高校・前半の部 |
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1 | 東関東 千葉県 習志野市立習志野高等学校 (指揮/石津谷治法) ※3年連続22回目 | |
2/バレエ音楽「くるみ割り人形」より 松林での情景、コーダ、王子とこんぺい糖の精の踊り (P.I.チャイコフスキー/石津谷治法) |
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朝一番とは思えないほどリラックスした雰囲気の演奏でした。習志野らしい柔らかなサウンドに加えてキレのある課題曲だったと思います。ソリストが秀逸で音楽の流れの良い自然体の演奏でしたが、全体的にはドライブ感がもう少し欲しいかなと感じました。課題曲の最後の音が消えた瞬間、一呼吸おいてすぐに自由曲が始まったのは興ざめではありましたが、「くるみ割り」は非常に表情豊かで素晴らしいものでした。何よりも楽しそうに演奏しているのが伝わってきます。色彩や緩急の変化もよく出ており、バンドのカラーを十分に出した演奏でした。 | ||
2 | 九州 福岡県 福岡工業大学附属城東高等学校 (指揮/屋比久勲) ※2年連続25回目 | |
3/エルフゲンの叫び (G.ローレンス) | ||
朝早い出番にもかかわらず楽器がよく鳴っています。Tuttiのサウンドは非常に豊かでゴージャスですね。課題曲ではどっしりとした確かなパルスの上で奏者全員が確かなベクトルに向かって演奏している秀演でした。自由曲は冒頭のオーボエのデュオが素晴らしい! 決してアピール性の強い作品ではないと思いますが、大地にどっしりと根をはった大樹のような安定感のあるサウンドと、湧き上がるような旋律の美しさが秀逸。例年Tuttiは圧倒的で定評がありますが、今年は更に木管群のしなやかさがより引き立った印象を受けました。2年連続12回目の金賞受賞、おめでとうございます。 | ||
3 | 東海 長野県 長野県長野高等学校 (指揮/松井深之) ※3年ぶり2回目 | |
2/「スペイン狂詩曲」より IV. 祭り (M.ラヴェル/森田一浩) | ||
課題曲は力みのない自然体の演奏でした。冒頭は柔らかいサウンドで優美なアンサンブルでしたね。続くミュートトランペットもシャープで見事。早い部分はドライブ感が良く出ており流れが良く、ソロが連続する部分も失速することなく最後までスピード感がありました。自由曲は大変情熱的な演奏。ソリストも高いレベルでしたし、特にイングリッシュホルンは妖艶で素晴らしかったと思います。終曲へ向かう躍動感と高揚感も見事で、まさに「熱演」という言葉ピッタリでした。 | ||
4 | 四国 愛媛県 愛媛県立北条高等学校 (指揮/石村新吾) ※初出場 | |
3/三つのジャポニスム (真島俊夫) | ||
木管・金管が良くブレンドされた厚いサウンド。課題曲は楽譜に忠実。特に奇をてらうようなことはしていませんが、バンドの一体感・集中力が素晴らしいと感じました。自由曲では更に集中力がアップ。メリハリのよく効いた演奏で曲の魅力をよく出せていたと思います。「鶴が舞う」でのサウンドの色彩感、「雪の川」でのソプラノサックス、フルートソロも見事。特に木管セクションのサウンドが素晴らしいです。「祭りではラストに向けての盛り上がりも十分。(Tuttiになるとちょっとチューバのタンギングが荒く感じましたが…) 銅賞ではありましたが、非常に感銘度の高い演奏でした。 | ||
5 | 関西 兵庫県 兵庫県立明石南高等学校 (指揮/谷口昌弘) ※2年連続3回目 | |
3/交響詩「ローマの祭」より 主顕祭 (O.レスピーギ/吉永陽一) | ||
全員譜面台をよけての暗譜での演奏。よくアナリーゼされています。ミステリアスな表現も上手で説得力のある演奏だったと思います。前半のパルセイションの中では個人的に一番好きですね。自由曲も曲の雰囲気をしっかり表現できた秀演。下手をするとただ賑やかなだけの曲になりがちですが、明石南は色彩感&躍動感に溢れていて、聞きなれたこの曲を実に新鮮に感じることができましたね。トランペット、トロンボーンソロも秀逸。ラストに向かうスピード感も素晴らしいと思います。これで銅賞は厳しいですね。非常に心に残った演奏でした! | ||
6 | 西関東 埼玉県 春日部共栄高等学校 (指揮/都賀城太郎) ※3年連続4回目 | |
1/科戸の鵲巣 〜吹奏楽のための祝典序曲 (中橋愛生) | ||
クリアでシャープなサウンドですね。課題曲のテンポの速い部分はそのサウンドがよくマッチしています。中間部の歌いこみには若干の物足りなさも感じましたが、全体的にはかなりレベルの高い演奏でした。自由曲はスピード感のある演奏。集中力の高さが客席まで伝わるようで、息をするのも忘れるくらいステージに引き付けられます。ホールに響くサウンドとこの曲のもつ不思議な雰囲気に一気に包まれたまま、あっという間に時間が過ぎていった気がします。個々の奏者のレベルの高さに裏打ちされた安定感のある演奏で2年連続3回目の金賞受賞です。 | ||
7 | 関西 大阪府 明浄学院高等学校 (指揮/小野川昭博) ※4年ぶり5回目 | |
1/バレエ音楽「中国の不思議な役人」より (B.バルトーク/小野川昭博) | ||
課題曲は落ち着きのある出だしで期待がもてました。トランペットソロはスタンドプレイ(今大会では唯一でしたね。)で聞かせましたが丁寧で確実な演奏で素晴らしかったと思います。続くホルンのソリもよく響いておりGood。中間部での大らかな表現、ラストへの音楽の勢い等ポイントを押さえた良い演奏だったと思います。自由曲ではバンドの実力を十分に出せた快演ではなかったでしょうか。特にクラリネット群が素晴らしく印象に残りました。トロンボーン2名のソリも秀逸。ラストへの緊迫感・スピード感も見事で、TBTがこれまでに聞いた全国大会での同バンドの演奏の中では一番良かったと思いました。 | ||
8 | 北海道 札幌地区 東海大学付属第四高等学校 (指揮/井田重芳) ※3年連続26回目 | |
1/管弦楽組曲「第六の幸運をもたらす宿」より (M.アーノルド/瀬尾宗利) | ||
課題曲は冒頭のアンサンブルが緻密で見事。トランペットソロはコンパクトで非常に上手でしたね。隅々までアナリーゼされ、見事な構成の演奏でした。音楽作りも実に自然であり心地良いサウンドで、前半の課題曲1の中では一番素晴らしいと感じました。自由曲ではすでに聞きなれた曲ですが、ここまでレベルの高い演奏を披露することは並大抵のことではありませんね。スケールが大きく立体的な演奏です。全楽章からのハイライト版といった感じで、多少強引なカットではありましたが、メリハリのある構成で「聞かせて・魅せる」演奏は流石。2年連続13回目の金賞受賞、おめでとうございます。 | ||
9 | 中国 岡山県 おかやま山陽高等学校 (指揮/松本壮史) ※2年連続5回目 | |
1/「管弦楽のための協奏曲」より V. 終曲 (B.バルトーク/仲田守) | ||
相変わらずゴージャスなサウンドでしたが、今年は比較的硬いかなという印象。課題曲は各パートが大変クリアに聞こえてくる反面、どれも客席にストレートに飛んできてバンド全体のブレンド感に乏しかったようです。ソリストは艶のある音色で好演。中間部は表情豊かに歌いあげ、終曲に向かう勢いも見事でした。自由曲は勇壮なホルンでスタート。続く木管の早いパッセージは日頃の練習の賜物!課題曲同様、サウンドはクリアなのですがやはりブレンド感に欠け、発散気味になってしまいました。2曲通してTutti時のサウンドが金属的な感じで、柔らかさやしなやかさに乏しい印象が残ったのが残念。 | ||
10 | 東京 東京都 東海大学付属高輪台高等学校 (指揮/畠田貴生) ※2年連続4回目 | |
1/バレエ音楽「ガイーヌ」より 前奏曲、友情の踊り、アイシェの孤独、剣の舞、収穫祭 (A.ハチャトゥリャン/中原達彦) |
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大変洗練された色彩豊かなサウンド。課題曲では手馴れた演奏で安定感がありました。トランペットソロも秀逸。木管群のしなやかさな表現力が素晴らしいですね。自由曲はお馴染みの曲を豪快にそして爽やかに演奏してくれました。各パートは輪郭がはっきりとクリアに聞こえてきますがサウンドはしっかりとまとまっており、Tuttiでの一体感が実に素晴らしいと思います。短い時間の中に5曲を織り交ぜて披露しましたが、色彩の変化、緩急のつけ方等しっかりと構成されており、楽しませてもらいました。これで2年連続4回目の金賞。「出れば金賞」を更新、おめでとうございます。 | ||
11 | 東北 宮城県 宮城県泉館山高等学校 (指揮/細倉博) ※初出場 | |
3/歌劇「トスカ」ファンタジア (G.プッチーニ/淀彰) | ||
「全国大会、普門館」といったような力みがなく、普段の「自然体」の演奏を聞かせてくれました。課題曲では堅実な演奏ではありましたが、やるべきことはしっかり出来ていたと思います。強奏になってもオーバーブロウすることなく、バランスの取れたサウンドでした。自由曲は素晴らしいホルンセクションでスタート。めまぐるしく変化する場面を表情豊かに熱く演奏できており、緩急・強弱のメリハリも十分です。弱奏でのアンサンブルにも余裕がありますね。 | ||
12 | 九州 鹿児島県 鹿児島県立松陽高等学校 (指揮/立石純也) ※3年連続5回目 | |
1/楽劇「サロメ」より 七つのヴェールの踊り (R.シュトラウス/小澤俊朗) | ||
すっきりとしたサウンド。例年通りの小細工のない正統派の演奏ですね。どのパートも突出することなく全体のバランスがきちんと保たれています。軽やかなトランペットソロに始まり、ホルン、クラリネットの湧き上がるような旋律の波が実に心地よく響いていました。ツボを押さえた打楽器群も素晴らしかったと思います。自由曲は色彩感と妖艶な雰囲気を兼ね備えた演奏でした。オーボエ、フルート のソロの素晴らしさはもちろん、木管セクションの絶妙なアンサンブルは見事でした。終曲へのスピード感、高揚感も十分で、金賞でも申し分ない演奏だったと思います。 | ||
13 | 西関東 埼玉県 埼玉栄高等学校 (指揮/大滝実) ※2年連続17回目 | |
1/歌劇「トゥーランドット」より (G.プッチーニ/後藤洋) | ||
課題曲では堅実な演奏ではありましたが、なかなかエンジンがかからないなという印象。クラリネットの音が開き気味かなと感じましたが、全体の合奏力の高さは素晴らしいですね。Tuttiでのサウンドには厚みがあり、安定感抜群でした。自由曲は大変ドラマチックな演奏で見事でした。オーボエソロは秀逸。中間部では木管セクションの実力を十二分に発揮し、変幻自在な演奏を聞かせてくれました。終曲への高揚感も素晴らしく、圧倒されるだけでなく感動的な演奏だったと思います。昨年の雪辱を果たし3年ぶり14回目の金賞受賞です。 | ||
14 | 東北 秋田県 秋田県立秋田南高等学校 (指揮/阿部智博) ※3年連続24回目 | |
3/「交響三章」より 第3楽章 (三善晃/天野正道) | ||
課題曲はかなり早いテンポでしたが、こういった解釈もあるのかと驚きました。ドライブ感のある生き生きとしたパルスの上で旋律は慌てることなくしっかりと歌いこみができていましたが、全体的にはどこか「座りの悪い、急かされた印象」が残りましたが、バンドの独自性を十分に出した秀演だったと思います。自由曲は難曲を確かな技術力で好演。この曲独特のミステリアスで緊迫した雰囲気も表現できています。秋田南の醸し出す世界に聴衆をしっかり包み込んでおり、説得力のある演奏は見事としか言いようがありません。 | ||
15 | 北陸 富山県 富山県立高岡商業高等学校 (指揮/神田賢二) ※5年ぶり23回目 | |
1/交響詩「ローマの祭」より チルチェンセス、主顕祭 (O.レスピーギ/仲田守) |
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課題曲は全体的に浮き足立った感じで、もう少し落ち着きがあると良いですね。強奏になるとチューバの音が割れてしまっているためか、低音群のまとまりに欠けました。自由曲、チルチェンセスではバンダトランペット3人がステージか上手で演奏。決して完璧なサウンドとはいえないと思いますが、この曲のもつ「賑わい、騒がしさ、勇壮さ」といった部分はよく表現できている演奏だったと思います。細かいミスはいくつもあったと思いますが、それもご愛嬌と受け止めてしまえるような雰囲気をもった快演でした。 |
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