平成14年度 加配TT計画
1.授業改善の有効な方法として
・授業改善の有効な方法として,TTを活用したい。その概念は,おおむね以下のようである。
多くのこれまでの授業 | →→→ | こんな授業「も」 |
・一人の教師が固定化された集団に ・同一の教材・内容で ・一斉に ・一つの目標に向かって ・一定の時間に ・一つの評価基準で |
・複数の教師が柔軟に構成する 個または集団に ・複数の教材・内容で ・個々の学習過程で ・個々の目標に向かって ・それぞれのペースで ・多様な価値基準による評価で |
・TTのための授業では,本末転倒である。子供の問題解決をより効果的にするため,また習熟度や個々の選択に無理なく沿う展開を図るためにこそ活用したい。
2.学習過程におけるTTの位置づけ
・問題解決の流れの中で
〜「出合う」,「つかむ」ために担任とTTが違う主張をして,子供たちに選択させる。
課題選択の学習を2人で担当など。
(例)担任が,「これは〜ですよね,横藤先生?」と振り,そこで「そうなんです。これはね…」と補助説明を行ったり,あるいは「いや,違うんじゃないかな。みんなはどう思う?」と授業にふくらみをもたせるかかわりをするなどである。
〜「自ら動く」で,小グループ構成を取った場合の担当者として。調査活動,表現活動の補助者としてなど。
〜「つなげ,高める」で,ディベートチームの支援者として。T1が説明,T2が板書など。
〜「たばね,広げる」で,カードの記述に即した支援をよりふくらませるため。次の課題を見つけるための示唆を与える相談者としてなど。
・習得やドリルの活動で
〜T1が全体チェック,T2が個別の対応など。
〜習熟度に応じて練習コースの設定,問題を変えるなど。
〜個別に場を変えて指導するなど。
3.加配TTのスタイル
本校では,すでに学年TTや,ゲストティーチャーによるTTが多く採用されている。
今後そうしたTTを推進していくことで,ますます子供の学びがより豊かになるであろう。しかし,ここでは加配TTに絞って論じる。以降,加配TTを,略称@(アット〜added
teacherの略)と呼ぶ。
3つのスタイルの運用
(A) | (B) | (C) | |
担任と@ | 担任T1,@ | T2担任と@半々 | @T1,担任T2 |
教師の位置 | 担任〜前面,@〜個別,児童席,教室の後ろや横など | 両人とも前面,あるいは教室の前後など | (A)の逆 |
適した場面 | 個別指導を必要とする子に@がかかわった方が効果的と判断される場合 | 課題選択,複数の場,ディベート,ボケとつっこみ,自由進度学習(検定方式等) | 担任が個別にある個にかかわりたい時 |
指導案等 | 日常的な授業に@が参加。事前に週プロ作成時に打ち合わせ。できれば略案を担任が作成。@に「ここでこの子に」などと指示。 | 1節に,2学年で各1単元程度@が担当。指導案も@が作成。 |
※(A)〜(C)は,きっちりと決めすぎない方がよい。子供の学びをより豊かにするためには,(A)のつもりで始めても(B)になったとか,(C)でやろうと思ったが@のかかわりがうまくなくて,(A)に切り替えるということがあっても良い。あっても良いというよりも,ある意味でどんどんあった方が良い。
※また,子供の反応に対しての短い時間の「作戦タイム」,あるいは放課後にそれぞれの見取りを交流することなども効果的であり,またお互いの良い研修になる。
4.TT授業実現の実際
【加配TTの条件】 1.@は,週75M(一般的には25コマ)のTTが義務づけられている。11学級規模の本校では,ならすと全学級に2日に3〜6M(1〜2コマ)顔を出す計算になる。 2.教科や領域は,「算数」「生活科」「総合的な学習」「道徳」「特別活動」が中心である。(加配申請・認可の条件) 3.この実践は,すべて予定や指導案,実施の様子を記録化しなくてはならない。 (報告義務) |
以上から,次のように進めたい。
(1)算数・生活・総合・道徳
@毎週水曜日,各学年で2週分の週プログラムを立てる際に,「ここに@が来た方がよい」と考えられるコマを週に各学級2コマ程度選ぶ。(算数などは,できるだけ1,2組でコマをずらして授業するようにしていただきたい。)
Aその際は,(A)スタイルなのか(C)スタイルなのか等の希望も知らせていただく。
Bその希望を,水曜日のうちに@まで寄せる。@は,各学年の希望を調整し,2週分のTT計画表を作成する。
C可能な限り指導案を作成する(A4表だけの略案,手書きでよい)。
D共同の教材研究,教材づくりも進めたい。文珠の知恵の教材開発は,とても効果的である。
E放課後には,見取りの交流を積極的,継続的に行いたい。また,子供たちの感想や担任の見取りなども,カード等で寄せていただきたい(別項)。複眼の見取りは,この上ない研修となるであろう。
Fパソコンを活用した授業にも,ぜひ呼んでいただきたい。
(2)特別活動,おもしろ発見タイム,チャレンジタイム等
@きらりんタイムには,継続的に参加し,指導に当たる。
Aひまわりタイムや花いっぱい活動,青空交流会にもTTとして指導に当たる。
Bクラブ活動や委員会活動,おもしろ発見タイム,チャレンジタイムにも同様である。
5.記録化
・記録化が非常に重要である。そこで,次のものを残し,整理していきたい。
・週プログラム〜学年との調整で決めたもの
・指導案 ・授業記録,見取り,担任との交流,児童ノート,アンケート等 |
これらを,「TT通信」としてまとめ,全職員へTTの様子を日常的に還元していきたい。
6.(仮称)TT交流室の活用
・担任と@の打ち合わせや教材作成や作成したものの保管,教師用図書の活用,少数の子への個別指導などのため,司書室の一部をお借りした。有効に活用したい。
・基本的には,子供の遊び場ではないので,子供たちの自由な出入りは制限したい。
7.保護者や地域への周知等
・年度当初から,保護者や地域へも積極的に周知を図り,理解を求める。
・参観日や学校公開等にも積極的に組んでいただきたい。参観日は(A)スタイルの方 が良いと思われるが(C)であっても良い。懇談の前半で授業の振り返りをするとこ ろまで,@も懇談の席に参加させていただいても良い。
8.第1節(4〜6月)のTT例
学年 | (A),(B)スタイル | (C)スタイル |
1 | 生活科学校探検を中心に | |
2 | パソコンなどを中心に | |
3 | 総合やパソコンで | 4月下旬算数「たし算のひっさん」(30M) |
4 | 総合やパソコンで 道徳(6M程度) | 4月初旬算数「かけ算」(18M) |
5 | 総合やパソコンで | 道徳(6M程度) |
6 | 算数個別指導 | 修学旅行の取り組みを中心に |