第48回全日本吹奏楽コンクール
平成12年10月22日(日) /東京文化会館

Back

Next



職場の部
1
中国/広島県  NTT西日本中国吹奏楽クラブ (金田康孝) ※休みから復活36回目
銀賞

1/「ウォータイム・スケッチブック」より (W.ウォルトン/木村吉宏)

新指揮者・金田氏による全国初お披露目になりましたね。課題曲は出だしが多少ぎこちないかな?とも感じましたが、非常にクリアなサウンドで秀逸でした。Bbクラリネットが四人という少なさですが、素晴らしい音をしていましたし、各ソロもスタープレーヤーがきっちりと役割を果たしていて安心して聞くことができました。自由曲では木管の高い技量を存分に見せ付けましたね。メリハリもあるし、場面展開が上手でしっかりした構成になっていました。聞き手を引き付ける素晴らしい演奏でした。朝イチ金賞行った!と思いましたが・・・。


2
九州/福岡県  ブリヂストン吹奏楽団久留米 (小野照三) ※休みから復活29回目
銀賞

4/チャルダーシュ (V.モンティ/石川喬雄)

課題曲では冒頭のブラスセクションが見事なサウンドでした。サックスの音色に艶が無く、更にはサックスとホルンのピッチが合わなくて課題曲の聞かせどころにおける印象が悪くなってしまいました。ホルンとサックスの位置が離れ過ぎだったのもうまく行かない原因だったかもしれません。 自由曲はコンクールらしからぬ選曲でリラックスして聞かせていただきました。木管群は頑張りましたね。しかし、2曲通してピッチ、アインザッツのズレなど、基本的技術の甘さが目立った演奏でした。


3
東海/静岡県  ヤマハ吹奏楽団浜松 (河原哲也) ※3年連続28回目(3出)
金賞

3/波の穂 (長生 淳)

王者ヤマハも朝早い出番は大変でしょうね。課題曲ではピッチが不安定でした。9小節目からのTrpミュートの部分もあまり響かず、音楽も流れに乗り切らない感じがします。しかし、終始理性のあるサウンドだったのは流石。自由曲は初めて聞いた曲でしたが、この難曲をものともせずに演奏し、難曲と感じさせないところは王者の風格でしょうか。しかし、2曲を通しても例年感じるような「横綱」バンドという印象はなく、今年は普通のバンドという感じでした。聴衆の期待が大きすぎるっていうこともありますが・・・(笑) 3年連続出場を3年連続金賞で飾りました。


4
四国/香川県  高松市役所吹奏楽団 (川元義秀) ※休みから復活12回目
銅賞

3/喜歌劇「メリー・ウィドウ」セレクション (F.レハール/鈴木英史)

課題曲ではピッチを始めとする基本的な部分が決まらない部分があり残念でした。フレーズのしまい方が曖昧で、音楽が流れすぎてしまった感がありました。自由曲は今年大流行のメリーウィドウ。もうちょっとメリハリがあれば楽しい演奏になったように思います。曲中における聞かせどころを意識してみるのも大切ではないでしょうか。しかしtuttiはなかなか柔らかいサウンドだったと思います。


5
東京/東京都  東京ガス吹奏楽団 (神足勝英) ※2年連続3回目
銅賞

3/バレエ音楽「コッペリア」より (L.ドリーブ/淀彰)

課題曲の冒頭はオーボエの音を前面に出していましたが、ちょっと違和感がありましたね。音に躍動感が無く表情も乏しいので音楽が前に進まない印象で、全体を通してテンポ感(拍子感)が無くメリハリのない演奏になってしまいました。コッペリアの冒頭のホルンアンサンブルは美しく決まりました。バンドのサウンドは柔らかく品があり、各ソリストも良く吹けていましたが、こちらも表情が乏しく終始無表情な演奏で主張が感じられませんでした。しかしコッペリアをやるのであれば、ワルツ終わるっていうのは構成的にも寂しいですね。


6
東北/宮城県  JR東日本東北吹奏楽団 (川村浩一) ※休みから復活8回目
銅賞

2/「カルミナ・ブラーナ」より 1, 2, 8, 9 (C.オルフ/J.クランス)

まずはチューニングをしっかりしていただきたいと思いました。テンポも落ち着かず雑然とした課題曲。おどりの部分で弦バスが回っていましたね。Perの人も左右にステップを踏んだりしてのパフォーマンス。 カルミナでは酒場のシーンで各奏者がグラスを高く上げて乾杯をしたり・・・・会場が沸きましたね。
聴衆も演奏以外のパフォーマンスに関心が集まり、楽しいステージで一服の清涼剤という感じなのですが、無粋ながら敢えて苦言を書かせていただきます。東北代表としてコンクール全国大会の審査を受けに来られているのですから、「楽器演奏に集中してみては?」とも思います。その上でのプラスαのパフォーマンスであれば更に良いのではないでしょうか?


7
東関東/神奈川県  NEC玉川吹奏楽団 (稲垣征夫)  ※2年連続23回目
金賞

3/管弦楽組曲「シルクロード」より I. 綺想的前奏曲 (團 伊玖磨/稲垣征夫)

課題曲はサウンドが重く、野暮ったい演奏でした。自由曲はスケールの大きい音楽でしたがサウンドが重く、Tuttiが荒く汚い印象です。前半はイマイチ乗り切れていませんでしたが、中盤から終曲にかけては音が生き生きして来たと思います。95年以来5年ぶりの金賞受賞です。


8
関西/大阪府  松下電工吹奏楽団 (大野 隆) ※4年ぶり5回目
銀賞

1/オールド・マタドール (D.ボブロヴィッツ)

課題曲はよく吹けていましたが、もっと躍動感がほしいと思いました。多少表現がおとなしく、サウンドも希薄になってしました。自由曲は音がこじんまりしすぎて、この情熱的な音楽の魅力が半減してしまいました。しかし、後半部分から急に伸びやかになってきて、好演でした。


9
北海道/札幌  高橋水産吹奏楽団 (渡辺 明) ※休みから復活11回目
金賞

2/バレエ音楽「ライモンダ」より (A.グラズノフ/林紀人)

豊かで柔らかいサウンドでした。課題曲では冒頭のTrpもばっちり決まって順調な滑り出し。終始柔らかいサウンドで日本的情緒や素朴さが十分に表現されており好演でした。職場の部の課題曲の中ではイチバンの演奏でしたね。自由曲では陶酔感すら感じるような歌い方と豊かな音色が見事なライモンダを作り上げました。今大会・職場の部の中ではもっとも感銘度が高く、文句無しの演奏!! 休み明けを金賞で飾りました。おめでとうございます。


10
西関東/群馬県  沖電気高崎吹奏楽団 (小田原朝雄) ※休みから復活5回目
銅賞

2/「カルメン」より ロマの踊り (G.ビゼー/A.リード)

ピッチ、アインザッツ等、基本的な部分に難がありました。打楽器群が出過ぎで時々バンドの音をかき消してしまったのが残念です。しかし、音楽を作る方向性は良いと思いましたので、奏法の向上で解決できると思います。 カルメンもやはり音が合わない部分が多々聞かれましたが、中盤から終曲にかけての音楽の進み方、勢いはとても良かったと思います。

【職場の部を聞いて・・・】
金賞3、銀賞3、銅賞4。ヤマハ浜松(東海)、NEC玉川(東関東)、高橋水産(北海道)が金賞受賞。NTT西日本中国(中国)は朝イチながら非常にクリアなサウンドで好演で金賞でも十分の演奏でした。他の部門に比べると支部によってレベルの差が大きい部門ですが、どのバンドもこの不況の中での活動維持は大変でしょう。職場団体は毎年、コンクール当日に「職場バンドフォーラム」という懇親会を開催していますが、こういった交流も含めて「愛すべき職場の部」が、更に盛り上がるといいですね。ヤマハ浜松は今年で3年連続出場、来年お休みになります。

※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。