佐野自然塾

すし検定

20110129日付

 

すしを正しく伝えるため世界初のすし検定

 たぶんいきなりこの話題に接すると、多くの誤解混じりの感想が起きてくるのは仕方がないだろう。いかにも世界に広がったすしが、その土地々々でバリエーションをもったかたちになってしまった。これでは日本の本来のすしとは言えないから、正さなければならない。それで始めたことだろう、と。実はそういうことではないのである。たまたま私はすしの関係者たちと知り合う機会があり、この講習会を主宰する立場の人ともあって話を聞いたので、この辺の経緯は分かっている。だからあえて言うのだが、このニュースにもあるように、衛生面を主体にしたナマモノを扱う原則的なところを講習してもらい、それが理解されたかどうかを判定して免状を出すのだ。
 すしは日本食の特性とも言えることだが、素材をたのしむ。そしてそれぞれの素材は特性に応じた取り扱い方がある。いわゆるシャリなるコメなど特にうるさくて、すしの旨さを引き出す基本になっている。しかし海外では必ずしも日本のコメが使われてない。だから日本の話をそのまま持ち込んでもダメなことは承知しているのだ。まして日本ですし屋を開業する場合は、弟子入りして何年かの修行で習得した者が行っている。しかし海外のすし店がこうした日本の職人を雇おうとしたら、レートの違いもあり、大変な高給を用意しなければならない。とても強制できることではない。
 すし検定の本旨は、以上のような実情を踏まえたところからいうと、ある種の無償の国際交流事業として実施に踏み切ったのである。そこで日本文化、日本スタイルはこれだとばかり押し付けようと考えているのではない。海外では定番化したアボガド巻きを邪道だと喧伝するつもりはないのだ。マグロのトロに似せて結構ではないか。マグロは日本人に牛乳アレルギーがあるように欧米人にはあたる場合がある。巻きもので海苔を内側にしたからおかしいと嘲笑しない。海苔を紙のように食用とすることに抵抗がある人々もいるのだ。
 このように大方を分かった上で、関係者は取り組んでいることを知って欲しいものだ。