一般の部 |
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1 | 九州 鹿児島県 J.S.B吹奏楽団 (指揮/東 久照) ※9年ぶり4回目 | 銅賞 |
1/交響組曲第2番「GR」より (天野正道) | ||
Trpソロは惜しかったですね。音色はすごく良かったですが…。やはり出演順1番は緊張しますね。弱奏部分が安定せず、強奏時になるとバランスの悪さが露呈。楽器はよい音で鳴っているのですが、合奏体としてのまとまりが今ひとつといった感じです。自由曲では勢いのある伸びやかな演奏となりました。鳴らす部分ばかりをカットでつなげて、ガンガン押し捲る演奏だったのでメリハリに欠けていたように思います。 | ||
2 | 西関東 埼玉県 川越奏和奏友会吹奏楽団 (指揮/佐藤正人) ※3年連続6回目 | 金賞 |
5/エクスピエイション 〜贖罪〜 (天野正道) | ||
聴衆の期待を集めた課題曲は一糸乱れぬ統一感を見せ、まさに「大人のための課題曲」でした。打楽器群が好演だったと思います。自由曲も本当にスキのない素晴らしい演奏でした。たしかなアナリーゼに、個々の奏者の高い技術力が応えてまさに圧巻という感じでした。バンドの音がうねりとなりホール隅々にまで響き渡り、佐藤氏の作り上げる世界に引き込まれてしまいました。3年連続金賞ですね。おめでとうございます。 | ||
3 | 北海道 札幌地区 ウインドアンサンブル・ドゥ・ノール (指揮/仲田守) ※2年連続2回目 | 金賞 |
4/バレエ音楽「青銅の騎士」より 叙情的情景第弐(逢瀬)、円舞曲、嵐、終曲 (R.グリエール/仲田守) | ||
60人ほどの編成です。明るいサウンド、弾けるリズム、躍動感に満ちたマーチでした。ちょっと急ぎすぎという感はありましたが、バンドの勢いの現れでしょうか。自由曲は劇的で印象的に始まりました。アンサンブルが非常に上手ですね。コンクールではお馴染みの「青銅の騎士」も、初めて聞く楽曲が入っていて新鮮でしたし、隅々まで行き届いた細やかなアンサンブルが感動を呼び起こします。同バンドとしては初、北海道代表としては87年の札幌吹以来16年ぶりの金賞受賞です。おめでとうございます。 | ||
4 | 北陸 石川県 百萬石ウィンドオーケストラ (指揮/安嶋俊晴) ※5年ぶり5回目 | 銀賞 |
4/交響詩「ローマの祭」より 十月祭、主顕祭 (O.レスピーギ/仲田守) | ||
安定したオープニングです。心地よいサウンドで無理の無い流れを作っています。特に中音域の内声部をうまく引き出したマーチでした。自由曲では、十月祭でのアンサンブルが今ひとつといった感。主顕祭ではサウンドが硬く、音が攻撃的。曲そのものが激しいので仕方ないとは思いますが、全体を通して平凡な演奏です。良く知られている曲だけに、かなりの完成度でないと評価を受けるのは難しいと思います。ラストに向けての盛り上がりは見事でした。 | ||
5 | 東北 宮城県 泉シンフォニックウインドオーケストラ (指揮/荒井富雄) ※初出場 | 銀賞 |
4/放射と瞑想 (天野正道) | ||
落ち着いたテンポで余裕があり、小細工のない真っ向勝負のマーチで好感が持てました。自由曲は冒頭の伸ばし(E音)のピッチが不安定でしたね。良く鳴るブラスセクションでしたがバランスがもう一つ。合唱は練習不足でしょうか、あまり響いてきませんでしたね。せっかくの聞かせどころだったのに残念です。Trpソロは伸びやかにまとめましたがもう少しメリハリがほしいところ(あくまで好みです)。後半に向けてどんどんエンジンがかかってきたようで、息切れすることなく終曲に向かいました。終わりのゆったりした部分のメロディは比較的アッサリ。ラストの金管のコラールは急ぎすぎで魅力半減といった感じです。全体を通して打楽器の音量が大きすぎて、管楽器をかき消す部分が多々ありました。 | ||
6 | 中国 岡山県 倉敷市民吹奏楽団グリーンハーモニー(指揮/佐藤道郎) ※2年連続7回目 | 銅賞 |
3/大阪のわらべうたによる狂詩曲 (大栗裕/木村吉宏) | ||
打楽器をひな壇最上段にセットしたのは、宇都宮のホールでは大正解でした。バンドとうまく溶け合っていてバランスを崩しません。速めのテンポでしたが、このマーチにはもう少しゆっくりしたほうが曲想にも合っていると思います。 自由曲では色んなメロディ(わらべうた)が絡みあうところは上手に整理されていました。バランスも良く取れているし、演奏自体も銅賞というほど悪くはなかったように思います。曲そのものがあまり演奏効果が得られないような気がしました。コンクールでは評価されにくいのでは?とも感じました。 |
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7 | 四国 高知県 鏡野吹奏楽団 (指揮/弘田靖明) ※3年連続14回目 | 銅賞 |
2/砂塵 〜Toward Embrace, for peace T〜 (飯島俊成) | ||
どっしりと骨太なマーチでした。もう少し軽めのほうが曲想にも合うと思うのですが好みの問題でしょうか。Tuttiになっても乱れずバンドの安定感は流石です。自由曲は初めて聞かせていただきましたが大変難しそうな曲ですね。充実した低音群に支えられ、スケールの大きい音楽を表現されており、木管・金管・打楽器がそれぞれの役割を果たし、お互いを殺さないようにうまくバランスが取られていたと思います。3年連続出場で来年はお休みになります。 | ||
8 | 東京 東京都 創価グロリア吹奏楽団 (指揮/佐川聖二) ※2年連続4回目 | 金賞 |
4/ラ・フォルム・ドゥ・シャク・アムール・ションジュ・コム・ル・カレイドスコープ (天野正道) | ||
小細工のまったくないオーソドックスな演奏でした。しかしながら個々の確かな技術に支えられて非常に完成度の高いマーチでした。77名の大編成ながらもバランスを崩すことなく見事な統一感を見せました。自由曲では柔らかく優雅なサウンドをホールいっぱいに響かせています。Fl、Obのソロも好演。「カレイドスコープ(万華鏡)」というだけあって、色彩豊かなサウンドが刻々とその表情を変えていきます。80名近い奏者の集中力の結集は聴衆を引き付けて放しませんでしたね。演奏が終わった後の大歓声は当然のこと、奏者がステージから退場する際にも拍手が沸き起こっていました。2年連続4回目の金賞です。 | ||
9 | 東海 愛知県 東海市吹奏楽団 (指揮/佐野裕哉) ※初出場 | 銅賞 |
4/「GR」より シンフォニック・セレクション (天野正道) | ||
スネアドラムとバンドがときどきかみ合わない箇所がありました。全体を通してスマートな演奏でしたが、トリオはもっと歌ってもよかったですね。GRは場面展開もうまくできており、聞き手を飽きさせない演奏でした。コーラスも非常に美しく響き効果的だったと思います。チューバがひな壇下段中央というバンドの中心にセットされていましたが、他の楽器が中央にいるチューバに集結するようにサウンドが作られています。東海代表としては10年ぶりに銅賞となってしまいましたが、非常に良い演奏だったと思います。 | ||
10 | 関西 滋賀県 大津シンフォニックバンド (指揮/森島洋一) ※2年連続6回目 | 銀賞 |
3/写楽 (高橋伸哉) | ||
課題曲は申し分無い演奏ではありましたが、低音群が強すぎて全体のバランスが悪く、「重い」マーチになっていたのが残念。自由曲、冒頭のTrpのデュオは素晴らしく、Fg、Picc、Obのソロも良い雰囲気です。随所に出てくるユニゾンでの演奏が非常に上手ですね。注目の打楽器群は期待を裏切ることなく見事なパフォーマンスを見せてくれました。演奏効果の高い楽曲ではありますが、単なるハッタリではなく「音楽表現」として成功していたのは間違いありません。終曲への盛り上がりも見事ですし、ラストの拍子木がニクイですね。成績発表の「銀賞」というアナウンスに会場全体がどよめきました。OSBとしては初の銀賞、「出れば金賞」記録は途絶えましたが、OSBの世界を表現した申し分ない名演だったと思います。今後もこの独自路線は変えてほしくないなと一ファンとして切に願います。 | ||
11 | 西関東 埼玉県 川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団 (指揮/福本信太郎) ※3年連続10回目 | 金賞 |
1/ハリソンの夢 (P.グレーアム) | ||
Trpソロ、ブラボー!です。しっかり構成され落ち着きのある大人のマーチです。確かにアナリーゼのもと、高い個々の技術力の結集ともいえる演奏でした。自由曲でもアンサンブルの正確さ、成熟したサウンドで見事な仕上がりになっていました。各セクションとも実によく練習されており、その成果が本番でしっかり花をさかせていたという感じです。特に打楽器群の熱演が印象的ではありますが、4年ぶり7回目の金賞受賞おめでとうございます。来年はお休みですね。 | ||
12 | 東関東 神奈川県 横浜ブラスオルケスター (指揮/中村睦郎) ※2年連続3回目 | 金賞 |
1/バレエ音楽「ガイーヌ」より 序奏、友情の踊り、アイシェの孤独、剣の舞、収穫祭 (A.ハチャトゥリャン/中村睦郎) | ||
Trpソロは実に素晴らしく惚れ惚れする演奏でした。このソロだけでも金賞ものですね。音楽性豊かでお手本のような課題曲は文句のつけようがありません。この2日間、課題曲1を演奏した団体の中では一番の出来だと思いました。自由曲は、曲自体のグレードでいえばそんなに難しいものではないと思いますが、この良く知られた曲を実によくアナリーゼし寸分のスキもなく仕上げてきました。Tuttiではたしかに大音量でしたが、耳に痛いという感じではなくホールいっぱいに響き渡るといった感じです。情熱的な指揮者のもと、本番でのすさまじい集中力を見せた奏者の皆さんに拍手!2年連続3回目の金賞受賞、おめでとうございます。(指揮者賞授与のときの、「ゲッツ!」には笑わせていただきました。) | ||
13 | 関西 兵庫県 尼崎市吹奏楽団 (指揮/辻井清幸) ※お休み明け23回目 | 銀賞 |
2/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より プレリュード (P.マスカーニ/木村吉宏) | ||
70人を超える大編成ですが、決してバランスを崩さないサウンドは流石だと思いました。歌を大切にした表情豊かな作り方は他の団体には真似出来ないですね。自由曲でも大変優雅なサウンドを聞かせてくれました。オフステージでのTrpソロは本当によかったですね。ちょっとだけキズがありましたが、ハープの伴奏にのってステージ上手袖から聞こえてくるTrpのメロディには引き付けられました。コンクールでここまでドラマティックな音楽表現ができる団体はそう多くはないでしょう。弱奏で主張できる数少ない団体です。個人的には金賞でも十分だと思いました。 | ||
14 | 東関東 茨城県 関城吹奏楽団 (指揮/豊田晃生) ※初出場 | 銅賞 |
4/アルプスの詩 (F.チェザリーニ) | ||
56人で一般バンドにしては比較的少ない編成です。セッティングにおいて木管の真ん中(ステージの中央)がぽっかりと空いていましたが、演奏上は逆効果だったのではと思います。 ちゃんとステージの反響板の中に収めるようにセットしたほうが、サウンドにもまとまりがでると思うのですが・・・。マーチではTuttiでのバランスが今ひとつと感じました。木管に対して金管が多い編成のアンバランスさがそのまま露呈した感じです。自由曲では、ステージのホルンソロと、オフステージのホルンソロの掛け合いのときの伴奏がうるさく、せっかくの聞かせどころが生きてきませんでした。しかしながら激戦の東関東の代表らしく、スケール感のある演奏で初出場ながら好演だったと思います。 | ||
15 | 九州 福岡県 大牟田奏友会 (指揮/小塚 類) ※3年ぶり9回目 | 銀賞 |
2/交響曲第1番「指輪物語」より (J.デ=メイ) | ||
小塚氏は前日の中央大に続いての登場です。同氏の指揮に引っ張られ、ガッチリとした作りのマーチになりました。ちょっと力入りすぎかなぁと思いましたが好演でした。自由曲では楽章を入れ替え、「ゴラム」から始まりました。Saxソロはちょっとキズもありましたが良く吹ききりました。「ガンダルフ」もスケール感のある良い演奏でした。全体では押し捲る勢いのある演奏でしたが、短い中での緩急、メリハリがあるともっと良かったような気がします。残念ながら今年も九州からは金賞がでませんでした。 | ||
16 | 東北 山形県 米沢吹奏楽愛好会 (指揮/淀 彰) ※3年ぶり8回目 | 銀賞 |
4/歌劇「ラ・ボエーム」ファンタジア (G.プッチーニ/淀 彰) |
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軽快で明るいマーチでしたが、メリハリに欠け一本調子だったように思いました。プッチーニは熱演ではありましたが、細部において小さいミス、詰めの甘さ等が露呈していました。Trpセクションのファンファーレは見事に決まりましたね。全体としては雑然とした印象が残りました。指揮の淀氏は今年で全国大会15回出場で長年出場指揮者として表彰されました。おめでとうございます。 |
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金賞5、銀賞6、銅賞5という結果。金賞はWEドゥノール(北海道)、横浜BO(東関東)、川越奏和(西関東)、アンサンブルリベルテ(西関東)、創価グロリア(東京)。今年も非常に高いレベルの大会となりました。関東勢の強さと、北海道支部に16年ぶりに金賞をもたらしたWEドゥノールの健闘が光ります。金賞バンドの素晴らしさはもちろんのこと、銀賞バンドの中にも素晴らしい演奏がありました。特に大津SB、尼崎市吹は共に銀賞で、6年ぶりに関西から金賞無しに終わりましたが、十分金賞に匹敵する演奏だったと思います。川越奏和、アンサンブルリベルテ、鏡野吹の3団体が3年連続出場で来年お休みです。 |