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アタシの名は、火鳥。


下の名前?・・・その質問は、必要ないでしょう?


あなたとアタシの間に、それ以上の関係が生まれるなんて事ないでしょうし、苗字だけで十分よ。

アタシは、無駄な時間と人間は嫌いなの。




「…事は手短に、済ませて頂戴。」



アタシは、そう言って柏木晶子に小さな紙袋を手渡すと柏木は、頷いた。


そして、次にはアタシの身体の具合を心配していた。

顔色が悪い、食事はちゃんと摂っているか?刺激物は控えるように、とか…薬はちゃんと飲んだのか?とか。


看護師 兼 彼女気取りも甚だしい…。


・・・だから、嫌いなのよね。

”心配”なんて、相手の為なんかじゃない。

心配している自分を視界に入れて欲しいだけなのよ。



他人に世話を焼かれるのなんか、まっぴらゴメンだわ。



柏木がいなくなった後、アタシは屋上のベンチに座った。

夜風はもう夏らしさを失っていたが、今のアタシにはそのくらいの温度が丁度良かった。




この場所は…病院は嫌いだ。

だが、何度も何度も足を運んだことがある。

このアタシが自分から、進んでだ。




 『決して、染まるんじゃないよ…』


 (ええ…染まらないわ…。)



後にも先にも、ありがたい教訓と言葉をくれたのは、その人物だけだ。

・・・他は、どうしようもない馬鹿とクズだった。




…染まるものか。決して染まるものか。




病院という場所に来ると、一気にあの日々の事を思い出す。

白い扉1枚を隔てた空間の空気の違いには、あの頃はゾッとしたものだが

今となっては、笑えてしょうがない。


『白い雲と青空が、綺麗なモンだと誰が決めたのだろうね。』


あの人は、ある日突然、そうアタシに言った。


もしや、ボケたのか、と思う事は無かった。

当時のアタシには、それだけ衝撃的な”問い”だったからだ。


白い雲と青い空が、綺麗だと思っていた。・・・いや、思わされていた。



いや、そもそもそれは個人の感覚で感じ取るものであって、綺麗なモノに”決まっている”訳じゃない。

死と絶望、痛み、孤独に苦しむあの人には、白い雲と青空を”綺麗だ”なんて感じる事が出来なかったのだ。


・・・一体、誰に刷り込まれたのだろう。

…色の感じ方、思想、生き方…一体、誰が決めた?


何が良いのか、考えるまでも無く、アタシは刷り込まれた馬鹿の思想に沿って、結論を出していた。




青い空は、美しい。


人を傷つけては、いけない。



イイコにしていなければ、いけない。

イイコとは、親のいう事を聞く、勉強の出来る子供の事だ。



”当たり前”と呼ばれるモノを、アタシは何の疑問も無く、馬鹿正直に受け入れて頭の中に叩き込まれていた。


空の色がどうなろうと、人は下を向いて歩いている。

人を傷つけては、いけない。

そう子供に教えている親ですら、平気で誰かを傷つける。

今だって、あの人はこんなに苦しんでいるのに財産の話しかしないヤツが、身内として、アタシの親として存在している。


そうやってアタシは、馬鹿達に馬鹿の思想を”押し付けられ続けていた”事を知ることになるのだが、それは別にいい。




それが解らない、考えようともしない馬鹿共は、皆…彼女を外へ連れ出そうとした。

彼女を白い扉の向こうへ連れて行くのは、いつだって汚れた脳ミソが腐ったような馬鹿ばかりだった。


綺麗な景色を見せれば、気分が変わるだなんて、ぬかして。


・・・アタシは、知っていた。

おばあ様は、そんなモノを見たいんじゃない、と。

そんなモノを欲していないのだ、と。



そんなモノを見せるだけでは、彼女は悲しみに”染まる”。

馬鹿な奴らは、馬鹿の一つ覚えで、ヘラヘラ笑って、何度も何度も彼女を染めていく。



そして、彼女から何もかもを奪おうとする。



幼いアタシは、知っていて何も出来なかった。

そして、さも”良い事をしています”という笑顔を浮かべて、ドス黒い私欲に塗れていた奴らの事を思い出して、腹が立つ。



おばあ様は、アタシに言った。




『・・・決して、染まるんじゃないよ・・・』




朦朧とした意識で言った言葉だったが、アタシは確かにその言葉の真意を受け取った。




…染まるものか。決して染まるものか。




だから、こんな呪いごときに、アタシは屈してはならない。

誰かに身を任せたりなど、するものか。



…とにかく…アタシは、一気に水島を追い詰める事に決めた。


手術の後だからって、関係あるものか。



空を見上げ、アタシは息を吐いた。



…仮眠も取れそうも無いし、むしろ眠らない方が良いだろう。





(・・・・・たかが・・・・)




思い起こせば・・・アタシは、随分と”迷っていた”気がする。


この女難の呪いを、女達を自分の為に”骨の髄”まで利用する事。

水島という”同類”と出会い、そして、出来れば水島の方から、アタシの提案を受け入れてもらう方が良かった。



・・・そうすれば・・・



アタシは、こんな事をせずに済んだというのに。



(・・・たかが・・・)



今いる、病院という場所のせいか。

それとも、本当にアタシの頭が”染まり”始めているのか。

それとも、このアタシにも、寒気のするような”良心”というモノが残っていたのだろうか。



アタシの脳の中には”焦り”と”迷い”が、混ざりあい

それでもちっとも混ざりきる事もなく、それらは分離したまま、醜く渦を巻いていた。




(・・・たかが・・・セックスでしょ・・・)



感情など無くとも、それは出来る。

アタシは知っている。



(・・・猿でも出来る、ただの行為じゃないの・・・。)



それで、自分の世界が、汚染されずに済むのならば・・・




 『・・・・・・染まるんじゃ、ないよ・・・』




染められたら、いけない。

この世でたった一人だけ、信じられる言葉を残してくれたあの人。


あの人だけは、馬鹿じゃなかった。

・・・・・・生きてさえ、いれば…だけどね。




・・・死んだら、終わりよ。墓を立てようと、恨み事や財産を残そうと、終わりだわ。




(・・・さてと・・・。)



時計を見る。柄にもなく、考え事に耽ってしまったものだ。


結論は出ているのだ。あとは、行動すればいい。






アタシは、無理矢理に水島の体を奪う事にした。

だが、肝心なのはそれで呪いが本当に解けるのか否かだ。


その為の鍵は、水島だ。

ヤツは別の方法を探している。しばらく泳がせて、その方法を探ろうとおもっていたが…

・・・肝心のあの馬鹿は、何の情報も手に入れずに盲腸で入院してしまった。


まあ、こうなっては仕方が無い。

この機に乗じて、ヤツで呪いが解けるか否かを確かめるチャンスだ。

麻酔でしっかり意識を奪っておけば、抵抗もされないだろう。協力者は揃っている。


このまま、女難なんて馬鹿らしいモノに染まっていく人生などまっぴらゴメンだ。


自分の幸せを追求する権利は、誰にでもあるのだ…それを阻害するモノは、容赦はしない。


・・・例え・・・どんな、方法を使っても・・・。



足音がする。

振り向かずに、アタシは空を眺めていた。


「あの…火鳥さ……!」


柏木がアタシに声を掛けたので、アタシが振り向くと柏木は恐怖に強張った顔をした。


「・・・・・あら、どうかした?」


「いえ、あ…あの、そういう顔もするんですね、火鳥さんって…」


アタシは”予行演習”でもしようかと、柏木に歩み寄った。


「…そんなに怯えて…怖かったのかしら?」

「いえ、そんな事…それより、水島さんの…っ!?」


右手の親指と中指で、顎の付け根を押さえ、柏木の顔を無理矢理、上に向かせた。

私が顔を近づけると、柏木は両手を下げた。



・・・”何をされるのか”は、十分承知の上、と言ったところか。


アタシは、白いスカートの中に手を滑り込ませた。


「…ダメ…誰か…来たら…」

「そうね。大変ね…声、殺さないと…。」

「…ッ……ぅ…!」


アタシの指を柏木が飲み込み、汚れ始める。柏木が声を漏らしつつ、体液をアタシの掌にベトベトにつけた。


そんな中、アタシは、ふと思い出した。



(あら…そういえば、アタシ…今、初めて、女を”抱いた”わ。)




やはり、所詮は・・・ただの”行為”だ。

こんなモノで、呪いなんてものが解けるかどうか・・・ますます怪しいもんだわ。


まあ、結果は・・・水島で試してみなければ・・・わからない。






[ 火鳥さんは暗躍中 〜もう一人の女難の女 その6〜 ]








アタシは、柏木から教えてもらった水島の病室に向かった。


ところが。




「・・・あら、何してるの?」



アタシは、思わず開きかけたドアからぱっと手を離した。

よりにもよって、こんな時に・・・!


「・・・忍・・・!・・・・・・・・ねーさん・・・。」


よりにもよって・・・厄介な”従姉妹”に出会うとは・・・。


「・・・後から渋々付け加えるくらいなら、呼び捨ててくれて構わないわよ。ムカつくけど。」


烏丸 忍は相変わらず、何も楽しく無いくせに笑っている。計画が破綻した上に、その笑顔がますます癇に障った。


「……悪かったわよ。じゃ。」


だが、忍はアタシの肩を「お待ちなさい。」と掴んだ。



「な、何よ!」

「・・・知り合い?」


忍はそう言って、顎で水島の病室をさしてアタシにそう聞いてきた。

こんな邪魔が入るなんて想定外だ。柏木に、誰も近付けさせないように言いつけていたのに。


「・・・関係ないでしょ。」

「冷たいわねぇ…昔は、腰周りにくっついて離れなかったのに。」

「アタシ、くだらない昔話したくて、ココに来たんじゃないの。…離してくれる?」


アタシは、自分の肩に置かれた忍の手をどけようと、人差し指と親指でつまんだ。



「…じゃあ、柏木さんにご用事?」


驚いた。・・・コイツ、何をどこまで知ってるの?

事と次第によっては、計画は滅茶苦茶だ。一から練り直さなくてはならない。

情報が漏れている。柏木はやはり、使えないか。とっとと利用して、早めに関係を切らないと。

これ以上・・・忍に情報を与えてたまるか。自分が女難の女だなんて状況知ったら、ヤツは面白がるに決まっている。


「……あの女、何か言ってたの?」


アタシがそう聞くと、忍は意味ありげにクスリと笑って言った。


「・・・仲良く、してあげたらいいのに。」



仲良く、ですって?・・・そう言われた途端に全身に悪寒が走った。

指で触れた、女の肉と体液の感触が蘇ってきた。たかが行為だと解っていても、この嫌悪感は拭い去れない。


アレは、餌だ!柏木への餌だ!

そうでもなければ・・・誰が!好き好んで!他人なんかと関係持たなくちゃいけないのよ!!

冗談じゃない!



「…冗談じゃないわよ。誰が、女なんか…!もう、たくさんよ!アタシは…もう嫌なのよ…!

 コレ以上、他人に邪魔され続ける人生なんて…まっぴらだわ…ッ!」


頭を抱えて、アタシは思わずそう言ってしまった。

冷静さを欠いた行動だと、すぐに後悔が襲ってきた。



「・・・困ってるなら、力になるわよ。」



忍は、相変わらず癇に障る笑みを浮かべて、そう言った。



「…忍が?アタシの力に?…………フン、なりゃしないわよ。」



この女は・・・自分一人じゃ何も出来ない、自分の人生も決められない女だ。



・・・それに・・・。



「・・・あら、どうして?」


「・・・・・・女だから。」


「あらあら、今度は性差別?」


「・・・そんな程度だったら、まだいいわよ。」


「気になるじゃないの。自分の職場に、従姉妹が何しに入ってきたのか、聞いておく必要もあるし。」


アタシは一旦落ち着いて考えた。

・・・忍は何を考え、ここにいるのだろうか?と。ここで出会ったという事は・・・忍は”水島”に用があるのか?

担当医が、看護師も連れず、こんな時間にここにいるなんて、不自然だ。



(・・・まさか・・・。)

「・・・・・・・。」



アタシは、忍が水島の女難では無いかと思った。

・・・もし、そうだとすれば・・・・・・この女も、使える。


「・・・誰にも言わないわ。だから、今回くらいは、事情を説明しなさい。」


だが、この女は頭は、いい。上手く利用できるか…いや、そもそも、水島の女難じゃなかったら…

そう思うと、くしゃくしゃと自分の頭をかきむしるしか、なかった。


ああ、どうしていつもこうなるの・・・!肝心な時にばかり・・・っ!!


順調だった筈の計画も人生までも、他人との”縁”なんてクズみたいな理由で、ボロボロになっていく。



「・・・アタシだって、まだわからないのよ。

わからないのよ!女ばっかり、アタシの元にやってきて、好きだ惚れただ次々と…鬱陶しいッたらありゃしない!!

どうして、アタシが…ッ!!これは…ああッ!もうッ!」


ストレスが爆発し、アタシは取り乱した。

気が付いた時にはもう遅かった。アタシはまた余計な情報を自分から忍に与えてしまったのだ。



「…落ち着きなさい…らしくもない。私の部屋にいらっしゃい、コーヒー淹れてあげるから。」



落ち着くように、と背中に触れられ、アタシは大きく息を吸って、顔を伏せた。


・・・ダメだ。と思った。・・・この程度で・・・アタシらしくもない行動を取りすぎている。


「……………いらない。今日は帰るわ…」


「・・・いいの?会っていかなくて。」



忍はそう言って、病室を指差したみせたが、アタシは見向きもしなかった。


「別に。会いに来たとかそんなんじゃないわ。」

「…貴女の”ストレス”と、ここの女性患者さん…余程、関係があるのね?」


確かに、そうだ。

ここまで、他人に固執したのは・・・水島という女が初めてかもしれない。

だが、固執する理由は簡単だ。



「・・・・・・そいつじゃないと、ダメなのよ・・・生贄は。」

「生贄?」


・・・・・・・・・・どうも、今日は、余計な事を喋りすぎる傾向がある。

いくら従姉妹とはいえ・・・忍が水島側の女難ならば、水島の味方という事だ。

十分、警戒しなければならない。柏木にも、あとでそう伝えておこう。


「・・・・・・喋りすぎたわ。水島には、アタシが来た事言わないでね。

 …頼んだわよ……忍…ねーさん。」



(ダメだわ・・・今日は、帰って頭を冷やさなければならない。)


水島の事は、柏木に盗聴器を仕掛けさせるだけに留めておこう。

ヤツの情報・・・特に女難の人間関係も探らないと・・・忍みたいに肝心な時に邪魔になるかもしれない。

・・・ついでに、柏木には、忍の行動もチェックするように言いつけておかなくては・・・。


「―― チッ・・・!!」

・・・・車に乗り込むとアタシはまず、舌打ちをして、ハンドルを叩いた。


(・・・また・・・また、予定が狂った・・・!!)


・・・これほど、腹の立つものは、ない。


部屋に帰り、アタシはまず、手を洗った。

その後、シャワーを浴びた。身体を洗うためではない。考え事をより冷静にする為だ。


・・・ただ、いつもより長くお湯を浴びながら、考えていた。

たった一人の人間と、訳のわからない儀式だが、セックスだかをする為だけに・・・

アタシは一体、何を、いつまで、こんな馬鹿な事をし続けなくちゃならないのか・・・!


・・・それもこれも・・・全部・・・ヤツが、従わないからだ・・・!


「・・・・・・・水島め・・・・・・!」


あの女一人が、一言”協力する”と言えば済む話かもしれないのに。

たった一人の馬鹿の思考を、このアタシが、自由に出来ないなんて…!


どうして、アタシの考えを理解出来ないの?どうして、こうなった?



『…そんな貴女とするのは、尚更、嫌なんです…どうするかは、自分で考えます。』



・・・水島はどうして、あんな事を・・・どうして、リスクのある方を選んだの・・・?

大体、どうするもなにも・・・全然その解決方法を発見できてない上に、女難の毎日。

・・・挙句、死ぬかもしれないというのに・・・!



一体、あの馬鹿は何を考えているのか、アタシには理解できなかった。

それどころか、アタシに対する、あの態度と言動が・・・どうしようもなく頭にきた・・・!



・・・・・・いや、理解する必要等ない。アイツはアタシと同じ人嫌いだが、所詮は只の馬鹿だ。




・・・アタシは、決して染まらない。決して。










「・・・で。仕掛けたの?」

「いえ・・・まだ・・・。」


アタシは、あまり人の来ない病院のトイレに、柏木を呼び出した。

昨日の内に盗聴器を仕掛けるように命じていたのに、柏木は”出来なかった”と頭を下げた。

・・・・・・・使えない女。


「・・・まあ、いいわ。退院しない内につけて頂戴。」

「・・・どうして、です?あの人、火鳥さんにとってなんなんですか?」


柏木が、恨めしそうにこちらを見た。嫉妬の感情が、手に取るようにわかる。


(・・・ダメだわ、コイツに水島との儀式を話したら、計画に支障が出る・・・。)

そう思ったアタシは「アイツは、アタシの敵よ。」とだけ、言った。


それでも、疑いの眼差しを向ける柏木に、アタシは新たに餌を与える事にした。

おそらく、最後の餌だ。


「・・・っ・・・ぁ・・・」



トイレのドアにもたれるように、寄りかからせ、ナース服の中に手を入れた。

何が、白衣の天使だ。・・・ただの馬鹿女じゃない。

心の中で嘲笑っていたアタシに柏木は触れる事なく、ただドアにもたれかかり、辛そうにガリガリとドアを引っ掻いていた。

アタシは、柏木の右太腿をさすりながら、首筋に歯を立てた。


すると、突然柏木が小声で「火鳥さん」と声を掛けた。

出口の方へ視線を向けると、そこには烏丸忍が立っていた。

珍しく、目を見開き、驚いたような顔をして。

アタシは、全く動じる事もなく、ゆっくりと、柏木の首筋から唇を離した。



「・・・あら、忍姉さん・・・タイミング悪かったわね。」

アタシの言葉より先に、忍は柏木に声を掛けた。


「・・・柏木さん、仕事中よ。行きなさい。」


柏木はアタシの顔を見て、どうすればいいのか?という表情を浮かべていた。

アタシは、小声でボソリと『ここはアタシに任せて、貴女は頼んでおいた事をやってきて。頼りにしてるわ』と呟いた。

語尾に、思ってもいない事を付け足すだけで、柏木はアタシの思うとおりに動いた。



一方、忍は、何事も無かったように、まっすぐ洗面所に向かうと、水を出した。

冷水で顔を洗い、手にしていたタオルで拭き終わり、鏡越しにアタシを冷たい目で見ていた。

”最低”と言わんばかりの顔で。


「世間って狭いわねぇ。」


・・・とアタシは、ワザと笑ってみせた。


「・・・こちらこそ、人嫌いの情事を目撃できるとは思わなかったわ。しかも職場でね。」


忍にしては、棘のある言い方だった。

アタシは、昨日シャワーを浴びながら考え付いた計画その2を試す事にした。



「別に。したくて、してる訳じゃないわ。……あーぁ…なんかついてる…。」


アタシは忍の隣で、見せ付けるように先程まで柏木の中に入っていた指先を洗った。


「性にだらしない10代の女の子みたいな事、言ってるんじゃないわよ。

 ・・・・・・やっぱりね。」


「・・・やっぱり?」


「…柏木さん、貴女の事、知らないって言ってたけど嘘だったのね。」


あからさまに棘のある言い方に、アタシは思わず笑って言った。


「…聞かれたら、そう言うように”調教”したからよ。」


頭の良い忍先生の事だ。不快に聞こえる単語を強調して言っている事には気付いている筈。


「・・・私てっきり、貴女は、水島さん目当てだと思ってたのに。柏木さんだったんだ?」


「・・・フン・・・さあね?・・・アタシが水島目当てだって言ったら、協力してくれる?忍姉さん。」


手を洗い終わると、アタシは、従姉妹からタオルを奪い、手を拭いた。


・・・閉鎖的な人生を送っている忍の事は、昔からよく知っている。

なんでも面白がって、他人の事を羨ましいなんて言う女だから、忍が、水島のような女に興味を持つのは、なんの不思議でもない。

その興味の中身が、水島への”好意”であっても、なんら不思議は無い。

・・・水島は、アタシと同様、女難の女だしね。


「・・・どうやら、キューピッドになれって相談じゃなさそうね。

それに私の担当患者を、悪魔の慰みモノになんて出来ない相談よ。傷口開いたら、大変だもの。

口説くなら、自分で行きな・・・」


「アイツの情報が欲しいのよ。」



・・・なるほど、忍と水島は、どうやらよく会話をしているようだ。

・・・ならば、ますます結構。やはりコイツは、使える。・・・アタシはそう思った。


柏木は、恐らくこれ以上、役には立たないだろう。 ならば、担当医である忍を使ってみる価値はある。


この計画さえ成功すれば・・・2人共、もう用は無いし。



「・・・まずは、お友達になってくださいって言ってみたら?彼女、話してみると、素っ気無いけど、良い人よ。」


アタシの言葉を聞いた忍は語気を強めた。どうやら、アタシを警戒しているようだ。


「・・・下らない冗談は止めてよ。時間が無いのよ、アタシ。…何でもいいの、例えば…アイツの弱み、とか。何か聞いてない?」


取ってつけたような理由を口にしてみる。

勿論、それにホイホイ乗ってくるような女じゃないのは、アタシはよく知っていた。



「知ってたとしても・・・水島さんは、私の担当患者よ。

彼女のプライバシーに関わる事は教えられないわ。知ってる?”守秘義務違反”になるの。」


「・・・フン、どうせ・・・親告罪でしょ?」

※注 親告罪・・・告訴が無ければ罪にならない罪。

この場合、秘密を漏らされた被害者の水島さんが訴え出なければ、秘密を漏らした烏丸さんは罪に問われない。 間違ってたらゴメンね!(コラ)



「・・・それでも、ダメ。柏木さんも同じよ。変な事させないでよね。ここは、医療の現場よ。」


「・・・フン、それがLルーム作った女医さんの台詞? それが、つまらない人生を面白くする為の貴女のやり方?」


アタシは忍の後ろから抱きつき、忍の頬を撫でた。


「!・・・ちょ、ちょっと・・・!!」


アタシは指で、柔らかく頬を撫で、忍の耳の奥に囁いた。


「ねえ忍…覚えてる?アタシが”家を出ればいい”って言った時…忍は、アタシに抱きついて『ここから連れ出して』って泣いたわよね?」


その言葉を聴いた瞬間、忍の表情が明らかに変わった。


「・・・覚えてたの・・・?」


アタシは、鏡の中でにこりと微笑んだ。


(・・・やっぱり、ね・・・)



「・・・勿論よ。あの時は、アタシ一人で家を出るのが精一杯だったけど・・・

・・・今は、違うわ。貴女を檻から出してあげられる。」



忍に必要な”餌”は、アタシの言葉だ。

孤独とつまらない人生を嘆く彼女に、うってつけの餌。


忍は、待っている。 自分を檻から、つまらない人生から救い出してくれる誰かを。


・・・それが”餌”だ。


「・・・つまらない人生をおくる必要なんて、ないのよ・・・忍。 だから・・・力を貸して。」



利用価値の無かったあの時は、放っておいたが・・・今の忍なら十分、利用価値がある。

・・・だが、きっと忍は断るだろう、と思っていた。



「・・・・・・・・断るわ。ここ、Lルームじゃないし。」



・・・やはりな、とアタシは鼻で笑って離れた。

あの餌で、忍が釣れたら、上出来だったが、まあ仕方ないだろう・・・。

今、忍が食いついている餌は”水島”らしいし…。それはそれで、使える状況にはなっている。決して悪くは無い。



「・・・やぁねぇ・・・レズのふりしてる人嫌いの忍姉さんに、色目なんか使っても効果なんか、ある訳ないじゃない。

 ・・・解ってるわよ、そのくらい。」



笑って、ぷらぷらと手を振ってみせると、忍の目つきが僅かに変わった。

一応、怒っている、みたいだ。 だが、忍は絶対に感情を表に出さない。



「・・・柏木さんに、変な事させないでね。彼女、とても優秀なナースで・・・とてもイイコなんだから。

何をさせたいのか知らないけど…ほどほどにしておきなさいよ。」


「他人の気持ちなんて、考える必要なんかないわ。どうせ、お互いわかりゃしないんだから。」


「・・・わからない、で済ませて・・・理解を捨てるの?」



・・・・・・理解、ねえ・・・?

まるで、あの水島の言いそうな「言葉」だ。アタシはそう思った。

・・・そうか、どうやら忍は”染まってしまった”ようだ。



「だから、理解なんかする必要ないって言ってるじゃない・・・ま、いいわ。

協力してくれる気になったら、連絡して。それなりのお礼はするわ。・・・損は、させない。じゃね。」



アタシは、そう言って笑いながら、出て行った。




柏木の手によって、今度こそ盗聴器は、仕掛けられた。


水島の女難である馬鹿女達の会話や、水島の独り言…。

役に立つ情報は少なかったが…。ヤツの状況や、ヤツの周囲の人間の名前はわかって来た。

関口の情報に無かった人物もいたし・・・これは、後で関口にまた探らせようと思った。


また、水島が、忍に女難の呪いの経緯を馬鹿正直に話しているのを聞いた時は、腹の底から笑った。






そして、思ったよりも早く、その電話はかかってきた。


「・・・どういう事なの?犯罪よ。柏木さんに、させたの?それともあの日に貴女がやったの?」


その日の深夜、従姉妹の烏丸忍が電話をかけてきた。

水島のベッドに仕掛けた盗聴器は、やはり忍に発見された。


警戒している忍の事だ、遅かれ早かれ、バレるとは思っていたが…。


『ふぅー・・・・・やれやれ・・・使えないかもとは思っていたけど、本当に使えない女だったわね・・・』



落ち着き払った声で、アタシがそう言うと、忍はいつになく怒りに満ちた非難の声をアタシに向けた。


「・・・一体、何考えてるの?・・・犯罪よ。」


『・・・落ち着きなさいな。これは、水島とアタシの問題なのよ。聞いたんでしょ?女難の呪い…

アタシは、水島と儀式したいのよ。・・・勿論、アタシは、ヤツの事なんか好きじゃないわ。ヤツもアタシを嫌ってる。』


「・・・でしょうね。」


『だけど。女難同士だと、惚れただなんだの余計な感情抜きで、儀式出来るのよ。 どっちも、呪われてるし、人嫌いだからね。』


「・・・だったら、柏木さんを巻き込まないで、せめて自分でやったらどうなの? 大体、水島さんに、何をしようとしてるの?」


『・・・馬鹿に、水島に入れ込むじゃないの。・・・まさか、惚れた?』


「貴女・・・!」



・・・忍が、あの頃、アタシを好きだった事は知っていた。それがどういう感情だったのかどうかは、知った事じゃない。

・・・ただ、あの頃の忍に利用価値は無かった。


大体、アタシはあの時には、もう周囲の馬鹿に興味は、無かったし。



・・・だが、今の烏丸忍には、利用価値が、十分ある。



「・・・私が好きなのは、貴女よ。」


携帯電話の向こう側からは、思わぬ告白が聞こえてきた。



『・・・・・・・・・・・はぁ?』



「どうせ、水島さんとの会話、聞いてたんでしょ?私が好きなのは・・・貴女だからああ言ったのよ。

貴女の為なら、なんでもするわ。・・・だから、柏木さんなんか使わないで。」



『・・・・・・マジで言ってるの?忍ねーさん?』



思わず、笑ってしまった。・・・だってそうじゃない?

あの病室の会話を聞いていたからこそ、従姉妹のアタシには解るのよ。



「・・・私が好きなのは・・・貴女よ。さあ、言って頂戴?私は、何をすればいいの?」



・・・嘘が下手な、忍お姉様。 でも・・・その想いは、遂げさせてやっても良いわよ・・・。

・・・ただし・・・アタシの駒として、役目を終えてもらうのと引き換えに、ね。




「・・・明日、水島と儀式をするわ。協力して頂戴、忍。」


「・・・儀式?儀式って・・・貴女、水島さんとセックス、する気なの?」


「やあね・・・水島はそれしか知らないみたいだけど・・・儀式は”別の方法”もあるのよ。」


「・・・・・え?」


「・・・協力してくれるわよね?忍。」



「・・・その、方法って・・・?」


アタシは笑いを必死にこらえて、言った。


『女同士、午前2時から午前4時まで口付けし続ける事で呪いは解けるらしいのよ。』と。


「それ・・・確かな解き方なの?」


「水島が他の方法を探しているって言ってたでしょ。アタシも同じよ。それで古い文献あさって、やっと見つけたの。

負の縁を断ち切るには、そうやって誰かと縁を結ぶしかないのよ。だけど、必ずしも、性行為する必要なんか無いのよ。要は、縁の問題なの。

・・・ただし、他の女とそんな儀式すれば、恋愛感情が芽生えてしまうから…そんなややこしい関係、誰かと結びたくなんかなかったのよ。

・・・だから、アタシは、同じ女難の女で人間嫌いの水島と儀式をしたかったの。わかった?」



「・・・そう、なの・・・そんな方法が・・・」



「だから、明日の夜、水島を眠らせておいて。

・・・たかがキスとはいえ、2時間は長いわ。ヤツが起きたら、抵抗されて儀式は台無し。

聞いたでしょ?下手をすれば、死んでしまうかもしれない呪いなのよ?

寝込みを襲うのは、確かに正攻法じゃないけど・・・でも・・・それで、アタシと水島の呪いは解けるのよ。」



「そう・・・解ったわ、明日の夜・・・ね。」


「・・・ええ、お願い。」



電話を切って、アタシは思い切り笑った。

「・・・くくく・・・アッハッハッハッ!!」


勿論、先程の儀式の内容は100%の嘘だ。


だが、今アタシの身にかかっている女難の呪いだって、真実かどうかもわからないモノだ。

そして、その解き方だって…歳の数だけセックスしろなんて、嘘か真か解らない。

・・・真偽の検証は・・・やってみるしかない。


そして、どうせやるなら・・・同じ人嫌いに限る。

アタシがこだわるのは、そこだ。

儀式後でも後腐れも無い関係が築けるだろうという事と・・・このアタシを馬鹿の分際でコケにした報いも少しだけ、含んでいる。

その為には、アタシと儀式をする意思・・・または、水島がアタシの所へ行かざるを得ない理由が必要だ。



・・・そして、烏丸忍には、その準備をしてもらう。

烏丸忍なら”今夜”アタシが吹き込んだ”偽の儀式”を水島にするだろう。・・・友達(笑)を救う為に、ね。

好きなヤツの為なら、従姉妹に嘘もつくし・・・午前2時から午前4時の間に水島に口付けをし、呪いを解こうとするだろう。

何より、「他の女とそんな儀式すれば、恋愛感情が芽生えて〜」の部分は、忍にとっては魅力的なメリットに違いない。



あの女は・・・きっと、今夜・・・水島にアタシが吹き込んだ”偽の儀式”を仕掛ける。

それを写真に収め、水島に突きつける。


友達だと言っていた忍が自分の女難と解れば、水島は忍と距離を取るだろう。

しかも、寝込みを襲われたとなれば、裏切り者にも等しい存在になる…そうなったら・・・水島の精神など脆く崩れる。

・・・あとは、写真をネタに水島を脅し、一気にアタシに屈服させるだけだ。


まあ・・・別に、忍が今夜、あの偽の儀式を仕掛けなくても、構わない。

その代わり、今夜、アタシが、柏木を使ってクロロホルムを調達させ、そのまま、柏木には忍の足止めになってもらう。

・・・その間、アタシは、水島を眠らせて、直接儀式をすればいいだけだ。



・・・・・・それで、呪いが解けなかったら・・・あのババア、踏みつけてやるわ・・・。



・・・それにしても・・・。

・・・烏丸忍は、進歩の無い人間だ、と思う。


(アンタは本当にちっとも変わってないのね・・・忍・・・だから・・・いつまで経っても、檻から出られないのよ・・・。)


あの頃、アタシにすがって泣いていた、愚かなあの頃から、ちっとも進歩していない。

檻から出られないんじゃない。出るのが、怖いから、出られないのだ。

そうやって、自分と檻を守っている事にすら、気付いていないのだから、始末が悪い。

いつか、誰かが助けてくれるだなんて、夢みたいなことを心の中で思っているのだ。


「さて・・・。」


・・・アタシは、携帯電話を再び取り出すと、柏木に連絡を取った。



「・・・晶子?・・・アタシよ。打ち合わせ通りにやって頂戴。・・・大丈夫よ、後からアタシも行くから。」




携帯電話を切ると、アタシは車に乗り込んだ。

だが、やがて・・・こみ上げてくる笑いを我慢出来なくなって、車内で大声で笑った。




そして、数時間後。





アタシの思惑通り・・・忍は、水島だけを助けようとした。

偽の儀式だとも知らずに。


一時的にアタシの女難であるように、振舞ったようだが…生憎、アタシは水島と違って『はい、そうですか』、と信用なんてしないのよね。

従姉妹のアンタなら、尚更よ。

それに・・・いつも決まって感じてた、女難の前触れみたいなのも・・・忍には、感じなかったしね・・・。



柏木が撮影した写真には、病室の中で、偽儀式中の忍と、被害者の水島が映り込んでいた。

勿論、忍はデジカメを取り返そうと柏木に向かっていったが、間一髪アタシが、それを奪った。



「病室で乱闘はマズイんじゃないの?・・・あら、綺麗に映ってるじゃない?忍ねーさん。」


アタシの登場に、忍は目を見開いて驚いていた。


「・・・どう、して・・・!?」


「・・・献身的な演技、ご苦労様。美しくて、涙が出ちゃうわ。・・・忍ねーさん。」



そして・・・アタシが、先程伝えた儀式が偽のモノである事・・・

忍が”勝手な思い込み”で水島を眠らせ、キスをしただけの事実は変わらない事を告げると、忍は、がっくりと膝をついた。



「・・・・・・嘘、だったのね・・・!!」



「・・・あら、先に嘘をついたのは、どっち?・・・好きだなんて、軽々しく言っちゃって。」

「え・・・?」



鼻で笑って、アタシは忍に背中を向けた。


「行くわよ、晶子。もう十分だわ。」

「・・・あ・・・あの、これで、良いんですか?」

「・・・ええ。ありがとうね。」


(・・・柏木と忍ねーさん。・・・・そして、サヨウナラ。)


デジタルカメラを片手に、アタシは病室の出口へと向かった。



「・・・・・・貴女、呪われて当然だわ・・・ッ!」



アタシの去り際に忍は、涙声でそう言った。

アタシは鼻で笑って言い返した。


「・・・フッ・・・あら、そう?」



「・・・でも、水島さんは、違うわ・・・!貴女なんかと全然違うわ!貴女なんかに、彼女は絶対・・・屈しないわ・・・!」



・・・何を根拠にそんな馬鹿げた事を言うのか。

全く・・・馬鹿に染まりきって、進歩を止めたばかりか・・・退化までしたのね。私の従姉妹は。




「まあ・・・そこの女難の女が退院するまで、せいぜい”お友達ごっこ”してるのね?・・・檻の中で。」





こうして、アタシは写真の入手に成功し、退院した水島に絶望を与える事も出来た。

混乱と絶望の水島の逃げ道を塞ぎ、計画は順調だった・・・




・・・順調だった・・・筈なのに・・・。



・・・このまま、順調に事を運べるものだと、思っていたのに・・・。







・・・あそこまで、順調だったのに。あんなに計画通りに進めていたのに・・・どうして・・・・・・






・・・・・・どうして・・・失敗した・・・?


 ※注 どうしてかは『水島さんは回復中』参照。





・・・もしかして、忍の言うとおりだった、とでも言うのか・・・?



いや、違う。・・・全ては・・・予定外の女難のせいだ。・・・そうじゃなければ・・・完璧だった筈なのに・・・!






翌日。


会社で、アタシはげっそりとした顔で、仕事をしていた。 ・・・だが、あの時のショックで、遅々として進まない。



「火鳥さん、コーヒーです・・・・どうしました?顔色悪いですよ?」


関口がコーヒーを持ってやって来てアタシにそう聞いてきたが、アタシは力なく答えた。


「・・・なんでもないわ・・・」


「あ・・・あの、先日の水島って人に関しての資料、まとまりました・・・」


「ああ、そう・・・そこ、おいといて。」


関口の言葉を受け流しながら、アタシはぼうっとパソコンの画面を見ていた。


「・・・あの、思ったんですけど・・・水島さんって、火鳥さんに少しだけ、似てますよね。あ、でも勿論、火鳥さんの方が・・・素敵ですけど。」


「・・・はあ?」

睨むようにアタシが関口を見ると、関口はオドオドしながら答えた。




「・・・あ、いえ・・・その・・・なんか、女性に好かれてるというか、女性に囲まれてるというか・・・そういう状況というのが・・・えと・・・」




・・・その一言で、アタシは閃いた。




「・・・・・・雪・・・今、なんて言ったの?」



「・・・え?だから・・・・女性に好かれてるというか、女性に囲まれてるというか・・・って・・・それが何か?」



「・・・そう・・・そうか・・・なるほどね・・・ククク・・・そう・・・ククク…!」



・・・良いアイデアが浮かんだ。 計画は失敗したが、今度こそ・・・成功させて見せようじゃないの。

・・・チャンスは待つものじゃない。作り出すものだものね・・・。




・・・こうなったら・・・今度こそ、徹底的に、水島を追い込んで、屈服させてやるわ・・・!






ー その6 ・・・END   ー


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あとがき!


・・・はい!長かった火鳥さん暗躍中もやっとこさ、本編に追いつきました。

火鳥のおばあ様が出たり、色々また伏線が見え隠れしてますが・・・・何より、写真の件が片付いてよかったな、と。(笑)


・・・うん、でも、また加筆修正するかもしれないけれど!(ダメじゃん。)


忍さんの件ですが。残念な話、折角忍さんが身体を張って呪いを解こうとしたんですが…それよりも、火鳥さんの方が一枚上手、というか、腹黒かったんですよねぇ。

そして、その腹黒火鳥を、女難経験豊富な水島さんが見事、それを打ち破ったというか、幸運(火鳥の女難)により助かった訳ですが・・・。


忍さんと水島さんとの間には、微妙な溝が残りました。

そして・・・まーた、よからぬ事考えてますね、あの女は。(笑)


まあ、どうなるのかは、これからの、水島シリーズ本編でお見せしていくと思いますので、それまで、お楽しみに!