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ポトチャリポラパ/コミック/2007年
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2007年/4月
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2007年/4月/29日
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「いわせてみてえもんだ」さと(スクウエアエニックス)

・だれのところで知ったのだろう。「すごくおもしろい」とのことでみたWEBコミックがこの「いわみて」でした。

[99円均一]のギャラリーにあります。

・本作はこれを商業誌に連載していたものをまとめたものです。全1巻。

・モテないサエないメガネくんは学園祭で1人の少女に出会いそして絶叫されます。彼女が崇拝しているマンガのキャラにそっくりだったのです。ワケもわからぬままキャーキャーいわれ、彼女の「毎週日曜日に遊んでください」とのお願いに、「彼女になってくれたら」と答えたら快諾され、2人はつきあうことになったのでした。

・という、モテないクンとオタク少女の変則的ラブコメです。

・正直、上記のサイトはずるいんだよね。一番いいところで切れてるんだもん。「あとはマンガ買って読め」って感じでさ。あ、もちろん、上記サイトより絵などもかなりファインチューンされてますよ。WEB版は大学ノートの罫線もみえるようなネーム的なものですからね。

・だから、はっきり、「つづきが読みたかった」って理由で買いました。2人の恋の行方が気になったからです。

・で、すごくよかった。かなりアクロバットですが、うまく収めています。下手するとすぐネタバレになるんだよ。まあ、WEBでタダでみることができるのにネタバレもなにもないんだけどさ。やはり、WEBでも新鮮な気持ちで読んでほしいと思う作品だし。

・設定やキャラ、とくに展開がものすごい支離滅裂の都合主義というか「そんなことあるかよ」って感じで、悪くいえば、とっ散らかってるんですよね。それは実はWEBマンガ的ともいえるんですけどね。それをWEBではなかった、はじめて読む12〜最終話でものすごいイキオイで収斂されていくんですよ。
・というか、「WEBマンガ」が「マンガ」に変わっていく瞬間です。ものすごい複雑な変形ロボのトランスフォームをみているかのようなすばらしさ。もっといおうか、「金が取れるもの」になっていくんですね。
・やっぱいいすぎか。こういう書き方すると、それまでが金が取れないものみたいじゃん。そうじゃないんですよ。

・WEBにはたくさんマンガがあります。そして、最近は紙媒体のマンガになり発売されています。で、いろいろと読んでみましたが、WEBのマンガと紙のマンガとはちがいますよね。この場合、最初からコミックとして発売することを前提とした商業的な仕掛けとしてのWEBマンガじゃなくて、WEBありきで発表しているマンガ。つまり個人がタダでみせるためにWEBで発表したマンガ。

・本作もそれだったんですよ(推測)。だから、大学ノートの罫線に鉛筆的な絵で描いてありました。商業マンガでいうとネームか下書きの段階ですね。でも、そのラフさが逆にWEB的な気楽さやアナーキーさをかもし出してはいます。そういう商業誌、もっといえば(紙の)同人誌とも相容れないマンガを模索してる方もけっこういらっしゃるようです。ただ、本作は純粋な「マンガ」としておもしろいところがあったわけです。だからこそ、商業誌からお誘いの声がかかったわけだしね。

・まあ、ぶっちゃけ、ちゃんと描き、商業誌に載ったって考えると、いまいち絵が上手でないけどね。だけど、WEBの絵じゃあれだし、原作としてだれかに描いてもらうのもちがうしね。WEBにあった独特は少し薄れてはいます。

・そう、「マンガとしておもしろい」という武器で一点突破し、WEBで愛読された方(含むおれ)がナットクし、感動するラストまでちゃんと描ききったってのが本作のとてもすごいところだったりします。つづきを描かなかったり、終わりどころがわからなくて「グダグダ世界一」でギネスブックに載ろうとしてるの?ってのがたくさん存在する中、きっちりと作品として終わらせたのがすごい。しかも1冊にキレイに収まってる! ああ、単巻マンガはすばらしい!

・かなり痛い彼女と、かなりヘタレの主人公ですし、他キャラもいたいのやヘンなのが多いし、描画も含めて完成度が高いということはないんですが、愛すべき人ばかりです。

・まあ、上記リンクのマンガを読んでいただきたいです。すごくいいところで「つづく」になってます。そのつづきが見たい場合、オススメいたします。ちゃんと終わらせていただけますし、それに金を出す価値は大アリです。WEBマンガにない細かいエピソードも大きいエピソードもありますしね。

・しかし、このパターンは商売になりますよね。下書き段階でいいところまで描いて、人気のあるものはちゃんとペン入れして最後まで描いて商業出版するとか。と、軽く考えたけど二匹目のドジョウに寛容な読者がどれくらいいるか?ってことでしょうかね。

・本作、ものすごい人気が出たとしたら、「げんしけん」の「くじびきアンバランス」のように、マンガ内マンガの「スーパー美容師伝 佐藤!!」がスピンオフとかするのかしらね。そうなっても買ったりしそうなボク。

・次回作も超期待します。
(20:06)amazon

2007年/4月/27日
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「宇宙の白鳥」2巻 山本ルンルン(ポプラ社)

・待望の2巻だ。なんだか変則的な連載をしているようです。
・小学生生活のかたわら「宇宙パトロール隊」をしているコロナさんの奮闘記です。「パーマン」的。

・2巻は女の子が主人公ってことでラブな話が多かったかしら。しかも、1巻より巧妙に、ちゃんとパトロール隊のミッションと、学校生活と、リンクさせつつも展開します。しかも、ちょっとした教訓というか、ちゃんと残るんですよね。

・たとえば、2話目。コロナちゃんは気になる男子に借りていた本を返します。でも、あまりノリがよくありません。「あれ?」と思っていながらもミッションに。落し物を届けるだけなのに、惑星をあげて歓迎。次から次へともてなされるが、ちょっとずうずうしくて迷惑。でも、向こうの行為だからとガマンするイイコのコロナちゃん。でも、相方は無視するように強引に逃げる。「こっちの気持ちなんておかまいなし」と片付ける。それに反省して、気になる男の子とちゃんと本の内容を話して盛り上がってメデタシ。

・4話では中等部のクールな生徒会長が登場です。クールでつっけんどんな生徒会長の秘密とは!ってね。

・カワイイ絵にキレイなカラーにおもしろいマンガ。横綱相撲ですね。いうことがないよ。コロナちゃんがかわいいよ。イイコでイイコで。イヤミのない優等生ぶりといいますか。

・ちょっと探したんですが、どうしてこんなおもしろい本を探さないとダメなんだろう? 本屋に入った瞬間に目に付くべきだよな。

・小学生から大人まで、多くの人が楽しむことができるマンガだと思います。

オススメ
(23:26)amazon

2007年/4月/23日
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「ワンダフルライフ?」1巻 ケイケイ(講談社)

・30歳前後のOLさんたちのあけすけな生態を描いたショートギャグ。
「ジュゲムジュゲム」が前作になるのか知りませんが、それとの大きなちがいはキャラが固定されたことかしら。もともと川原泉氏のデフォルメタッチから派生した描画なので大きくパターンがあるわけではないんですが、基本4人くらいで、名前もちゃんとついている。

・28歳でやる気がないOLの矢野さんが主人公になるのかしら。彼女と同僚と部下とトモダチあたりがからんできてショートギャグを展開されてます。

・ぶっちゃけていわせてもらう感じで、えーと、2ちゃんねるスレの1的にいわせてもらうなら「喪女なら共感せずにいられない」ってね。

・自分より幸せなOLが恋をしたり等と余計に幸せになるドラマのどこを楽しんでいいのか同僚に相談する。

・20歳過ぎたら自分から行動しないと男もできないって、結婚相談所にいこうとするけど、ほかの金の使い道を思い当たり「いいよね、結婚相談所は逃げるわけじゃないし」とする。

・と、いつもの「ジュゲムジュゲム」クオリティに、今回は、ヒトメぼれした男が相当ダメなやつで、矢野さんは「つきあったらどうしよう」と思いつつも、勇気がなくて告白できずに、半ばストーカーになってる小島さんとか、いろいろと達観してるナナちゃん。あといろいろと影響されてムダにポジティブシンキングな美人の部下後藤さんと、彼女らが彩りを添えます。キャラクター紹介できる。

・シンプルな描画にかなり深いところに刺さる(人は刺さるだろう)セリフやギャグや彼女らの行動とのギャップがおもしろいのは相変わらずです。まあ、ものすごいシンプルなおれ視点でいうと女性向け中崎タツヤって感じではあるのです。そして親愛なる中崎タツヤ氏(mixiのコミュにも入ってるよ!)と同じくらいケイケイ氏のこともすきなのです。ここまで書いてケイケイ氏のコミュにも入会しました。37人目。あれ?以前、mixiでも大人気とかオビにあった気もしたんだけどねえ? ま、いいけどさ。

・それと上記のキャラの魅力が合わさって、おもしろさが増量です。たとえるなら、キャラのところは、カップ麺のスープの小袋の醤油のトナリにくっついてる白い脂のところかしら。一緒に搾り出して入れるとコクが出て美味しいよって感じか。とくにナナちゃんが「出オチ」になるくらいうまく作用してますね。女を捨て、男を捨て、金に生きる倹約生活を実践されてます。まあ、常識もあるし、意外な過去もあるという、「あなどれない女」です。

・んで、とくに感心したのは、ラストを飾る「シンプルに暮らす」の回。矢野さんがドラマとか映画に登場する、家具がほとんどないシンプルな生活に憧れ、目指そうとする話。まあ、脳内シミュレーションをするんですが、どんどんモノが増えていくわけです。
・服を着たら洗う。そのために洗濯機、洗剤、物干し竿が必要。服をしまうタンスも必要(ブラジャーを部屋のスミに転がしておくわけにはいかないって理由に目からウロコ)。シャワーするならシャンプー石鹸、トイレにはトイレットペーパーと便座カバーが必要。と、グダグダとモノが増えていくサマがおもしろい。

・ま、あんまりキャラに引っ張られすぎるとツラくなるけど、1巻はすごくいいバランスでした。
(18:16)amazon

「大彼女」武藤守弘(双葉社)

・エロマンガです。ただし、「成年コミック」マークはナシ。

・ひどいマンガです。

・とりあえず作画。おれみたいなド素人にも、この影のつけ方はおかしいだろ? これじゃトーンが別の意味、たとえば、ケロイド状になった皮膚とかを表現してるってことにならねえか?って感じですし、全てのセンスが昭和とくに顔。あと、たまに裸がぞんざいな描写のときがある。ほかのジャンルならいざ知らず、エロマンガでこれはひどいんじゃないか。難しいってのはよくわかりますが、からみのデッサンも狂いまくりだし。台風の中でやってるのか?ってくらい汗が同じ方向に流れまくってるし。ものすごい「かたむきセンサー」な汗な。

・ストーリーも破綻しまくり。表題作の大まかなあらすじは、幼馴染でよくいじめられていた女と久しぶりに再会したらすごく大きくかわいくなっていて1話目で主人公がこれまでの恨みとスケベ根性でこましたら実は彼女はずっと彼のことが好きでめでたく「大彼女」ができましたと。

・まあ、それはいいんだけど、1話目でSEXがはじまると、それまでにまったくそういうシーンやセリフがなかったのに、主人公は「うっさすが処女のオ*ンコすげーしまる」といいます。処女かどうかわかるわけねえじゃん。どこにでもそういうセリフを挿入する場面があるような気がしますが、まったくそういうことがなくて処女といたすって展開です。
・ご都合主義ってのはエロマンガの必須要素ですが、少し雑すぎるかと。

・でも、本作においてそれらはわりと「些細」で片付けられるんですよ。

・なにがひどいって本作、主人公を筆頭に各登場キャラの設定がとりわけひどい。
・エロマンガはわりあい、他ジャンルのマンガに比べてもモラルが薄いキャラがよく登場しますし、かなりの鬼畜もたくさんいます。

・でも、ポイントとして、たとえば読者の共感を得られるようにするとか、ぶっ飛びすぎて感情移入を遮断するような配慮があります。なんていうかな、物語の中の作られたキャラって線引きがあります。

・いや、本作もあるいはそうなのかもしれないですが、おれにはどうにもこうにもイヤでイヤでたまらないキャラばかりだった。

・主人公1話目、酔った彼女をラブホテルに連れ込んでってのは最初に書きました。それは合コンにいったのにこの女のせいで空振りだった「腹いせ」って目的もあります。で、裸をみたりイタズラしてるわけですが、これが結果的にうまくいって彼女となるわけです。

・で、2話目に驚愕の展開が起こるのです。AVをみて「このプレイ気持ちよさそう。でも、彼女にいったらぶん殴られそうだ」と思った主人公がどうしたかというと、ソープランドにいくために彼女をだまして金を借りるんですよ。それで躊躇なくソープにいくんですよ。まあ、未遂に終わりますし、結局彼女にお望みのプレイをしてもらいます。

・そしてびっくりすることに3話目で浮気です。その後、ずっと浮気です。最終話前、浮気発覚して別れます。「これで思う存分浮気ができる」とよろこぶ主人公です。でも、心因性のインポになり、「チ*コがたたないんだ」と彼女の前で泣くのです。
・それで彼女は許します。めでたく主人公のインポも解消です。そして最終ページ、いつもの浮気相手の未亡人とセックスシーンが挿入。「おれのチンコも大復活/やっぱり彼女がいてよかった」というセリフとともに一巻の終わりです。

・どうよこれ? 思わずネタバレ上等で全部書きましたけど、この主人公はクズだと思うし、この主人公を許す彼女もバカだと思うし、いとこの彼氏と知っておきながら浮気する未亡人と、「遊びでいいからやって」というその娘も頭がおかしいとしか思えない。

・そして、最高にイヤなことに、こんなバカなカンケイは現実にありそうなのな。少なくともこの主人公を純粋に「うらやましい」と思ってる読者がいそうな気がするわ。

・別に潔癖ってことじゃないんですよ。純粋にこの主人公のゲスさが好きになれないだけでね。キャラメイクが下手なだけでしょうね。

・よくあるパターンですが、不良がネコをかわいがってるところをみて意外な一面に「おお」ってなるようなのが皆無。
・基本的に女性からのきっかけのアプローチですべて受身でありながら、自己保身や利益ばかり追求してるチンピラでしかないんだよなあこいつ。浮気したのも「バレて彼女に殴られるの痛いから」と思うからイヤがってるんだもんな。「遊びでいいよ」といわれて「遊びでいいのかーやったー」って思うような男ってさすがになあ。

・というあまりのひどさに逆に印象が深くなりました。これが狙いだとしたら作者は天才ですが、天才ならもうちょっとマシな描画力を持ってるはずなのでそれはちがうんだろうなと思いました。
(23:54)amazon

2007年/4月/20日
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「CARAT! からっと!」1巻 渡辺祥智(マッグガーデン)

・魔法の国の時期王女の座を決めるために代々候補は決闘をするのですが、今回の候補は親友同士だったのでとても戦うことができない。だから、地球のものに代わりに戦ってもらおうということで、1人は中学3年のメガネっ子に託すのでした。そして相手が現れ戦いがはじまるのでした。

・と、ナニ色のナニシュ?って感じではあるんですが、本作はかなりすちゃらか魔女っ子ギャグです。

・スカシギャグが発動しまくりの本編でして、その技術力の高さに驚きましたね。スカシギャグってのはつまり「お約束」をわざとすかすことで笑いにするというもので、通常、「ごめんください」と家に入るところを「ごめんくさい」と入るチャーリー浜氏のような感じですよ。考えて考えて思いついたたとえがこれかい。

・2話目には冒頭2pいきなり昔の少女マンガパロディのキラキラ瞳の主人公が登場して前回のあらすじを紹介したり、魔法の杖を魔法で出して、さらに強い魔法をかけるとみせかけてそれでただ殴るとか。メガネっ子はテキトーな気持ちで魔女っ子になったので、魔女になる呪文が「肉うどん」だったりね。あと、メガネっ子は見た目もシャキっとしたクールな委員長キャラなのに実はバカとか。

・基本、主人公が総ツッコミを担当して、他のキャラはボケたおすというシンプルな構成。それに美麗な絵(考えてみれば美男と美女しか登場してないよな)が相まって、古臭さはなく、テンポのいいスカシギャグが次から次へと飽きさせず、キャラが毎回増えるというガチャガチャしがちな展開ながらもスムーズにわかりやすく楽しむことができます。

・えーと、下ネタをはじめとしてドキツイ系のネタは主義に反するためにやっておられないようなので、キレはいいけどパンチが弱いのがタマに傷でしょうかね。

・ま、それを上回る各キャラの愛想のよさとかわいさがありますからいいんですけどね。絵はもう完成形なんですよね。主人公のツンデレっぷりがいいなあ。

・2巻を楽しみにしてます。
(18:15:55)amazon

2007年/4月/19日
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「チナミの風景」野本明照(小学館)

・常々、マンガの風景やら背景についてエラそうなことを書いているものとしてはやはり「風景」なんてタイトルにしているマンガを買わずにはいられないじゃない。

「イッキルーキーズ」の人ですね。今どうなっているのかさっぱりわかりませんが「IKKI」って雑誌に連載されていました。

・小学生のチナミが主人公。彼女は変人を呼び寄せてしまうという性質を持っています。そんな彼女が今日はどんな街の変人と出会うのやらって感じの1話完結の読みきりです。

・本作、主人公のチナミが1巻のはじめから最後まで、ものすごいイキオイでかわいくなってくるのが最大の特長かもしれない。とくに6話と描き下ろしのチナミのかわいさは異常。

・ちょっと残念なのは「風景」は重要なファクターだけど、それが主人公にはなっていない。ベタだけど、1話のように、裏に建っている変な建物。それを作ったのはだれで、なんのため?って感じがつづくとよかったかな。

・2話目では、いつでも空を見上げて宇宙人とコンタクトしてる同級生。3話では風船をつけた眠り男。4話では悪魔のマジシャン。5話ではイケメンの魔法使い。6話では行き倒れている美人占い師。って「人」ありきで、彼らとの交流がミラクルな風景を生み出すって感じです。それはそれで悪くないんですけどね。

・ショートカットで気が強くてナマイキで、なんとなく「よつばと!」のみうらさん(よりお姉さんか)を思い出すようなちなみさんがカワイイのは前にも書きましたが、風景その他もやはり美味しい描写です。いわゆるニューウェーブっぽいというか松本大洋っぽい感じでいながら線にあじわいがあって柔らかい。随所に「残る」絵を描いておられますね。5話のカエルとか。

・ニューウェーブ人特有の「描かない病」にかからずガシガシ描いてほしいもんです。かわいい女の子を描く人はどんどん活躍してほしいと思うのです。しかも、この「かわいい」はけっこう共有できる人が多いですよ。いわゆる「萌え」じゃないですし。「かわいい」んですからして。

・ややカクカクしてる物語進行がもうちょっとスムーズになるといいかなあ。あと、動きか。だから次は(かわいい)女子中学生が走り回っているような長編が読みたいなあ。
(18:25:12)amazon

「青春うるはし! うるし部」堀道広(青林工藝舎)

・実は、青林堂のときよりいわゆる「ヘタウマ」は苦手で避けてきてるマンガライフです。
・なんていうかな、カンタンにいうと「ヘタウマ」はコストパフォーマンスが悪い。ヘタな絵自体をネタにしたりギャグにするのって、ヘンな顔やカッコウをして出てくるのといっしょじゃないですか。ヤングゼネレーションにわかりやすくいうならたむけんとかです。
・つまり、「出オチ」な感じです。ヘンな顔や一発ギャグで笑わせる芸人をみるのと似ているような。彼らの価値はわかるつもりですが、それに金を出すほどの価値は自分にはないって感じですか。本作もそれかと、書店でみつけたときは思いました。でも、時期的にイマサラすぎたのですよね。今これか?って。

・表紙は例によってのフラミンゴスタジオの特徴ある装丁に、昔の学園マンガの番長風の主人公に、登場人物、くわえて、「ゲームセンターあらし」のエレクトリックサンダー的に逆立ちで回転してハケを塗っている主人公っぽい絵。ここまでの情報だと、なんかいつかどこかでみた「ナニあがり寿?」って感じになるわけですよ。安いパロディとヘタウマな絵のギャグマンガかって。そういうのは昭和でもうゲップがでるほどいただいてきたですよと。

・購入の決め手はオビです。こう考えるとマンガをジャケ買いするときオビってのは重要ですね。
・福満しげゆき氏と久住昌之氏が推薦されてます。でも、本当の決め手は裏の「全体を流れる壮大な計算されたストーリー」ってのです。「どんなもんじゃろ」とためしに手を出しました。

・尻毛高校のうるし部の話です。うるし部ってのは、その名のとおりうるしを塗って器を作る部ですね。
・ものすごいぶっ飛んだ展開と、ものすごい丁寧なうるしのウンチク&解説。あと、ものすごいヘタウマな絵。おそろしいのはそれら全てを総動員して融合して絶妙のバランス感覚で「独自」をかもし出そうとしておられるところです。たくさんのマネやパクリがあるように思えますが最終的には独自がそこには確実にあるのですね。

・なにがすごいってロジカルなことですかね。それにもヘタウマな絵が一枚かんでおり、軸がぶれているように思わせたり、ヘタウマな分、各方面へのパロディが容易というのもあります。少女マンガ風、官能劇画風、ホラー、ギャグ、ゲームセンターあらし等等、変幻自在です。最初の絵が「ああ」だから、それぞれの移行もカンタンなんですね。
・で、男性キャラは総じて顔のりんかくより太いクビだし、女性キャラは顔のたての1.5倍くらい長いクビだったりと、インパクトの強い人物描画だったりと、どこまでが計算なのかよくわからないことになっているのです。作者は実際に漆塗りをしてらっしゃる方だそうですし。

・そして、昭和ニューウェーブ(ギャグ)を総まくり的に、あらゆる要素を貪欲に取り込んで展開していきます。たくさんの先人の遺産を消化されておられると思いますよ。

・ただ、そのすごさもなんもかんも、絵のマイナス面のインパクトに消え去るんだよなあ。これはちと惜しい。たとえるなら、フランスの三ツ星シェフの作る心づくしの料理だけど、盛りつけが「デカ盛り」って感じかしら。

・ちなみに富山にあるうるし塗りの学校は高岡工芸高校だよなと思いました。

・昭和に「ガロ」とか読んでいた人はわりあいといいですよと。平成になってからの人はどう映るのかわかりません。そのころはヘタウマは細分化され各マンガ家の個性として吸収されていた気がしますから、「**の絵は大丈夫だけど++は最悪」ってのがより強くなったような。
・あと、うるしに詳しくなりたい方にもいいかもしれない。いやそれもよくわからない。
(19:51:28)amazon

2007年/4月/12日
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「大東京トイボックス」1巻 うめ(小沢高広&妹尾朝子)(幻冬舎コミックス)

・ふうん、「モーニング」で連載されて、全2巻で玉砕した「東京トイボックス」の続編くせえな。うめって2人組だったのか。どっちが「う」でどっちが「め」だ? とかいって。まあ、たまにはこういった車田正美商法に乗ってみるもやぶさかじゃないか。「東京トイボックス」は好きだったしね。

・と、みくびり半分で読んだら驚いた。本書の名セリフに準じるなら「魂が合ってる」よ。震えながら読んだな。

・いっそ清々しいくらい前作読まないとワケワカメな内容になってるのですから、講談社刊の「東京トイボックス」を買いましょう。すごく運のいいことに全2巻で手に入りますし。こないだブックオフでみかけたし。

[Amazon.co.jp: 東京トイボックス 1 (1): 本: うめ]
[Amazon.co.jp: 東京トイボックス 2 (2): 本: うめ]

「東京トイボックス」 1巻 うめ (講談社)(ポトチャリポラパの「コミック」)
「東京トイボックス」 2巻 うめ(講談社)(ポトチャリポラパの「コミック」)

・ゲーム業界が舞台のマンガです。小さい下請けゲーム会社。ケータイのミニゲームや、大手企業の息抜きフラッシュゲームなどの制作で食っているようなところですが、大将はもと超大手企業勤務で超有名RPGを手がけたりしてます。
・前作では、そこに出入りするうちに大将とできてなおかつ社長になってしまった女性(家ではジャージでズーズー弁で、外ではバリバリのキャリアウーマン)が「視点」になってましたが、今回は、まちがって入社した新人にフォーカスが合ってます。

・その女性の新人ガンバレを主眼においた1巻でした。

・前作もいいかげん青臭いマンガでした。いい年齢のオッサンで会社を運営しなければならない立場の大将がいろいろ悩んだりつっぱったりする感じでした。


「ウチ今手持ちの武器がないんです/夢とか希望しかないんですよ」


・こういうセリフが随所に登場するくらい真正面になりました。オッサンがいろいろオブラートにくるんだ青さか、直球の青さかって感じで、もともと青臭い直接行動な人物を描くのが芸風で作風なんだなと。

・ということで、前作にあったゲーム会社ウンチクとか、実存ゲームウンチクとか、そういうのはかなり奥にいって、「夢と希望」にがんばってる話です。

・そしてココ最重要。それがおもしろいんです。震えるんですよ。「おおおおお」って。

・1巻のクライマックス、「夢と希望の次の武器」ってのがまたいいんですよねえ。

・そして、巻末オマケマンガとオマケの架空ゲーム、前作のあらすじが2ちゃんねるのレス風とか、そういう細かいところもきっちりいい仕事してます。

・絵の迫力も普通にアップしたんじゃねえのかね。おれの好きな、中山昌亮(オフィス北極星、PS羅生門等)風味が加わった感じ。

・今後期待。でもまた2巻で終るのはノーノー! よって、2巻以降もおもしろく続くようだったらオススメしよ。
(18:29:44)amazon

「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD ハイスクール・オブ・ザ・デッド」2巻 佐藤大輔&佐藤ショウジ(富士見書房/角川グループパブリッシング)

・突然町にゾンビが現れさあ大変なマンガの2巻です。
・1巻では学校から脱出し、2巻では町から脱出しようとしてます。

・これが1巻よりおもしろくなってきました。あのー、すごくぶっちゃけると、エロ描写がね。「これぞエロのメガマックやあ」状態というかね。
・外ではゾンビがうごめいているところで、安全な家での美女4人の入浴シーンとかね。みんな巨乳なんだもんな。

・ということで、なんていうかな、「楽しそう」な2巻だったりして。

・わりとブツ切りなエピソードを重ねつつ、大きな目標、さしあたっては「橋をわたる」ってが提示されており、こっちも「楽しく」読むことができました。エロとバイオレンスと武器とゾンビが楽しめるマンガですね。

・ラスト、裸エプロンに黒髪の木刀おねえサマが軍用ジープのボンネットに仁王立ちしてゾンビの群れの中を突き進む美しさにホレボレしてみるのが吉なんだろうな。

・まあ、今のところはグダグダなのを絵で突っ切ろうとしてる前の「GANTZ」をホーフツとするおもしろさがありますね。
「ホラーで大河ドラマ」はありえない派なので、うまい着地点をみつけて、そこまでは胸焼けするくらいのオッパイとゾンビで楽しませて欲しいものです。
(20:01:05)amazon

2007年/4月/10日
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「SPEED」4巻 金城一紀&秋重学(小学館)

・最終巻。金城原作のゾンビーズシリーズとしては最長になるのか。

・女子高生。トナリに住んでいる憧れのお姉さんが不可解な死。それを調べようとしたら暴漢に襲われる。間一髪のところ助けてくれたのがゾンビーズ。「レヴォリューションNo.3」「フライ,ダディ,フライ」で活躍しておりますね。「フライ〜」はV6の人が主演で映画化しました。

・彼女とゾンビーズは謎を突き止めまして、犯人に対して対決を挑みます。その最終決戦が4巻でした。

・今回はどういう裏事情があったのかわかりませんし、原作も未読ですのでさらにわかりませんが、4巻がまるまる最終決戦で「終る」ためにじっくりと描かれており、すごくいい終わり方だった気がします。前作、前々作はなんだかアッサリ気味だったですからねえ。

・あと、ゾンビーズは今回100%裏方になっており、ピンチに現れるヒーロー的な存在になってまして、たとえば、舜臣の生い立ちとか、死んだヒロシのこととかは割合と「知ってる人はわかれ」的なアレになってました。そいで、女子高生の冒険&成長物語に徹しております。この事件そのものは42話で終了してますが、その後3話は、「成長」のほうに費やされてます。そしてそれが最高に重要でいいところでした。この事件を糧とした少女の「次」がすごくやさしくあたたかい視点でみつめられてます。

・と、今回もよかったです。でも、次は秋重氏の画でちがうものがみたいなあと思ったりもしました。
(14:37:03)amazon

「ナッちゃん」21巻 たなかじゅん(集英社)

・おお、終了。たぶん、世界初(というか、およそマンガというジャンルにおいて世界初じゃないもののほうが珍しいだろうけどね)であろう、鉄工所マンガも21巻で終了と相成りました。

・お年ごろのナッちゃんが女だてらに死んだ父親の後をついで工夫して鉄工所を切り盛りする話。1話完結。

・いやまあ、作者あとがきにおいてどこかで続編みたいなことを匂わせていたのであっさり続編があるやしれんけど。そしてそれでもおかしくないような、最終回らしくない普通の終り方だったけどさ。

・最終エピソードとしていつも金銭面で切り盛りしてる裏方のナッちゃんのお母さんが倒れて、負債を抱えて、大赤字の危機に巻き込まれるけど、クリアという、「また続くかもしれない」マンガの最終エピソードとしては模範的なものでした。

・あとがきによると女性読者が多かったそうです。たしかに奥さんも違和感なく楽しんで読んでおられたようです。そう考えると、だんだんとナッちゃんがおとなしくなったり、エロなシーンが減ったのは女性読者を意識してたからでしょうか。そうじゃないにしても、けっこう21巻という長期の間にいろいろと模索した形跡があります。話も、作画も、キャラも。
・ナッちゃん自体の体型もけっこう変わってました。こんなにも主人公の体型が変化するってのも珍しいんじゃないかしら。下半身をすごく強調したり、貧乳できゃしゃだったのが最終的にわりあいグラマーになっていたりとかねえ。そいでもってこれも女性視点がアレで最後はさっぱりしたのかもしれないなあと思ったりしました。

・本作は続編が出たらまた買うでしょう。モロ鉄工所勤務って作業服を着ていたオヤジが連載していた雑誌「スーパージャンプ」の「ナッちゃん」をよく立ち読みしていたことを思い出します。
(15:01:29)amazon

付記
・BBSの情報によるとすでに「東京編」がはじまっているそうです。なぜに東京? (19:30:25)


「デスプリ」3巻 吉田蛇作(小学館)

・完結巻。

・幼馴染は異世界のプリンセスで地球侵略にきたのだった。というギャグマンガです。

・なんだか3巻ではいっちゃうネタばかりでしたね。えーと、昔の表現でいうと「くるくるパー」ってことでしょうか。
・主人公は学校のみんなに幼馴染が地球侵略にきたことがバレていっちゃう。その彼と逃避行したメガネっ子は潜伏先の旅館でストリッパーをやってるうちにブロードウェイを目指すという妄想に囚われる。幼馴染をピンチに陥れた敵の博士は最初からおかしい。そんなこといえば幼馴染もたいがいおかしい。日本の総理大臣もアメリカの大統領も私利私欲でおかしい。

・と、くるくるパーばかり登場するマンガでしたし、かなりエロス&バイオレンスな展開ですが、どうしてこうもピースフルだったんでしょうかね。そこいらの味はたいしたものです。

・もとはエロの方で、おっぱい描写とかはありますが、ほかもしっかりしておりますし、「なにこれ?」感が強いので結果的にかなりお色気は薄い3巻となりましたね。スケールが大きいしね。スケールが大きいわりに決め手はおっぱいだったり、ドリフの志村けん氏のスワンダンスだったりするのがなんともはや。

・思い出してみれば、作者の成年コミックのマンガにもくるくるパーになるマンガがあるので作者はくるくるパーを描くのに長けてらっしゃるのかもしれないですね。

・楽しかったけど、今、読み返してみると、ブックオフの105円棚にありそうな感じがすごくするマンガでした。
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「御緩漫玉日記」3巻 桜玉吉(エンターブレイン)

・最終巻。打ち切りというべきか、レフリーストップというか、試合放棄というか。

・かなりココロの病がエンターテインメントを放棄するところまでいったみたいです。
・おれも「ファミコン通信」の創刊号から桜氏の著作にふれてましたが(初期、cepって表記あったよね)、この「御緩」シリーズがとくに読みづらかったし、とりわけ3巻が読みづらかった。
・なんていうかな、「わかってあげる」必要があるマンガのような気がして、それはそれで成立してるしジャンルとしてあるんですが、桜氏は私的なことをマンガとして連載しつつも、エンターテインメントをかなり重視していろいろと削っておられた気がします。漢字2文字で表現するなら「配慮」です。

・今回もかなり配慮しておられますが、「ああ、配慮してるなあ。つらそうなのに」と思わせる瞬間が、別につらそうじゃないエピソードからも感じられたのです。

・これまでも、そこいらを「ダイブ」すれば感じ取ることは可能だったと思いますが、おれはなるべく作者が必要以上に読み込むことを願っていない裏事情などを汲み取らないようにはしてます。「これ書いていたとき作者は女関係でトラブってたんだぜ」ってのに意味を感じないようにはしてる。

・ただ、本作は日記マンガ、エッセイコミックでしてね。ここいらが日記マンガの難しいところですね。作者が自分のやったことを描いているけど、それ描いてある表面以上に作者のことを知る必要がないというかね。たとえば、すごくわかりやすいことでいうと、女性の描いているエッセイコミックを読んでいると、その女性の顔が知りたくなるって感じかしら。これって失礼だし下世話極まりないけど、つい考えてしまう。まあ、一時期、桜氏の顔も知りたかったなあ(あとでコミックビームに掲載されていた)。
・ま、描いてる本人(作者ね)もそこいらの線引きがわからなくなるところなんだろうね。本作3巻はそれが最高潮でした。

・実は意図的でした、みんなウソです。ってなると今世紀最大の衝撃になりますが、それをやるならやるでもうちょっといろいろあるだろうと思わせるほつれ具合があちこちに見受けられた3巻です。1巻より2巻。2巻より3巻とカオスってます。

・とくに、後半で「止めどき」がわからないと悩んでおられた「絵」ですよ。すごく混沌とされている。あまりコントロールできてないというか。もっと端的にいうと上記の読みづらさにダイレクトにつながっているのは絵ですね。あちこちに「おっ」ってカットはありますがそれらが団子状になっているし一瞥するとすごく黒い。すなわち「暗い」。

「御緩」シリーズは懐古私小説エロな感じをメインに持っていきたかったようで、それを思い出しては、トライし、でも、今の日常しんどいって感じを交互に繰り返しておられ(とくに2巻で入院されたしね)、非常に抜きドコロがないんですよね。これはエロのほうじゃなくて、「息」のほうね。読者にまで「うわ、キツそうな」って思わせるんですよだから。

・とくに、トクコ編(アシスタントにきた巨乳女子との10年前の話)が未完のままのラストエピソードを受けての次の回からのエロ思い出蔵出し編みたいなのがすごくカオスっていて読みづらかった。いろいろと汲み取ることもできるのですがあえて読みづらかったとしておく。

・そいで、一呼吸おいてゆっくり最後にむけてほつれてバラバラになっていく感じ。そういった意味じゃ貴重なドキュメンタリーです。けどキツイよなあ。

・このまま以後も日記マンガを描かれるのかどうかわかりませんが、いつか、この「御緩」シリーズ時代のグダグダを描くことがあるようでしたら、そのときにその事情を「楽し」めばいいかなと思いました。

・と、そういう気を使う感じがちょっとイヤな最終巻でした。復活されるのかしら。こっちとしてはニュートラルな気持ちで、くるならくればよし。そうだったら買うしってスタンスでいようと思います。
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2007年/4月/8日
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「お見合いのススメ」すずきみら(双葉社)

・表紙のエロエロなウエディングドレスと、裏表紙のうってかわったピースフルな結婚生活っぽさから、ハッピリーなエロマンガだろうなと思ったのです。
・ビンゴでした。

・お見合いして、3ヶ月で結婚した2人がお互いに歩み寄ったりいろいろと考えたりして夫婦になっていく4話からなる表題作に、7編の読みきり短編とボリュームたっぷり。

・基本、夫婦や恋人(夫婦が多いか)のラブラブなやつ。なかには、親子丼するのもありますけどね「君といつまでも」。あと、一族の共有するおんなな、なんていうかな、横溝正史風味の「秘(ひみつ)密」とか幅もあります。

・特徴は「女性視点」ってことでしょうかね。作者についての情報はほぼないんですが、カバーめくったオマケエッセイコミックに、育児ネタをかませるのは、女性的だよなあと思うのです。たしか、ひろせみほ氏は半ば連載みたいな感じでつづけてらっしゃるような気がした。
・ま、うらまっく氏(増田剛氏か)もやっていたっけ? 基本的に子供ネタは引くから避けるのがセオリーじゃないのかしら? だって本編で散々やってることは本来ガキを作るための行為だからね。SEX=生殖って思い知らすのはマイナスになるんじゃないかしらね。

・でも、女性視点は新鮮です。「可奈子さんの事情」がなかでもとくに。冷え性に悩む女性が登場するエロマンガって新鮮だよなあ。末端が冷たいからってしてくれない(さわられるとヒヤリとしてシラける)恋人に対してしてもらえるような工夫をするってね。

・表題作の彼女が髪を突然切った理由もまたあまり思いつかないものだよなあと。全4話をひっぱるネタの大オチなのでいいませんけど。

・あと、表紙みて気にいって中を読んでさらに気に入ったところは、丸くて大きいおっぱいですかね。
・リアリティがあるのかどうかはよくわかりませんが丸さと大きさがみてて心地いいですよ。

・なんだか「リアルでしょ!」「迫力あるでしょ!」ってねちっこいのよりいいです。タレ具合や、乳首の具合にイノチをかけている方がいらっしゃるじゃないですか。ここいらは完全に好みの世界ですけどね。

・非成年コミックマークだし、局部はほぼ描いてませんが、エッチシーンはちゃんとエッチではありました。

・どうも、女性と男性のセーフラインがちがうようで、男にとってOK!コーフンする!ってのが女性には「気持ち悪い」ってのは往々にあります。本作はそういった観点だと、女性のセーフラインがわかる気がします。読者である男性に合わせてますが、これ以上は「書きたくない」ってラインを感じるというかね。そのサジ加減を「ほー」とか「へー」とか楽しむのも女性が描いてるエロマンガのおもしろさですよね。なかには完璧に突き抜けてらっしゃる方もいますけどさ。

・ということで女性にも楽しいエロマンガじゃないかなと。
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2007年/4月/6日
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「皇龍飯店」竹山祐右(幻冬舎コミック)

・オビの「武侠アクションコメディー」と、表紙の女の子に惹かれてジャケ買い。もっと正確にいうと、ジャケの女の子のチャイナ服ごしの胸のふくらみがナイスだったので。ちょっと上なんですよね。このふくらみが上にくるあたりの非リアリティなところが少年誌っぽくて。少年誌っぽい、健康的なお色気アクションが拝めるかしらと踏んだんですね。

・と、1話目読んであんまりにクオリティが高くて舌をまいてしまいました。

・昔の中国が舞台。15歳のシャオリンさんは、幼少(5歳)のころ憧れた武術家と一戦交えるため修業を積んで「いざたのもう」と訪れたのですが、憧れの武術家は飯店を経営していたのです。そして、いつか戦ってもらうという約束のためうやむやのうちに彼女も店員として働くことに。そこでいろいろなことが起こるという全5話完結。

・すごく風通しがいいマンガだと思いました。コメディのところも、おれがひそかに期待していたお色気も、すべて含んでます。それらを飲み込んでいてなお、ド正面の武術アクションマンガだったのです。えーと、「ドラゴンボール」の最初のほうというか。「鉄拳チンミ」というか。とにかくスカッとするアクションをおしみなく繰り広げられてます。


「王道過ぎた感はありますが〜」


・と、作者自身があとがきで書くくらい。ま、実はそのコトバは謙遜半分、自信半分と読んだけどね。それくらい王道。ま、やや辛らつに書かせていただくと「ちょっと前の王道」。現在の王道は「NARUTO」とか「ONE PEACE」みたいなのだってばよ?

・ということで、自分が「王道」のマンガを震えながら読んでいたときのようなコーフンがよみがえるようでした。

・1話目で各キャラ設定。2〜3話で困った人をシャオリンが助ける話(長期連載になるとこれがもっとも多くなる)。4話目が設定に関わる重要な話があり、5話目の最終話につながり、うまく着地というミゴトな構成。

・これが長くなると、2〜3の話が繰り返されたり、強い敵と長期の戦いになったりして、ときおり4話の設定に関わる展開をはさみつつ、5話で大団円ということだから連載マンガの基本中の基本の構成だったりするんですよね。それを1冊に凝縮した濃さがありますので、読後は、漫画喫茶で長編を2時間かけて読んだに近い達成感と「読んだった!」感ががあります。同じ意味じゃん。

・舞台も昔の中国なら、絵のタッチも、話の王道っぷりも、ややOLDです。だけど、それらはきっちり現代にチューンされております。アクションのミゴトさというか、人間の動きの迫力がすごいです。血が通い、骨に肉がついてる人間が戦ってます。ハンパな必殺技とか、まやかしの特殊効果にたよってない地に足ついたものです。かめはめ波とかありません。

・1話ごとにうろたえていたんですよね。「なんでこのクオリティで全1巻なんだ?」と。

[Webコミック GENZO | 幻冬舎コミックス]

・本作、Webコミックなんですね。Webコミック「MAGNA」で連載していたようです。それが原因で全1巻なのかどうかはよくわかりませんが、それにしてももったいないかもとは思いました。

・たとえば、テレビの連続ドラマと2時間ドラマと、NHKの朝のドラマと、つくりがそれぞれちがうように、紙媒体のマンガと、Webのマンガも、その方法論ってのはちがうんじゃないか?と思ったけど、企業先行でやってるところの目的は紙媒体でコミックにして売ることだから、カンケイないのか。

[双葉社 : : Webマガジン : : 女いっぴき猫ふたり : : 伊藤理佐]

・たとえば、本作はコミックを買ってみましたが、Webでみたほうがしっくりくるものでした。

[Sink いがらしみきお : 竹書房 - 電子書籍はeBookJapan : マンガ]

・これなんかも色合いというか絵の質感が紙でみるよりモニタでみるべきものかとも思いました。

・まあ、本作に限っていえば100%です。コミックというか紙媒体で読むべきマンガですね。むしろ、「マガジンGREAT」とかで連載していたっていわれたほうが「あ、なるほど」と思えるレベルです。

・王道成分が欠乏されてる方、本作で十分に摂取しておいてください。王道あってこその邪道やらケモノ道ですから。王道はいいですね。読後スッキリします。しかもたったの1冊で!超リーズナブル!

オススメ
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2007年/4月/3日
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「ハメごろ」音無響介(ティーアイネット)

・たとえば、東京ドームあたり? あるいはもっとか。とにかく、広いところに、これまで発刊されたすべてのエロマンガが並べてあると想像する。

・それはPCのファイルのようにいろいろな条件でソートすることが可能だとします。
・たとえば、おもしろい順、エロい順、などなど。

・そうすると、本作ってのはかなりさまざまな条件において、真ん中にあると思われるのです。そういうド真ん中のニオイをすごく感じられます。

・本作は「MUJIN」という、昨今ほどエロマンガをチェックしてないときでも目につくし確認していた、書店の雑誌棚に小学生の身長以上の高さで積み上げてある分厚い雑誌に連載されてものが収録されています。昔の「アフタヌーン」を思い出すような厚い雑誌には「これでもか」という感じでエロマンガがぎっしりとつまっております。700pでしたか。

「MUJIN酔い」というコトバを提唱したいのです。「MUJIN」をイッキに読んでいると、アタマがくらくらしてきます。コーフンというより、目が回るというかトリップするというかね。エロが流れ込んでくる量とスピードがすごくて耳からエロがこぼれてしまいそうになるくらいです。ま、それは最初のほうだけですぐになれますけどね。でも、そのときの経験はかなり強力でしたね。つい最近ですが。

・弾数は多いんですが、実はバリエーションはあまりない「MUJIN」の内容です。エロの中でも王道を厳選しているような気がします。SFやRPG、時代劇な現代を舞台にしてないものは却下。鬼畜、スカトロ、などの特殊な方向もかなり制限がかけられてます。とにかく最大公約数的な、かなり受けが多いと思われるエロを選りすぐって用意してます。いわゆるノーマル志向がかなり強い。というより、むしろ逆に考えると、最新号は最新の世の中の「ノーマル」が垣間みられる気がするくらいです。ま、実は、そこがマンガとして食い足りないという弱点も生じるんですけどね。昔のエロマンガから脈々と受け継がれていた「ノルマ」を果たせばあとはなにをやってもOKって、マンガ家の魂が発露しやすいところは完全にカットされてますからね。「MUJIN」のノルマは、「(一作の中に)できる限りエロをつめろ。なんなら余白にオッパイを描いておけ」ですから。

・そうなると、「MUJIN」内での差異を出すのがかなり難しい。あるいは、純粋に読者の好みの絵柄とかになってしまいます。

・そんな中、とくにストライクゾーンでもないのに妙に残り、いつしか、名前をも覚えた作家が音無響介氏だったのです。

・エロマンガとしては、登場女性が全員女子高生で処女で最終的にアクメにいたりハッピーエンド。やや強姦的な強引な攻め。3Pありですが2本差しなどはナシ。アナルもナシ。局部アップ多し。近親ナシ(腹違いの姉弟はあり)と、「おお、普通」と感嘆する内容です。
・プレイ中は、「F1レースの古舘伊知郎か!」ってくらい、女性が起こってることを中継してるってこれまた定番のパターンです。「入ってくる入ってくるうううう」

・と、いい意味で、受けが広い「MUJIN」の中でもとくに「MUJIN」的なつくりになっております。「ミスターMUJIN」です。逆にいうと、特色が薄いということはいえます。たとえば、パーツやプレイにこだわってるフェチな志向はありませんです。巨乳じゃないとダメ、むちむちの下半身じゃないとダメ。小学生以下じゃないと…とか。

・絵もCG仕上げのきれいなものです。人物以外のものも異様にしっかりと描かれてますし、世徒ゆうき氏のように「なにその机のデザイン?」ってへんなこだわりもなく写実的なものが多いです。

・つまり、本作はどうしておれの記憶に残ったのか?と問うてみたならば、答えは意外なことに「マンガとしておもしろいから」となるんですよね。ワレながら驚きましたが、そういう結論です。

・本作はマンガとして完成度が高いです。何度かぱらぱらと読み返して気がつきましたが、ストーリーと構成の組み立ての完成度がとくに高いのです。

・全5編、同じ展開は全くないし、かなりバラエティに富んでいます。シチュエーション、女性の種類、プレイ内容、そしてストーリー。いやまあ世界を震撼させる驚愕のストーリーとかじゃないです。ありがちではあります。でも、ちゃんと「あらすじ」を書くことができるってのはエロマンガでは珍しいのかもしれない。

「彼女がAKIBAに出かけたら」
・田舎からの修学旅行で仲良し2人組が秋葉原に出かけます。いろいろとみまわった挙句、財布をすられていることに気がつきます(ま、この時点でかなりムリがある展開なのは愛嬌ということろで)。
・そこで1人が「しょうがない」とばかりブルセラでパンツを売りますが1000円にしかなりません。だから、さらに金になることって、メイド服を着て写真を撮られてるといつしかノーパンのスカートをまくられ「そ…そんな…広げてペロペロ…ダメなのにィィィ…」となります。
・なかなか帰ってこないトモダチを探しにきたら、広げてペロペロの先に向かっているところで、「トモダチばかり苦労させてはいけない」と3Pがはじまります。

「エースをねらって…いいですか?」
・パロディっぽいタイトル(上記の彼女がAKIBA〜もそうだけどさ)だけど、さしてパロディじゃないテニスマンガ。ま、お蝶婦人にひろみって図式だけかね。
・いまいちテニスがうまくなれないひとみさんが先輩に秘訣を尋ねたら、夜に部屋にいらっしゃいと(合宿中です)。いらっしゃったら、先輩は男子部の2人に「もっとォォもっと激しくバコバコハメてェェェ!!」の真っ最中です。ひとみさんも差し入れのお菓子を落としてしまいます。そして先輩がいうにはそれが秘訣なんですね。快感あるセックスでドーパミンを大量発生。あと、子宮に精子を入れておくことでメンタル面で安定するのが女の本能だそうです。なんて「あるある!」なことでしょう。

・それで、秘密を知られたからにはひとみさんも強制参加ってことで生娘なのに感じちゃうううう!ってことになります。

・すべての作品、もちろん、プレイボールしてからもなんつーかスリリングに場面転換やシチュエーションの変化などで飽きさせない仕掛けになっております。

・ということで、すごく実用的なしっかりした地に足がついたエロマンガです。ただし、その分、作者とかがみえてこないという欠点もあります。あと、萌えとかそういう要素も少ないです。あとややえげつないと思うくらい直接描写に直接セリフが多いです。でも、それらを押さえても堂々とした完成度じゃないかなと思います。

・オタクの方や、熱心なエロマンガ読みは案外とスルーされると思います。でも、たとえば「今のエロマンガってどんななの?」って問いにはこれをおれは差し出しますね。そういうエロマンガの中心にいる現在「核」になっているマンガだと思います。熱狂的なファンもアンチもいないしだれからでも一定の評価はあるという感じ。


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「へべれけ」かるま龍狼(ワニマガジン社)

・結局のところ、発売即買いのエロマンガ家さんで、もっともつきあいが長いのはかるま氏なのかもしれないなあ。ほかはエロ以外にいったりもあるし、即買いじゃなくなったりしてるからなあ。山本直樹氏とか。

・ということで、エロマンガ界の鳥山明ことかるま龍狼氏の最新作。

・エロい家政婦さんに家族中骨抜きにされる「へべれけ」シリーズが何話かあり、あと短編がいくつかという、最近続いている「いつもの」感じ。

・個人的変化ですが、前作「おとなり」から、本作までの間に、飛躍的にエロマンガを読んでます。それでなぜかるま氏にこんなにも惹かれるのか、ちょっとわかった気がします。

・仕上げはPCですが、描画はアナログだそうですし、その仕上げもかなり控えめなんです。
・具体的にいうとトーンワークが少ない。だから、パッと見、白い。でも、それは自分の絵に自信があるからこその白なんですよね。

・PCでトーンなどを重ねるとキレイにはなってきます。でも、そういうのばかりだとみんないっしょにみえるんですよね。整形美人がみんないっしょにみえるってのと似てるか。胸焼けならぬ「トーン焼け」する感じ。

・そんな中、かるま氏のいい意味でのマンガ的な絵や白さはすごく気持ちがいいんですよね。

・シンプルな線でちゃんとエロいカーブを描いてるし、女体以外の描写も申し分ない。

・あと、「おとなり」あたりがピークだった、ストレートなエロの追求も、ちょっとユルめて、それまでの持ち味だったギャグやコメのほうにシフトしつつあるのもいい感じ。

・とくに「ドア端会議」はすごかったな。全裸の奥さんがドアに埋まっていて、あの穴が鍵穴で、ダンナのチンポがカギになっているんですよ。で、毎朝、施錠すると。そのドアの奥様たちの話ですよ。ピンポンダッシュするイタズラ小学生は乳首をピンポンするわけです。

・そういう不思議なセンスは随所にあり、「へべれけ」シリーズで、家政婦の名前が「酔子」なのに、酔っ払うとエッチなことがNG(普段は超OK)になるって意味がわかりそうでわからない。
・インポの義兄をなんとかしようと義妹がいっしょに風呂に入ってあげるシーンの冒頭の動作の意味も考えるとよくわからない。
・そしてそれらの不思議なセンスはホメコトバです。

・ということで超安定。ギャグ配合はもうちょっと多めだとさらにうれしいけど、現状で大満足ではあります。
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2007年/4月/2日
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「ふたばの教室」2巻 八神健(白泉社)

・最終巻。すごく惜しい。なぜにこれでオシマイなんだろう?と思うくらいにおもしろかった。

・小学生とまちがわれるくらいチビッコの新米ふたば先生の奮闘記です。トップ71アンダー61のAAAカップです。

・2巻は小学生同士の恋愛からはじまります。2人は真剣な交際をしてるが、同級生たちは当然のことながらはやし立てます。2人はそれで駆け落ちをします。そんな事態をかなり斬新な方法で収拾します。これはみたことないし今後も現れないだろう斬新さ。

・もともとそういうマンガですけど、2巻ではわかりやすいくらい、自分がチビッコなことを強調するネタがあります。上記の、ブラのサイズも、話にあったんですね。ブラをつけたいけど恥ずかしくてどうしたらいいのかわからない生徒のために人肌脱ごうと女子だけ残して話をはじめたら自分のブラの話になってしまうという。上記のサイズだからずっとノーブラなんですね。そいで、そんなだってことを生徒も重々承知してるから、先生に相談できない。生徒に相談されないのは自分が至らないからだって自分を責める先生と、なんだかユカイでホノボノな混乱具合です。「鈴木先生」の禍々しさとは180度ベクトルがちがいますね。

・2巻のどれくらいから打ち切りが告げられたのかわかりませんが、えらい中途半端な感じで話は終ります。だって、林間学校の2日目が最終エピソードだし。
・だけど、そこいらの収拾のつけ方はベテランらしいミゴトさ。

・シンプルでともすると古臭い、あまり特長のないタッチですが、たしかな描写。しっかりしていながらもマンガ的なデフォルメなどもあるという王道さ。

・はじめて八神健作品にふれましたが、次回作が楽しみだし、本作もどこか拾って再連載しろと思ったし、過去の作品も縁があったら積極的に手を出していこうかしらと思ったりしましたよ。

・2巻で終了は残念ですが、その分すすめやすくていいです。

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「アリスの照星」1巻 柿沼秀樹&長谷川光司(ワニブックス)

・2巻発売時のオビ裏のあらすじを読んで興味を持ち、1巻を探し回り手に入れました。

・女子高生ガンアクションです。天然ボケでオットリしてる女子高生ヨーコさんはコードネーム「アリス」という凄腕のエージェントだった。
・ということで、1話完結で、様々なミッションをこなしていくヨーコさんだったのだ。

・毎話後に写真つきで物語に使用したガンの解説があるように、ガンミッションがメインです。そして、「ああそういうのね」って片付けられはしないくらい毎回バリエーションに富んでおります。
「女子高生」というアドバンテージも活かしており、ヨーコさんも様々な衣装でがんばっておられます。制服からバニーちゃんにメイド服にギブスにメガネなどなど。後半、ちょいあざといと思うくらいエロカッコイイに力が入り、ちょっと心配になりますが2巻に入るとちがってくるので、いろいろと試行錯誤していたころなのかしらと思ったりします。

・ミッションも豊富で、現代を舞台としながらも割合とシンプルな敵設定など、わかりやすさもありいので、様々なシチュエーション下で、ヨーコさんはバンバンと銃をぶっ放しております。

・毎回、銃の解説が入るのは前も書きましたが、解説入るだけのことはあり、そこいらの描写は、おれみたいな門外漢もいいところでも、すげえなあとかヘンな銃があるもんだなあと感心です。門外漢ではない女性描写もばっちりです。ただ、作者、ほんの少し女性の描写にはテレがあるような気はします。

・ここいらのマニアックさと(広い意味での)ゴラクのバランスがいいです。銃の知識のないもの(おれね)にも、その銃がちゃんとした知識によって描かれているからこそ感じとることができるリアリティという恩恵を享受することができます。ありがたいことです。

・気楽に読むことができるドンパチマンガですね。ただし、人は「ちゃんと」死ぬマンガですが。
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「アリスの照星」2巻 柿沼秀樹&長谷川光司(ワニブックス)

・もともと、「ゼロイン/いのうえ空」はこういうマンガだと思って買ったことを本書を読んで思い出しました。まあ、「ゼロイン」くらい明後日のほうに広がっていくと逆にアッパレではあるんですけど、おれはこういうのがいいなあの、1話完結の女子高生ガンアクションマンガの2巻。

・2巻では、急転直下で、ストーリーが重くなっていきます。まるで1巻が体験版で、「これから本番よ」とくらいに。

・女子高生エージェントのヨーコさんがエージェントをするワケからはじまり、任務失敗して、エージェントをクビになり、失意の底に落ち込むヨーコさんと、まあ、ある点では「お約束」な展開ではあるんですが、深みが出るやつではじまり、お色気はやや後退させ、アクションに比重をおくようになりましたね。

・敵対する新勢力が現れます。それはより猟奇的で、残酷なテロを仕掛けてきますので、やはりお色気に逃げる方向にしないのが正解ですわなあ。

・そんな中でも、果敢にお色気やギャグ要素を盛り込もうとしてますが、やや蛇足気味には感じました。つーか、ちょっと下手なのかしら。仕込み杖の暗殺者とすれちがいざまに切りつけられ、胸の谷間がみえるとか、エロっ!ってより、あざとい!って思うし。さりげないエロ、「さりげエロ」はこれでなかなか奥が深いものですね。

・とはいえ、新敵キャラなどのインパクトはかなりおもしろさに寄与してますので、全体的にはパワーアップな2巻です。3巻も楽しみです。
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「純情無敵オトメ少年」さかいゆうすけ(メディアファクトリー)

・ヘンなマンガ。
・全寮制の学園。今度中等部2年になるメガネっ子は1話4p目で死んでしまいます。次の瞬間、クラスでもほとんど口をきいたことのない美少年に生まれ変わります。そして、学園内を跋扈する謎のロボットなどと戦うことになるのです。
・ということで、アタマは少女、身体は少年としてのドキドキコメディとアクションです。全寮制なもんだから、男子寮にいくわけでして、少女がヒソカに恋焦がれていた男といっしょの部屋になったり、風呂に入ったりしてます。

・男と女と「入れ替わる」パターンで、2元中継なら、女性の中に入った男目線で、エロシーンがあるのですが、そっちはなく、あくまで、メガネのウブな少女が少年の体に入った目線のみでストーリーは展開します。そして、少年はなにものか?って謎を核として物語は進行していきます。

・ビジュアル的には、ちょいちょいと女の子と男が二重になって登場することで、大好きな同級生にかかえてもらって「わー」ってメガネっ子でドキドキしていたりします。でも、まあ、男湯を映すことになるしなあ。

・そいでもって後半、かなり怒涛の展開になっていきます。というか、1巻の終わりにとってつけたように敵役やその他が「こんちわー」って登場してきますね。おまえらは「物語終らせ隊か!」って感じで。敵の親玉は登場するわ、物語のキーマンは登場するわ、同級生が実は…だわって感じで目まぐるしい。まあ、それがコトサラにわざとらしかったり浮いたりはしないけど、作者ももうちょっとクッションを入れて描きたかったんだろうなと思ったりもしますね。
・ただまあ人気がなくての打ち切りってことで、やはり設定がヘンすぎたし、いろいろとエロエロと読者をひきつけるにはムリがあったのかなあと思ったりします。

・絵がいいです。なんでまたこの表紙絵にしたのだろうと思うくらい他の絵が魅力的です。金井たつお氏とか、克 亜樹氏をホーフツとさせる少年誌王道美少女がとてもいいね。

・次回作を期待してます。もうちょっと思いきったエロがいいですかねえ。
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・[ケージバン]