第58回全日本吹奏楽コンクール 平成22年10月30日(土)/東京・普門館 |
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中学・前半の部 |
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1 | 西関東 群馬県 伊勢崎市立赤堀中学校 (指揮/中里泰登) ※初出場 | |
4/ハリソンの夢 (P.グラハム) | ||
サウンドはすっきりとしていますが、朝一番のせいでしょうか音が飛んできませんでした。ピッチの不安定さも露呈し全体的なサウンドに透明感がなく貧弱でした。課題曲では旋律が淡々としており更に歌いこみがほしいところ。自由曲は大曲を持ってきての熱演でした。早いパッセージを演奏するといった部分は練習の成果が出ていますが、ブレスが浅く音が短くなってしまう部分が多々あり、フレーズ感の無いものとなってしまいました。初出場ながらも十分に実力をもったバンドだと思いましたので、来年につなげたいですね。 | ||
2 | 九州 福岡県 宇美町立宇美東中学校 (指揮/南 光俊) ※3年連続3回目 | |
1/吹奏楽のための神話〜天の岩屋戸の物語による (大栗裕) | ||
課題曲の冒頭アンサンブルは堂々した安定感のあるものでした。全体を通しても柔らかでしなやかな響きをもったバンドだと思いました。音楽の流れも良く、ラストのピッコロソロ非常に美しかったです。自由曲でも安定したサウンドとアンサンブルでしたが、安全運転気味な演奏でと感じました。フルート、クラリネットのソロは雰囲気もよく出ていて秀逸でした。バンド全体的にスピード感が乏しく、積極性がほしいと感じました。 | ||
3 | 西関東 埼玉県 越谷市立北中学校 (指揮/田中秀和) ※2年連続2回目 | |
2/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より (P.マスカーニ/宍倉晃) | ||
楽器の発音が明瞭でクリアなサウンドでした。課題曲は細部にわたってアナリーゼされており、演奏の主張が感じられるマーチでした。自由曲では大変柔らかで温かみのあるサウンドがこの曲に合っていました。合唱も取り入れ音楽の表情を変えるにも成功していました。Tuttiが大変豊かに響き、全体的にメリハリのある演奏でラストは感動的でした。 | ||
4 | 中国 山口県 周南市立岐陽中学校 (指揮/山本章子) ※2年ぶり2回目 | |
1/交響詩「ローマの噴水」より (O.レスピーギ/木村吉宏) | ||
面白いセッティングでしたね。フルート、オーボエはTrp・Trbの前にセットしオーケストラのような配置。自由曲での演奏効果を狙ってのことでしょう。まずは非常に流れの良い課題曲でした。奏者それぞれにしっかりと主張が感じられ、個々のレベルが高いアンサンブルだったと思います。自由曲では明るくゴージャスなサウンドが光りました。色彩感の豊かな噴水になりましたが、これにもっと色というか艶が加わると更に良いものになったように思います。 | ||
5 | 東北 宮城県 仙台市立向陽台中学校 (指揮/大内泉) ※初出場 | |
4/バレエ音楽「ロメオとジュリエット」より (S.プロコフィエフ/鈴木英史) | ||
初出場とは思えないダイナミックな演奏だったと思います。若さ漲るサウンドが印象的。マーチはドライブ感十分で流れの良い演奏でした。また、トリオのA.Saxは自然な歌い込みと艶のある音色で秀逸でした。自由曲の冒頭は緊張するところですが安定感していました。早いパッセージも隅々までよくさらってあるようで、自信にあふれています。全体的にも音楽が停滞することなく流れのよいものになっていました。 | ||
6 | 四国 愛媛県 松山市立南中学校 (指揮/高岡英二) ※3年連続8回目 | |
2/喜歌劇「こうもり」セレクション (J.シュトラウスII/鈴木英史) | ||
サウンドがこじんまりしており、Tuttiでも豊かな音を聞くことができなかったのが残念。マーチは全体的におとなしく、推進力が今一つという印象。自由曲でも音楽そのものに積極性が感じられず淡々としており、表情不足でした。場面が変わってもサウンドが一本調子な感じで、この曲のもつ躍動感や解放感のようなものをもっと出せるとよかったと思います。 | ||
7 | 北海道 札幌地区 札幌市立白石中学校 (指揮/多米恵理子) ※8年ぶり2回目 | |
4/科戸の鵲巣−吹奏楽のための祝典序曲 (中橋愛生) | ||
クリアなサウンドでよく鳴るバンドでした。マーチではいくつか乱れがあったものの、全体的にはよくまとまっていました。トリオのサックス、ピッコロ、ユーフォニアムのアンサンブルは表情に乏しかったのが残念。自由曲はもともと超大編成向けの曲ですから、それを50人で演奏することの限界を見たような気がします。各人はよく吹いているし音楽の流れも良かったのです。ソリストも秀逸。ラストへ向かう高揚感が足りなく、もっと何か熱いものが欲しいと感じました。もちろん中学生としては立派な演奏でした。初の金賞受賞おめでとうございます。 | ||
8 | 関西 大阪府 豊中市立第十一中学校 (指揮/橋本裕行) ※初出場 | |
4/ハリソンの夢 (P.グラハム) | ||
輪郭のあるクリアなサウンドでしたが、マーチはビート感不足で推進力ももう一つといった印象でした。自由曲は難しい曲をよくさらってありました。楽器の発音が非常に美しいので、合奏体としての質も高かったと思います。個々の奏者に主張が感じられ、音の薄いところも安定感がありました。今後も代表争いに絡むバンドに成長していくのではないでしょうか。 | ||
9 | 東京 東京都 玉川学園中学部 (指揮/土屋和彦) ※5年ぶり10回目 | |
1/「マ・メール・ロア」より パゴダの女王レドロネット、妖精の園 (M.ラヴェル/鈴木英史) | ||
冒頭のアンサンブルには落ち着きがあり、安心して聞けました。Tuttiのサウンドは非常に柔らかいのですが、これに深みが加わると更に良いと思います。自由曲は色彩感豊かなサウンドとしなやかで柔軟なアンサンブルを十分に堪能できました。特に木管セクションは非常にレベルが高かったと思います。初出場金賞だった85年以来、実に25年ぶりの金賞受賞。おめでとうございます。 | ||
10 | 関西 兵庫県 神戸市立本庄中学校 (指揮/永田隆博) ※2年ぶり2回目 | |
4/バレエ音楽「シンデレラ」より (S.プロコフィエフ/大橋晃一、西山潔) | ||
全員暗譜での演奏でしたね。課題曲ではひな壇の上にセットした打楽器がバンドによく溶け込んでおり、好演だったと思います。落ち着きのあるテンポでしたが、全体的には「決め所」が不明瞭な印象でした。自由曲ではクリアなサウンドで秀逸でした。場面毎の色がしっかり出ておりメリハリのある演奏と思いました。 | ||
11 | 北陸 石川県 能美市立根上中学校 (指揮/上高裕希) ※2年連続7回目 | |
1/エクストリーム・メイク・オーヴァー 〜チャイコフスキーの主題による変容〜 (J.デ=メイ) | ||
課題曲では流れを大切にしたアンサンブルが光りましたが、全体的に輪郭のないぼやけた演奏だったように思いました。自由曲では冒頭の「アンダンテ・カンタービレ」の部分のサックス群は全員スタンドプレイで魅せましたね。変化に富んだ曲を色彩感のあるサウンドで面白く聞かせました。銅賞は厳しいと感じました。(余談ですが、例年通り同校OBである元首相の森喜朗氏が普門館に応援に来ていましたね。) | ||
12 | 東海 愛知県 岡崎市立竜海中学校 (指揮/太田智宏) ※6年ぶり2回目 | |
1/謝肉祭 (R.シューマン/田村文生) | ||
課題曲の冒頭のアンサンブルが安定を欠いたのが残念でした。全体的にサウンドが硬くバランスを欠いており、音楽の流れが悪かったように思います。自由曲では冒頭の金管セクションの明るいサウンドが印象的でした。課題曲より一転、音楽も伸びやかさが感じられました。他の団体とは一線を画した個性的な選曲も光りました。 | ||
13 | 東関東 千葉県 松戸市立第四中学校 (指揮/須藤卓眞) ※2年連続3回目 | |
4/三つの交響的素描「海」より 風と海との対話 (C.ドビュッシー/佐藤正人) | ||
クリアでキレのあるサウンドがホールいっぱいに響きました。心地よいテンポとよく歌う旋律は秀逸。トリオのサックスも非常に素晴らしいと思います。全体的にも躍動感のあるマーチでこの曲を演奏した中学の中では個人的にはトップと感じました。自由曲では豊かな低音群と艶のある木管群が印象的。スケールの大きい立体的な演奏だったと思います。ソプラノサックス、ブラボー見事でした。2年連続3回目の金賞です。 | ||
14 | 東海 愛知県 日進市立日進中学校 (指揮/清野雅子) ※2年ぶり2回目 | |
1/交響詩「ドンファン」 (R.シュトラウス/森田一浩) | ||
本日前半の部の白眉。クリアで艶のあるサウンドとアンサンブルの上手さが光った演奏でした。中学生には非常に難しい課題曲ですが、十分音楽として聞かせられていたと思います。自由曲でも吹奏楽ではあまり良い演奏にめぐりあわない曲ですが、隅々までアナリーゼされていて、しなやかな余裕の感じられる演奏で見事だったと思います。初金賞おめでとうございます。愛知県の中学バンドとしては2000年(萩山中)以来10年ぶりの金賞です。 | ||
15 | 東北 宮城県 仙台市立八軒中学校 (指揮/高田志穂) ※4年ぶり2回目 | |
4/交響曲第2番より 第3・第4楽章 (S.ラフマニノフ/瀬尾宗利) |
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トランペットセクションを中心とした重厚で安定感のあるサウンドでした。トリオのサックスはしなやかで美しく秀逸。自由曲は柔らかく艶のある音で好演だったと思います。特に中音域のよく響き、バンド全体を伸びやかにしていたと思います。ラフマニノフの甘美な世界をしっかりと表現していました。管理人としては銅賞は厳しいと感じた好演の一つです。 | ||