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ポトチャリポラパ/コミック/2007年
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2007年/12月
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2007年/12月/25日
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「遺跡の人」わたべ淳(双葉社)

・前々から「売れないマンガ家はどうやって生活している?」って疑問があったのですが、昨今はそこいらの事情をうかがい知るためにいろいろな書籍文献ネット情報などがありましてベンリです。
・答えはカンタンでマンガ以外のことで食うってことですね。

・作者は「ヤングジャンプ」の人って記憶があります。OAV発で後にいろいろメディアミックスしていた「レモンエンジェル」のコミカライズも手がけてました。おれはその作品そのものよりも、相原コージ氏が「ロッキンオン」のイラストにて、「ロック好きを自称するマンガ家は美少女モノとかナンパものをよく描くのはどうして?」的なネタで印象が深いかな。たしか、ロック系が好きな記述をあちこちでみた気がします。

・そんな作者もいろいろな不運が重なったりで、休筆状態です。そして、遺跡発掘のバイトをはじめました。その直接の理由は描かれてなかった気がしますが、金ですかね。時給900円。

・そういわれてみればなにかあることはわかるけど、具体的になにをしているのかサッパリわからないのが遺跡発掘という仕事です。
・丁寧にというか、いきなりけっこうディティールを描いており、内輪では「あるある」だけど、こっちはわりにわからないままではあるけど、さすがベテランで、遺跡発掘の「空気」のようなものはいい感じで描けていると思います。
・直射日光の下、仕事しつつも、マンガ家の自分としてどうよ?という危機感をなどもじらせるという禅問答的な展開も。

・あとは同じ仕事をしてる人たち。完全に素性が知れるわけでもないし(描かないしね)、次の日にふいにいなくなるってこともあるようですが、そういう方との交流も少しある。

・でも、ま、基本は個人的な作業ということもよくわかりますね。おれにむいてるかなと考えたり。

・働いている人に「彼らとちがいおれはマンガ家だ」的な差別意識を絶えず持っているとか、リアルだなと思います。それが日々続く肉体労働でボヤけたり、「いかんいかん」と押し流される生活にあやふやになるところを逆らったり。ただ、やや全体的にセンチメンタルですかね。湿っぽいというか、リリカルすぎるというか。あと、マジすぎるってのもあるか。そりゃ、マジにもなるだろうけどさ。

・そこいら、淡々とユーモラスに記述するがゆえに凄みを発していた「刑務所の中/花輪和一」「失踪日記/吾妻ひでお」などに及ばない最大の要因でしょうかね。
(17:52)
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「僕の小規模な生活」1巻 福満しげゆき(講談社)

・驚愕しました。

・本書は、マンガを描くマンガ家の生活を描いているエッセイコミックのていをなしているもので、青林工藝舎より発売されている「僕の小規模な失敗」の続編です。なんと「モーニング」に連載してます。あの週刊モーニングですよ。毎週ではないみたいですが。

[ポトチャリポラパ/コミック/2005年10月/「僕の小規模な失敗」福満しげゆき(青林工藝舎)]

・なんで驚愕したのかというと、あまりにも「モーニング」ということを考えているようで考えてない悩んで悩んでフラフラしながら剛速球のど真ん中を投げているようなアナーキー具合だからです。気負ってないとか、「ひょうひょうとした」とかじゃない、有無をいわせない重くて強いマイペースを感じさせるのです。それはこれまでの青林工藝舎の諸作品とあまりにも同じなことに驚愕です。

・本書内では後追いではありますが、リアルタイムに話が進行しており、モーニングの編集からいわれたことや、ダブルブッキングなどでゴタゴタしているサマをかなりアカラサマに描いています。しかも、どうしてこうまであけすけなのか?って不安になるくらいの直球です。

・前作では、高校時代からマンガ家としてデビューし奥さんと知り合い結婚までで、本作はそれから現在までですかね。「ジャンプスクエア」に描いているのまで描いてますからね。

・福満氏のすごいところは、そのあけすけを登場人物の多くに求めていることで、とくに筆者の次に登場回数が多い妻の描写。彼の妻への様々な感情が彼女のエキセントリックな行動とともにきちんと描かれております。

・2話がとくに顕著で、彼女がキレて暴れるサマを描いております。その際に、彼女へどう思って、どう感情が変化しているのか、彼女の行動の変化とともにキレイに記憶しております。
・マンガ家としての稼ぎがないから、彼女が働きに出て、作者は風呂掃除をしていたりします。電話がかかってきます。風呂掃除をしていてベルが聞こえないので出るのが遅く、妻に罵声を浴びせられます。
・作者は「なんてイヤな女だ」と思いつつ、駅まで自転車で迎えにいきます。イヤな女と思っていたけど、なかなか駅からこないので通り魔に刺されたのかと思いすごく心配しますが、駅から無事に出てきます。そして「僕の妻カワイイなー」と思ったその下のふきだしに「頭でけー」と思うのです。まったく書かなくていいところです。
・その後、家に帰った彼女は作者の家事のミスにぶち切れて大暴れします。その際も、自分の感情の動き、彼女の行動の観察など、おそろしいほど精密に記録しております。

・いやたしかにこういう内容を「モーニング」で連載することを編集に了承を得たのでしょうけど、それにしても、なんていうかな、「モーニング」で毎週載るって考えると、こう、いろいろとプレッシャーやらサービスやらでいろいろとあるような気がするんですが、おそろしいほどまんまですよ。まあ、少し読みやすくなったのかもしれませんが。つーか、そう書くとすごいイキオイで変わりました変えましたと反論されそうな気がします。えーと、絵柄とかはともかく核の部分の「福満節」みたいなところですね。そこの作風というか芸風のブレがないことへの驚愕です。

・白眉は、ちょっと前記しましたが、「モーニング」の連載と他誌の連載のダブルブッキング的なゴタゴタですね。こういうのいままで描いてきたエッセイコミックの人はちょっといないよな。桜玉吉氏がややお家事情が伺える描き方をしてますが、それはなんていうか、身内側の自虐ネタっぽく描いてました。こういう風に編集を仮想敵というか、せまりくる厄介みたいな描き方をしたのって画期的じゃないか。しかも連載している編集だぜ。なおかつダブルブッキングしているところの裏事情的なものも書いてるしなあ。
・こういうところ、正直というか、なんというか、「すごい」としかいえないところだよなあ。すごく実際にありそうな話だしな。生臭すぎてあまり何回も読めないんですよ。

・そういや、ほかの作品はけっこう3回とか4回とか読んでいるけど、前作の「失敗」もこの「生活」もくりかえし読むにはしんどいものがあるような気がします。それは濃いからこそですが。
・この奥さんへの錯綜する感情や、なにがどうなってもつきまとう将来の不安は、すごく身につまされます。

・それにつけてもほぼ唯一の女性キャラである妻の人がかわいいね。本人にあったとき「意外とやせてますね」と思われるがためにあえて太めに描いているそうですが、それでもカワイイのがすごいなあ。フローリングであぐらかいて両手で菓子パンを「もっもっもっ」と食べている描写がステキすぎて困りますね。

・ということで、2巻も楽しみにします。でも、創作系の短編とかもたまには読みたいです。
(19:05)
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2007年/12月/24日
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「うたうめ」1巻 安田弘之(竹書房)

・美人で成績優秀で不思議ちゃんのうめさんと、美人じゃなく成績優秀でなく俗物のウタダさんは親友。そして今日も2人は仲良く過ごしてます。

・いわゆる萌え4コマフォーマットじゃなく、4コマ1本の「読みきり」で展開していきます。

・4コマだとすごくよくわかりますが、安田マンガに登場するキャラは基本的に、「楽」を追求しております。

・うめさんは、ウタダさんといっしょにいるのが楽しいのでいます。ウタダさんも同様。ただし、ウタダさんは「なんで私なんかといっしょにいるんだろう?」といぶかしがったりもしてます。

・たとえばスケート場。うめさんはスポーツ万能だし問題なく滑っているのですが、運動オンチでトロいウタダさんはあっちでこっちでピンボールの玉のごたる飛び跳ねてます。それをちょっとうらやましく思ううめさん。あと悪戦苦闘しているウタダさんが愛しい。
・夢見がちだけど、俗な、ウタダさんは、「UFOをみた」といっても誰も信用してもらえませんが、うめさんだけは彼女といっしょに校舎の屋上でUFOを呼ぶのにつきあってくれます。なぜならそれがすごく楽しいからです。

・自分の「楽」追及のために他人に迷惑をかけることになる。その際のもうしわけない気持や悲しみもある。そしておたがいの「楽」を尊重しつつも、自分の「楽」を追及する。登場キャラはそういった意味で大人が多いのですね。それこそ、飼い犬まで。飼い犬の名はメロンです。

・ウタダが泣いている。うめちゃんに突然絶交されることを想像したら泣けてきたと。それをきいてうめさんは怒るわけです。そして、うめさんも感情を昂ぶらせて泣いてしまう。結果、2人ともしくしく泣いているところを先生がビックリして止めようとする。ま、オチとかは弱いけど、カンケイがよくわかるし、女子の親友とかだとありそうだし、そういう遊びをしている2人ってのもわかる。

・と、2人が仲良くしているのを遠巻きに眺めている同級生視点ですか。最初はうめさん目当てで眺めていたら、徐々に2人の仲のよさを込みで好きになるという感じかね。そう書いて思いあたることもあるし、「なんで、あのコとこのコは仲がいいんだろう?」なんて思ったこともあったなと。

・そういった通常とはちがった意味での萌えがある萌え4コマです。
(17:50)
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「昭和金物屋物語」御茶漬海苔(笠倉出版)

・ホラーマンガ家の大家、御茶漬海苔先生の両親が営んでいた金物屋の盛衰を描いたエッセイコミックです。
・しかし、異能の人というべきか、ホラーひとすじで四半世紀以上描かれてますよね。おれは東京三世社時代のソフトカバーものをけっこう持っています。
・なにが異能って絵が異能です。かなり特殊な、ひと目みたら忘れられない特殊さを兼ね備えており、その絵のキャラが殺したり殺されたり怖がったり怖がらせたりしてるのです。わりとスプラッタな恐怖マンガを描かれていた記憶があります。すみません、なにぶん、25年以上前の記憶ですのであやふやですが、絵が異能すぎて却って怖くないという長所でもあり短所でもある作風のおかげでコワイのがコワイころからけっこう読んでいたのです。同じ異能な絵でも日野日出志氏とかはアウトでした。

・その作風で、現代の日本を舞台とした自伝マンガ?との好奇心で、たぶん、20年以上ぶりに御茶漬海苔先生の本を手に取ったのです。現在でも、「ネムキ」などで活躍されているのは知ってましたが、おれ自身、あまりホラーマンガへの興味が薄れていたこともあったので。

・昭和45年からはじまります。モーレツに仕事をしている父親。朝から晩まで働きどうしで、手伝わされることもアタリマエのように、作者も父親の手伝いをしてます。
・しゃかりきに仕事をして、脳梗塞で倒れてからも、しゃかりきにリハビリをして、また仕事をしてます。商店街の近所にスーパーができるのを反対したりとの組合の仕事もしゃかりきでした。
・でも、スーパーはでき、以後、コンビニができ、100円ショップができ、どんどん負け戦になっていくのですよ。

・というマンガを御茶漬海苔先生のあのタッチで描かれております。

・ひとつ強く思ったのは、御茶漬海苔先生の「ヘン」は絵だけじゃないってことです。それを四半世紀をすぎてから発見しました。それはたとえば ホラーマンガの重鎮である楳図かずお氏のギャグマンガ「まことちゃん」はやはりヘンってことに似ているのかもしれない。そういや、前記の日野日出志氏のほのぼのマンガや、ギャグ交じりのホラーも相当ヘンでしたので、ひょっとしてホラーマンガ家は基本的にヘンな作風の人しかいないのかと思ってしまいますがね。そういやお茶の間で有名なところで、山咲トオル氏とかもホラーマンガ家ですしね。

・ま、それはそれとして、昭和45年の思い出とかいっても、あまり、「三丁目の夕日」みたいにならずに、小袋にクギを入れるお手伝いをしていると、クギが手に刺さって痛いとか、脳梗塞で倒れ、救急車に連れていかれる父の絶望と恐怖と苦痛に歪んだ顔とかをアップで描いたり、退院後、リハビリもそこそこに仕事を再開したものの、配達で、クルマのギアが入れられないのに運転していたオート三輪に同乗した作者の恐怖とか、エピソードの抽出のセンスや描かれかたがいちいちヘンなんですよね。

・多分に、自分が求められているところを汲み取ってのサービス精神だろうとは思いますが、天然なところも混じっているんじゃないかなとにらんでいます。

・その後、父母の容態と、店屋の経営状態なども交えつつも、ヘンな感じで話は展開していきます。

・本書はぶんか社の「本当になける話」という雑誌に連載されていました。内容はそういった意味じゃ泣ける話ですが、その「ヘン」がヘンに作用して泣けはしませんでした。というより、むしろ怖かったです。それは父や母の病気の進行とかそういうのが身につまされて。身内が病気だの入院だので家族が追い詰められていくのは、経験してますからね。

・しかし、今もちらちらと読み返すたびに不思議なマンガとの思いが高まる。作者の近作ホラーマンガや、監督をしたらしいホラー映画もみてみたいとちょっと思った。
(18:30)
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2007年/12月/16日
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「おいピータン!!」10巻 伊藤理佐(講談社)

・リアルタイムに追いつくよろこびがいっぱいの10巻です。個人的なことですが。作者も漫画家史上においても初の2ケタのよろこびをかみしめられておるようではあります(あとがきによると)。

・かなり段階をおいてゆっくりとやられました。タイトルは前から気になってました。講談社漫画賞を受賞したときも「ん」と思ってました。「よりぬきピータン!!」が出たときもかなり悩みました。そして、新古書店でその中古が出たときについ飛びついてしまいました。

[ポトチャリポラパ/コミック/2007年5月/「よりぬきピータン!!」伊藤理佐(講談社)]

・今年の5月のことです。それで、既刊がまとめてあったのを巻抜けでしたがまたしても新古書店で買いました。そして抜けていた4巻と7巻と9巻は通常の書店で通常の値段で買いました。ここで完全敗北宣言です。

・こうして野良猫の餌付けかよってくらいの用心深さで徐々に「おいピー」に近づいて、ついに、10巻は発売日に書店に取り置きで買ったわけです。ええ、楽しみに待ってましたよ。

「食」シバリの男と女の恋愛模様をからめたオムニバスショートストーリー1回8ページ。タイトルのピータンこと、男前のデブの大森クンと、その彼女と、彼らの関連キャラが一応メインキャストなれど、全然カンケイない展開もあるという。

・創作の物語に作者の事情を交えるのはゲスいことではありますが、氏がご結婚されたことが多少なりとも物語上に作用しているのか、今回、各キャラが「まとまる」方向に動いておるのが興味深いですね。

・結婚しないで実家に住まってるOLのマユさんは彼氏を家に呼んでいるし、彼氏の家で手作り餃子を作っている。
・ピータンの元彼女も数多くの男性遍歴を経てやっとピータンをうらやまない彼氏ができた。

・そしてピータンの彼女もかなり踏み込んだところまで展開してますね。

「伊藤理佐処理」っていうのがあるなと思った。あー、処理ってのはちょっと単語の響きがよくないか。「伊藤理佐仕上げ」かな。ピータンのみならずわりと全体的にありますが、長期連載ってことでついポロリとピータンででがちなネタです。

・わかりやすいところで、フランス語には女性名詞と男性名詞があるってことで、ピータンたちがオスとメスを分けてる遊びとかね。

・小物1つで1本作るときの、そのモノへのこだわりというか処理も「伊藤理佐」っぽい感じがします。
・修学旅行先の清水寺で買ったダサい湯のみが使いやすくてたまらないから捨てるに捨てられない話。
・晩白柚(たしか熊本あたりの柑橘系の果物だよね)を他人からもらえるかってことで、今年の運勢を決めるとか。

・ダンナの仕事での差し入れの奥にあるメッセージを読み取る(=浮気相手からの挑戦状?みたいな)なんて細かいネタも伊藤氏ならではです。

・そいでもって、前記とおり、結婚などのゴールインが近いためか、今回は非常に明るく前向きでかっこいい女性が多く登場して非常にスカッとしますね。

・なかでも、ピータンの彼女はいいですね。お似合いの2人ってところも込みでいいです。つまり、そういうタグイの「いい女」ですが。

・冷凍のカニを食べるタイミングを計り損ねていつまでも食べられずにいるピータンに思いきって「解凍してきた(冷凍庫から出してきた)」という彼女には相当ホレた。そいで、いそいそと家に帰ってカニを食べるってのは、かなり幸せな図式ではありますね。

・巻末おまけに、「チーズズイートホーム」のこなみかなた氏との合作4コマもあり(同じ学校の先輩後輩だそうで)、ちょっとネコ度も高いのですが、ネコも伊藤理佐マンガには必須なのでそれはウエルカムということで。

・あ、今、電撃的にこれまでのことを軽く覆す結論にいたった。
・女性がカッコいいと書いたけど、今回、イヤな男がほとんど描かれてないんだ。伊藤理佐氏の思う「いい男」ばかりなんだな。いい男にほだされて女性もイキイキと魅力的に映るんですね。男女はお互いが磨き合ってより魅力的になるってね。おれイイコトいってるよ正味の話が。

・餃子の話なんかそういった男女のカンケイでいうとすごくいいと思いましたよ。あと、「目玉焼きバター醤油ごはん」の話と。

・すごくいい気持になった1冊でした。興味をもたれた方は、上記の「よりぬき〜」よりどうぞと。
(17:12)
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「ヤンキーフィギュア」1巻 ミッチェル田中(秋田書店)

・ヤンキー少女が突如フィギュアサイズになりオタク少年とうれしはずかし同棲生活を繰り広げるギャグエロコメ。少年誌なので色々寸止め。

・ケンカっぱやく硬派で昔の番長口調のわりに現代的なナイスバディの美人ヤンキーさんと、メガネ+チビ+おとなしいオタク少年。

・わりに軸がブレており、いろいろ断定できるほど安定してないのですが、当初は小さくなったヤンキーと同居ということで、フィギュアの服を着せる、着せ替えネタが多かったのですが、次第に、脱ぎネタにシフトしていきますね。予定通りか、方針変更か、読者ウケを狙ってか。まあ、どっちかというと、その方面のほうがわかりやすくていいです。

・難はやはりほぼ2人のオタクとヤンキーのキャラですね。ヤンキー少女は、男勝りで短気でケンカっぱやくて、武術少女的な口調なのに、ナイスバディでみえることに対して極端に恥らうってのが、なんとなくしっくりこないです。「おぬしの〜じゃ」的なのと、スカートめくれたり、胸を触られたリアクションがかみ合ってないというか。口調だけでも普通にしたほうがよかったんじゃないかなあと思ったりします。あるいは、コギャルコトバのほうがまだしっくりくるかなと。あるいは、恥らわないほうがいいのか。でも、それはつまらなすぎるか。話もふくらまないし。
・あと、まあ、ナイスバディすぎるのもどうでしょうか。あそこまで巨乳にしないほうがよかったんじゃないかと。

・だから、いろいろと考えておられることは伺えます。あるいは、そこまで飛んだキャラ設定だから、逆にフィクションの世界、ギャグの世界と、安心してみていられるかもしれません。

・もう1人のオタク少年のほうがおもしろいんだよな。家でフィギュア少女を眺めては「萌えー」と発音している。ここにはリアリティがないです。「おたくの娘さん/すたひろ」においても、「実際に萌えーっていうオタクはいない」と切り捨てられております。

・ただ、おれの感覚からすると、現在の10代オタクの屈託のなさはすごくリアリティがないです。男も女も、無邪気にオタク世界に埋没しワレを忘れておられます。それに対してなんら負い目も引け目も感じず、ネットでも(多分)リアルでもコミュニケーションを満喫されておられる状況が、仲間不在のまま孤独ですごしていたおれの10代からしてみればまったくフィクションの世界です。「げんしけん」なんかは天上の世界を描いたファンタジーです。
・と、考えると、今後、ニコニコ笑顔で両手に手をあてて「萌えー」と発音する屈託のない世代は必ずや登場します。これは将来に向けての「リアル」ですよ。よって、本作の少年にリアリティがないと感じたり、(キャラメイクが)甘いとかヌルイと考えている人は、おれがリアルの10代オタクとかへの想いと似たようなものかもしれません。

・と、まあ、そんなことはほぼ考えなくてもいいんで、たのしく健康的と、フィギュアサイズの生きたエロという少し歪んだエロと2つの味でたのしんでいればいいんじゃないか。

・そういわれてみれば「南くんの恋人/内田春菊」もなんともいえないエロがあったよなあ。
(18:20)
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2007年/12月/14日
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「魔法使いしかっ!」うおなてれぴん(幻冬舎コミックス)

・2007年はエロマンガ元年でした。もちろん、ボクがですよ。コミックを買いあさり、雑誌を読んで、中古書店でもとりあえずチェックするようになりました。そこそこ基本はあったのでなじむのは容易でしたが、そのおかげというか、3桁もの新しいマンガ家さんを知ることになったのです。

・そこで知った1人がうおなてれぴん氏でした。エロマンガ誌に連載しているギャグ枠というか、非成年コミック(非エロとはいいきれないかね)な内容で、血気盛んなころ(ま、エロマンガ熱が加速しはじめていたころ)はジャマくせえと思っていましたが、次第にファンになっていきました。このヌルさがいい感じなんですね。

・ちょっとした手違いで魔女になったみうさんが、星のかけら争奪戦に巻き込まれ、様々な魔法少女と戦う。勝負に負けた魔法少女は恥ずかしいと思う衣装になり、キスすることでかけらを奪われるというほんのり百合臭が漂うアンバイになっております。男性キャラはゼロ。

・カワイイ絵と、ちょいエロな展開で、ほのぼのほのぼのと進行していきます。エロ配合がやや濃い目かなと思うくらいに、健全な感じで展開していきます。あざといサービスシーンはいらないよなあ。

・と、女性キャラのやりとりが楽しい作品なのです。それで思い浮かんだフレーズが「売れないあずまんが大王」と。とくにマニア受けや細かいパロディやギャグを施しているわけでもないし、いい意味でクセのない絵柄なのですが、なぜか高い敷居なのです。

・そこいらも含めて「味」ということで処理はしているんですけどね。

・ちゃんと1巻分、いろいろな楽しみがつまった良書です。その訴求範囲が狭いのが弱点かもしれませんが。
(16:59)
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「夢のアトサキ」やまむらはじめ(少年画報社)

・1巻完結の学生サークルラブストーリー。

・あるサークルの遠距離恋愛している男を軸に、それぞれの人間模様を描いています。

・考えてみれば、やまむらはじめ氏の前作って「未来のゆくえ」って短編集で、10巻続いたそうな「カムナガラ」は知りません。1999年発売だから、もうかなり昔です。なんたって前のサイトに感想があるくらいで。

・筆を折り、絵の道を捨て平凡な学生生活を送ってる男。音楽で食おうとして音楽学校にいる彼女との遠距離恋愛。そしてそれが発端でうまくいってない。あるとき大学の先輩(彼女が物語全体のキーになる人物だね)が知り合いにプロのイラストレーターがいるという。それは彼が憧れている人だった。そして、彼の絵をみる。矢も立てもたまらなくなり、スクーターを飛ばし、一晩かけて彼女に会いに行く。そういう1話。
・それからサークルの各メンバーの話にフォーカスし、1話目のカップルに再び戻りエンドという構成。

・若いですね。その若さをみる視点が「大人」なので、読みやすいです。みんな若さゆえの無茶をしたり暴走をしたりカラオケボックスで酔いつぶれてる女子を襲ったりしそうになりますがとどまったりしてます。それらをやさしい目でみています。

・クールなチェリストの遠距離恋愛彼女。芋虫の研究をしている研究員女子。小学生にしかみえない亜麻色の美少女風女子大生。メガネで不器用な恋慕をこじらせてるドジっ娘と、女性が定型ではありますが上手で魅力的です。

・各キャラを好きになれるほどはおもしろいです。基本善人ばかりだからね。
(17:46)
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「かげふみさん」1巻 小路啓之(幻冬舎コミックス)

「アフタヌーン」で「イハーブの生活」を描いていた人の最新連載作ですね。
・定期購読しているコミックは極力買わないようにするというMYオキテにより、連載中は買わなかったのですが、その独特な世界(アフタヌンのマンガはだいたいこのフレーズ使えばサマになるよ)には惹かれるものがありました。ただ、決定打がないよなあと思いつつ、いつしかアフタヌンの定期購読を打ち切っていたのです。

・それで、本作。すぐに手が出たわけではなかったのですが、プッシュしてある某書店の「ためし読み」という最初の数ページコピーしてある小冊子を読んだところ「おもしろい」ということになり、同時発売の短編集「小さな世界」といっしょに買いました。

・相手のかげをふんでもわからないほど尾行が上手なので呼ばれてる通称「かげふみさん」という少女。彼女の仕事は組織の殺し屋にターゲットの生活をレポートして知らせることにあるのです。それで今日もターゲットを追っています。

・小ネタ満載で、大正昭和平成の日本をメインとしたあらゆる場所をシェイクした場所が舞台で、強迫症で気になることがあると鼻血が止まらないかげふみさんをはじめ、おかしな依頼主、おかしな殺し屋、おかしな脇役など、おかしな舞台でおかしなキャラがおかしな話を演じております。

・たぶん、「イハーブ〜」以降、基本の芸風などは大きく変わってないような気がします。ただ、「小さな世界」での、絵柄の変遷をみていると、人物の魅力がどんどん増していて、「かげふみさん」でさらにグンときている感じがします。

・中身のわかりやすいエキセントリックさ(気になる=鼻血など)もそうだけど、人物の線が2つの意味で太くやわらかくなってきています。見た目で太くやわらかいし、そのあたえる印象や存在感も太くやわらかくなっております。
・だから、「よかった」と思いました。たぶん、「イハーブの世界」はちゃんとは読んでませんが、評価は「線が細くて固い」ということになりそうだったからです。それを読む前に「かげふみさん」を読むことができてよかった。なんでもそうだけど、それに触れるのにいいタイミングってあります。小路啓之作品に触れるのに「かげふみさん」からでよかった。

・雰囲気というか感触というかニュアンスというか、ドラマ化にもなった黒田硫黄(この人なにしてんの?)氏の「セクシーボイスアンドロボ」に似てますね。その事件にかげふみさんが関わっていくという。

・たとえば、File3「ねこ」。
・かげふみさん、例によって、ターゲットの尾行してますが、彼(No.4ホスト)におかしなところがあります。それはずっと彼の生活に密着しているのに1回もオナニーしないんですね。それはなぜか?

・と、まあ、ちょっとばかり下世話ですね。そういう感じです。高圧縮された小ネタが蔓延している舞台(粉塵爆弾のように引火寸前)にコメとシリアスのハザマを漂うクラゲのようにふわふわとしたストーリーで、キャラ同士ののほほんとしたやりとりはクセがありますが、ハマります。ハマりました。

[Amazon.co.jp: 小さな世界 (バーズコミックススペシャル): 本: 小路 啓之]

・そしてそうなるとこの短編集もおもしろい。そして、「イハーブの世界」もブックオフとかで探そうかしらって気分になっています。

・なによりも、2巻が楽しみです。
(18:42)
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2007年/12月/3日
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「星降る夜は千の眼を持つ」上野顕太郎(エンターブレイン)

・今は「コミックビーム」を定期購読していないのでどうなっているのかわかりませんが、「千の眼を持つ」シリーズですね。実質2巻というところです。この作品の途中から購読してないので半分以上は初見で幸せでした。

・上野顕太郎氏が全力投球されたギャグマンガです。バッティングセンターの160kmなどのコーナーです。いいところをみせようとしたバカップルの男の腰をぬかすために存在しているくらいの剛速球が400ページオーバーで43本収録されてます。お値段は勉強させていただきましたの1380円。

・なにもかもが過多というのが上野氏の芸風です。というか、前作同様、そういうギャグのために満を持してのゴツイ仕様のマンガです。装丁や作りから笑わせにかかってます。そして、全てのところでスキあらばギャグを差し込んで、ギャグ濃度を上げる工夫を怠ってないのです。本編に入るまでにもういくつものギャグを用意しております。勝新太郎氏は客にお茶とコーヒーと紅茶と酒とビールとウィスキーの水割りと水を出すそうです。こうすれば失礼がないからだそうですが、その精神で臨まれております。

・1巻より、そのギャグは深度を増しております。身動きの取れない泥沼のような濃さです。こういうとなんでしょうが、もう笑ってもらうためなら自分の主義の範囲で最大限のことをするという姿勢に磨きがかかっております。

・それはあとがきにも収録されてますし、本編でギャグにすらされておられた、最愛の奥さんの死が影響されているのでしょうか。ゲスな領域だとは思われますが、そういった方向での「吹っ切れ」がいろいろな点で「鬼気迫る」くらいのギャグをかもし出しております。

・ま、ただ、ぶっちゃけた話、鬼気迫るギャグは「すごい」けど「ゲラゲラ」には遠くなるというジレンマもあるわけです。
・本作は、それも考えておられ、キャラマンガ的な、女子大生トリオのほのぼのネタや、「キャプテントラウマ」のSFギャグシリーズもある。あと、ギャグマンガの基本中の基本である、作者本人も頻繁に登場。担当編集も登場するという、いい意味での馴れ合いや内輪ウケ、楽屋的な話も盛り込まれている。そこが新機軸ってのもすげえ話ですが、そういうことで「格調高い」「実験的」「理系ギャグ」の評価もサラリとかわしているフットワークの軽さもある。おれが1番笑ったのは296pの楽屋落ちギャグだったりしますし。

・かと思ったら「やりすぎ」も相変わらずで、誰も追いつけないパロディも炸裂してます。とくに桜玉吉氏のマンガでおなじみのO村編集長を「芸術」の人が描いたパロディとか、ジャンポールガゼー教授の「知るか!」っていうくらい重箱のスミのマンガネタとか、マンガ入門のパロディなどのマンガ偏愛も。

・なかでも、白眉は「日本ギャグ漫画家図鑑」ですか。水木しげる氏の妖怪図鑑のパロディで、歴史に残るマンガ家を妖怪のていで紹介するというもの。この文章の「愛」は笑いじゃなくて涙が出るタグイの感動です。

・そいでもって、かわしたはずの「格調高い」「実験的」「理系ギャグ」もふんだんにあるんだもんね。

・けっきょく「すごい」しか出てこないマンガではあるんですよね。それが「すごいおもしろい」だったり「すごい濃い」だったり「すごいワケわからん」だったりするのは個々の評価ですかね。まちがいなく「すごい」とはいえます。そんな本です。

・よし、おれいいこといった。

「寝る前に歯を磨こう」

・もうイッコいいこといった(本作のパクリ)

オススメ
(19:16)

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2007年/12月/1日
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「絶体絶命教室」ゴージャス宝田(コアマガジン)

・遠足先の施設内で地震が起こり閉じ込められる教師と生徒5人。
・閉じ込められたところで生徒の1人がいう「先生好きでした。キスして」
・で、まあ、5人でドガチャカとやりたおすディザスターサバイバルです。

・作者のあとがきを読む限りは、男がとっかえひっかえハメる、ハーレムものを合理的に作り出したいがための設定だそうですが、これがどうしてどうして、2007年にみょうに多かった、地震災害時マンガである、ディザスターサバイバルとしておもしろかったのです。

・成年コミックですし、かなりの割合で、そういうシーンです。それに、いわゆる「炉」な仕様でして、幼い女子生徒5人が先生にって図式ですし、「当然」となるのかわかりませんが、みんな「はじめて」なワケで、そういう「いたたたた」なシーンもあります。

・ぶっちゃけ、てめえのガキより年下がそういう目に遭ってるのはあまり反応しないんです。だから、実用はアレでした。

・ということでして、極限下における人間の行動や、感情のもつれってのを密室で行っているということで、かなり絶望的な状況でのがけっぷちハーレム空間がすごくおもしろかった。

・5人の女生徒と先生の複雑な人間関係を濃密にエロまじりで描いて、全6話を描ききるってのは、実に大変だなと思いますが、本作、最初の女子とやるまでの超展開以外は、異様にスムーズに「それ」を受け入れることが可能でした。そこいらになみなみならぬ力量を感じます。
・それは、ドラマでもそうだし、エロ描写でもそう。

・各キャラの思惑、行動に、地震下での状況、それまでの生活、生い立ち、秘密、などがエロと結びつき、なおかつ、全6回、インフレを重ねる無茶なエロじゃなく、段階を重ね、読者に飽きることのないバリエーション豊かに描ききっております。

・ちょっと前までだと、「作者の非エロも読みたい」とかドラマ性の高いエロマンガを読むたびに無責任にぶっ放してましたけど、本作を読む限り、エロは不可分です。だって、瓦礫に囲まれて身動きできない状況だと、エロ以外の動きが乏しすぎるでしょ。ドラマにも絵にも媒体でも、作者にとっても不可分ですね。エロがあるからこそおもしろいドラマですしね。

・クライマックスのクリスマスパーティーシーンなんかはかなりよかったです。もう次のクリスマスがくるかどうかわからんけど、人間関係がクリアになり、じゃあ騒ごうかって騒いで、あとセックスもして、しんみりしながら「思い残し」をカミングアウトするシーン。こういうところをキッチリ読ませるんですよ。

・で、ネタバレになるんかな。最後がまたいいんですよ。他の地震脱出マンガで最大のチカラをこめて描くことは、本作にとってはそう必要じゃないから見開き2ページでサイレントで解決している。

・それでも、濃厚な人間ドラマや極限下での感情の起伏が描かれているリッパな「ディザスターサバイバル」と思います。

・同時収録の短編2編がまたすばらしすぎる。こっちも「炉」なものですが、キレイに決めております。

・弱点はだから「炉」ですね。こちとら「ブリッコ」や「レモンピープル」で鍛えられておりますからして、20年以上にもなる筋金入りの耐性がついておりますが、それでも、破瓜の血と精液がまじってぶくぶくしてるとか、「うーむ」と萎えるわけでね。そういうのがダメな人には不愉快なものになるんだろうなあと。だからといって、そういうのが好きな人に「エロエロだあゲヘヘヘヘ」って感じのみで読まれるのもなんかもったいないなと。複雑な気持ちになる良作だよなと思います。

・もちろん、これから作者の本は発売日買いしますくらいに気にはいりました。
(16:25)

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「ろーてく」大見武士(少年画報社)

・毎回同じ本を出さない大見氏が2冊連続でローションマンガを描いたってのはついに金脈をみつけたのかと思いました。

「ギリギリズム」ではエロまじりのギャグ。「ネコネコパンチ」ではキャットファイトマンガで、前作「ろーぷれ」は不思議なローションが取り持つ男女の愛(性愛)ってな読みきりオムニバスでした。

・ただ本作では、ローションがあるのはいっしょですが、キャストも設定も総とっかえであります。

・今回主人公は、巻き込まれ型で受身なエロマンガではおなじみ設定のナイスガイで、都内のマンションの管理人になり、家賃を取り立てるつもりが、「現物支給」になるって構造です。

・タイトルどおりで、「ノルマ」として、「ろーてく」が入ります。すなわち、ローションテクニック。ローションを使ったテクに翻弄されるわけですね。これがいいんだわ。実践可能なのかどうかも含めて、気持良さそうではあります。amazonでも「この商品を買った人はこんな商品も買っています」で徳用ローションをつければいいんじゃないかと思うくらい。

[Amazon.co.jp: ティアラ プロ 600ml: ヘルス & ビューティー](18禁)

・まあ、amazonのアダルトグッズはボッタクリで有名ですけどさ。もっと安く買えますが、本作といっしょに買ってみよう!(ここでオチにするなよ)

・コメディベースで、様々な状況やテクを織り交ぜながら、エロく楽しくしつつ、本スジ(主人公ちゃんとヒロインちゃんの行方みたいな)もって、たくみな展開になっております。

・あとがきのエッセイコミックや随所にある遊びも健在かつおもしろいし、今回も「ちゃんと」おもしろかったな。

・しかし、ローション口に含んでのフェラっていいのかしら?
(16:39)

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「肉弾アスリー島」米餅昭彦(双葉社)

・米餅氏ってなめぞう氏の別名だそうで。「モーニング」とかでも描いてましたね。

・とは知らず、タイトルと、表紙のレオタード美女のかもしだす雰囲気に惑わされて購入でした。

・スポーツ少女が好きで好きでたまらない、変態青年がいつものようにコッソリとスポーツ少女をのぞいていたらコーチに半強姦状態になっているアスリート少女を発見し、観察してるもたまらなくなり、止めに入り、なんだかうやむやのうちにコーチをすることになる。

・で、新体操からはじまって、ビーチバレー、弓道、バレーボールとコーチするハメに。ま、この場合の「ハメ」はダブルミーニングになるぞと。

・新体操は、むちむちしすぎる身体のおかげで選手をはずされたコに、乳首をたたせて、エロエロな気持でチカラを抜いて挑めとコーチして、ビーチバレーでは2人の役割をレズプレイをみることによって逆と看破するのです。

・こういう感じで島本和彦チックなオーバーアクションとこれでもかという肉感的な女体美と、けっこうな「あつさ」(暑さ、熱さ、厚さ、篤さ)を備えております。あと、スポーツ少女っぽいアグレッシブな感じも強いね。勝気というか挑む感じで、スポーツ少女とスポーツセックスってな感じでねえ。

・アスリート好きにはかなりグーンとくるのではないかと。
(17:29)

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「Ver.2」愛染五郎(竹書房)

・事故って顔を前面整形したおかげでイケメンになったとたんに入院していた病院のナース&先生の性具になった男のヤリヤリ人生マンガ。

[Amazon.co.jp: センチメンタル―愛染五郎作品集 (ヤングコミックコミックス): 本: 愛染 五郎]

・作者は「センチメンタル」という短編集で知った。その作品集の「文学臭」とでもいおうか、そういうニオイに、山本直樹氏に通じるものを感じた。
・蛇足の美学といいますか、エロマンガにおいて、「自分(作者自身)」を表現するという行為は全て蛇足につながりがちです。
・そりゃそうだろう、「抜き」を目的としているものにおいてそれにつながらないものは全てノイズだし無意味です。すごく端的な説明をするならばアダルトビデオ冒頭のインタビューですね。オッパイが登場するまでサーチってなもんでね。

・ただ、そればかりってのも物足りないんで、その配合というか割合がやっぱりおもしろいところなんですよね。エロだけでもダメ、文学だけでもダメ。
・どっちもおもしろいし、その割合も好みだったので「センチメンタル」はヒソカに気に入っていたのです。「コミック」をやるヒマがなくて取り上げられなかったのです。

・で、本作は、その文学臭があまりにも希薄になってます。エロモード全開で押し切ってます。そこにまず面食らいました。「センチメンタル」内の「ピーカン夫婦」のような変化球やけれんがなく(原作つきということ考えてもいろいろけれんやシカケがあった)、あまりにも、ナース&女医との複数プレイそのものに命をかけておられるんですね。

・ところが、この全開がいいんですよね。おれはナース&女医属性はないはずなんだけどなあ。

・肉厚でやわらかいタッチで、多人数プレイ以外は割合とノーマルに流れていってますし、明るいコメディで、スカしたりけれんのない、楽しく、あっけらからんとしながら、(万人にとって)ちゃんとエッチに展開していくのに、「すばらしい」と思ってしまうんですよね。

・だから、変化球投手だとおもっていたのに、いつのまにか速球ストレートの重いタマをビシバシ決める選手になっていたのです。とはいえ、コスプレ大会があったり、フタナリ(ニューハーフ)を混ぜたりとの緩急やバリエーションもミゴトだったり。

・ま、専門分野でブイブイいわせてる「生涯**」ってタイプには負けますが、オールラウンドいける器用な職人ですね。

・個人的に好きなバランスは「センチメンタル」のほうだけど、こっちの明るさも捨てがたし。ああ、スピッツっぽいかね。最初、内省的なビートパンクかと思いきや、「クリスピー」あたりでガラリとイメチェンして、その後「ロビンソン」あたりでどかーんと売れていった、その「ロビンソン」とか「チェリー」あたりの見違える明るさというか、「売れそう」感が。

・と、そんな難しく考えることでもないか。大げさだなあおれ。と、「ナースいい!」派には素直に「使えますぜブヒヒヒ」とオススメすればいいのか。
(19:55)

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・[
ケージバン]