高校・前半の部 |
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1 | 東関東 神奈川県 横浜創英中学・高等学校 (指揮/常光誠治) ※4年ぶり3回目 | |
4/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より 夜明け、全員の踊り (M.ラヴェル/森田一浩) | ||
課題曲は多少速めのテンポでしたが、程よいドライブ感が心地よく、よく整理されており美しい仕上がりでした。全体的には躍動感に乏しい感じです。「ダフニス〜」では「夜明け」ではもっと密やかなで幻想的な雰囲気がほしいですね。速いパッセージなどはよく吹けていますがサウンドに艶がないように思います。中間部のオーボエの楽器トラブルは残念ではありましたが、アクシデントにも他の奏者が動揺せずに流れが止まらなかったのは日頃の練習とチームワークの賜物とでしょう。「全員の踊り」もよく吹けていましたが、もっと高揚感があっても良いと思います。 | ||
2 | 中国 島根県 出雲北陵高等学校 (指揮/原田実) ※7年ぶり4回目 | |
4/歌劇「トゥーランドット」より (G.プッチーニ/後藤洋) | ||
伸びやかな表現のマーチでしたが、ビートが義務的でバンド全体の躍動感やマーチの楽しさ・爽快さに乏しい印象を受けました。自由曲では重厚なサウンドでスタート。冒頭のアンサンブルが乱れましたがうまくリカバリーできました。オーボエソロは音色も美しく秀逸。表現が平板な印象を受けましたが、後半からは尻上がりによくなったと思います。 | ||
3 | 関西 大阪府 大阪府立淀川工科高等学校 (指揮/丸谷明夫) ※3出休明け29回目 | |
4/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より 夜明け、全員の踊り (M.ラヴェル/立田浩介) | ||
ほどよく抑制されたオープニングでスタート。強奏はもちろんですが、弱奏が上手ですね。マーチはオーソドックスな作りながらも推進力があり、音楽の流れが秀逸でした。作為的ではなく自然体の正統派な演奏でした。自由曲の「夜明け」では細部にまで神経の行き届いた演奏で、幻想的で見事でした。「全員の踊り」でも高い集中力を見せ、まとまりのある演奏だったと思います。好みの問題もあるでしょうが、例年の横綱的な演奏には程遠く、休み明けのバンドによく見られるような不安定さも垣間見る演奏だったような気がします。21回目の金賞受賞です。 | ||
4 | 九州 福岡県 福岡県立嘉穂高等学校 (指揮/伏見宣秀) ※12年ぶり15回目 | |
4/ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲 (Z.コダーイ/森田一浩) | ||
明るくサウンドで、大変清々しいマーチです。バンド全体に力みがなく、自然な演奏と音楽運びで好感が持てました。「くじゃく」は冒頭の低音群はたっぷりと歌いこまれていて気持ちよいですね。木管セクションがしなやかで、全体的にスケールの大きい立体的な音楽作りだったと思います。フルートソロを期待していたのですが、カットされていたのは残念。 | ||
5 | 東北 福島県 福島県立磐城高等学校 (指揮/根本直人) ※3年連続10回目 | |
4/バレエ音楽「中国の不思議な役人」より (B.バルトーク/根本直人) | ||
輪郭のはっきりしたクリアなサウンドで音がストレートに飛んできました。しっかり構成されたマーチで申し分なかったと思います。自由曲ではよくコンクールで演奏される部分とは違う箇所をセレクトしており実に新鮮に聞こえました。ソリストの流暢な表現と、Tuttiでの色彩豊かなサウンドが融合して自由自在な音楽を作りあげました。クリアでストレートなサウンドが複雑に絡み合う「役人」にはマッチしており感銘度の高い演奏でした。十八番といえる選曲で見事2年連続4回目の金賞に輝きました。 | ||
6 | 東海 三重県 三重県立白子高等学校 (指揮/桐生智晃) ※25年ぶり4回目 | |
1/歌劇「トゥーランドット」より (G.プッチーニ/鈴木英史) | ||
すっきりした透明感のあるサウンドと軽快な表現で、この課題曲の魅力を十分に出せたと思います。程よく力の抜けた余裕のある耳に心地良いマーチでした。自由曲はアレンジの新鮮さもあったと思いますが、色彩豊かで変化に富んだ演奏を素直に楽しむことができる演奏です。課題曲同様、全体を通して透明感のあるサウンドに加え、「歌」を重視した表現力は見事でした。また来年も普門館で聴きたいバンドですね。 | ||
7 | 九州 福岡県 精華女子高等学校 (指揮/藤重佳久) ※3出休み明け13回目 | |
4/宇宙の音楽 (P.スパーク) | ||
期待通りの重厚なサウンド。冒頭は少々重いかなと感じましたが、そんな思いが吹き飛ぶほどのしっかり構成されたマーチでした。木管のしなやかさ、金管の力強さがしっかりとブレンドされた推進力を損なわない流暢な表現は流石です。自由曲では冒頭のホルンソロが素晴らしかった!! このソロで聴き手を十分ひきつけました。強奏でも弱奏でもバランスが良く、各セクションが細部までしっかりと音に出来ていたと思います。曲中のソロ群も秀逸。終曲へ向かっての集中力が素晴らしく圧巻で、休み明けを4回目の金賞で飾りました。 | ||
8 | 北陸 富山県 富山県立富山商業高等学校 (指揮/鍛冶伸也) ※3年ぶり29回目 | |
2/千載万葉の雪 (長生淳) | ||
落ち着きのある端正な演奏でしたが、金管セクションのサウンドが分散気味でTuttiでのブレンドがもう一つ。低音セクションのビートが多少弱く聞こえ、全体的にも躍動感に乏しいマーチになってしまいました。自由曲では大変重厚なサウンドで、スピード感のある演奏でした。全体にわたって強奏部分が多い曲でもあり、雑然とした印象は否めませんでした。打楽器は非常に息のあったパフォーマンスだったと思います。 | ||
9 | 東関東 千葉県 船橋市立船橋高等学校 (指揮/高橋健一) ※初出場 | |
4/「アルプス交響曲」より (R.シュトラウス/八田泰一) | ||
柔らかなサウンドでよくまとまった課題曲です。クラリネット群の音色がふくよかですね。非常に大らかな表現で清清しいマーチでした。アルプスでは色彩豊かでシンフォニックなサウンド。木管のしなやかな表現と艶のある音色が素晴らしく、金管セクションも安定感抜群でした。特にホルンセクション光っていました。強奏での輝かしさはもちろん終曲部できかせた弱奏での美しさが特に印象に残っています。東関東の御三家に隠れてこんな素敵なバンドがあったんですね。 | ||
10 | 西関東 埼玉県 埼玉県立伊奈学園総合高等学校 (指揮/宇畑知樹) ※3出休み明け10回目 | |
4/歌劇「薔薇の騎士」より (R.シュトラウス/J.コーベル、森田一浩) | ||
非常に柔らかく透明感のあるサウンドで素晴らしい演奏でした。音楽の中にしっかりと芯が通った演奏であり、マーチでの流暢なフレージングと、決め所を外さないポイントを押さえているのは見事。自由曲は前半の部での白眉。品のいいサウンドがこの曲によく合っていたと思います。各セクションのバランスも良く、特に木管の麗しく、しなやかな音色と正確なアンサンブルは前半では随一。終始、格調高い音楽を聞かせてくれたと思います。2年ぶり9回目の金賞です。 | ||
11 | 北海道 旭川地区 北海道旭川商業高等学校 (指揮/佐藤淳) ※8年ぶり7回目 | |
4/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より パントマイム、全員の踊り (M.ラヴェル/佐藤淳) | ||
大変明るく爽快なサウンドで、バンドが良く鳴っていますがバランスがいいですね。表現も大らかで曲想をよくつかんだマーチだったと思います。自由曲の「パントマイム」でのフルート群が本当に素晴らしかったです!大変幻想的で陶酔感のある自在な演奏を聞かせてくれました。「全員の踊り」でもバンドの一体感が見事でした。早いパッセージはもちろん技術の高さを見せ付けてくれました。終曲に向かう高揚感も見事で前半の「ダフニス」の中では一番の感銘度。金賞でも十分と思う演奏の一つです。 | ||
12 | 中国 広島県 鈴峯女子中学・高等学校 (指揮/宇根岡俊二) ※3出休み明け8回目 | |
2/交響詩「スパルタクス」 (J.ヴァン=デル=ロースト) | ||
輪郭の際立ったシャープなサウンドです。Tuttiになっても透明感を損なわないのは見事。マーチは美しく端正な仕上がりでしたが、躍動感や推進力が乏しい感じがします。自由曲では各セクションのとても丁寧な演奏が印象的。強奏になっても決して破綻することなく非常に節度がありました。全体的に品が良すぎる感じで、オリジナル作品よりも管弦楽編曲作品のほうがバンドにあっているような気もします。個人的にはこのバンドはもっと評価されても良いと感じるのですが…。 | ||
13 | 東京 東京都 東京都立片倉高等学校 (指揮/馬場正英) ※3年連続6回目 | |
3/「交響三章」より 第3楽章 (三善晃/小澤俊朗) | ||
クリアで透明感のあるサウンド。多少押さえすぎといった印象ではありましたが、安定感のあるマーチでした。自由曲は緊張感のある難曲を高い技術でものにしていました。各セクションのアンサンブル技術が高く、非常に流暢な音楽を聞かせてくれました。色彩感豊かで艶のあるサウンドがこの曲にマッチしており感銘度の高い演奏だったと思います。昨年から如実に変化した洗練されたサウンドがしっかりと受け継がれており、3出を2年連続2回目の金賞受賞でかざりました。 | ||
14 | 四国 高知県 高知県立高知西高等学校 (指揮/中山直之) ※3年ぶり2回目 | |
3/レッドライン・タンゴ (J.マッキー) | ||
歯切れの良い若さあふれるマーチ。旋律群のフレーズ処理に若干雑なところがありました。厚く明るいサウンドで好演でしたが、全体的にもたつきがあったのが残念。自由曲では一転、キレがあり非常に楽しめました。個人技が随所に光る曲ですね。全体通して荒さもありますが、ジェットコースターに乗っているような勢い・スピード感に溢れた演奏で引き込まれました。 | ||
15 | 大阪府 大阪桐蔭高等学校 (指揮/梅田隆司) ※2年連続2回目 | |
3/三つの交響的素描「海」より III. 風と海との対話 (C.ドビュッシー/上埜孝) |
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品のある透明感のあるサウンドです。木管セクションのしなやかな表現が秀逸。旋律もよく歌えていて洒落たマーチになっていました。自由曲でも質の高い音楽を聞かせてくれました。色彩豊かで艶のあるサウンドで、強奏になってもバランスが良いです。初出場の昨年からは着実にバンドが成長しており、来年が非常に楽しみだと感じました。 |
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