第50回全日本吹奏楽コンクール
平成14年9月29日(日)/普門館

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高校・前半の部

1
中国 広島県 修道高等学校 (指揮/大咲司朗) ※初出場
銅賞

1/「スペイン狂詩曲」より IV. 祭り (M.ラヴェル/森田一浩)

大変スムーズな出だしで、朝イチながら申し分ない楽器の鳴りだったと思います。Tuttiが濁ったり乱れる部分がいくつかありました。金管セクションのバランスにもう一考という印象です。
自由曲はまとまってはいましたが、色彩感が今一つ。また、ソロ群はもっともっとソリスティックであってほしいと思いました。


2
関西 大阪府 明浄学院高等学校 (指揮/小野川昭博) ※3出休み明け4回目
銀賞

1/「スペイン狂詩曲」より I. 夜への前奏曲 IV. 祭り (M.ラヴェル/小野川昭博)

どの楽器もよく鳴っていますが、Tuttiでのブレンド感に欠けました。
自由曲では「夜への前奏曲」でのClaのデュエットが見事な演奏でした。「祭り」での各ソロも安定していましたし、全体を通してもメリハリ・色彩感のある良い演奏だったと思います。コントラバス奏者が打楽器を掛け持ちするために頻繁にステージ後方(ひな壇背面)を行き来したり、曲中にEuph奏者が移動してコントラバスを演奏したり、、とコントラバスに係る持ち替えが頻繁にありました。「お疲れ様」と言いたいところなのですが、「落ち着きがないなぁ」という印象を受けてしまいました…。

3
九州 福岡県 福岡工業大学附属城東高等学校 (指揮/屋比久勲) ※2年連続22回目
銀賞

1/バレエ音楽「白鳥の湖」より 情景、終曲  (P.I.チャイコフスキー/林紀人)

課題曲冒頭は期待通り、実に見事な出だし。重厚なサウンドに加え、各ソロも表情豊かに聞かせてくれました。
自由曲ではパワーの金管としなやかな木管の実力が充分に発揮されました。Trp3人によるファンファーレはスタンドプレイで魅了。Obのソロは艶のある音色で哀愁を帯びた歌い方が素晴らしいと思います。終曲では金管の鳴りが最高潮。ホールが割れんばかりのサウンドが広がりました。城東らしい演奏ではありましたが、少々耳が疲れましたね。確かに金管のパワーは絶賛モノなのですが、あんな超大音量でなくてもいいと思うのですが…。

4
関西 奈良県 天理高等学校 (指揮/新子菊雄) ※8年ぶり30回目
金賞

1/「スペイン狂詩曲」より IV. 祭り (M.ラヴェル/八田泰一)

やはり天理にはカリスマ性があるのでしょうか、聴衆の期待感がホールに漂っている雰囲気です。ラメントは非常に冷静で音楽的にも優れた演奏でした。
自由曲はサリュソフォーンも取り入れていましたね。各パートがバランスよく、色彩感・躍動感に溢れた秀演でした。決して派手な演奏ではないのですが、「上手い」演奏なのです。8年ぶり19回目の金賞受賞です。新子先生としては、1979年に指揮者として天理を率いて以来、全国大会では金賞受賞しかありません。見事です。

5
東京 東京都 八王子高等学校 (指揮/高瀬新一郎) ※初出場
銀賞

1/交響詩「ローマの祭」より I. チルチェンセス IV. 主顕祭 (O.レスピーギ/藤井一男)

初出場ではありますが、慣れた普門館での演奏ということもあり、萎縮した感じはしませんでしたね。課題曲ではスムーズな流れで好演でしたが、いくつかTuttiで安定感を欠く部分があったように思います。
自由曲ではTrp3人がステージ上手側にバンダとして演奏。キレのあるファンファーレで良かったですね。課題曲同様、Tuttiでの乱れが多少ありましたが「若さ」溢れる演奏で、こちらも好演だったと思います。

6
東海 静岡県 東海大学附属翔洋高等学校 (指揮/榊原達) ※3年連続19回目
銀賞

1/ギリシア神話 美しい海の妖精を想う「醜い一つ目巨人」の恋を題材とした
   「ポリフェーモ」 (A.V.カステルス)

Hrnの出だしは個性的でした。流石と思わせる説得力のある演奏でした。
自由曲は初めて聞かせていただく曲でしたが、雰囲気がよく醸し出された演奏でした。場面展開が面白かったです。クラリネット群の音色が硬く、バンド全体のTuttiに魅力が無かったように思います。ホラ貝の登場には驚きましたねぇ…笑。

7
四国 愛媛県 愛媛県立伊予高等学校 (指揮/高橋貞道) ※2年連続13回目
銅賞

1/「アメリカの騎士」より 選ばれし者  (S.メリロ)

小さいミスが目立つ課題曲でした。サウンドのブレンドが今ひとつという感じで、フレーズの処理が甘いと思いました。余談ではありますが、コントラバスのボーイングアクションはチトやり過ぎではないでしょうか?(笑)
自由曲では楽譜の指定通り、A.Saxソロはステージ上手袖のオフステージ演奏で始まりました。課題曲とは打って変わり、バンドの音が生き生きしていましたね。スピード感のある楽しい演奏だったと思います。

8
九州 鹿児島県 鹿児島県立松陽高等学校 (指揮/立石純也) ※2年ぶり2回目
銅賞

4/ガランタ舞曲  (Z.コダーイ/森田一浩)

本日唯一の課題曲4です。各パートがクリアに聞こえるすっきりしたサウンドでした。冒頭は丁寧な作りで、早い部分になってもリズムにキレがあり好演だったと思います。自由曲ではClaのソロが秀逸でしたね。サウンドが硬い印象でしたが、若さや勢いのある演奏でした。

9
北陸 富山県 富山県立富山商業高等学校 (指揮/鍛治伸也) ※13年ぶり26回目
銅賞

2/アルメニアンダンス・パートII  第3楽章 ロリの歌 (A.リード)

音の線が細く、Tuttiも不安定でした。課題曲EからのTrpのピッチが悪く残念でしたね。
自由曲では冒頭の金管が荒く、バシッと決まりませんでした。こちらもTrpが安定さを欠きました。Trpはよくも悪くも目立つ楽器ですので、マイナス印象が大きかったのは残念。2曲通して弱奏部分での不安定さが露呈してしまった演奏だったと思います。

10
西関東 埼玉県 埼玉栄高等学校 (指揮/大滝実) ※2年連続14回目
金賞

2/「ミス・サイゴン」より
     序曲、我が心の夢、サイゴン陥落、今がこのとき (M.シェーンベルグ/宍倉晃)

とにかく終始美しいサウンドに魅了されました。音楽が自由自在に流れている感じです。各パートのバランス、安定感も抜群でした。
自由曲はメリハリもあり色彩感に溢れており、コンサートのような気分で楽しむことができました。弱奏部分での繊細さ、強奏部分での重厚感・安定感など、超高校級の演奏だったと思います。終わった直後の大歓声がそれを物語っていますね。2年連続12回目の金賞受賞、おめでとうございます。

11
中国 岡山県 おかやま山陽高等学校 (指揮/松本壮史) ※2年連続2回目
金賞

1/ディオニソスの祭り (F.シュミット)

冒頭のHrnも安定感抜群、特に金管群の充実したサウンドが印象的で秀逸な課題曲でした。
自由曲では木管低音群が好演。ソロも美しく見事。とにかく終始音がキラキラしており、音楽も生き生きしていたなという印象です。確かに素晴らしいディオニソスだったのですが、ぜひノーカットで聞いてみたいと思いましたね。高校部門でのディオニソスは90年(埼玉栄)以来、12年ぶりの金賞。同校としては出場2回目で初の金賞受賞です。おめでとうございます!!

12
北海道 札幌地区 東海大学第四高等学校 (指揮/井田重芳) ※3年連続23回目
金賞

1/交響曲第2番より 第1楽章、第4楽章 (M.アーノルド/中原達彦)

よく鳴っていてサウンドも安定感充分でしたが、ブレンド感は今ひとつで紙一重で「うるさい」印象のほうが強かったです。自由曲ではしなやかな木管が好演。よく歌いこまれた第1楽章でした。第4楽章は勢いのあるスピード感に溢れていました。3年連続11回目の金賞受賞、お見事でした。

13
東海 愛知県 愛知工業大学名電高等学校 (指揮/桐田正章) ※2年連続28回目
金賞

1/「スペイン狂詩曲」より IV. 祭り (M.ラヴェル/小久保大輔)

安定した堅実な課題曲でした。欲を言えば、何かもう一つアピールできるものがあればなぁと思いましたが…。
自由曲では実に色彩感に溢れた快演でした。ソプラニーノSaxを入れたSaxセクションが艶のあるサウンドを作り出し、豊かなサウンドを表現されていたと思います。3年ぶり10回目の金賞受賞です。

14
東北 宮城県 宮城県立利府高等学校 (指揮/児玉英誉) ※初出場
銀賞

1/放射と瞑想  (天野正道)

丁寧な音楽作りの課題曲でした。ラメント・オンパレードの今大会、平凡な演奏になってしまったのは事実。
自由曲は前半の部・唯一の邦人作品。大変雰囲気のある演奏でした。流れが良く、メリハリ・緩急のつけ方等、初出場ながら可能性の感じられるバンドだったと思います。特に緩やかな部分での合奏力が素晴らしかったです。

15
東関東 千葉県 柏市立柏高等学校 (指揮/石田修一) ※3年連続16回目
金賞

1/コンサートバンドとジャズアンサンブルのためのラプソディー (P.ウィリアムス)

パワフルなHrnで始まりましたが、終始流石と思わせる音楽作りでした。終曲部も圧巻でしたね。
自由曲ではブラスセクションのJazz奏法も素晴らしく、かなりの完成度。Sax、Percのソロはもう観客を魅了しましたね。その場でのスタンドプレイではなく、ステージ最前方まで出てきて披露。もうこれはコンクールじゃないです。コンサートですね! ライブで聞くことのできた喜び、言葉では言い尽くせないほどの感動モノの演奏でした。2年連続8回目の金賞受賞です。
金賞6、銀賞5、銅賞4という結果。金賞は天理(関西)、埼玉栄(西関東)、おかやま山陽(中国)、東海大四(北海道)、愛工大名電(東海)、市立柏(東関東)。前半の部は好演続きで非常にレベルが高く、賞を問わず聞き応えがありました。東海大翔洋、東海大四、市立柏が3年連続出場で、来年お休みになります。

※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。