ペルーの旅8日目(11月26日=日)
ペルーの旅も実質最終日。できるだけ多くの名所を巡ろうと朝から行動開始。
チェックアウトを済ませた後、荷物はホテルに預かってもらうことにした。昨日のオヤジがこの朝はしらふ、こちらの申し出を快く引き受けてくれた。サービスとして当たり前かも知れないが、気持ちいい。このオヤジ、なかなか好感度が高い。
旧市街セントロへ。タクシーで2ドルと1ソルが相場のようだ。カテドラル(大聖堂)が建つアルマス広場で降り、まず、東に向かいラ・インキシシオン宮殿(宗教裁判所博物館)へ。セントロの名所は古めかしいものばかりかとも思っていたが、この建物は気のせいか比較的(あくまでも)新しいという感じ。無料。ガイドブックによれば、ほかの名所と同じように、何人か集まってからグループになり英語かスペイン語のガイドについて巡るのであるが、日本人であることを確認されると、どうせこいつはガイドの言うことなんてわかりゃあしないさ、と思われたか、一人で行けという指示。おかげで説明はガイドブック頼りとなったが、マイペースで巡る。足元のガラス越しに岩を掘った牢獄などを見ながら進む。キリスト教布教のために異教徒に対して行った拷問の様子を、等身大の人形を使って再現もしてあった。ペルーにおいては、キリスト教は征服者の宗教であり、布教活動は武力制圧の先兵であっただろう。日本でも、江戸時代の初期までにキリスト教が禁止され、今でこそ当時の迫害が非人道的にいわれるが、仮に布教を野放しにしていたらその後日本はどうなっていたか。当時としては禁教は当然至極の措置と思われる(もちろんこれは歴史的な考察であって、現代の布教活動となんら関連付けようとする意図が私にないのは明白である)。そんなことを思ってみたりした。
ラ・インキシシオン宮殿の東あたりは国会議事堂などが立ち並ぶ、いわゆる国の中心地区。フジモリ大統領(当時)の罷免を巡ってここで連日紛糾が続いていたと帰国後に知ったが、この日は日曜とあってか、閑散とした雰囲気。ビクトリア広場は国旗などが飾られていて、なんとなくそれらしい雰囲気があったが、国会議事堂というのはあまりたいしたことないような建物と見えた(おそらく裏側から見ていたからであろう)。
北に若干戻る感じでサン・フランシスコ教会・修道院。ここでは、英語のグループに加わり、おねえさんのガイドに従って巡っていく。まず、修道院中庭2階の回廊から。ガイドはタイルが何とかとか言っていた。2階に上がり、図書館など。そして地下のカタコンベ(地下墓地)。中は迷路そのもので、これは説明が分かろうと分かるまいと、ガイドに案内してもらわないときっと迷子になるだろう。照明はぼんやりと暗く、行くところ行くところあらゆるところに穴というか堀というか、無数の人骨が無造作に置かれている。空気そのものがどんよりと湿った感じで、そう、カビが生えた布団のにおい。ガイドブックによれば、地下3階まであり、見学できる1階だけでも2万5000体分の人骨があるそうだ。それにしても気味悪い。
政庁北側裏を回ってサント・ドミンゴ教会。日曜のミサを横目に修道院の中庭を巡る。花などが咲いていてきれい。ここのみどころはスペイン製の青タイルAzulejosとか(自分で価値のわからないものは全部ガイドブック丸写し)。教会の地下、狭い入り口をくぐって、地下墓地へ。ここのはだれだったか、個人の墓という感じで、先ほどの気味悪さというのは全然ない。教会の1階に戻り、しばし、ミサの様子を眺める。
しばしぶらぶらしたあと、アルマス広場南のカフェで昼食。ビールと○○サンドみたいなものを食べたか(忘れてしまった)。食事の後は南に約1キロ下り、サン・マルティン広場へ。サン・マルティンとはペルーの独立に功績のあった人物らしく(このへん、よく歴史を勉強しておきます)、広場中央に騎馬象が立っている。ベンチに腰をかけしばし休憩。若いカップルや家族連れらが憩い、露店なども並び、いかにも日曜日の午後と言った雰囲気。なごんでいると、私のところにも若いにいちゃんがやってきて英語(みたい)でなにやら誘うが、分からないふりをして(本当に分からないのだが)知らん顔を決め込む。
さて、またアルマス広場に戻る。ここへ戻ってきたのは、カテドラルに入ってみようと思ったため。ガイドブックには「日曜は礼拝者に開放」されているとあったのだが、先ほどはどこをどう回ってみても門が閉ざされていて入れる雰囲気ではなかったため、午後の一定時間にならば入れるようになっているのかなあ、と思ったため。しかし、3時にも4時にも開く様子はなく、その間は広場でぶらぶらしていた。といっても、子供たちが遊んでいる様子などを見ていると、決して飽きることはない。しかし、先ほどのサン・マルティン広場の男がまた通りがかりに私を見つけて声をかけてきた。何を言っているのか分からないが、とにかく、胡散臭いことにはかかわらない方がよい。そうでなくともセントロは治安が必ずしもいいとは言えないところなので、これ以上の長居も無用か。タクシーに乗って再び、ミラフローレスに戻る。
ミラフローレスにつくと、時間的にまだ余裕があるので、ホテルで荷物を受け取る前に昨日行ったおみやげマーケットに向かう。頼まれたものは一応買ったはずなのだが、金銭的にも持ち帰るかばんの容積にも余裕があるので、さらに気に入ったものがあれば。ペルーに興味を持ってくれて、受け取ってもらえればうれしいし、小物入れなど数点を求める。さて、ホテルに立ち寄り荷物を受け取り、空港へ。タクシーを何台か止め、空港まで7ドルで行けるかどうか交渉してみるが、いずれも断られる。よく考えてみりゃあ、そりゃあそうだ、空港に車を着けるだけで確かいくばくか払わなければならなかったはずだから。結局、10ドルで行ってもらうことになりました。
飛行機は23時59分発のアメリカン航空918便マイアミ行き。チェックインは、おそらく観光帰りのアメリカ人で長蛇の列。乗りそうな便を推定してなのか、なぜかアジア系だけ短い列に並ばせてもらう。チェックイン時になにやらの質問を受けるが、これがまたネイティブな英語で、何を言っているのか、何度か聞き返したが本当に分からない。おそらく危険物がどうのと言っていたのではないかと思うが、向こうも説明をあきらめたようだ。情けなや、この語学力。これで堂々と日本の大学卒業してます、なんて海外では言えないわな。今度こそ本当に(毎度のことだが)英会話教室かあ。