4/22 収録
関雅弘さんのご執筆
大神: | やあ紅蘭、舞台お疲れ様。 |
紅蘭: | 大神はん、おおきに。うちの舞台見とってくれたんか。うれしいなあ。 |
大神: | そりゃあ紅蘭の舞台だもの。毎日見ているよ。 |
紅蘭: | あはは、あいかわらずおせじが上手やなあ。さすが隊長はんや。
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大神: | いやいや、おせじじゃなくて。毎日舞台を見ているから、台詞なんかそらで言えるぐらいに覚えているよ…… そういえば台詞で思い出したけれど、紅蘭が帝国劇場に初めて来た日に、マリアの名前を間違えたって言ってたよね。でも、劇を通して聞いても紅蘭がマリアの名前を呼ぶシーンってのが見つからないんだけれど。 |
紅蘭: | ……いや……それはやなあ。 |
大神: | もしかして、オンドレの名前を出すと、聴いている人に『ここで紅蘭は初日に間違えたんだっけな』って思い出されるから、言わないようにしているとか。 |
紅蘭: | ……ギクッ! い、いややなあ大神はん。ウチに限ってそんなことするはずないやろ。 ……って、ん? 大神はん、さっき『マリアの名前を間違えたって言ってた』って言うたよなあ。なんで自分が見た場面やのに、そんな回りくどい言い方するんや。ひょっとして、実は見てへんかったとか。 |
大神: | ……ギクッ! い、いややなあ紅蘭はん。ウチに限って見ていない舞台を見たと言ったり、ましてやきれいだったなんて言うわけないやないか……はは……。 |
すっかりしどろもどろになる大神。こんな状況では、そもそも「オンドレ様と答えた時点で、すでに紅蘭の役柄を見ていなかったことばればれということには気づく余地もなかった。
Junjiさんのご質問
さくら: | みなさん、ごぶさたしておりましたー、お元気ですか? 真宮寺さくらです。きょうは特別ゲストとして小説家の鈴野十浪さんをお招きしております。 |
鈴野: | どうも…鈴野です。 |
さくら: | 鈴野さんは主に短編小説を得意とされる気鋭の小説家さんです。代表作には「サクラ〜鈴野十浪短編集」がありますね。 |
紅蘭: | そやそや。んでその小説がもとになって、70年あとの時代にウチらの活躍が電気演算機のゲームになって復活することになるんやって。ほんま、びっくりするような話もあったもんやなあ。 |
さくら: | あたしたちのお話がゲームになっちゃうなんて、ちょっと、はずかしいような気もしちゃいますけど… でも、そんなに未来のひとたちにもあたしたちのことを知ってもらえるだなんて、やっぱりうれしいですよね。 |
鈴野: | はあ、私のしがない文章がそんな後生の役に立つとは…まったく光栄の極みです。 |
紅蘭: | ほらほらそんな謙遜せんでもええですやん。鈴野はん、ウチらの舞台のこともちゃんと書いてくれてはるでー。これこれ、「サクラ大戦 原画&設定資料集」の八拾九ページや。 『時の小説家、鈴野十浪をして 「舞台と客席の間に距離が感じられなかつた/私の目の前で、少女たちは実際に生きてゐた」 と言わしめているところから、その舞台の素晴らしさを推して知ることができる。』 …うわーっ、ウチ感動やーっ! |
さくら: | ほんと、あたしも感激しちゃいます… 鈴野さん、ありがとうございますーっ! |
紅蘭: | あっ、さくらはんちょっと待ちや、この本の百四拾九ページの「帝都大辞典・人名事典」に鈴野はんのことが詳しー載ってるで。 |
さくら: | あらほんと。ええと、「鈴野十浪。謎の作家。群馬県出身。一九一〇年(明冶43年)五月一九日没、享年一八歳・・・」 |
紅蘭: | ち、ちょっとまったぁさくらはんっ! い、いまって何年や? |
さくら: | え、それは、た、太正、十、四年… |
鈴野: | ふう、今ごろ気づいたか。サクラの生みの親って設定にしてはずいぶんと捨て置かれたもんだ。じゃあな皆の衆、ひゅ〜どろどろどろ。 |
どろん。 | |
さくら: | ・・・こ、紅蘭、いま、いま・・・ |
紅蘭: | ・・・あ、ああ、たしかに、ふぅーっ、と、きえた・・・で・・・ |
さくら: | お、お、お・・・・・・ |
ふたり: | おばけ────っ!!! |
なお、サクラ大戦2〜君死にたもうことなかれ〜については、まもなく開設予定の「サクラ大百科2(仮題)」で取り上げることにいたします。ご期待下さい…って書けるのかなぁ、おれ。