第61回全日本吹奏楽コンクール 平成25年10月19日(土)/福岡サンパレス ホテル&ホール |
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大学の部 |
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1 | 中国 広島県 広島大学吹奏楽団 (指揮/中村慎之介) ※10年ぶり11回目 | |
4/バレエ音楽「中国の不思議な役人」より (B.バルトーク/杉本幸一) | ||
課題曲はバランスの良いサウンドで、楽器の発音が非常にクリアで素晴らしいと思います。ドライブ感も十分でソツのないマーチになっていたと思います。トリオで聞かせたクラリネットを中心とした木管群の透明感のあるサウンドが見事でした。自由曲では良いサウンドにキレのある演奏だったと思います。この作品のもつ緊張と緩和をうまく表現できており、バンド全体の一体感と集中力の高さが素晴らしかったです。 | ||
2 | 九州 福岡県 福岡教育大学吹奏楽部 (指揮/白石勇貴) ※4年ぶり8回目 | |
3/竹取物語より (三善晃/天野正道) | ||
課題曲ではサウンドの線が細く、貧弱な印象を受けました。全般的に表情が乏しく、この曲のもつ躍動感やグルーヴ感がもう一つという印象です。自由曲では冒頭のピッコロ・フルート・クラは非常に雰囲気のあるアンサンブルを披露。幻想的な空間を作り出すことに成功しています。中間部のピッコロソロは秀逸。バンド全体が積極的な演奏になっていましたが、強奏でのサウンドではバランスを崩すところが多々あり、決め所のハーモニーが決まらず残念でした。 | ||
3 | 関西 大阪府 近畿大学吹奏楽部 (指揮/森下治郎) ※3年連続29回目 | |
5/ブリリアント交響曲 (I.ゴトコフスキー) | ||
複雑な構成の課題曲ですが、非常に手慣れた演奏と思いました。ただ全体的に表情が平板で、サウンドにも魅力が感じられず平凡な印象。自由曲では一転、色彩感のある華やかな音楽となりました。力だけでなく、「しなやかさ」を感じる演奏は見事。全体的に金物打楽器がうるさい印象でしたが、クラッシュシンバルが非常に上手かったと思います。このホールの雛壇の最上段の建付けが悪いのか、打楽器奏者が動くたびにギシギシと雑音が出てしまい、音楽を邪魔していたのが残念です。打楽器を雛壇上段にセットした団体には同様に同じような傾向がありました。 | ||
4 | 東海 静岡県 静岡大学吹奏楽団 (指揮/三田村健) ※3出休み明け11回目 | |
3/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より 夜明け、全員の踊り (M.ラヴェル/三田村健) | ||
課題曲は明るくバランスのとれたサウンドで、ノリの良い演奏でした。特に品の良いアンサンブルが心地よかったと思います。A.Saxの立奏に加え、Trp&Trbセクションによるスタンドプレイもあり、聞きごたえのある演奏になりました。自由曲、「夜明け」では管楽器の音の粒が立ちすぎていて、幻想的な雰囲気はもう一つといったところ。「全員の踊り」でも木管群は素晴らしいと思いましたが、全体的なサウンドが直線的で一体感やブレンド感に欠けた演奏に聞こえました。 | ||
5 | 関西 兵庫県 関西学院大学応援団総部吹奏楽部 (指揮/近藤久敦) ※11年ぶり29回目 | |
5/宇宙の音楽 (P.スパーク) | ||
課題曲ではA.Saxのソロ、良い音色で聞かせました。全体的に金管群の音が荒く、強奏になると音が開いてしまうのが残念。パート間のフレーズの受け渡しが今一つスムーズでなく、ミスも多かったので雑然とした演奏でした。自由曲は一転、躍動感のある快活とした音楽を聞かせました。課題曲とは別のバンドと思えるほどの一体感が見事。特に後半でのTuttiは良くまとまっていて、終曲も感動的でした。 | ||
6 | 九州 福岡県 福岡大学応援指導部吹奏楽団 (指揮/花岡金光) ※3出休み明け30回目 | |
5/天使ミカエルの嘆き(藤田玄播) | ||
課題曲は全体の完成度からいえば、不満の残る演奏に思いました。音楽の流れが悪く、1曲を通してブツ切りの印象です。自由曲は全体的なストーリーにはまとまりが感じられました。各奏者にも積極性がみえ、音楽そのものに勢いがあります。オーボエのソロも好演でしたし、後半の金管セクションによるファンファーレは非常に美しく決まりました。 | ||
7 | 西関東 埼玉県 文教大学吹奏楽部 (指揮/佐川聖二) ※2年連続21回目 | |
5/ラ・フォルム・ドゥ・シャク・アムール・ ションジュ・コム・ル・カレイドスコープ (天野正道) | ||
とても柔らかくしなやかなサウンドでした。それでいて輪郭はしっかりあり、各パートもクリアに聞こえてきます。画一的な演奏が多い中、しっかりと主張を持ったオリジナリティ溢れる課題曲でした。自由曲では色彩感のある流麗なサウンドが秀逸。バンドの表情が目まぐるしく変わり、場面場面にとても惹きつけられました。常に「歌」を感じさせる表現力は大学部門随一だと思います。陶酔感さえ感じる至福の12分でした。14回目の金賞受賞です。 | ||
8 | 北海道 札幌地区 札幌大学吹奏楽団 (指揮/今井敏勝) ※2年ぶり10回目 | |
5/交響的断章 (V.ネリベル) | ||
流れを大切にした課題曲でしたが、響きの薄い部分ではサウンドが安定せず、全体的に表情は平板。もっともっと変化に富んだ音楽を期待したのですが残念です。自由曲では重厚で安定感のあるサウンドで好演でした。全体的な音楽の流れも秀逸で構成のしっかりした演奏でした。全体の流れも良く、金管セクションが本領発揮の演奏だったと思います。 | ||
9 | 東北 宮城県 東北福祉大学吹奏楽部 (指揮/松崎泰賢) ※3年連続10回目 | |
5/光の射す道へ〜ぬくもりの在処 (八木澤教司) | ||
課題曲は他団体とは違うアプローチで面白く聞かせていただきました。シャープなサウンドが曲にマッチしており、各楽器の発音がクリアでよく聞こえてきます。自由曲では伸びやかでバランスの良いサウンドが見事。中間のハープもしっかりと仕事をしており効果的でした。全体的にメリハリのある構成で、終曲への一体感も秀逸でした。 | ||
10 | 東関東 神奈川県 神奈川大学吹奏楽部 (指揮/小澤俊朗) ※3出休み明け41回目 | |
5/魁響の譜 (三善晃/小澤俊朗) | ||
ゆるぎない安定感のある重厚なサウンド。1曲の中で緊張と安堵をうまく織り交ぜた見事な課題曲でした。卓越したソロ群はもとより、Tuttiでのサウンドのまとり、音のうねりを感じられた唯一のバンドです。自由曲も同様、毎回完成度の高い演奏を聞かせてくれます。期待以上の個々の技術の高さと積極性、バンドの集中力・一体感を十二分に見せ付けました。特に今年は神がかり的な演奏で、会場の空気を変えた12分間だったと思います。休み明けを25回目の金賞で飾りました。 | ||
11 | 北陸 富山県 富山大学吹奏楽団 (指揮/建部知弘) ※2年連続5回目 | |
3/故郷…鼓響 T.童歌 U.奏春 V.鼓響 (天野正道) | ||
明るく輝かしいサウンドで、かなりハジけた課題曲。頑張りすぎて少々オーバーブロウな感もありましたが、これくらいやるほうが曲の楽しさも伝わりますね。しかしながら、課題曲のサウンドと雰囲気のまま自由曲「故郷」に入ってしまったのが残念でした。「童歌」ではもう少し落ち着いた素朴な空気感が望まれます。所々サウンドが散漫になるところが気になりましたが、全体を通しての印象度は高く、会場を大いに沸かせた快演となりました。 | ||
12 | 東京 東京都 東海大学吹奏楽研究会 (指揮/福本信太郎) ※3年連続6回目 | |
5/久堅の幹 (長生淳) | ||
Tuttiでの音量は豊かで申し分なく鳴っていたようですが、決してうるさいとは感じませんでした。クリアで透明感のあるサウンドが素晴らしく、各奏者のレベルの高い洗練された演奏だったと思います。自由曲でも非常に柔らかく温かみのあるサウンドが耳に心地よく、バンドの表情が豊かでした。色彩的にも変化に富んだ演奏で客席を十分に魅了していたと思います。2年連続2回目の金賞です。 |