第53回全日本吹奏楽コンクール
平成17年10月22日(土) /大阪国際会議場

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大学の部

※ 一部、山内氏、金井氏の両氏にレポート協力をお願いしました。

1
関西 大阪府 近畿大学吹奏楽部 (指揮/守屋英二) ※2年ぶり23回目

1/大阪俗謡による幻想曲 (大栗裕)

輪郭のハッキリとしたクリアなサウンドです。課題曲の冒頭のファンファーレは音が硬く、バランスが悪かったと思います。やはりグランキューブでのコンクールの幕開けというのは緊張しますね。課題曲は終始ギクシャクした感じで進んでいってしまいました。自由曲も同様でしたが、後半から尻上がりによくなってきました。どこかカッチリしすぎた感じで、もっと曲の中での「遊び」や「ゆるさ」が表現できてくると良かったように思います。


2
西関東 埼玉県 文教大学吹奏楽部 (指揮/佐川聖二) ※2年連続15回目

3/紺碧の波濤 (長生淳)

課題曲はソフトなタッチの演奏で、この曲のもつ楽しさがよく現れていたと思います。今大会の課題曲3を演奏した団体での唯一の金賞バンドとなりました。自由曲は弱奏での音楽の流れが良くない部分もありましたが、曲中における緩急・明暗・強弱のコントラストが実に明確に、そして色彩豊かに表現されていました。和太鼓がサウンドに溶け込まない部分に違和感を感じましたが、全体的には流石と思わせる一体感がありました。2年連続9回目の金賞、おめでとうございます。

3
東海 静岡県 静岡大学吹奏楽団 (指揮/三田村健) ※3年ぶり5回目

4/ハリソンの夢 (P.グラハム)

スッキリとしたオープニングでしたが、若干安定感に欠ける演奏でした。若さというか勢いに任せたような演奏で全体的には雑な印象を受ける部分が多々見受けられたのが残念。自由曲は難曲をよく練習してあるようで各人ともよく吹けていますし、音楽に勢いが十分に感じられました。後半のテンポの早い部分に関しては熱くなってしまったせいかサウンドが乱れて雑然としてしまい、一体感にかけてしまったようです。


4
北海道 札幌地区 浅井学園大学吹奏楽団 (指揮/菅原克弘) ※初出場

3/序曲「ピーター・ルー」 (M.アーノルド/近藤久敦)

緊張もあったでしょうか、全体的にこじんまりとしてしまい、この曲の持つ躍動感・ワクワク感といった部分がもっとほしいと感じました。自由曲でも奇麗に美しくまとめようとしているのがよく伝わってきます。フリューゲルホルン奏者がひな壇を降りて、木管セクションと一体にアンサンブルしていたのは十分効果的でした。オーボエソロははS.Saxで代用していましたが、もっとソリスティックな表現力がほしいですね。両方を通じて表現が消極的でおとなしい感じが拒めず、説得力に欠けていたように感じました。


5
東関東 神奈川県 神奈川大学吹奏楽部 (指揮/小澤俊朗) ※休み明け35回目

1/楽劇「サロメ」より 七つのヴェールの踊り (R.シュトラウス/M.ハインズレー)

課題曲はファンファーレも堅実に決まり、続くマーチも実に安定感がありました。曲のもつスケールの大きさ、荘厳な雰囲気がよく表現できていたと思います。特に打楽器群の気配りの素晴らしさが印象的。毎回感じることですが、このバンドの課題曲のクオリティの高さには脱帽です。そして、自由曲はまさに十八番。重厚で色彩豊かなサウンドに加え、オーボエやフルートをはじめとするソロも格調高い演奏で素晴らしいサロメとなりました。指揮者もバンドもこの曲を掌握しきった感があり自信に満ち溢れています。休み明けを19回目の金賞で飾りました。


6
東京 東京都 駒澤大学吹奏楽部 (指揮/上埜孝) ※2年連続18回目

1/交響曲第5番「革命」作品47より 第4楽章 (D.ショスタコーヴィチ/C.B.ライター)

冒頭のファンファーレの安定感は特筆もの。個々の音の厚みが素晴らしく、それがファンファーレとなった場合のサウンドも秀逸でした。全員が同じベクトルをもったマーチは非常に秀逸でした。自由曲「革命」では駒澤サウンド全開。デッドなホールだということを忘れさせるくらいに重厚なサウンドを響かせており、終曲に向かう緊張感、高揚感がなんとも言えず素晴らしかったと思います。一つ前の神奈川大が水彩画のような細やかな表現で勝負してきたのに対し、駒澤大は油絵のような力強いタッチの音楽であったと感じました。2年連続16回目の金賞、おめでとうございます。


7
九州 福岡県 福岡教育大学吹奏楽部 (指揮/平山貴博) ※3年ぶり4回目

2/「シンフォニア・タプカーラ」より 第1楽章 (伊福部昭/松木敏晃)

非常に美しくまとまったサウンドで堂々たるオープニングでした。音楽の流れも十分素晴らしく爽やかな仕上がりになっていたと思います。自由曲は丁寧な音楽作りが印象的で、個々の奏者のレベルもなかなかと感じました。オーボエがよく音楽を引っ張っていましたが、音が薄くなるとアンサンブルが不安定になるのは今後の課題でしょう。全体的には綺麗にまとめすぎの感があり、もっと土俗的で野生的な表現がほしいと感じました。


8
東北 宮城県 東北福祉大学吹奏楽部 (指揮/松崎泰賢) ※3年連続4回目

1/残酷メアリー (田村文生)

重厚なサウンドで骨太なマーチでした。テンポ感というよりも拍の感じ方が後ろにあるような感じで、推進力がもう一つといった印象を受けました。自由曲ではEuphソロがお見事。一歩間違えば無機質な音の羅列になりがちな現代曲を情熱的に演奏していたのが印象的です。個々の奏者はかなり高い技術を持っているようで、今後が楽しみですね。(来年は3出休みですが…) これまでの東北福祉大の出場の中では非常に良い演奏を聞かせてくれたと思います。


9
中国 岡山県 川崎医療福祉大学ハートフルウインズ(指揮/岩田俊哉)※2年連続4回目

2/ブルーシェイズ (F.ティケリ)

分厚いサウンドで華やかなオープニングでしたが、リズムが重く細部におけるピッチの悪さ、アンサンブルの乱れが露呈したのは残念でした。自由曲では一転、軽快な幕開けで多彩なサウンドを聞かせました。ソロも流暢な音楽表現で見事だったと思います。多少勢いに任せた感もありますが、何よりも積極的に何かを表現しようとする姿勢が十分に伝わる快演だったと思います。過去3回は銅賞でしたが、今回初の銀賞受賞でステップアップ。「銀賞」のアナウンスに素直に喜びを見せたメンバーの姿勢にも好感がもてました。


10関西 京都府 立命館大学応援団吹奏楽部 (指揮/篠原康浩)※2年連続2回目

1/管弦楽のための舞踏詩「ラ・ヴァルス」 (M.ラヴェル/天野正道)

課題曲冒頭は少々力みすぎのファンファーレでしたが、明るい音色でよく響かせました。マーチも流れが良い好演で、後半は尻上がりに良くなっていったと思います。要所でのTrpが不安定だったのが惜しかったですね。自由曲では、各セクションのフレーズの受け渡しが上手くスムーズな音楽運びでしたね。木管セクションがしなやかなアンサンブルを聞かせ色彩感も十分。ただ、曲が単調なせいでしょうか、ちょっと退屈な演奏になってしまったように感じました。


11
東京 東京都 玉川大学吹奏楽団 (指揮/田中旭) ※初出場

2/交響曲第2番 (F.ティケリ)

こじんまりとしていましたが、破綻することない安定したマーチでした。若々しい爽やかさは十分に出来ていましたが、マーチ特有の躍動感・推進力は今ひとつといった感があります。ただ変な小細工をしない正攻法の演奏には好感が持てました。自由曲は難しそうな曲ですね。楽器から出す音にためらいがなく、細かいパッセージもよく吹けていました。全体的には緩急や強弱のコントラストがもっと表現できればと思います。しかしながら初出場で見事金賞受賞。東京代表としては5年ぶりのダブル金賞、おめでとうございます。


12
北陸 富山県 富山大学吹奏楽団 (指揮/前田佳美) ※4年ぶり2回目

2/二つの交響的断章 (V.ネリベル)

課題曲において、指揮者は4拍子を全てキッチリと振りすぎだったと思います。早めのテンポも手伝ってか音楽に落ち着きがありませんでした。初の女性学生指揮者かなと思いますが、今後研鑽を積んで頑張っていただきたいと期待したいですね。さて、自由曲。金管主体の輝かしいサウンドはネリベル作品には良くマッチしていました。ソリストも好演でしたね。楽譜どおりには吹けているのですが、もっと積極的な表現力が加わればと思います。



※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。
(四国は代表なし)


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