高校・後半の部 |
||
1 | 東関東 神奈川県 東海大学付属相模高等学校 (指揮/定岡利典) ※初出場 | 銅賞 |
1/交響詩「アルプスの詩」 (F.チェザリーニ) | ||
Trpソロは明瞭で美しいタンギングが素晴らしかったと思います。ただ続くホルンのハーモニーが若干乱れたのが惜しかったですね。序奏部分の流れもよく全体の構成がしっかりしているキレのある演奏でした。自由曲ではホルン奏者がステージ下手前方と、ステージ上手後方にわかれて立奏でのデュエットを披露。大変堂々とした演奏で秀逸でした。全体のサウンドも豊かで色彩感に富んでいます。銅賞ではありましたが、この曲をこういうふうに表現したいという思いが伝わってくる熱演でした。 | ||
2 | 九州 福岡県 福岡工業大学附属城東高等学校 (指揮/屋比久勲) ※3年連続23回目 | 銀賞 |
3/トッカータとフーガ ニ短調 (J.S.バッハ/E.ライゼン) | ||
課題曲の最初の音から素晴らしく力強いサウンドでした。各パートが大変クリアに聞こえてきますし、細部まで実に丁寧な演奏をされていました。トリオのHrn&Euphが美しく響き、ピッコロソロも秀逸でした。自由曲では実力が更に発揮されました。まずはそのピッチの正確さに脱帽、本大会でも随一の素晴らしさでしょう。音の質が秀逸なので合奏体としても素晴らしいものとなりました。最後まで集中力が途切れず素晴らしい演奏だったと思います。ただ、普門館の大空間でさえ城東高の音量ではちょっと大きすぎるかなと感じました。確かにオーバーブロウという感じではないのですが、もうちょっと力を抜いてみても良いと思います。 | ||
3 | 西関東 埼玉県 埼玉県立与野高等学校 (指揮/齋藤淳) ※2年ぶり6回目 | 金賞 |
4/交響詩「ローマの噴水」より (O.レスピーギ/斎藤淳) | ||
比較的抑えられたオープニングでした。Tuttiの安定感に加え、音楽の流れが秀逸な正統派の演奏でした。完成度が高いと思います。レスピーギはスムーズな出だしで期待も高まりました。オーボエ・ソロも秀逸でしたし、何よりも木管セクションが素晴らしくアンサンブルが非常に上手ですね。特に「夜明けのジュリア〜」での流れが秀逸で音楽が停滞することなく生き生きと表現できていました。色彩豊かでキラキラしたサウンドと、ダイナミクスレンジの広いスケールの大きい演奏で5回目の金賞です。 | ||
4 | 九州 福岡県 都築学園福岡第一高等学校 (指揮/清水万敬) ※2年ぶり7回目 | 銀賞 |
4/楽劇「サロメ」より 七つのヴェールの踊り (R.シュトラウス/M.ハインズレー) | ||
大変丁寧な作りでしたが、丁寧すぎてマーチの躍動感に欠けていました。表現もちょっと過多で大味な仕上がりになっていたのが残念。自由曲ではサロメを選曲するだけあってオーボエのソロは秀逸でした。Tuttiでのサウンドも柔らかく、個々の奏者がよく吹けていると思いました。弱奏になっても音楽が死なず安定感がありますね。妖艶というよりも、爽やかなサロメという印象を受けました。 | ||
5 | 西関東 埼玉県 埼玉栄高等学校 (指揮/大滝実) ※3年連続15回目 | 金賞 |
2/青い水平線 (F.チェザリーニ) | ||
美しいサウンドがこの曲によくマッチしました。トリオは丁寧にそして美しく歌い上げられています。隅々までアナリーゼされた見事な課題曲でした。自由曲でも、弱奏での始まりながら大変安定感がありました。、ピッコロソロも秀逸でしたね。力強さと繊細さの両方の使い分けが上手くメリハリもあり、聴衆を栄ワールドに引き込んでいったようです。終曲の盛り上がりも感動的でした。大滝先生の「長年出場指揮者表彰」を3年連続金賞で飾りました。これで西関東3校全てが金賞になりました。見事! | ||
6 | 東北 福島県 福島県立湯本高等学校 (指揮/藤林二三夫) ※初出場 | 銀賞 |
1/管弦楽の為の協奏曲 (三善晃/根本直人) | ||
Trpソロ、ブラボー!!でした。各セクションが良く整理されており、難しい序奏部分がよく出来ていたと思います。とても初出場とは思えない堂々たる演奏でした。自由曲は超難曲ですね。皆さん本当によく練習されていて、個々のテクニックの高さを見せ付けました。管楽器の超絶技巧も特筆ものですが、打楽器が特に好演だったと思います。 | ||
7 | 東海 愛知県 愛知工業大学名電高等学校 (指揮/桐田正章) ※3年連続29回目 | 金賞 |
1/3つの交響的素描「海」より III. 風と海との対話 (C.ドビュッシー/小久保大輔) | ||
Trpソロ、ブラボー!!です。続くオーボエのソロも艶のある音色で魅力十分でした。緩やかな部分でも前へ前へ進む推進力があり音楽が生きています。一歩間違うと退屈な演奏になりがちな曲を実に魅力的な楽曲に仕上げています。自由曲でも名電の実力をいかんなく発揮しました。オーボエを中心とした艶のある木管セクションが大変好演でした。カットの展開もスムーズで音楽の流れを損なうことなく色彩豊かな「海」を作り上げることに成功したようです。3出を2年連続金賞で飾りました。 | ||
8 | 東北 福島県 福島県立磐城高等学校 (指揮/根本直人) ※3年連続7回目 | 銀賞 |
4/管弦楽の為の交響詩「連祷富士」 (三善晃/根本直人) | ||
確実に決まったオープニング。真っ向勝負の正統派マーチでした。チューバが鳴りすぎの感もありましたが、躍動感やメリハリのしっかり表現された演奏です。自由曲はコンクール前から色々話題になっていた曲でしたね。三善作品らしい(笑)超難曲をよく練習されています。初めて聞かせていただいた曲でしたが、「超絶技巧」の凄まじさに圧倒されました。Tuttiでのバランスが今ひとつ、特にチューバが音割りすぎですね。 | ||
9 | 東京 東京都 東海大学付属高輪台高等学校 (指揮/畠田貴生) ※2年連続2回目 | 金賞 |
1/バレエ音楽「中国の不思議な役人」より (B.バルトーク/畠田貴生) | ||
Trpソロ、勇壮で本当に素晴らしい!! ブラボー!!です。アナリーゼがしっかりされており安定感のある序奏でしたが、「行進曲」という定義を崩すことなく、しかも楽曲として完成度・感銘度の高い演奏でした。自由曲も緊張感をもった快演。個々の奏者の音のクオリティが高く、その合奏体も同様に素晴らしいサウンドでした。地元東京とはいえ、この本番での一発勝負において、ここまで集中力の高さを見せる奏者に脱帽。終曲部も圧巻といった感じで金賞間違いないと感じました。2年連続金賞は、東京支部では玉川学園、関東第一に続く3校目。しかも前半の駒澤大学高とのアベック金賞は、東京にとっては93年(関東第一&永山)以来10年ぶりの快挙。今後の高輪台の可能性を感じさせる名演だったと思います。 | ||
10 | 北海道 札幌地区 北海道大麻高等学校 (指揮/西井雅司) ※3年ぶり3回目 | 銀賞 |
1/歌劇「トゥーランドット」より (G.プッチーニ/木村吉宏) | ||
Trpソロ良かったですね。北海道バンドらしく温かみのある骨太なサウンドで、どっしりと地に足がついた雄大なマーチになりました。スネアドラムが全体をよく引き締めていて好演。自由曲では緩急の変化に富んでいます。充実した低音群の上にバランス良くピラミッドが作られ、安定感抜群で非常に安心して聞くことができました。「誰も寝てはならぬ」の旋律が高らかに歌い上げられる部分は感動的でした。 | ||
11 | 中国 広島県 修道高等学校 (指揮/大咲司朗) ※2年連続2回目 | 銀賞 |
4/ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲 (Z.コダーイ/森田一浩) | ||
爽やかなマーチとなりましたが、ピッチが多少甘いのと全体的にこじんまりとした演奏になったのが惜しまれるところ。自由曲では一転、伸び伸びとしたサウンドを披露してくれました。曲の構成もよく考えられており、メリハリのある快演でした。フルート&ピッコロのソロも伸びやかで良かったです。 | ||
12 | 関西 京都府 洛南高等学校 (指揮/宮本輝紀) ※お休み明け12回目 | 金賞 |
1/ハリソンの夢 (P.グレーアム) | ||
Trpソロは安定した良い音で好演でした。序奏部分もちゃんと音楽が流れており難しい課題曲をしっかりモノにしていたように思います。楽器編成上木管の少ないバンドで、若干バランスの悪いところもありました。自由曲は話題曲「ハリソンの夢」をよく練習してます。今回は例年見せる楽器持ち替えによる人の移動が比較的少なく、視覚的にも音楽の流れを妨げることが無かったですね。しかし楽譜をさらうので精一杯という印象は拭えなかったように思います。今回、洛南名物の楽器の持ち替えは確認できたのは以下のとおり。(Sax⇔Cl、Ob⇔Fg⇔Perc、B.Sax⇔A.Cl、Euph⇔Tub、Trp+Hrn+Trb+Euph→トライアングル、Cb⇔Perc) 6年ぶりの金賞受賞で、関西代表3校全てが金賞となりました。 | ||
13 | 北陸 福井県 福井県立武生東高等学校 (指揮/植田薫) ※2年連続11回目 | 銅賞 |
4/エクスピエイション 〜贖罪〜 (天野正道) | ||
こじんまりとしていましたが、キレイに揃ったオープニングでした。比較的ゆっくりめのテンポのマーチでしたね。コントラバスが楽譜指定のアルコではなく、ピチカート奏法で演奏していたようです。メロディを大切にしているのがよく伝わってきましたが、リズムが若干重いようで全体としては躍動感に欠けたマーチという印象です。自由曲では難曲をよく練習されています。Tuttiでのサウンドは豊かですし、定評のある打楽器の上手さが光っています。ただ曲のせいもあるのでしょうか、色々大変なことをよくやっているのは分かるのですが、一本調子に聞こえてしまったように思います。また曲が進むにつれ、雑然となる場面が多くなってきて残念でした。 | ||
14 | 四国 愛媛県 愛媛県立松山中央高等学校 (指揮/岸 洋一郎) ※3年ぶり2回目 | 銅賞 |
2/「幻想交響曲」より V. サバトの夜の夢 (H.ベルリオーズ/淀彰) | ||
落ち着いたテンポのマーチでした。丁寧に丁寧に音を出している感じで、派手さはありませんが素直で飾り気の無い演奏で好感が持てました。逆に飾り気の無さのせいでアピール度が無く、コンクールにおいては仇となったかもしれません。自由曲は懐かしい選曲でした。難しい曲をよくさらっていますが、随所にツメの甘さが露呈していました。また全体を通しても軽めの音楽作りになっており、ベルリオーズの幻想としては何か物足りなさを感じてしまいました。 | ||
金賞5、銀賞6、銅賞3という結果。金賞は与野高(西関東)、埼玉栄高(西関東)、東海大高輪台高(東京)、愛工大名電高(東海)、洛南高(関西)。さすが全国大会だと感心したのは、課題曲1をやったバンドのTrpソロは全奏者が各人なりに成功させていたことです。コンクールでの緊張の中、誰一人として音を外したりすることが無かったのは流石です。金賞バンドの他には、東海大相模高(東関東)、福工大城東高(九州)が印象に残っています。 前半・後半を通しての金賞団体は、北海道1、西関東3、東京2、東海1、関西3。特に西関東・東京・関西の代表が全て金賞で、各支部の実力の高さを見せ付けました。また東関東3強が休みの今年は残念ながら同支部からは金賞が出ませんでした。 |
||
※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。 |
||