第60回全日本吹奏楽コンクール 平成24年11月1日(木)/名古屋国際会議場センチュリーホール |
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高校・後半の部 |
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1 | 西関東 埼玉県 埼玉県立伊奈学園総合高等学校 (指揮/宇畑知樹) ※2年連続14回目 | |
5/レジェンド (F.リスト/森田一浩) | ||
柔らかいサウンドながらも各パートの音はクリアに浮き上がってきます。課題曲では緻密なアンサンブルで非常に流れの良い演奏でした。できればもっとシャープさやキレが欲しいと思いましたが、それでも十分レベルの高い演奏だったと思います。自由曲では神秘的な雰囲気を醸し出していました。Tuttiのサウンドと壮大な音楽が耳に心地よい演奏でした。出演順1番ながらも昨年の雪辱を果たして4年ぶり11回目の金賞受賞です。 | ||
2 | 九州 福岡県 精華女子高等学校 (指揮/藤重佳久) ※2年連続17回目 | |
4/ルイ・ブージョワーの賛歌による変奏曲 (C.T.スミス) | ||
明るくブリリアントなサウンドは健在。旋律群の自然な歌い方はもちろん、バンド全体が見事な躍動感・ドライブ感を持ったマーチを披露してくれました。自由曲は重厚なサウンドがこの曲によくマッチ。オープニングに続いてのコラールではこのバンドの十八番であるオルガンサウンドが秀逸でした。TrpソロはPiccとB.Saxのデュオに置き換えていましたが、離れて座る2人が見事な演奏でブラボーです! 終始、豪華なサウンドと高い技術で魅了して、畳みかけるように終曲まで一気に持っていくなど、この作品を掌握した演奏に脱帽でした。2年連続8回目の金賞受賞です。 | ||
3 | 四国 愛媛県 愛媛県立松山中央高等学校 (指揮/土居俊一) ※7年ぶり4回目 | |
4/ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲 (Z.コダーイ/森田一浩) | ||
すっきりと透明感のあるサウンドでした。表現が淡泊で全体的に平板な印象です。トリオは非常に美しく仕上がっていましたが、全体的にはメリハリに欠けもう少しガツンと音が飛んでくるところも欲しいと思いました。「くじゃく」は大変流れの良い演奏で美しくまとまっていました。Fl、Piccのソロも秀逸。課題曲同様、全体的に表情の変化に乏しく平板な印象になっていたのが残念です。 | ||
4 | 東関東 千葉県 習志野市立習志野高等学校 (指揮/石津谷治法) ※3出休み明け26回目 | |
1/バレエ音楽「シバの女王ベルキス」より (O.レスピーギ/石津谷治法) | ||
透明感のあるサウンドに一気に引き込まれました。課題曲ではソロ群は流麗な響きと艶のある表現力で安定感抜群でした。バンド全体も自在なアゴーギクと幅広いディナーミクが素晴らしく、奥行きのある美しい演奏でした。自由曲は色彩豊かな美しいベルキスでした。オフステージのTrpソロも存在感があり、とにかくサウンドの美しさに終始魅了。「狂宴の踊り」ではもう少し重厚感やキレが欲しいとも感じましたが、全体的には十分素晴らしい出来だったと思います。個人的には金賞と感じた演奏でした。 | ||
5 | 北海道 札幌地区 札幌日本大学高等学校 (指揮/木田恵介) ※初出場 | |
3/交響詩「ローマの祭り」より チルチェンセス、主顕祭 (O.レスピーギ/磯崎敦博) | ||
キレのあるシャープなサウンドのバンドです。課題曲の冒頭から流れの良いアンサンブルを聞かせ、バンドのノリも良かったです。中間部は美しいサウンドを響かせましたが、しつこくない自然な歌い方で好きですね。自由曲はTrpのバンダ3名が息のあったファンファーレを響かせました。一体感のあるチルチェンセスに続いて、主顕祭での色彩感は見事でした。初出場ながらも堂々たる演奏を聞かせ、今後も北海道支部の代表争いに加わるであろう可能性を感じました。 | ||
6 | 九州 鹿児島県 原田学園鹿児島情報高等学校 (指揮/屋比久勲) ※3出休み明け4回目 | |
4/エルフゲンの叫び (G.ローレンス) | ||
比較的落ち着いたゆっくりめのテンポで、マーチの躍動感や推進力を押さえたような印象を受けます。堅実な演奏なのですが、情報らしい独自性に溢れたマーチでした。自由曲、冒頭のOb2本のソリは大変美しく秀逸。金管セクションの重厚で上質なサウンドと、木管セクションのうねるようなサウンドの相性も素晴らしく実にまとまりのある感銘度の高い演奏でした。2年ぶり2回目の金賞受賞です。 | ||
7 | 東北 山形県 山形県立鶴岡南高等学校 (指揮/蛸井朗) ※初出場 | |
5/楽劇「サロメ」より 七つのヴェールの踊り (R.シュトラウス/M.ハインズレー) | ||
柔らかく透明感のあるサウンドで耳に心地よいです。課題曲は全体的に流れがよくなく、全体的に消化不良な印象を受けました。全国大会まで来ると難しい課題曲も完成度の高いものばかりになりますが、そういった中で各バンドの個性をどう出していくかは大切ですね。自由曲サロメでは伸びやかな演奏でソロ群も好演でしたが、全体的には表現が平板で平凡な演奏に終わってしまったように思いました。 | ||
8 | 東海 三重県 三重県立白子高等学校 (指揮/桐生智晃) ※2年連続6回目 | |
4/歌劇「トスカ」より (G.プッチーニ/鈴木英史) | ||
楽器の発音が良く、音の立ち上がりが美しいです。シャープなサウンドながらも躍動感のある良いマーチだったと思います。自由曲では各パートが要所要所で浮き上がり、色彩感の溢れる演奏でした。プッチーニ作品は十八番でしょうか、曲想にあった演奏も素晴らしく場面転換が見事。全体的にもメリハリのある仕上がりとなりました。 | ||
9 | 関西 大阪府 大阪府立淀川工科高等学校 (指揮/丸谷明夫) ※2年連続33回目 | |
4/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」より イントロダクション、夜明け、全員の踊り (M.ラヴェル/立田浩介) |
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マーチは比較的早いテンポで全体的に落ち着きがなく、旋律と伴奏群のテンポ感に差異があるように感じました。トリオは美しく聞かせましたが、例年のような王道の演奏とは違う印象を受けました。自由曲は流石に手馴れた演奏。「夜明け」では流れが悪く幻想的な雰囲気ももう一つ。「全員の踊り」も一体感に欠け、いつも見られるような淀工らしい魅力が影を潜めてしまったようでした。2年連続25回目の金賞受賞です。 | ||
10 | 西関東 埼玉県 春日部共栄高等学校 (指揮/都賀城太郎) ※3出休み明け8回目 | |
5/吹奏楽のための協奏交響曲 (福島弘和) | ||
期待通りのシャープでキレのあるサウンド。自由曲は緻密で自在なアンサンブルで、流暢な音楽を聞かせてくれます。このバンドはこの種の作品を魅力的に聞かせるのに長けていると感じました。自由曲は委嘱作品ということで、より積極的な音楽を作り上げています。冒頭からクリアで色彩的なサウンドを響かせました。ダブルリード群のアンサンブル、各ソリストも自信に満ちていて秀逸。ラストに向かうTuttiのサウンドも実に素晴らしく、個人的には金賞でも十分と感じました。 | ||
11 | 北陸 富山県 富山県立高岡商業高等学校 (指揮/神田賢二) ※3出休み明け27回目 | |
4/歌劇「ばらの騎士」組曲 (R.シュトラウス/酒井格) | ||
歯切れの良い明るいサウンドです。課題曲ではフレーズ間の受け渡しがスムーズでなく、全体的に流れの良くない演奏になっていたようです。自由曲では艶のある力強いサウンドでの好演でしたが、細かいミスやアンサンブルの乱れなど、マイナス要素もあったのは確か。金管セクションの重厚サウンドは魅力的ですが、Tuttiでのバランスの悪さ、荒っぽい部分なども見受けられて残念でした。 | ||
12 | 中国 島根県 出雲北陵高等学校 (指揮/原田実) ※2年連続7回目 | |
5/歌劇「ローエングリン」より エルザの大聖堂への行列 (R.ワーグナー/鈴木英史) | ||
難しい課題曲ですがバンド全体の機動力が見事で、緻密なアンサンブルを聞かせてくれます。非常にレベルの高い課題曲と思いました。自由曲は課題曲とは対照的選曲が光りますね。陶酔感のある芳醇なサウンドが自由曲にマッチしています。ソリストも歌心たっぷりで神々しく厳かな雰囲気を醸し出すのに成功しています。鈴木氏による新しい編曲と構成も魅力的で、往年の名曲を実に新鮮に聞かせてくれました。終曲部分ではTrp、Trbが全員立奏で視覚的にもうまく音楽を盛り上げていました。 | ||
13 | 東海 愛知県 光ヶ丘女子高等学校 (指揮/日野謙太郎) ※2年連続11回目 | |
5/パガニーニ・ロスト イン ウィンド (長生淳) | ||
課題曲では一人ひとりが積極的な演奏を聞かせています。全体的に雑然となりサウンドが発散する部分が見受けられましたが、各奏者の揺ぎ無い自信の現れか、音楽に主張がありました。自由曲ではとにかく個々の奏者のレベルの高さが印象的で、バンドの一体感・集中力が素晴らしいです。A.Saxのソロは高い技術を見せつけ存在感たっぷりで見事。ブラボー! 終盤、バンド全体が粗くなってきたものの、なんとか最後までまとめきったのは流石。5年ぶり2回目の金賞受賞です。 | ||
14 | 東京 東京都 駒澤大学高等学校 (指揮/吉野信行) ※3年ぶり11回目 | |
4/宇宙の音楽 (P.スパーク) | ||
マーチではスネアドラム、バスドラム、シンバルがステージ上手(チューバの後方)にセット。骨太で重厚なサウンドと安定したビートで躍動感のある抜群のマーチでした。自由曲ではこのサウンドが圧巻。木管セクションの色彩感、金管セクションの重厚感は「宇宙の音楽」の世界をより魅力的なものに作り上げていましたし、各ソリストも魅力的でした。最後の音が消えた瞬間、大歓声に包まれました。3年ぶり5回目の金賞受賞です。 | ||
※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。 |