高校・前半の部 |
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1 | 東関東 茨城県 常総学院高等学校 (指揮/本図智夫) ※3年連続14回目 | |
1/交響詩「ローマの噴水」より 朝のトリトーネの噴水、昼のトレヴィの噴水。黄昏のメディチ荘の噴水 (O.レスピーギ/本図智夫) |
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課題曲は一つ一つの音を丁寧に確実に演奏していました。普門館でのサウンドの作り方をしっかりと心得ているようで、終始安定した音楽を聞かせてくれました。バンドの本領を発揮したのは自由曲でしたね。バランスの取れたシンフォニックなサウンドに色彩感が加わり、この曲を色鮮やかに表現できています。強奏でのホール全体を包み込むようなサウンドが見事なのはもちろんですが、弱奏でも音楽の流れが失われないのは素晴らしいですね。ラストの静かな部分は常総ならではの世界で、聴衆を魅了したと思います。昨年の雪辱を果たして2年ぶり12回目の金賞です。 | ||
2 | 北海道 北見地区 北海道遠軽高等学校 (指揮/今井成実) ※3年連続8回目 | |
1/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より 夜明け、全員の踊り (M.ラヴェル/佐藤正人) | ||
厚いサウンドで安定感があるのですが、ちょっと重い雰囲気がありました。課題曲はよく吹けているし、ソリストも非常に上手でしたが全体的にはバタバタした印象を受けました。自由曲は非常に熱演。「夜明け」はちょっと賑やか過ぎました。サウンドが明るすぎたのか、あのぼんやりとした幻想的な雰囲気がもっとあるといいですね。「全員の踊り」では各奏者高いテクニックでよく演奏できているのですが、全体的に気合が入りすぎという感じで、もっと曲の中での緩急やメリハリが出せるとよかったのではないでしょうか。 | ||
3 | 東海 愛知県 愛知工業大学名電高等学校 (指揮/伊藤宏樹) ※2年連続31回目 | |
1/ダンス・ムーブメント (P.スパーク) | ||
課題曲冒頭は丁寧でしっとりしたアンサンブル、舞曲のような軽やかなトランペットソロに続き、各セクションが高いレベルの演奏を聞かせてくれました。中間部の余裕ある伸びやかな表現力は流石。自由曲の冒頭は、H.ミュートのトランペットとハープによる不思議なサウンドでスタート。続く金管セクションの重厚なサウンドで高らかに歌い上げる部分は大変聞き応えがありました。躍動感・色彩感のあるサウンドで、この曲を実に楽しく爽快に演奏してくれました。ホルンセクションのレベルの高さは特筆。バンド全体でも個々人の技術力の確かさがよくわかる見事な演奏だったと思います。 | ||
4 | 北陸 石川県 金沢市立工業高等学校 (指揮/幸正勤也) ※2年ぶり8回目 | |
1/歌劇「トゥーランドット」より (G.プッチーニ/後藤洋) | ||
のびやかで爽やかなサウンド。課題曲は小細工の無い自然体の演奏でしたが、程よく力の抜けたとこが良かったと思います。各ソリストも素晴らしい演奏でした。自由曲でも伸びのあるサウンド。特に音楽の流れが良く耳に心地良い演奏だったと思います。旋律もよく歌いこまれており、オーボエソロも秀逸。終曲に向かう高揚感と集中力が素晴らしく大変に感銘度の高い演奏となりました。過去に聞いた同バンドの演奏の中では一番良い出来だと思います。銀賞ではありましたが、感銘度が高く金賞に匹敵する秀演だったと思います。 | ||
5 | 東関東 千葉県 柏市立柏高等学校 (指揮/石田修一) ※3年連続19回目 | |
1/喜歌劇「こうもり」セレクション (J.シュトラウスII/鈴木英史) | ||
課題曲は隅々までアナリーゼされ音楽をしっかりと作り上げています。安定感のある伸びやかなサウンド、歌心が随所に現れた素晴らしい出来でした。自由曲はここ数年の選曲とは180度違うものとなりましたが、やはり実力のあるバンドはどのような曲を演奏してもレベルの高いものを聞かせてくれます。ピッチが良く合っており、Tuttiになっても透明感のあるサウンドでした。奇抜なパフォーマンスは無くてもこの曲の楽しさが本当によく伝わってくる名演でした。昨年の雪辱を果たし2年ぶり10回目の金賞受賞となりました。 | ||
6 | 関西 大阪府 大阪桐蔭高等学校 (指揮/梅田隆司) ※初出場 | |
1/交響詩「ローマの祭」より チルチェンセス、主顕祭 (O.レスピーギ/森田一浩) | ||
非常にすっきりとしたサウンドですが、全体に線が細くこじんまりした感じ。課題曲では音楽の流れがよく、力みのない演奏で豊かに歌い上げられていましたね。自由曲、「チルチェンセス」ではバンダトランペット3名がステージ下手側で演奏。全体的にはこの曲の持つ力強さには欠けましたが、丁寧な演奏には好感が持てました。Tuttiでもバランスが崩れない大変美しいトーンの響きは素晴らしいと思います。 | ||
7 | 四国 愛媛県 愛媛県立伊予高等学校 (指揮/高橋貞道) ※3年連続16回目 | |
1/交響詩「ローマの祭」より 十月祭、主顕祭 (O.レスピーギ/石村新吾、磯崎敦博) | ||
非常に素直な演奏でした。サウンドは明るく、各楽器の音がストレートに届きます。課題曲もよく研究されていますね。トランペットソロも堅実にこなし好演。音楽にドライブ感があり、非常に勢いのありますね。中間部もしっとりと歌いこまれていてソリストも秀逸でした。自由曲でも底抜けに明るいサウンドがよくマッチしていました。ピッチの乱れやバランスが崩れる部分は確かにありましたが、色彩豊かに曲想をしっかりと表現できた快演だったと思います。 | ||
8 | 中国 岡山県 岡山学芸館高等学校 (指揮/中川重則) ※7年ぶり7回目 | |
1/交響詩「ローマの祭」より (O.レスピーギ/森田一浩) | ||
大変ゴージャスなサウンドで、ブラスセクションが素晴らしいバンドでした。課題曲は多少大味な部分もありましたが美しくまとめられており、特に充実した低音群が特に素晴らしかったと思います。自由曲の「チルチェンセス」ではバンドトランペットがステージ上手で「ファンファーレトランペット」に持ち替えて演奏。ビジュアル的にも楽しませてくれましたね。「主顕祭」では色彩感・躍動感もよく出ていましたが、全体的に落ち着きがなく、ピッチの乱れやバランスの悪さが露呈してしまいました。 | ||
9 | 東海 愛知県 安城学園高等学校 (指揮/吉見光三) ※3年連続9回目 | |
2/喜歌劇「天国と地獄」序曲 (J.オッフェンバック/鈴木英史) | ||
柔らかく爽やかなサウンド。後半の部では「8連続・課題曲1」、「3連続レスピーギ」の後での安城の登場は聴衆の耳にも心地良く新鮮に響いたことでしょう。課題曲は序奏部分でのアンサンブルは非常に美しいですが、ミュートトランペットがキレを欠いたのが残念。ドライブ感はよく出ていましたが、流れが停滞する場合があり、また金管群の音の立ち上がりが鈍い部分が耳に残りました。自由曲では雰囲気が一転。クラリネット、オーボエ、サックス、フルートのソロも申し分無く素晴らしく、木管セクションを中心とした優雅なサウンドを随所に聞かせてくれたと思います。銅賞は厳しいと思いましたが、この日かなり印象に残ったバンドの一つでした。 | ||
10 | 中国 岡山県 明誠学院高等学校 (指揮/佐藤堯史) ※3年連続4回目 | |
1/喜歌劇「微笑みの国」セレクション (F.レハール/鈴木英史) | ||
期待通りのほんわりとした柔らかい「綿菓子のようなサウンド」。毎年感じますが本当に素晴らしい!! 課題曲は丁寧な演奏。伴奏群がしっかりと音楽を作っているので、旋律の歌いこみがより活きていたと思います。自由曲も充実した中低音に支えられた良い音を聞かせてくれました。木管群の歌い方も優美で陶酔感があり、聞いていて幸せな気分にさせてくれます。打楽器もツボを押さえており、Tuttiでもバランスが良かったです。終曲へ向かう高揚感も見事で聴衆を明誠ワールドにしっかり引き込みましたね。素敵な演奏をありがとうございました。 | ||
11 | 東京 東京都 東京都立片倉高等学校 (指揮/馬場正英) ※2年連続5回目 | |
3/楽劇「サロメ」より 七つのヴェールの踊り (R.シュトラウス/小澤俊朗) | ||
シンフォニックで洗練されたサウンドで素晴らしい演奏でした。課題曲は曲想をうまく表現しており、うまく構成されコントロールの効いた秀演です。Tuttiでの決して破綻しないバランスの良いサウンドですね。自由曲では更に色彩感を増したサウンドで、この妖艶な世界をしっかりと表現できていたと思います。オーボエソロも艶のある音色と表現で秀逸。安定した低音群と、しなやかな木管群が素晴らしかったと思います。終曲への盛り上がりも見事で圧倒されました。初の金賞受賞で、東京代表はアベック金賞ですね。おめでとうございます。 | ||
12 | 西関東 埼玉県 狭山ヶ丘高等学校 (指揮/佐々木隆信) ※4年ぶり5回目 | |
2/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より 夜明け、全員の踊り (M.ラヴェル/森田一浩) | ||
課題曲はすっきりとしたクリアなサウンドで、非常に軽快な演奏でした。音楽の流れが良く、ドライブ感、スピード感が素晴らしいですね。自由曲、「夜明け」では合唱も取り入れ幻想的な雰囲気を上手く醸し出していたと思います。「全員の踊り」は見事な集中力を見せ、ドライブ感、躍動感のある演奏でした。強奏になるとオーバーブロウ気味でうるさく感じるところがあったのが残念です。2曲通してバンドの色があまり出せていないような気もしました。 | ||
13 | 九州 福岡県 都築学園福岡第一高等学校 (指揮/山崎毅) ※3年ぶり8回目 | |
1/「管弦楽のための協奏曲」より V. 終曲 (B.バルトーク/仲田守) | ||
課題曲は音楽の流れにぎこちない部分があり、ドライブ感に欠けたように思います。表現も大味といった感じで、金管群のアタックがきつく全体的に雑然とした印象を残したと思います。自由曲ではホルンがちょっと乱れたのが惜しい。Tuttiでのサウンドが濁っていて、木管群の早いパッセージも埋もれてしまい不明瞭でした。課題曲同様、ドライブ感や躍動感がもっとほしいと思います。中間部以降からようやくエンジンがかかってきた感じでした。 | ||
14 | 東北 福島県 福島県立磐城高等学校 (指揮/根本直人) ※2年連続9回目 | |
3/「交響曲」より (矢代秋雄/根本直人) | ||
課題曲は比較的早めのテンポ設定。テンポに任せるだけでない音楽的に流れのよい演奏でした。無機質な演奏になりがちな曲を表情豊かにエネルギッシュに仕上げています。自由曲でも大変シャープなサウンドで各パートが鮮明に聞こえてきますが、Tuttiでのまとまりが大変素晴らしいです。第1楽章から少しと、第4楽章の途中からを演奏。(第4楽章の冒頭も聞きたかった…。) ピッコロ、ファゴットはブラボー!奏者全員の集中力の高さがよく伝わってきて最後までステージに釘付けになりました。5年ぶり3回目の金賞おめでとうございます。 | ||