第60回全日本吹奏楽コンクール 平成24年10月27日(土) /宇都宮市文化会館 |
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大学の部 |
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1 | 東関東 茨城県 流通経済大学吹奏楽部 (指揮/花坂義孝) ※8年ぶり3回目 | |
4/青い水平線 (F.チェザリーニ) | ||
フルート無しの24人という小編成ですが、各奏者のレベルは高く一人一人が臆することなく演奏されていたのが印象的です。課題曲は落ち着いたテンポでしたが、少々音楽が停滞気味で躍動感に欠けていました。表現が平板でメリハリなかったように思います。自由曲ではガラッとサウンドが変わり豊かになりました。冒頭はオーボエがサウンドの核を成し音楽を引き締めています。各ソリストは安定した演奏を聞かせてくれましたが、やはりバンド全体の音楽が停滞気味で表情に乏しかったのが残念。終曲のイングリッシュホルンのソロは好演でした。 | ||
2 | 北陸 富山県 富山大学吹奏楽団 (指揮/建部知弘) ※3年ぶり4回目 | |
4/交響曲1997「天地人」 (譚盾/天野正道) | ||
非常に明るいサウンドで躍動感あふれるマーチでした。少々雑なところはあるのですが、大学生らしい若さ漲る演奏で好演だったと思います。この明るく若いサウンドは自由曲でその魅力を更に広げたようです。輝かしいサウンドが祝祭の雰囲気を十二分に醸し出しています。課題曲同様雑然とする部分は残るものの、各奏者の積極的な演奏が印象的でした。終始、音楽を引っ張る打楽器群が素晴らしかったです。 | ||
3 | 中国 岡山県 川崎医療福祉大学ウインドオーケストラハートフルウインズ (指揮/岩田俊哉) ※2年ぶり7回目 | |
5/「サウンド・アンド・スモーク」より U.押し寄せる視線 (V.クォン) | ||
Tuttiのサウンドの線が細く、弱奏部分や音の薄い部分になると不安定になるのが気になりました。ソリストも精彩を欠いてしまい、この曲のもつ緊張感がそのまま不安要素になっていたようです。不安要素が連鎖し全体的に消極的な演奏に終始したように思います。自由曲では一転、大変生き生きした音楽に変わりました。キレのあるシャープなサウンドで音楽にも積極性があったと思います。 | ||
4 | 九州 長崎県 長崎大学吹奏楽部 (指揮/篠原昴太) ※初出場 | |
4/交響詩「スパルタクス」 (J.ヴァン・デル・ロースト) | ||
マーチでは柔らかく透明感のあるサウンドで自然な表現が功を奏していました。もう少し躍動感やドライブ感が加わると更に良いと思います。自由曲では曲想にあった輝かしく重厚なサウンドを聞かせ、音楽にも勢いと伸びやかさがありました。ソリストも秀逸で初出場とは思えないほど伸び伸びとした音楽を聞かせてくれましたし、学生指揮者ならではの奏者との近い距離感や一体感が感じられる好演でした。細部の詰めの甘さが解消されると更に上を目指せると思います。 | ||
5 | 北海道 札幌地区 北翔大学吹奏楽団 (指揮/菅原克弘) ※7年ぶり2回目 | |
3/プラトンの洞窟からの脱出 (S.メリロ) | ||
小さい編成ながもすっきりしたサウンドでした。課題曲の出だしはキレもあってドライブ感も十分。中間部の歌い込みも秀逸でした。後半の速い部分は変化が乏しく平板に終わってしまったのが少し残念です。自由曲は譜面は難解ではない反面、音にどう説得力を持たせるかが大切です。もっとドラマティックな音楽を期待していたのですが、全体的に表情に乏しく平板な作りになっていたようです。同じフレーズが繰り返し登場する作品ですが、後半は少し飽きてしまった感がありました。随所に登場するソリストは素晴らしかったです。 | ||
6 | 九州 福岡県 福岡工業大学吹奏楽団 (指揮/柴田裕二) ※3年連続13回目 | |
5/交響曲第4番より 第4楽章 (P.I.チャイコフスキー/M.ハインズレー) | ||
非常にクリアなサウンドです。各パートの複雑に絡み合うフレーズが鮮明に聞こえてきます。ソロも安定感がありますし、明確なアナリーゼに裏打ちされた見事な仕上がりでした。期待の自由曲は重厚な重厚なサウンドで圧倒されます。大胆でスケールの大きい流れは保ちつつも細部にわたってしっかり詰めてありスキの無い演奏でした。定評のある金管セクションの豪華なサウンドに艶のある木管群の対比が素晴らしい見事な仕上がりだったと思います。演奏後は会場が歓声に包まれました。2年連続3回目の金賞おめでとうございます。 | ||
7 | 東北 宮城県 東北福祉大学吹奏楽部 (指揮/松崎泰賢) ※2年連続9回目 | |
5/リヤン・エテルネル 〜浄められた天使たちの愛 (八木澤教司) | ||
シャープでキレのあるサウンドが課題曲にもマッチしています。ソロは安定感があり、各パートもきちんと役割を果たしているのですが、楽曲としての魅力を伝えきるには至らなかったように思いました。自由曲は八木澤氏とのコンビも円熟期に入ってきたようで、興味深く聞かせていただきました。複雑なフレーズが絡み合う難しい曲ですが、スピード感のある演奏と美しいソロが印象的です。中間部の大らかな歌い込みは見事でした。 | ||
8 | 西関東 埼玉県 文教大学吹奏楽部 (指揮/佐川聖二) ※3出休み明け20回目 | |
3/トリトン・エムファシス (長生淳) | ||
課題曲は前半のリズムがアグレッシブでスリリングな展開でした。そこと対照的に中間部の歌と表現の深さが際立つ好演だったと思います。大人の演奏する「じゅげむ」の魅力が溢れています。自由曲では冒頭の艶のあるサウンドが印象的。隅々までアナリーゼされ、指揮者の要望に確かに応えたアンサンブルが見事。終曲にむかうバンドの集中力は凄まじいものがありました。20回目の出場を13回目の金賞で飾りました。 | ||
9 | 東海 長野県 信州大学吹奏楽団 (指揮/荒井弘太) ※初出場 | |
2/バレエ音楽「中国の不思議な役人」より (B.バルトーク/森田一浩) | ||
課題曲は冒頭が揃わず残念。好みの問題ですがスネアドラムの音がバンドに溶け込まず違和感がありました。全体的には演奏に余裕がなく雑然とした印象で、ビート感の弱い浮足立ったマーチでした。自由曲では一転、音楽に勢いが感じられ積極的な演奏です。中盤からエンジンがかかりキレが戻り、Trbのソリもソツなくこなして魅せました。 | ||
10 | 関西 京都府 龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部 (指揮/若林義人) ※3年連続17回目 | |
1/ハンガリー狂詩曲第2番 (F.リスト/井澗昌樹) | ||
非常にクリア且つ柔らかいサウンドが課題曲にマッチ。各ソロも品よく美しい演奏で安定感があります。会場全体が龍谷サウンドに十分魅了された時間でした。自由曲では井澗氏の大胆で斬新な編曲が見事。かつてよく演奏された作品の印象を一新。斬新な編曲に龍谷大の確かな技術力が加わって見事なパフォーマンスです。クラリネットのソロは秀逸。強奏時ではアドレナリンが出過ぎたかバランスを崩すところもあったのが残念です。銀賞ではありましたが、当日聴衆を魅了した演奏の一つであったことは間違いありません。 | ||
11 | 東京 東京都 東海大学吹奏楽研究会 (指揮/福本信太郎) ※2年連続5回目 | |
5/紺碧の波濤 (長生淳) | ||
各奏者の質が一番高いと感じたバンドです。細部までアナリーゼされ神経の行き届いた演奏で、メリハリのあるしっかりとした構成は見事。指揮者の要求に奏者が十分に応えているのが伝わります。自由曲ではスピード感のある中で、バンド全体が大らかに歌い上げる表現力に脱帽。緩急のある中でしっかりとメリハリを利かせた音楽表現が成功していました。初の金賞受賞おめでとうございます。 | ||
12 | 関西 大阪府 近畿大学吹奏楽部 (指揮/森下治郎) ※2年連続28回目 | |
3/アルメニアン狂詩曲第1番 (A.コミタス) | ||
バランスのとれたサウンドで機動力のある演奏というべきか、スキのない演奏は流石でした。Tuttiになってもオーバーブローにならずきちんとコントロールされた演奏であり、歴史ある名門バンドの力を感じます。自由曲は初めて聞かせていただいた作品でしたが、Fg、Trpを始めとする各ソロが見事。クールな中にも熱く若いエネルギーも垣間見えた演奏です。終始バンドの一体感が高いレベルで維持されているのが印象的です。個人的には金賞でも十分と感じた演奏の一つです。 | ||