第60回全日本吹奏楽コンクール 平成24年11月1日(木)/名古屋国際会議場センチュリーホール |
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高校・前半の部 |
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1 | 関西 大阪府 明浄学院高等学校 (指揮/小野川昭博) ※3年連続10回目 | |
4/ウインドオーケストラのためのマインドスケープ (高昌帥) | ||
支部大会も朝イチだったので対策は万全だったでしょうか、しっかりバンドが鳴っています。楽器の発音がクリアでTuttiのサウンドは非常に明るく豪華でした。リズムのノリも素晴らしく躍動感も十分。隅々までアナリーゼされた素晴らしいマーチでした。自由曲は複雑で難しい作品ですが、木管の早いパッセージも正確で見事。中間部もObを中心とした艶のあるサウンドと歌い込みが秀逸でした。朝イチ金賞でも十分と思える演奏だったと思います。 | ||
2 | 中国 岡山県 岡山学芸館高等学校 (指揮/中川重則) ※3年連続11回目 | |
4/ルイ・ブージョワーの賛歌による変奏曲 (C.T.スミス) | ||
クリアでバランスの良いサウンドです。爽やかな旋律群に加えて、Trb、Euphのオブリガードが実に素晴らしい。トリオも美しく気配りの行き届いたマーチとなりました。自由曲は華やかなオープニングで、コラールも見事なオルガンサウンドを響かせました。Trpソロ、ソリもブラボーです! どのパートも難しいパッセージを確実にこなし、色彩豊かで躍動感あふれる演奏を披露してくれたと思います。感銘度の高い演奏で2年連続3回目の金賞受賞です。 | ||
3 | 東関東 千葉県 柏市立柏高等学校 (指揮/石田修一) ※3出休み明け23回目 | |
4/復興 (保科洋) | ||
バランスは良いのですがTuttiで抑え過ぎた感があり、サウンドに曇りがありました。第1マーチからのダイナミクスレンジの付け方や歌い方は少々作為的で、この表現は好みの分かれるところでしょう。せっかく6/8のマーチなのに躍動感の全く感じられない演奏になってしまったようです。自由曲では冷静で正確なアンサンブルが見事。Tuttiでのバランスの良さは群を抜いていますが、課題曲同様に全体的に制御され過ぎな印象。ガツンと欲しいところも客席に伝わらない演奏に思えました。 | ||
4 | 九州 熊本県 玉名女子高等学校 (指揮/米田真一) ※3年連続5回目 | |
4/復興 (保科洋) | ||
大変明るくバランスの良いサウンドで華やかなオープニング。自然な歌い方の中にしっかりと躍動感やドライブ感の感じられるマーチでした。自由曲でもよくアナリーゼされ、奏者もしっかり応えています。冒頭のCl、中間部のSaxソロは深い音色で秀逸です。全体的にも豊かで色彩感のあるサウンドを持ってスケールの大きい立体的な演奏を披露してくれました。復興というタイトルをしっかり表現した感銘度の高い仕上がりで聴衆を魅了したと思います。初の金賞受賞おめでとうございます! | ||
5 | 東京 東京都 八王子学園八王子高等学校 (指揮/高梨晃) ※4年ぶり3回目 | |
5/交響詩「ローマの祭り」より チルチェンセス、主顕祭 (O.レスピーギ/高梨晃) | ||
柔らかいサウンドを持ったバンドですが、課題曲5にはもう少しキレが欲しいところ。全体的にパートの動きがぼやけて聞こえ、曲全体としても決めどころが不明瞭だったのが残念です。自由曲、チルチェンセスではTrp3人のバンダがステージ上手前方で演奏。柔らかく深みのあるサウンドがローマの祭りを新鮮に聞かせてくれたと思います。主顕祭では色彩豊かで躍動感のある演奏でしたが、細部の詰めの甘さ、ピッチの乱れやミスなどが露呈したのが残念でした。 | ||
6 | 四国 愛媛県 愛媛県立伊予高等学校 (指揮/長谷川公彦) ※3年連続20回目 | |
5/管弦楽のための舞踏詩「ラ・ヴァルス」 (M.ラヴェル/仲田守) | ||
個人のレベルはかなり高いですね。この課題曲を流暢なアンサンブルで良く纏めてあり、特に音楽の流れが良かったです。サウンドが暗めで色彩感に乏しかったのが残念。自由曲ではFgが素晴らしいですね。木管セクションがしなやかで艶のあるサウンドでした。音楽をよく引っ張っていたと思います。 | ||
7 | 東関東 茨城県 常総学院高等学校 (指揮/本図智夫) ※3年連続17回目 | |
5/科戸の鵲巣−吹奏楽のための祝典序曲 (中橋愛生) | ||
重厚なサウンドですが、よくアナリーゼされており、緻密なアンサンブルを披露しました。複雑な課題曲ながらも各パートがクリアに聞こえ流れが秀逸です。このバンドは難曲をさらりと演奏しているように見せるところが素晴らしいですね。自由曲でも重厚なサウンドで一体感があり、安定したソロ群に加えてメリハリのある構成でした。ただこの短い時間の中にいろいろ盛り込み過ぎていた感もありましたが、個人的には金賞でも十分と感じた演奏でした。 | ||
8 | 関西 大阪府 近畿大学附属高等学校 (指揮/小谷康夫) ※初出場 | |
5/バレエ音楽「エスタンシア」より 開拓者たち、小麦の踊り、終曲の踊り (A.ヒナステラ/仲田守) |
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シャープでキレのあるサウンドが課題曲によくマッチしています。全体的な音楽はよく流れているのですが、テクニカルな部分で乱れや詰めの甘さが見られました。自由曲は一転、素晴らしい演奏を披露。「小麦の踊り」での丁寧な演奏と「終曲の踊り」のエキサイティングな対比が絶妙。終曲は同じフレーズの繰り返しながらも色々と味付けが効いていて魅了されました。高揚感が最高潮に達して音が消えた瞬間、会場が大歓声に包まれましたね! ブラボーです! | ||
9 | 西関東 埼玉県 埼玉県立松伏高等学校 (指揮/小川慎) ※4年ぶり2回目 | |
5/交響曲1997「天地人」 (譚盾/天野正道) | ||
重厚で骨太なサウンドですね。一見、無機質な演奏になりがちな課題曲ですが、松伏は非常に情熱的な表現だったと思います。音楽は良く流れており、メリハリのある構成でした。自由曲では明るく華々しいサウンドが印象的。湧き上がる歓喜、祝祭の雰囲気がよく表れた演奏でした。和太鼓を始めとする多彩な打楽器群のアンサンブルも秀逸で、「魅せる」演奏としても素晴らしかったです。 | ||
10 | 東北 秋田県 秋田県立秋田南高等学校 (指揮/阿部智博) ※3出休み明け28回目 | |
5/交響曲より (矢代秋雄/天野正道) | ||
課題曲ではエンジンがかからないまま曲が過ぎていってしまった感があります。難しい曲でよく吹けていますが、細かい部分での詰めの甘さが露呈していました。自由曲ではお得意の作品と思います。天野氏による新しい編曲でしょうか。課題曲が長い分、自由曲への時間配分は難しいところがありますが、多少カットが強引で、この作品の聞かせどころが不明瞭だったようにも思いました。 | ||
11 | 北海道 札幌地区 東海大学付属第四高等学校 (指揮/井田重芳) ※3出休み明け30回目 | |
4/復興 (保科洋) | ||
バランスの良いサウンドで正統派なマーチです。表現も自然であり、推進力と躍動感のあるお手本のような演奏でした。自由曲はゆるぎない安定感があります。クラリネットを中心とした深みのある木管サウンドと、流麗な金管セクションのサウンドが実に巧くブレンドされています。ダイナミクスレンジが広く、スケールの大きい立体的な演奏は非常に感動的でした。30回目の出場を16回目の金賞で飾りました。 | ||
12 | 北陸 石川県 石川県立金沢桜丘高等学校 (指揮/安嶋俊晴) ※7年ぶり2回目 | |
5/交響詩「ローマの噴水」より (O.レスピーギ/安嶋俊晴) | ||
課題曲は柔らかいサウンドで流れの良い流暢なアンサンブルでした。もう少しキレがあっても良いかなと思いましたが、的確なアナリーゼのもと作品としてきっちり仕上げていたのは素晴らしいと思います。自由曲は重厚なサウンドの中にも色彩感に溢れた演奏で、音楽に活力がありました。木管セクションの沸きあがるようなサウンド、金管セクションの安定感のある華やかなサウンドが上手く融合した好演でした。初の金賞受賞、おめでとうございます。 | ||
13 | 東北 福島県 福島県立湯本高等学校 (指揮/橋本葉司) ※2年連続8回目 | |
5/交響詩「ローマの噴水」より U.朝のトリトンの噴水 V.真昼のトレヴィの噴水 W.黄昏のメディチ荘の噴水 (O.レスピーギ/高木登古) |
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一つ前のバンドと同じ選曲ながら、それぞれ異なる独自性・アプローチが見られて興味深く聞くことができました。メリハリの利いた立体的な課題曲だったと思います。この曲のもつシャープさやキレがよく表現できていて音楽に力がありました。ただ、若干の詰めの甘さや細かな乱れも見受けられ、時々不安定になっていたのが惜しまれます。自由曲は色彩豊かで変化に富んだサウンドを聞かせてくれました。曲のもつエネルギーをしっかり表現していたと思います。 | ||
14 | 東海 静岡県 浜松海の星高等学校 (指揮/土屋史人) ※初出場 | |
2/科戸の鵲巣ー吹奏楽のための祝典序曲 (中橋愛生) | ||
コンパクトながらもクリアなサウンドをもっています。落ち着きのあるオープニングに続き、深く温かみのあるサウンドがホールに響きました。スネアドラムがきちんとバンドの中に溶け込み、マーチとしてよく仕上がっていたと思います。自由曲は複雑なフレーズが絡み合う難曲ですが、細部に渡ってアナリーゼされているようでした。スピード感のある演奏で音楽が活き活きとしていたと思います。初出場ながら非常に伸び伸びとした雰囲気をもったバンドでした。 | ||
15 | 東京 東京都 東海大学付属高輪台高等学校 (指揮/畠田貴生) ※3年連続8回目 | |
3/フェスティバル・ヴァリエーション (C.T.スミス) | ||
楽器の発音が大変素晴らしく、課題曲によくマッチしていました。息の合った打楽器アンサンブルに加えて洗練されたクリアサウンドが見事です。中間部のサウンドの色の変化や、ソリストの歌いこみなど流麗な演奏が印象的です。自由曲ではまず見事なホルンセクション、ブラボーでした! テクニカルな部分に殆ど問題もなく、まさに一糸乱れぬ演奏には脱帽。聴衆をどんどん引き付け、魅了したと思います。後半の金管セクションのスタミナと安定感も素晴らしかったのですが、終始、演奏する喜びが伝わってくる快演でした。昨年の雪辱を果たし、2年ぶり7回目の金賞受賞です。 | ||