。シャープシャープで四半世紀。そして、おもしろいんですよね。目のつけどころがシャープなんですね。クイントリックスなんですよ。それは松下電器ですね。ピタゴラスだ。

・おれは熱心な読者ということではないですが、ずっと縁があった25年ではあるなあと思いました。これからも末永いご活躍を期待しております。「るくるく」おもしろうございました。
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