一般の部 ※ 一部の団体について、友人のY氏、K氏の両氏にレポート協力をお願いしました。 |
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1 | 関西 滋賀県 大津シンフォニックバンド (指揮/森島洋一) ※3出明け8回目 | |
5/ウインドオーケストラのための「ディテュランボス」 (高昌帥) | ||
流石ともいえる目の覚めるような色彩感豊かなサウンドでしたが、音量がこのホールでのキャパを超えてしまったように感じます。課題曲がやや急いだ演奏で、途中で歯車が合わない箇所もあり消化不良のまま終わってしまいました。自由曲は重厚なサウンドで熱演。横綱級の演奏で十分に魅せましたね。残念ながら3出明けを金賞で飾ることはできませんでした。2回の銀賞はともにこの宇都宮市文化会館となり、同バンドにとってはこのホールが鬼門となってしまいましたね。 | ||
2 | 九州 鹿児島県 松陽高校OB吹奏楽団 「緑」 (指揮/眞邉省至) ※8年ぶり2回目 | |
1/バレエ音楽「白鳥の湖」より (P.チャイコフスキー/淀彰) | ||
一般バンドには珍しく女性が中心のバンドですね。課題曲はではサウンドの安定は感じられたましたが、音色やピッチを含むアンサンブルの乱れが気になりました。全体的に表現がおとなしい印象があり、個性的なバンドが揃うこの部門では象徴アピール不足かもしれません。自由曲では品のある美しいサウンドでしたが、全体的に単調な作りという印象。もう一つ殻を破れないもどかしさがありました。 | ||
3 | 東関東 千葉県 土気シビックウインドオーケストラ (指揮/加養浩幸) ※3年連続9回目 | |
5/組曲「惑星」より 木星 (G.ホルスト/建部知弘) | ||
課題曲は鋭い解釈による音楽的な表現が見事でした。多少力みはありましたが、色彩豊かで、スピード感のあるサウンドで大変素晴らしいですね。東関東大会での課題をしっかり克服し、全国大会にしっかり照準を合わせてきたのは流石です。自由曲も立体的で流暢な音楽作り。充実した低音群に支えられ、良く知られた曲を聞かせどころのツボをしっかり押さえた演奏で風格さえ感じました。昨年の雪辱を果たし、2年ぶり7回目の金賞受賞です。 | ||
4 | 西関東 埼玉県 川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団 (指揮/福本信太郎) ※2年連続12回目 | |
5/鳳凰が舞う 〜印象、京都、石庭、金閣寺〜 (真島俊夫) | ||
課題曲は非常にクオリティの高い演奏でした。重厚でしかもシャープなサウンドがこの曲にはよく合ってますね。自信に満ち溢れた印象があり安心して聞くことができました。自由曲は真島氏の「三つのジャポニスム」の続編といった感じの曲で大変楽しめました。委嘱作品ということもあり、これまでにも初版・改訂版と進化をしてくる中で、しっかりと曲そのものを掌握しきっているという感じです。技術的に上手いのは確かですが、そんなことよりもバンドが奏でる世界観に引き込まれてしまうほど魅力的で、「脱帽」の一言に尽きますね。2年連続9回目の金賞受賞です。 | ||
5 | 九州 鹿児島県 J.S.B.吹奏楽団 (指揮/東久照) ※2年連続6回目 | |
3/「交響組曲第1番」より (天野正道) | ||
課題曲は最初からエンジンがかからず、パルスがあまり感じられない印象でした。そのせいでしょうか、旋律のノリがよくなく音楽全体の流れが悪かったように思います。結局は消化不良とような印象で曲が終わってしまいました。自由曲は同バンドにとってはお得意の天野作品。課題曲とは一転し流暢な音楽作りでした。表現にも積極性があり、合唱も効果的でした。スケールの大きい豊かな音楽です。課題曲がもう少しよければと惜しまれます。 | ||
6 | 北陸 石川県 百萬石ウィンドオーケストラ (指揮/安嶋俊晴) ※2年連続7回目 | |
3/「スペイン狂詩曲」より IV. 祭り (M.ラヴェル/仲田守) | ||
課題曲は冒頭の木管低音群のパルスがバンドにブレンドせず、違和感を感じました。音楽作りも主張が見られますが、どこか作為的過ぎる箇所が多かったように思います(良し悪しは別として…)。自由曲はコンクールではすでに定番となった曲でもあり、かなりのクオリティを出さないと良い評価には繋がらないと思います。ソリストはよく吹けていたと思いますが、どうも全体的に音楽が平板に聞こえました。色彩感がもっと出ると良かったと思います。 | ||
7 | 東北 秋田県 大曲吹奏楽団 (指揮/小塚類) ※2年連続11回目 | |
3/ゴシック (木下牧子) | ||
課題曲は期待通りの素晴らしい演奏。おそらくこの日一番のパルセイションではなかったでしょうか。期待通りの小塚節も随所に聞くことができ、見事にコントロールされた秀演でした。ラストは多少の大味気味ではあったものの、これもバンドの個性と許せる魅力がありました。自由曲として選曲された木下牧子作曲の「ゴシック」は力強くも品のある作品でした。「コンクール的」な作品がもてはやされる昨今、それとは一線を隔した良作であり、同時に指揮者・バンドの音楽性をフルに表現できていたと思います。2年連続5回目の金賞受賞です。 | ||
8 | 東海 静岡県 浜松交響吹奏楽団 (指揮/浅田享) ※3年連続9回目 | |
5/交響組曲「ガイア」より 第2楽章 人類が地球環境に及ぼす影響を考察する楽章 −文明の発展、戦争そして崩壊− (天野正道) |
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課題曲は冒頭のオーボエソロはビブラートには若干の違和感を感じました。全体的にはどのパートも吹き過ぎで音が客席にストレートに飛んでおりサウンドのまとまりに欠けていました。自由曲はメッセージ性の強い作品であり充分聴き応えのある演奏でした。オーボエソロは秀逸で木管のアンサンブルは美しく品がありました。しかし、このホールでの強奏時のバランスに難がありましたね。特に打楽器群が管楽器を全てかき消す箇所が多かったのと、金管群の発音が強すぎる部分が多かったと思います。Tuttiでは金属的なサウンドで耳に痛く感じました。 | ||
9 | 西関東 埼玉県 川越奏和奏友会吹奏楽団 (指揮/佐藤正人) ※2年連続8回目 | |
5/「祝典のための音楽」より I. ファンファーレ II. 間奏曲 III. 舞曲 (M.グールド/天野正道) | ||
フルパワーで演奏するバンドが多いなか、大変抑制のきいた理性的な演奏を聞かせてくれました。課題曲は隅々までアナリーゼされており、奏者がしっかり役割を果たした演奏。自由曲は三つの楽章からの抜粋版ですが、短い時間の中で非常にうまく構成された演奏だったと思います。トランペットのソリストは、ひな壇最上段の上手側でずっと立奏でしたが、安定した見事な演奏で拍手!!! 特にTuttiでの豊かで色彩感のあるサウンドは素晴らしく魅力的。またそれ以上に弱奏時での安定感の良さはバンドの実力の高さを物語っていると思います。吹奏楽コンクールにまた新たなレパートリーを提示してくれた秀演であり、3年ぶり6回目の金賞受賞となりました。 | ||
10 | 東京 東京都 東京正人吹奏楽団 (指揮/鈴木正人) ※2年連続3回目 | |
1/ウインド・ブリッツ (D.ブージョアー) | ||
課題曲はテンポのばらつきが目立ち全体的な安定感にかけ、ソリストの若干の表情不足は否めませんでした。しかし予選、都大会、と着実にそのクオリティは向上していたと思います。全体的にはキッチリまとめようとした演奏で、どこかに緩んだ部分もあるとメリハリも利いたのではないでしょうか。自由曲は張りのある、密度の濃い演奏が好印象。強奏になると破裂音のみという箇所がいくつかあり残念でしたが、全体的なサウンドには艶もあり、ホールのキャパシティに適した演奏だったと思います。昨年よりも着実に実力向上しており、今後はバンドのカラーをどうアピールするかが課題かもしれません。 | ||
11 | 東関東 神奈川県 横浜ブラスオルケスター (指揮/中村睦郎) ※3出明け5回目 | |
5/吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より I. 衝動 II. 情緒 IV. 陽光 (高 昌帥) | ||
課題曲は丁寧な仕上げ方で、みなぎる自信を感じました。この曲は難曲だと思いますが、このバンドのパフォーマンスを聞いていると「普通に演奏している」印象を受けます。個々がクリアに聞こえ、音の一つ一つがしっかりと奏でられていて、ごまかしのない演奏でした。自由曲でも高いレベルの音楽を聞かせてくれました。勢いと安定のちょうど良いところをドライブしていた感じの好演で、強奏になってもしっかりピッチがあっており、サウンドにまとまりがありました。このレベルの演奏でも銀賞に終わってしまうのは厳しいですね。 | ||
12 | 中国 岡山県 倉敷市民吹奏楽団グリーンハーモニー (指揮/佐藤道郎) ※3出明け9回目 | |
3/四つの交響的印象「教会のステンドグラス」より (O.レスピーギ/藤田玄播) | ||
課題曲ではバンド全体の音の勢いが強すぎて、かえって荒い印象となりました。特に金管セクションの発音が荒く、音楽の流れを妨げてしまったように感じました。自由曲は「1.エジプトへの逃亡」と「2.大天使ミカエル」を演奏。課題曲に比べると格段の出来。特にサウンドがシンフォニックで立体的であったと思います。このバンドは打楽器をひな壇最上段にセットし、ホルンをステージ下手にセットしていました。そのせいでしょうか、打楽器とバンドのブレンド感が良く、ホルンがよく響いてきて終曲への盛り上がりが実に素晴らしいものとなりました。惜しむらくは木管セクションに艶が欲しかったですね。 | ||
13 | 関西 大阪府 創価学会関西吹奏楽団 (指揮/伊勢敏之) ※3年連続12回目 | |
1/科戸の鵲巣 〜吹奏楽のための祝典序曲 (中橋愛生) | ||
大人数の編成で重厚なサウンド。今回、多くのバンドがホールのキャパシティを超えてしまっている中、サウンドをしっかりステージでまとめあげて客席に届けている数少ないバンドでした。強奏時にもうるさくないのは素晴らしいですね。課題曲は全体に引き締まった完成度・感銘度の高い演奏。自由曲は高度なテクニックと色彩感溢れる演奏で、期待以上のものを聞かせてもらいました。フルートソロも秀逸。終曲に向かうバンドの一体感・高揚感が素晴らしく、聴衆をステージに釘付けにしたことは間違いないでしょう。3年連続11回目の金賞受賞です。 | ||
14 | 北海道 札幌地区 ウインドアンサンブル・ドゥ・ノール (指揮/仲田守) ※3出明け4回目 | |
3/「ハリウッド組曲」より I. 撮影所−掃除人、II. 代役(ワルツ)、V. 上演ナンバー、VI. ミュージカルスター 全員の踊り (F.グローフェ/仲田守) |
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課題曲は強奏・弱奏のコントラストがしっかり出ていてメリハリがありました。全体的にはテンポの乱れ、音色の調整といったバランスを欠く部分がありました。またTuttiでのサウンドに濁りがあるので、曲が盛り上がってきてもスッキリしないのが残念でした。自由曲は理屈抜きに楽しめる演奏でした。音楽に躍動感・色彩感が備わり、「演奏する喜び」がストレートに伝わってくる秀演だったと思います。自由曲が良かっただけに、課題曲の出来が惜しまれます。 | ||
15 | 東北 宮城県 名取交響吹奏楽団 (指揮/近藤久敦) ※2年ぶり13回目 | |
1/シダス (T.ドス) | ||
課題曲はとても丁寧な演奏で、クリアですっきりした仕上がりでした。よくアナリーゼが行き届いており、一つ一つの音やフレーズを丁寧に「歌う」ことに神経を注ぐ姿勢には好感がもてます。課題曲でみせた姿勢は自由曲にもしっかり引き継がれ、表現を大切にした説得力のある演奏でした。重厚で安定感のあるサウンドで2曲とも聞くものを圧倒させるような一体感・集中力がありましたね。銀賞は惜しいなと感じる秀演の一つです。 | ||
16 | 四国 徳島県 BMSウインドアンサンブル (指揮/益田郁夫) ※初出場 | |
5/空中都市「マチュピチュ」 〜隠された太陽神殿の謎 (八木澤教司) |
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この課題曲は緻密な構成となっているので、細かいミスや乱れが生じると致命的ですね。曲が進行するにつれて粗が目立ち精彩を欠いてしまいました。ウッド・ブロックの音色は違和感があり、曲に馴染んでいなかったと思います。全体的には余裕の感じられない演奏でした。自由曲は演奏者にも表現に余裕が感じられましたね。サウンドにも色彩感が加わり伸びやかな表現力を聞かせてくれました。まだ若いバンドという印象がありますが、音圧の調整、穏やかな部分での音程や音色といった点での課題があるようです。 |