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「総合でこんな力を〜」
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■たしかに動いてはいるけれど
「さあ,始めましょう。」教師の声かけで,子供たちが動き始める。
たしかに動いてはいるけれど,どこか勢いがない。視線がしきりにあちこちを漂う。なんとなく,という感じで動いている。
活動は,続く。たしかに子供たちは動いているけれど,その動きに節目が出てこない。あちこちで,当初の目的と離れた動きが出始め,それがじわじわと広がっていく…。
たしかに楽しそうに動いてはいるけれど,仲良しグループで一緒の場にいることを楽しんでいるようだ。追求しようとするものが見えてこない。そういえば,この前の単元でも,そのまた前の単元でもあの子達は同じメンバーで動いていた…。
これでは,いけない。これでは,何の力もつかない。これらは皆,「活動」ではなく「惰動」だ。
■育てたい力
「惰動」が出てしまうのは,多くの場合教師に「育てたい力」がはっきりしていないからだ。総合では,特に他教科とは違う力として,まず次の3点を意識してはどうだろう。
1.企画力
自分がこだわることを,自分の企画で進める。具体的で,わくわくする,そして無理なく実現できるような計画を立てる力を育てたい。
「先生,〜をしてもいいですか!?」と,子供からあふれさせてくるようでなくては。
2.調整,推進力
自分の立てた計画を,ぐいぐいと推進していく力。勢いのある活動,集中する活動からこそ,生きる力が見えてくる。もちろん,計画通りにことが運ぶことはそう多くない。そこで,柔軟に計画を変更しつつ,他の活動や様々な人との調整を図りながら進めていく力が必要になる。
取材をお願いする電話のかけ方一つ,お礼状の書き方一つ,質問の仕方一つ,…。それらを伸ばすには,総合ほど適したものはない。
3.プレゼンテーション能力
自分の調べたことに誇りを持って,堂々とプレゼンテーションをさせたい。こだわり,集中して取り組んだものならば,どの子の発表も内実はあるはずだ。クイズ仕立てにする,紙芝居風にする,飛び出すしかけを入れる,身体パフォーマンスを取り入れるなどの工夫もさることながら,飾りすぎないことの大切さも感じさせたい。何が,聞く人の心に残るのかにも注目させたい。