お父さんの言うことを聞きな
2012年1月17日発行 学校便り「ひつじがおか」巻頭言
今日から3学期。大きな事故や病気がなく、全員が揃って始業式を迎えられることをとてもうれしく思っています。
先日、大きな銭湯に行きました。低温のサウナで汗をかいておりましたら、お父さんと5歳くらいの男の子が入ってきて、私の隣に腰を下ろしました。
私たちのすぐ前に、ぬるま湯が湧いている井戸のようなところがあり、手おけが置いてあります。
男の子は、立っていってすぐに遊び始めました。手おけで水を汲んで、床にこぼしたり、自分の身体にかけては「冷た〜い」とはしゃいだりしています。水があちこちに散るので、お父さんが「○○、やめな」と注意をしますがいっこうに聞き入れません。お父さんが水おけを取り上げて元の場所に戻しても、またすぐに遊び始めます。業を煮やしたお父さんが、その子の頭を後ろからコツンとやっても、言うことを聞きません。
2回目のコツンを見たくなかったので、私は「ぼく」と声をかけました。
お父さんは気がついて私の方を見ましたが、その子は気づきません。
もう一度「ぼく」と声をかけましたら、ようやく気がついて、動きを止めて私の方を見ました。
そこで、やさしくゆっくりと「お父さんの言うことを聞きな」と言いました。
その子はこっくりして、静かに手おけを置くと、お父さんの隣にかくれるように腰を下ろしました。
お父さんが会釈をしてくれました。私も笑顔で会釈を返しました。側にいた年配の方が、「そうだあ」と笑顔で頷いてくださいました。
お父さんと男の子だけだと、それは「点と点」の関係です。そこに私が割り込んで、お父さんと私という点と点を結んだ「線」となり、さらに側にいた方が支えてくださったことで、男の子という「点」を、大人という「面」が包み、支えることができた一コマでした。
3学期も、学校はチームとして子供たちの教育に「面」で取り組んでいきます。家庭や地域の皆様と心を合わせて、1年の締めくくりをしっかりとし、子供たちの心を満たし、学力や体力を向上させて次の学年(6年生は中学校)につなげていきます。どうぞよろしくお願いいたします。