第60回全日本吹奏楽コンクール 平成24年10月31日(水)/名古屋国際会議場センチュリーホール |
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中学・前半の部 |
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1 | 東関東 千葉県 柏市立酒井根中学校 (指揮/犬塚禎浩) ※3年連続9回目 | |
3/シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」 (福島弘和) | ||
朝イチとは思えないほどしっかり吹けていました。課題曲は隅々に渡ってアナリーゼが行き届いた演奏です。クリアでどのパートもよく聞こえてくるのに、Tuttiのサウンドにはまとまりがありました。課題曲では全体を通じてA.Saxが良く音楽を引っ張っていたように思います。自由曲ではオーボエのソロが秀逸でした。弱奏になっても安定感がありましたし、非常に完成度の高い演奏を聞かせてくれました。朝イチ金賞で3出を3金で飾りました。 | ||
2 | 中国 山口県 山口市立小郡中学校 (指揮/谷村一美) ※2年連続3回目 | |
3/ウインドオーケストラのためのマインドスケープ (高 昌帥) | ||
木管と金管のサウンドのブレンド感がもう一つと感じました。音楽に推進力がなく、躍動感やドライブ感に乏しい印象を受けました。自由曲はスピード感が感じられ音楽に活力がありました。Saxパートのソロ、ソリはブラボーです。ダブルリードも艶のある音色でよく歌えています。曲の各部各部は非常に上手なのですが、1つの楽曲としての流れが悪かったように思いました。 | ||
3 | 東関東 千葉県 習志野市立第五中学校 (指揮/織戸弘和) ※3年ぶり5回目 | |
4/三つの交響的素描「海」より 風と海との対話 (C.ドビュッシー/織戸弘和) | ||
マーチはテンポが速めでリズムが乱れがちで全体的に落ち着きに欠けました。バンドとしてもドライブ感に乏しく聞かせどころが不明瞭なまま曲が終わったしまったようです。自由曲は難曲をよく吹いています。オーボエソロは良い音色で存在感があり、Trp群はコルネットやフリューゲルホルンをうまく持ち替えて色彩豊かな美しいサウンド作りに貢献していました。残念ながら、この曲のもつ壮大さ、奥行き感等がなく、平板でこじんまりした演奏に終始してしまいました。 | ||
4 | 東北 宮城県 仙台市立向陽台中学校 (指揮/大内泉) ※2年ぶり2回目 | |
4/科戸の鵲巣−吹奏楽のための祝典序曲 (中橋愛生) | ||
楽器の発音が不明瞭でサウンドがまとまらない印象を受けました。課題曲ではハツラツとした若さを感じる音楽ではありましたが、フレーズの終わりで音を止めてしまう奏法で推進力に欠けます。マーチ全体躍動感も乏しかったです。自由曲では前半は気合が入り過ぎたか全体的に雑然とした印象。S.Saxを始めソリストの頑張りは素晴らしかったと思います。後半からのスピード感、バンドの一体感は見事でしたが、2曲通してサウンドが濁って聞こえたのが残念です。 | ||
5 | 東京 東京都 小平市立小平第三中学校 (指揮/中村睦郎) ※2年連続9回目 | |
3/青い水平線 (F.チェザリーニ) | ||
クリアで透明感のあるサウンドで機動力のあるか課題曲が見事でした。管楽器の発音が良く品のある音色が素晴らしいと思います。中間部はもっと歌ってもいいかなと思いましたが、それでも申し分ない演奏だったことは間違いありません。自由曲ではもメリハリのある構成で音楽の流れが秀逸。木管群が良く音楽を引っ張っており、特にユニゾンの巧さが際立ちますね。終曲もよく練り上げてあり感動的な演奏だったと思います。3年ぶり7回目の金賞受賞です。 | ||
6 | 東海 愛知県 名古屋市立汐路中学校 (指揮/玉谷敏弘) ※2年連続2回目 | |
4/科戸の鵲巣−吹奏楽のための祝典序曲 (中橋愛生) | ||
非常に明るく重厚なサウンドで堂々たるオープニング。躍動感のある旋律群と巧い伴奏群は見事なアンサンブルを聞かせてくれたと思います。トリオの美しさと終曲に向かうエネルギーには脱帽です。自由曲では重厚なサウンドに加えて金管群の明瞭な発音が秀逸。オーボエ、フルート、バスクラリネットのソロも情感豊かで独特の世界観を作れていますし、何よりも打楽器群の素晴らしさが「科戸」を魅力的にしていたと思います。前半の部では個人的に一番素晴らしいと感じたバンドでした。2年連続2回目の金賞です! | ||
7 | 九州 鹿児島県 姶良市立重富中学校 (指揮/仮屋薗勝宏) ※8年ぶり2回目 | |
2/復興 (保科洋) | ||
しっかりとした構成された演奏。輪郭のあるクリアなサウンドでよくまとまっています。音に推進力があり厳かな雰囲気をもった見事なマーチに仕上げています。Trpセクション実に素晴らしい音をしていました。自由曲でもTrpが良い音でバンドの核を作っています。スケールの大きい作品ですが、技術面に偏ることななく、「音楽・表現力」に重点を置いた作り方が素晴らしいと思いました。 | ||
8 | 北海道 札幌地区 札幌市立清田中学校 (指揮/長田栄二) ※2年連続2回目 | |
4/歌劇「ルサルカ」より (A.ドヴォルザーク/福島弘和) | ||
ほっとするほど柔らかく豊かなサウンドです。課題曲は音楽の流れが良く、多少リズムの甘さもありましたが全体的には躍動感の感じられる出来だったと思います。自由曲では柔らかいサウンドの魅力を120%活かした演奏。よく練られたアンサンブルを聞かせ、勢いやハッタリではない「音楽」を感じさえてくれる演奏でした。他のバンドとは異なる独特のサウンドと世界観は、中学部門の中でも際立つ存在と思いました。 | ||
9 | 北陸 石川県 能美市立根上中学校 (指揮/大橋望) ※2年ぶり8回目 | |
4/宇宙の音楽 (P.スパーク) | ||
輪郭のはっきりしたクリアなサウンドで、Tuttiでのバランスが素晴らしいです。マーチでは6/8のリズムが少々重く、ドライブ感がもう一つといった感じです。自由曲では冒頭のホルンソロは存在感たっぷりで見事。中間部の木管の各ソロも秀逸でした。難曲を各パートがよく演奏していますが、若干の消化不良があったのは確かです。後半、息切れ気味で終曲は盛り上がりにかけたようにも思いました。 | ||
10 | 九州 鹿児島県 鹿児島市立谷山中学校 (指揮/岩井田万里子) ※16年ぶり3回目 | |
4/ウィークエンド・イン・ニューヨーク (P.スパーク) | ||
明るいサウンドで金管の歯切れの良さ、木管のしなやかさが際立ちました。Tuttiのバランスも良く躍動感のある素晴らしいマーチに仕上がっています。自由曲ではキレのあるサウンドで、スピード感のある演奏でした。良く吹けていますが、全体的には大人しめで真面目な演奏になってしまい、ノリの良さや洒落た雰囲気を醸し出すにはもう一歩という感じでした。 | ||
11 | 四国 愛媛県 松山市立鴨川中学校 (指揮/坪田美知子) ※2年連続2回目 | |
3/二つの交響的断章 (V.ネリベル) | ||
シャープでキレのあるサウンドが印象的。課題曲は若干突っ込み過ぎでリズムに乱れがありましたが、全体のノリは非常に良かったです。中間部は重厚なサウンドで表情豊かでしたが、全体的にピッチの悪さが気になりました。自由曲でも重厚なサウンドがネリベルにはマッチしていて好演でした。A.SaxとT.Saxのソロも美しいです。2曲目の躍動感は見事で、一気に終曲までもっていく流れが良かったです。 | ||
12 | 西関東 埼玉県 吉見町立吉見中学校 (指揮/中畑裕太) ※初出場 | |
2/科戸の鵲巣−吹奏楽のための祝典序曲 (中橋愛生) | ||
上品で透明感のあるサウンドが見事。決して力まずに響きを大切にしたファンファーレに続き、流れの良いマーチとなりました。トリオのPicc、FL、Obのサウンドが秀逸で、格調高い雰囲気を醸し出した秀演だったと思います。自由曲はクリアなサウンドでTuttiでも破綻しないバランスの良さが秀逸。各楽器の発音が美しく管・打楽器共にアンサンブルが上手、特にOb奏者は存在感をもってバンドをリードしていたのが印象的。2曲共に音楽の流れの良さが抜きんでており、感銘度の高い演奏でした。初出場初金賞、おめでとうございます。 | ||
13 | 関西 大阪府 豊中市立第十一中学校 (指揮/橋本裕行) ※3年連続3回目 | |
4/紺碧の波濤 (長生淳) | ||
よくアナリーゼされており、大らかな表現が印象的なマーチです。安定したサウンドでマーチらしいマーチを聞かせてくれます。自由曲はこの難しい作品をしっかり演奏できていたことに感心しました。Tuttiのサウンドがうねりとなって響いており、バンドの一体感が充実しており、少し背伸びしたような大人っぽい演奏のようにも思いますが、スケールの大きい立体的な音楽作りが功を奏しています。3出を初の金賞で締めくくりました。おめでとうございます。 | ||
14 | 東海 長野県 長野市立裾花中学校 (指揮/山岸浩) ※3年ぶり2回目 | |
4/歌劇「フェドーラ」より (U.ジョルダーノ/鈴木英史) | ||
透明感のあるサウンドが心地良いですね。マーチはよく整理されており、自然な躍動感をもった演奏でした。自由曲はバンドのサウンドの魅力を十分に発揮できる作品。よく歌い込まれ、陶酔感すら感じさせる秀演でした。柔らかく甘美な世界をしっかり表現していたと思います。 | ||
15 | 西関東 埼玉県 さいたま市立岸中学校 (指揮/星野悦子) ※2年連続2回目 | |
3/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」 (R.シュトラウス/渚 智佳) | ||
輪郭のハッキリしたシャープなサウンドです。「じゅげむ」はTuttiでのサウンドにブレンド感がもう一つ。自由曲ではホルンソロ見事でした。ブラボー。早いパッセージの掛け合いが多い曲ですが、ところどころで未整理のまま雑然とした結果になっていたのが残念です。響きの薄い部分でも不安定にならず、音楽に推進力が感じられたのは素晴らしいと感じました。 | ||