「マル被警察24時」 小田扉(実業之日本社) |
・ああ、なんだって今年も終わろうかというこの時期に、こんな傑作が出るんだろうか? ・実は、あまり期待してなかったんだ。それは読み進めて最初の2話目くらいまでも。 > 業界大注目の 新進気鋭漫画家・小田扉が なぜか「週刊漫画(少年じゃない)サンデー」で連載。 しかも描いた内容は、本格刑事漫画? > ・本当に「なぜか」だよなあ。 ・でも、漫サンでの連載が功を奏したような気もする。小田扉のネームバリューが通用しないところでの勝負ってことで、押えるところは押さえ、かつ、抑えるところは抑えている。コレがいい感じ。 ・基本は1回4p読みきりの刑事ギャグショートマンガ。 ・ジジイ刑事と新米刑事のコンビでおもしろおかしくやってる。 ・最初は、まあ、なんていうか、漫サンで描くために抑えてるなあと思ったんだわな。 ・しかし、「読んだはしからすぐ腐る!/松尾スズキ&河合克夫」(これも実業之日本社)と同じように徐々にエンジンが暖まっていき、後のレギュラーキャラ、藤(女性)とホルモン(警察犬)が登場してから、スピードがついていき、「漫サンの読者?はっ!そんなもなカンケイねいぜ!」となり、微妙な伏線がラストに大爆発し、ハードボイルドでハートウォーミングなハッピーエンドで終わるんだわ。いや、マジでマジで。 ・各キャラも基本はトクイのスットボケでありながら(基本的に小田扉作品のキャラってみんな「ボケ」だよなあ)、それぞれに陰があり(警察犬ですら)、それらを隠し味にしてた前半。 ・主人公である老刑事・赤山があんまり始末書が多いので罰として小学校とかのドサ回りに連れて行かれる。そこで、着ぐるみのムボー君(ピーポ君似)をずっと着ているムボー君編。これ、個人的に、超ツボ。ゲラゲラ笑ったよ。 ・と、思ったら一転、藤刑事が長年追い求めていた(刑事になる前から)殺し屋と、刑事たちの全面対決になるハードボイルドになって終わると。 ・まあ、なにげにネタバラシしてますが。気にするな。買え。読め。おもしろがれ!感動に打ち震えろ! オススメ (23:04:23) |
「六本木リサイクルショップシーサー」山本マサユキ(講談社) |
・「ガタピシ車でいこう!!」の作者による、オリジナルマンガですね。 ・えーと、まあ、「少年チャンピオン」で連載していた「おまかせ!ピース電器店/能田達規」の山本版といった感じですか。就職活動していたアジローがひょんなことで、六本木にある謎のリサイクルショップ「シーサー」の人と関わってそのまま「テストパイロット」として就職してしまうと。で、毎回ハチャメチャと。 ・ヒトクセもフタクセもある面々に巻き込まれるワケですね。 ・CPU4枚重ねのマックとか、ランボルギーニディアブロを焼き鳥屋台にして、首都高の走り屋に焼き鳥を売りつけたり、原子力潜水艦(リサイクル品)で米軍に拉致されたメンバー(天才ハッカー女子高生)を奪還したりと。 ・アクションあり、お色気(おもに上記の女子高生。初体験シーンあり。未遂っぽいけど)あり、で、盛りだくさんのエンターテインメント性満点。 ・こう、まあ、正直に言うとちょっとみくびってたんですけど、これが、非常におもしろかったのです。「ガタピシ車〜」ファンはもとより、普通に万人のマンガ読みにオススメできます。赤字ではないですけど。おもしろいです。 (23:38:53) |
「ぱにぽに」3巻 氷川へきる(エニックス) |
・3巻目です。3巻目にして「あずまんが大王」の影は払拭されたような気がします。 ・いや、相変わらずキャラがつかめず、何人いて、これがどういう女性なのか全然わからない状態ではある。 ・でも、まー、あまり、そういうこと気にしないで読み進める。もう引き出し全部ひっくり返しましたって、玉砕チックなほどの攻撃性。 ・突然、動物同士が戦いはじめたり、12歳の天才少女教師が突然いなくなったり(また帰ってくるし、いなくなった先の展開もあるけど)。 ・そういうシチュエーションでもわりとムチャしてますが、ギャグも、なんでも出しまっせ!って感じで、なんでもアリアリです。不条理あり、ぬるいほのぼの系あり、力任せあり、顔で笑わせる的なのあり、パロディあり、と。 ・がんばってます。そして、それは実を結んでるのもあります。ちょっとツボにハマってクスリとしたのもあります。4巻以降楽しみです。 ・ちなみに、初回限定版の飛び出す絵本も1発ギャグとしてかなり秀逸でした。ちょっと唐沢なをき風味? (00:01:47) |
「20世紀少年」11巻 浦沢直樹(小学館) |
・初回限定版にはケンジの歌入りCDがついていたが、おれは普通版。知らなかった。買ってから気づいた。 ・11巻、カンナにショックなことが起こり、フラフラと街をさまよう。ゲーセンの格ゲーで相手をメチャクチャにするシーン。その後、ナンパされてクルマで聞く音楽。 ・9巻でも書いたけど、浦沢氏の諸作品は深そうで浅い。それらが端的に表れたシーンだ。 ・舞台が近未来。なにが難しいかって近未来の風俗を描くのは非常に難しい。たとえば、「アキラ」には携帯電話がない(あったっけ?)とか。 ・ゲーセンのゲームは3D立体映像で、グローブと足にアンクレットみたいのをつけて闘っている。そして、カンナの闘いっぷりにバグが生じて、対戦者が痛がる。 ・将来こんなゲームは絶対にナイ。格ゲーの歴史から考えて、闘っているもの同士が向かい合って殴りあうという図式は存在しない。浦沢氏がゲームのことを知らないからこそ描ける未来のゲーム描写だ。 ・それはつづくクルマでの音楽もそう。ネオドドンパにユーロ・オンド。いかにも過ぎる。藤子不二雄F氏の未来描写で、若者の間に和服が流行って、紋付袴を着た若者というのがあった。これと同じようなもんだ。 ・こういうところに異常にこだわる作家というのもいる。ここいらが案外と「あっち側」「こっち側」の見極めには有効なのかもしれない。 ・浦沢氏はそのことを重要視してはいないタイプだ。 ・一見、終わりが近そうにみえる。でも、終わらないんだろうなあ。 ・浦沢氏はそのことも重要視してはいないみたいだ。 (19:53:00) |
「昴」11巻 曽田正人(小学館) |
・意外。 ・延々続くのかと思った、ボレロ編(主人公スバルとライバルが同じ演目を別の場所でやる)が、アッサリ終わった。 ・そして、スバルはじめての恋愛編も残りのページ数で終わった。どちらも引っ張ろうと思ったら、延々引っ張れる題材なのに。そして、アメリカ編も終わった。 ・ダレ防止、ワンパターン防止と思うが、かなり思い切ったな。10巻までは正直次買うのどうしようとかいってたけど、この思い切りはかなり驚いたし、作者を見直した感じだ。 ・アッサリ終わったと描いたけど、たとえば、ライバルの後半5分演奏しないようにとオーケストラに指示したおかげで、観客が夜になっても音楽が鳴り響き眠れなくなるとかの「けれん」もちゃんと記憶に残るし、「すごさ」を表すという点では大成功だ。次の恋愛編はイマイチだったけど。 ・そうだ。そういや、前作にして代表作の「め組の大吾」でも恋愛描写は下手だったなあ。ここいらが次の課題なんでしょうかね? (20:08:31) |
「賭博破戒録カイジ」8巻 福本伸行(講談社) |
・8巻は、いよいよカイジが、難攻不落のパチンコ台「沼」に挑戦するところです。 ・これ、「破戒録」になってから、パターンが同じような。 ・まず、相手の手の内をカイジが吟味して、様々な仕掛けを打破し、そのために「仲間」に協力を求め、仲間とともに、勝つ。 ・前回チンチロリン勝負もそうでした。そして、それは、ジャンプ永遠のスローガン「友情・努力・勝利」なんですよね。まあ、王道中の王道だ。じゃあ、なぜ、王道か? ・答え1発、「おもしろいから」に他ならないんですよね。これがなんやかやいってDNAに刻み付けられた「おもしろい」の答えかもしれない。 ・今、ゆっくりと、カイジの仕込みがほぐれていってます。今回、人vs人の図式とはちょっとちがうだけ(カイジ対パチンコ台だからね)あって、かなり込み入ってます。 ・「沼」のポイントを3つに分けて攻略している。その1つが解かれようとしてる。そういうミステリーの謎解き的な楽しさもイイ。 ・しかし、見れば見るほど、なぜ、あんな横顔?って思うよなああ。カジノの店長なんざ、美形って設定なのに、プレイステーションのコントローラのグリップみたいなアゴなんだもんなあ。 (22:27:06) |
「ああ探偵事務所」2巻 関崎俊三(白泉社) |
・おもしろいねー。探偵コメディ2巻目。 ・女性描写、とくに目の描き方が変わったような気がするです。あと、萌え度もやや上がったような。それは巻末読みきり(1988年作)でわかります。 ・ま、それは「モウケ」ということで、内容に入りましょう。 ・電話帳のイチバン上に載るための「ああ探偵事務所」という名前。ちょっとヘンな妻木と、休日だけ助手を勤める涼子さん。 ・事件も、殺人とかはなくて、ストーカーにまとわりつかれて困ってるとか、締め切りブッチした少女マンガ家を探したりとか。 ・でも、それぞれ、ただのコメディで終わらせないで、ちょっとひねってていいんだな。たとえば、ストーカー被害の女性には、ストーキングをする。そうすると、ホンモノのストーカーが手を出せない。で、それが終わったら、シビレを切らしたホンモノが手を出すからそれを見計らって捕まえようと計画したり、少女マンガ家を探すのに、逃がした探偵事務所に盗聴器を仕掛けたり。まー、丁寧に「ひねって」ます。 ・で、金に困った妻木が大手探偵事務所に入るって話がすごかったですね。 ・相変わらず「濃い顔」も登場させて楽しんで描いているって感じ(作者は苦しんでると思いますがね)がステキです。 (23:14:47) |
「げんしけん」1巻 木尾士目(講談社) |
・「アフタヌーン」連載の話題の作品ですね。 ・はっきりいって買うのに躊躇してましたわ。というのも、前連載「四年生」「五年生」がキツかったからです。 ・なんていうかなー、いかにも[アフタヌン」読者がよろこびそうな青臭い作品だったから。 「おれなんか、アフタヌン読んでる、いわば、マンガオタクなワケ。でも、「ああっ!女神様」じゃないよ、ああいうヲタくさいのは最近はキツイね。やっぱり、「五年生」とか読んで考えるね。愛とはなんだろうかって」 ・ってな感じ?ハンチクなマンガ読みが好みそうな感じで、この中途半端リアルというか、1回を丸ごと会話だけで終わらせたりとか、作者の血気盛んなのはわかるけど、賛同しかねない方向性とかに違和感があり、どうも距離を置いていたんだわ。 ・「青年期」に読むにはうってつけではあると思うのですがね。だから、「アフタヌン」読者のニーズには応えているのだけど、おれのニーズには応えてくれないんですよ。 ・で、まあ、好奇心?定期購読してる「モーニング」の広告の盛り上がり方や、他サイトの感じから、「前作とは毛色がちがうかも?」と思い手に取ってみました。んー、ノリとしては「最終兵器彼女/高橋しん」を買ったのと同じ感覚。まあ、それよりは軽い気持ちではあったのですが。 ・「アキバ系青春物語」なんてオビのコピーにありますんで内容もうっすらと予想できましたが、まったく予想通りでした。 ・「大学デビュー」しようとした微妙な隠れオタクの笹原クンが「現代視覚文化研究会」というサークルに入って、徐々に目覚めていくって感じかな。 ・で、マンガ的なシカケとしては、「イケメン」なのに、濃いオタクの高坂クン、彼にホレているためにしょうがなく関わりを持っているオタク文化に興味のない春日部サンと、あと、モロのセンパイ何人か。 ・コメディタッチですね。それに包まれた薄皮1枚奥には「五年生」の風味が覗かせますが、このコメディタッチと、数々のオタクネタが、かなりそのホロ苦味をやわらげている感触。 ・いやまー、正直にいいます。おもしろい! ・この笹原クンがおもしろいね。ヲタの世界に踏み込むには「覚悟」が必要とか思っているあたり。で、エロマンガやエロゲーに大いなる興味を持ってるのに遠慮したりする当初の様子がいい感じ。というか新鮮。というか懐かしい。というか、おれどうだっけかな?って。ま、エロゲーは今もって未プレイなんすけど。 ・で、まあ、いろいろと経験していくんですね。アキバそれ系めぐりとか、コミケとか。 ・こう思うとやっぱり人との出会いってのは重要ではあるわなあ。本人の覚悟やなんかもアレだけど、やっぱり影響を受ける人なんてのが大きいわ。そういうイマサラなことを思ったりしました。おれ、あまりリアルで、「**サイコー!」って共有したことないんだなあ。 ・そして、そんなこと思うのは、おれ、基本的に「人」から影響受けてないからってことなんですねえ。「辣韮の皮〜萌えろ!杜の宮高校漫画研究部〜」でもそんなこと思いましたがね。 ・で、上記の「マンガ的シカケ」としての高坂クンと笹原サンが適度に刺激になるんですよね。じゃないと、限りなく深くて地味なオタクワールドになってしまうし、かなり平板な展開になる。 ・作者の持ち味なのか、相変わらずネームは長いし、「微妙リアル」みたいのは随所にある。そういうこだわりはかなり強いみたいですね。大学構内であっても微妙に無視したりとかな。「あーわかるわかる」って人が多いんだろうなあ。 ・で、自分語り。実はおれも大学に入ったらこの手のサークルに入ろうと思ってた。でも、まあ、いっしょに大学入った同郷のやつに引っ張られるまま惰性で、「フツー」のサークルに入ってしまったんですね。それがよかったのかわるかったのか。まあ、そこで知り合ったのが後の奥さんになるわけなんですけどね。 ・ただ、でも、笹原クン他、「げんしけん」の方々は楽しそうでうらやましいです。 ・もしかしたら、おれが歩むハズだったもうひとつの道を見てるかのようです。 「って、おまえ十分ヲタじゃねーかよ!」 って心でつっこんでらっしゃると思いますが。おれも、笹原クンといっしょで「覚悟」が足りなかったんですねきっと。 (13:46:16) |
「茄子」3巻 黒田硫黄(講談社) |
・これは完結になるのかな。 ・茄子の出てくるオムニバス読みきり短編マンガ集。 ・3巻のラインナップは 茄子が襲い掛かる「遊星からの物体X」な「富士山の戦い」(富士山とナスってのは初夢に見ると演技がいいつながりですね。ついでだから鷹も出せばよかったのに)。 ・通しての唯一の固定キャラのヒゲメガネのオッサンが登場する「いい日」(オッサンは完全にワキ役だけど) ・ナスを運送するトラッカーとヒッチハイクで拾ったフィリピーナのアンチストーリーな「茄子の旅」(あ、おれ3巻じゃベストかもしれない) ・ヒゲメガネのオッサン、ぎっくり腰で寝込んでるときクマに襲われるの巻「一人」。 ・インドでフラフラしている若者編。インドではナスは木になってる「考える人」 ・自転車編「スーツケースの渡り鳥」 ・で、最終回はふたたびオッサン登場(してみると隔月で登場してるのか)「夏が来る」 ・あいかわらずどこかすっとぼけた、つかめない感じの短編が続く。力の抜け加減を味わうんですね。 ・黒田硫黄ハズレなし!2003年ジブリアニメ化! (14:09:56) |
「ヘウレーカ」岩明均(白泉社) |
・うーむ、岩明氏は「歴史」の人になるんだろうか?案外と同じのやってない人で、毎回微妙にカタチを変えて、なおかつ、次につなげているような。 ・「風子のいる店」→(現代)→「寄生獣」→(宇宙よりのもの)→「七夕の国」→(日本史)→「峠の雪・剣の舞」→(歴史)→「ヘウレーカ」→(ギリシャっていうか、地中海史)→「ヒストリエ」(今度アフタヌンで連載するやつ)。 ・ま、こじつけなんですがね。 ・なんとなく、岩明氏はチュンソフトとおれ内ではダブる。「萌え」がないのにヲタの心をつかむ。 ・たとえば、一色まこと氏(森のピアノ・花田少年史)なんかは、ヲタをどこかで切り捨ててる。結局、スタート地点がどこかで、その人の今後の立ち位置というのが決まる気がする。そもそもは、骨太な人間ドラマを描く作家という線で、モーニングで短編→「風子のいる店」でデビューしたのだが、この風子、意外にヲタ心を刺激する作品だったみたいで、目をつけられたみたい。おれの知ってるベスト・オブ・ヲタみたいな方が「風子いいぜえ!」とかいってるのを「へえ」と思ったのを覚えてる。 ・そいで、1話読みきりのハズだった「寄生獣」が大ヒット。連載。現在に至ると(完全版だか出るんですよね)。 ・でも、そこからの立居振舞が非常に巧い。なんていうか、やや距離を置いてるんですよね。で、最大公約数なマンガを描かれている。つまり、ナンボでも、ヲタ向けにできるのに、あえて、そこから距離を取って巧い位置を計算してる。自分がジャンル分けされないように逃げているのかもしれない。 ・本作は、紀元前200年、ローマ帝国が猛威をふるっており、シチリアはシラクサに攻めこんだ。ところが、シラクサには天才数学者アルキメデスが作った都市防衛兵器があった。難攻不落の兵器群にローマ帝国も攻め込みあぐねていた。 ・ってな感じか。歴史モノとしての必要なフリ(歴史知識ですね)と、ドラマ、そいで見せ場となるスペクタクルシーンと、それぞれバランスがいいねえ。 ・で、なんたって、そのアルキメデスの作った都市防衛兵器のシーンが白眉。1800年以上前とは思えないハイテクぶり。そいでもって寄生獣譲りの「あの」描写。 ・たぶん、創作じゃねえかなあの、主役他のキャラがもうひとつ定型的キャラ(岩明氏は一見ひょうひょうとしてるようにみえるキャラを描くのが好きみたいね)なのは難だったけど、確実に「おもしろさ」を提示してくれるあたりオススメしかなかろうと。 (17:17:22) |
「えの素」7巻 榎本俊二(講談社) |
・7巻ですね。2週描いて1週休みという榎本シフトは未だ健在。それでも手離せないよなあ。 ・7巻はバタージョンが表紙です。バタージョンは犬ですね。バター犬ってやつです。7巻で彼は葛原さんのをナメ、初のよがり声を出させるという快挙を成し遂げました。 ・7巻は、ストーリー的にはハザマ期ですね。この後、アメリカ珍道中編がはじまるんですけど、そういう連続するストーリー展開はこの巻ではないです。まあ、延々と続いている二比のインポ苦悩編は続いてますが。 ・7巻は、だからサイレント編が多いです。おれはあまり好きではないんですけど、やはり、サイレントマンガを描かせると、日本でも随一のうまさはあると思います。とりあえず、ペーペーの新米ギャグマンガ家がサイレントでもやってみるかと思ったら、「えの素」をかたわらにひろげ、参考にしながら描かれることをオススメします。 ・さ、ますます冴え渡る筆力ですが、皮肉なことに「萌え」が少なくなってきたような気がします。 ・画力がある=萌えるじゃないんですよね。短編集「enotic」のエロエロなころに比べると、線はますます冴え渡ってるんですけど、それがエロくないんですよね。まあ、よくある現象です。吾妻ひでお氏もそうだし。永井豪氏もそう。ギャグ系の人が陥るパターンなのかもしれません。それとも榎本氏のボンノウが薄れたのかしら?ま、下ネタ多いマンガですけど、「エロ」は売りじゃないからいいんですけどね。なんか、もったいないかなと。 (18:45:23) |
「金色のガッシュ!!」8巻 雷句誠(小学館) |
・8巻の表紙イイネー。ガッシュとティオなんすが、非常にハッピーな気分になりますね。こいつら本当は敵同士なのにねー。で、裏表紙で落としてる。 ・いや、今回盛りだくさんでしたね。前半コメディタッチのバトル、後半は感動シリアスバトル(ロケ地:香港)と。で、オマケで表紙のティオ編。そして、ティオのコンビであり、アイドル歌手の大海恵と、ガッシュのコンビの清麻呂の仲をガッシュに詮索する元ヒロインのすずめが登場する4コマ。 ・毎回このバランスだといいなあと思うくらい、いいバランス。隅々まで気を使ってある。この8巻をディファクトスタンダードにしてほしいね。文句なしです。 ・もう、どれだけつづくの?とか、邪知するのはいいよなあ。こんなのは、ナンボでもつづけられるし。 ・いや、でも、ティオと、香港編で登場したウォンレイと、両方とも、どう考えてもガッシュより強いよなあ。そういった点でのインフレ現象との折り合いが今後の焦点ですね。際限なく新呪文も増えてったら、ワヤだしなあ。 ・おれは、もう、いっそのこと魔界に清麻呂といっしょに行くってネタに展開していったらいいんじゃにかなと思ったりするのです。 (22:55:51) |
「無敵看板娘」1巻 佐渡川準(秋田書店) |
・んー、「鉄鍋のジャン」的なコメディかなと思ったら、もうド真ん中のギャグマンガですね。 ・商店街にあるラーメン屋。娘と母親2人で切り盛りしてる。まー、その娘が主役ということですね。 ・カワイイ顔なんだけど、やることムチャクチャなんだよなあ。 ・基本は地味なんだ。まー、出前中のヒトコマとか、ライバルのパン屋の看板娘との対決とかな。 ・まー、ギャグの質としては、同誌連載の「元祖浦安鉄筋家族」をホーフツとするねえ。身体をはったドツキ漫才。 ・で、ちょっと思ったのは、その「浦安鉄筋家族」が、作者・浜岡賢次氏に影響を与えたモノ、たとえば、香港映画とか、ドリフのコントだったりするのに対し、「無敵看板娘」はその「浦安鉄筋家族」にダイレクトに影響を受けてる。 ・ちょうど、やや死語になったけど、ヴィジュアル系と似た構図だと思った。元祖と思しき、ボウイとかXjapanとかは、別の影響元があるだろうが、それ以降は、ボウイやXjapanに影響を受けてる。この構図。 ・こういうのは、技量を思い切り必要とされる、サイレンスなんかに顕著に表れる気がする。本作にもひとつサイレンス劇がある。これをみるとまだ発展途上だと思う。 ・でも、ハイテンポでいい感じで展開していく。スムーズってことには、かなり気を配ってるようだ。 ・あと、後半ほどキレもいいし、キャラもこなれてるしね。2巻以降も期待ができそうだな。 (11:13:25) |
「ラブストローク.11」櫻見弘樹(大都社) |
・最近気に入ってる櫻見弘樹。これは、最新短編集である「Hexamix」とはちがい、エロエロな作品集ですね。 ・器用な人だなあと思う。破綻無くうまく「ノルマシーン」を入れて、なおかつ、うまくオチをつけてる。 ・教師と元教え子。教師は29歳なのに処女。ノリでヤることになったけど、ハマってしまったのは男の方「自滅3秒前」 ・ヤらない兄妹相姦「3周した。」、ヤる兄妹相姦「うっかり兄弟」、姉弟相姦「花園女学生」。 ・「しっぽの仕組み」番外編的な「しっぽの仕組み」 などなど。 ・エロシーンがエロい。まあ、個人差があるところなんだけど、おれはイイなと思う。実際にはいない、どちらかというとマンガ寄りの性格設定の女性なんだが、実際にはいないナリのリアルさがあり、なおかつ、シズル感がある。極力胸がデカイとか、このプレイやパーツが!ってエロ方面のこだわりはみかけられない、シチュエーション的なエロを狙ってる風だが、妙なエロさが漂ってる。 ・ああ、あえていえば、衣服をつけたままいたすってのが好きなのかもしれないかな。脱がす過程も込みで。 ・気の強い、でも、好きな男の前ではわりと素直って、キャラが得意(好き)なのかなと思った。これは「王道」ですよね。おれも好きかも。 ・楽しめました。いつブレイク(ヲタ界のみならず)してもおかしくないけど、まあ、「器用貧乏」なんて言葉もありますからねえ。難しいところですね。 (11:45:02) |
「ノージルV」福原鉄平(幻冬舎) |
・ちょっと冒険だったんだ。前に買った「うたかた少女館」福原鉄平(大都社)がアレなデキだったし。 ・で、本作がどうかというと、おもしろかった。このアプローチはありそうでない。 ・舞台は人類がほとんど死んだ未来。天才博士がロボットを作り暮らしている。そこに宇宙人やら地底人やらゲストがきたり、派手なような地味なようなイベントが起こる、コメディ要素が強いが、ときたまホロっときたりする。 ・レトロフューチャーっての?そういう世界をベースに独自の解釈を加えてる。うーむ、おれなんか、教育テレビの人形劇っぽさを感じた。崖の上に立つ洋館、流線型ロケット、地下研究室、ドリル、歯車で動く人形。そういうアイテムがドカンドカンと。 ・んー、どう表現していいのかわからんくらい不思議な感触。とくにピロン星人がなあ。モールでできた紙人形みたいんだ。 ・そいでもって、大事な「おもしろい」「つまらない」は「おもしろい」です。ただ、これ、1巻が限度かね。続刊が出ても個人的にはいらんけど、この不思議な感覚はたしかにおもしろかった。 ・全然ちがうといわれそうだけど、ますむらひろし氏のアダゴオルの森シリーズと共通点があるような。「未来」を題材としたファンタジーという意味でね。 ・おれなんかだと、最初に「SF」ありきで、そのバリエーションとしてのファンタジーだったんだけど、どうも、今は逆みたいな気がする。ま、そういうアプローチなのかなと思ったり。まあ、剣、魔法、竜、城が上記のに入れ替わったって感じか。 ・うーん、よくわかりません。なんか、これまでのグダグダ書いたんでピンときた人は読んでみてください。 (12:50:51) |
「ワイルダネス」2巻 伊藤明弘(小学館) |
・「ジオブリーダーズ」がヒットして本当によかったよなあ。伊藤氏にも読者であるおれらにも。 ・おれが大金持ちなら、伊藤氏にこういいたい。 「カネはいくらでも用意するから、アンタがからんだアクション映画をみたい。監督やってもいい、脚本だけでもいい、アニメでもいい、ハリウッドスター使ったり、有名監督を使ってもいい。アンタが作りたいアクション映画をおれはみたい」と。 ・もろもろの事情で追われる身となり行動をともにするようになった日本人3人の物語。 ・2巻の白眉は元私立探偵の中年男の過去編。もう、ハードボイドドだよ。バリバリ。これで1本映画じゃんか。 ・ということで、「ジオブリーダーズ」からよくもここまできたもんだ。と、舌を巻いております。 ・まあ、本編のほうは、来るべき大銃撃戦前のちょいとした緩和ムードなんだけどね。それはそれで、お手のモノ。 ・いい作家になったよなああ。以前、某レビュー投稿サイトで「ジオブリーダーズ」3巻を酷評し、大騒ぎになったことが懐かしい(あのレビューは今でもおれは有効だと思ってるけどね)。 謹んでオススメ (23:46:20) |
「最強純情巨大ロボももえ!」倉田英之&あんくるさむ(角川書店) |
・たぶん、先月(11月)出たと思う。チェックはしてたんだ。 ・合気道部のももえさんは、メガネっ娘でドジっ娘で合気道部のセンパイに憧れてる女子高生。ところがある日変な虫にぶつかってから生活は一変した。 ・人間は希少動物で保護対象になってる。ところが乱獲するハンターが後をたたないために、ももえさんをロボットにして(もともとあった脳を圧縮してスペース(コクピット)を確保)、そこに乗り込んで日夜ハンターと戦う日々を送ることになったのでした。 ・基本は学園コメディで次々と刺客がももえさんの元に送り込まれて、てんやわんやするというものですね。 ・「改造」と称して、ももえさんを巨乳にしたり、空を飛ばしたりと、ある種、巨大ロボットアニメの王道をいってたり、女子高生エロコメの王道をいってたりと、欲張り仕様になっております。 ・これ買ってから気づいたけど、原作はヤンジャン関連の「R.O.D」の人なんですね。あれはおれ的にはつまらなかったけど、本作はおもしろかった。 ・で、絵。段々主線が太くなっていく。おれ、主線の太い絵って実は好きだったりするのでウエルカム。ももえさんをはじめとして登場する女の子はいずれもかわいいし、デフォルメの絵もいい感じ。 ・といいながらも、主人公ももえさんはちょっと設定も絵も、イマイチ主役の器じゃ無かったような感じ。萌えないし、感情移入もできない。ま、「ロボット」ですからかね。 ・1巻で1つの話ってみると、まとまりに欠ける感じもありましたが、おおむね楽しんで読むことが出来ました。 (12:00:17) |
「大魔法峠」大和田秀樹(角川書店) |
「たのしい甲子園」「警死庁24時」の作者による「マジカル血煙コミック」ですね。 ・まー、構造はカンタン。魔法の国から転校してきた魔法の国のプリンセス田中ぷにえさん、ロリロリキャピキャピなキャラで、たちまちクラスの人気者だけど、その実、かなり血なまぐさい修羅場をくぐりぬけてきたツワモノであり、野心家だったりするわけです。そして、まー、魔法なんざあまり使わなくて、もっぱら「肉体言語」に訴えるのを得意とするワケです。表紙からして「りぼん」やら「なかよし」の装丁パロになっているんですけど、バックが炎に包まれる国会(永田町の)ですし。 ・よって、魔法少女 meets 男一匹ガキ大将!ってな感じかね。 ・残念ながらつまらないです。あまり取り上げる箇所もみつからないくらいです。水準という点ではクリアしてるような気もするんですが、おれ的にはサッパリでした。 ・これで「大和田秀樹は女性を主人公にしたものはダメだ」というジンクスが確立しないといいですね。 (12:46:51) |
「バトル・ロワイアル」8巻 田口雅之&高見広春(秋田書店) |
・相馬光子特集巻。 ・映画版だと丸々省略された箇所ですね。殺し終えたシーンだけ映してた。男2人が全裸で死んで、相馬役の柴咲コウが服を着ながら去っていく。 ・これ、なにがあったんだろうと気にはなっていたのです。 ・ま、相馬光子さんが残虐になった過去を語るの巻でしたね。エロくてよかったです。こんな中3いるならお目にかかってみたいものです。 ・んー、この先のスケジュールを映画で当てはめると、この先、七原が灯台での女同士の殺戮シーンに出くわして1巻分、桐山と杉村の戦い+桐山と織田あたりで1巻、桐山と川田&中川+桐山と相馬の戦いで1巻、七原+川田と桐山で1巻、七原とセンセイで1巻。あと、なんやかや水増しして1巻ってことで、あと5巻、13巻くらいで終わるか。で、年に2冊のペースなんで、あと2年ちょいかかるって計算か。 ・って、おれが田口雅之(作画)氏だったらゲッソリだな。終わってる原作に沿って延々その作業を続けるって考えると。 ・ま、売れてるし、連載雑誌(ヤングチャンピオン)でも看板っぽいから、薄くするワケにもいかないしで、なかなかシンドイでしょうねえ。 (13:24:00) |
「サークルコレクション」1巻 小坂俊史(竹書房) |
・4コマ王子最新作は、大学サークルネタ。 ・世に大学ネタ4コマは「バイトくん/いしいひさいち」を頂点としてたくさんあれど、これほどサークルネタに特化しているというのも珍しいかもしれない。まあ、なんで珍しいかというと、「ネタ出し」という点で厳しいからだろう。ほかにいろいろな要素あるもんな大学生ったら。 ・児童文学研究会を主軸に、他に「おもしろ」サークルとかを出しつつ、部室でだらだらとすることを至上の目的としている面々(5人)が織り成す4コマですね。 ・サークルネタったら、まあ、大学祭、合宿、新入部員勧誘、テスト、かな。ここいらはキッチリ押さえてる。でも、授業風景はないし、彼らの住家描写なんてのもない。 ・「月刊フリップ編集日誌」2巻 のとき、「正面突破のオリジナリティはない」とか書いたけど、本作を読むと、オリジナリティまでいかないけど、独特のクセみたいなものはあるなと思いましたよ。 ・ま、おれも大学時代にこういうワケのわからんサークル群に所属していた過去がある。そういった点では、「幕張サボテンキャンパス/みずしな孝之」よりも、本作のほうがよりシンパシーを感じる。もっとも、おれは半幽霊部員だったけどさ。 (14:26:29) |
「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」14巻 荒木飛呂彦(集英社) |
・だんだん長くなってない?もっとサクサク進行しましょうよ。 ・4部あたりから、先と後だけ、中間部は敵の増減でどうとでもできるってスタイルになってる。つまり、長引かせるのも短くするのもそこいらのサジ加減ひとつ。で、どんどんその「中間部」が長くなっているような感触。 ・とりあえず、あと3日間というフラグが立ったのだけど、あと3日たったらどうなるか?ってのが実はよくわかっていないボクなのでした。 ・まったくちがったテイストの新連載とか読みたいなとフト思ったり。 (14:31:30) |
「犬夜叉」28巻 高橋留美子(小学館) |
・こっちも「ドラゴンボール」化に拍車がかかった感じ。 ・七人隊編が終り、変身した「奈落」が登場まで。 ・うーむ。プロフェッショナルではあると思う。だけど、そろそろ、ものすげえ大きな変化を打ち出すか、終わる方向で動いて欲しい。まだ、おれは高橋氏の他作品を読んでみたいんだ。その欲求は、「もっと犬夜叉読みたい」という欲求の500億倍くらいさ。 ・奈落の暗闇から顔だけ出てる描写は永井豪氏をちょっとホーフツとしました。 (14:36:39) |
「バカ姉弟」2巻 安達哲(講談社) |
・ああ、これは、安達版の「ぼのぼの」なんだな。 ・町内の名物姉弟の「バカ姉弟」。彼らの活躍しないサマを描いてるほのぼのショート。 ・とりあえず、これまでの安達氏の諸作品を知ってるものにはかなり異色作であるよな。「KiraKira」「さくらの唄」どれもえぐりこむような作品だったし。とくに「さくらの唄」は読後かなり衝撃を味わった記憶がある。それがこれだもんな。 ・で、「ぼのぼの」を描いたいがらしみきお氏も同様のことがいえる。たぶん、「ぼのぼの」を楽しんでいる方の多くは、「ネ暗トピア」を描いていた過去も、「Sink」を描いてる現在も知らないだろう。 ・と、思ったのは、意外なようなアタリマエのような、不思議な感覚だったんだけど、奥さんが絶賛してるんですよね。「(定価)900円!高っ!」ともいってましたが、非常に楽しんでよんでたし、義妹も喜ぶと思うよといってたくらい。義妹ったらけらえいこ氏のファンだぜ。「あたしンち」(いや、おれも好きなんですがね)と同じ感覚で読めるってことじゃないか。 ・おれなんかにある、とまどいみたいのが微塵もない。 ・ま、アタリマエであるが、不思議だったりもする。 ・2巻は姉がピアノを欲しがったり、ピアノに夢中な姉に嫉妬してしまう弟とか、親が外交官をしてるとか、名前がわかったりとか、いろいろありました。 ・アンチカタルシスの物語が延々と続きますが、読後はかなりさわやかな気分になれます。独特の不思議なさわやかさ。 ・1巻では悩んでましたが、スッキリしました。イイ!ってことで。 ・とくにサバの刺身の回がイイ! (13:48:50) |
「日本一の男の魂」10巻 喜国雅彦(小学館) |
・いや、キクニ先生の作品はいつみても「がんばってんなあ」「考えてんなあ」と敬服する次第でございますよ。「女子高生」「ルーズソックス」「下ネタ」という3大シバリの中、バリエーションバリエーションと命を削っておられる。それが、10巻にもわたる人気の秘密じゃないかなと。 ・例のスーパーワンパターンのスパイ編も新メンバーが登場したしな。 ・考えてみれば「マンネリ」でいなければならないのに、マンネリを打破しようとしているって、かなり矛盾をはらんだ命題に果敢に取り組んでいるんですよね。ちょっとしたドンキホーテです。ま、岩谷テンホーさんなどもそうなんですが。キクニ先生のはひねり方が非常にロジカルです。ツッコミもボケもきめ細やかです。 ・とかいってたけど、ふと、思い出しましたが、最初はもっといろいろなネタがあるショートギャグでしたねたしか。と、思って読み返したらそういうネタもあるのかー。こりゃ失敬失敬。ただ、探さないとないくらい少ないです ・ま、このままずっと続いても、11巻で終わっても不思議じゃないし驚きもしない。出る限り買うし。 (19:40:56) |
「PS羅生門」1-2巻 矢島正雄+中山昌亮(小学館) |
・最近はすっかり定番になった1−2巻同時発売。 ・PSとは警察用語での警察署のこと。羅生門署を舞台として、赴任したばかりのバツイチ女刑事を「読者の視点」として、相棒の黒田警部補ほか、一癖ありそうな面々が織り成す1話完結の刑事人情ドラマ。まー、矢島原作ですから。 ・「ビッグウイング/作画:引野真二」、「人間交差点/作画:弘兼憲史」などの原作をモノにされておられる。ドラマの脚本も手がけられ、上記のモノや「教師びんびん物語」などの脚本も。 ・なんつーか、犯人も事情があって、それをわかってる刑事たちがちょっと度を越えたりしてねー。たとえば、窃盗犯が最後に一目母親に会いたいという望みをかなえてあげたりとかね。そいでもって女刑事が見直したり、やっぱりチャランポランだと怒ったり、そういう感じだ。 ・で、アカラサマな泣かせにくる。たぶん、そのバリエーション、1話完結での見事な完成度は、右に出る人がいないんじゃないかと思うくらい。「ビッグウイング」のときみたいに巻末の変な詩はないし。 ・こう読むと「泣かせ」は簡単なのかもしれないと思う。実際、おれも一時期に比べてだいぶ涙腺が緩くなっており、油断すると「ジワッ」って感じになる。 ・まーワンパターン。でも、その「ワン」が無限にあるような感じ。すなわち、なんとなくの「矢島節」ってのはあるけど、アレンジは変幻自在。 ・巧いとしかいいようがない。このペースでこれだけの完成度の話を連続して作れるか? ・そして、中山氏の絵だ。はっきりいってこれ目当てで買った。いい意味で「けれん」の効いた絵。描写、アングル、と、かなり奇をてらっていながらも、非常に安定している。それはただ奇をてらっただけじゃなく、その結果、生まれる効果を知り尽くしているからだと思う。基本は精緻でありながらも「マンガ」の絵。ときにはデフォルメ、そして、ありとあらゆる描写法を駆使している。その場面で1番ベターなものを。 ・ギャグっぽい展開もシリアスな展開もバッチリ。 ・ということで、原作者を選ばない職人芸。 ・まあ、職人芸x2ってことで、磐石です。あんまりマンガ読まない50代にも、マンガ漬けのティーンエイジャーにも「好き嫌い」はともかく、「読める」作品であると思う。 ・あと、個人的に具体的に。 ・矢島節が炸裂なので、アクション巨編的な話はない。ないけど、この2人で、バリバリアクションってのも1個2個くらい読んでみたいかも。 ・2巻のストーカーの話がよかった。女性がストーカー被害に遭った。でも、その女にとって、田舎から上京してOLやって3年、はじめて自分に興味を持った人だった。どうして、私に興味を持ったのか知りたくて、クダンのストーカーに会わせて欲しいという話。 ・あと、トンデモ系の陰謀説にハマってる公安。このキャラもサイコーだったな。これは、中山作画だからこそできた味だろうな。 ・これもドラマ化しそうだよなあ。そういうところまで見越している矢島原作がやや鼻につく。 (00:15:40) |
「END ZONE」2巻 えんどコイチ(集英社) |
・えんどコイチ版「世にも奇妙な物語」(もしくは「トワイライトゾーン」)。2巻目。 ・連載1回分に3話収録していた1巻とはちがい、今回、そこいらはおおらかになった感じで、1話のときもあれば2話3話のときもあると。 ・今回は1巻のときとちがい、ほのぼの系や泣かせ系はナリを潜め、「ちゃんと」その手の話になっている。ま、ショートショートらしいというか、世にも奇妙なというか。 ・で、まあ、完成度は高いけど、案外とみたことのあるパターンのショートショートが並んでる。これに対してどう思うかで評価がちがうわな。 ・おれはこう評価する。 ・人間、向き不向きはあるなと。多分に、えんど氏の本質は人情話、泣かせ話しだと思う。だけどそれゆえに新機軸として、本作は非常に努力の跡が見てとれる。オチまでの構成、シカケ。そして、絶対にあるだろう、「これって++のパクリじゃん!」って無責任な立場からの誹謗。それらを避けるためのアレンジ。それらは無責任な立場である、おれにもわかってしまう。わかってしまっちゃあねえ。 ・だから、人間向き不向きはある。 ・えんど氏はそこいらをもっと緩やかに考えて、ショートショートならなんでもありと捕らえ、たとえば、泣かせ、たとえばギャグと、もうちょっと自分内の「縛り」をなくせばいいなと思った。 ・後半にある三途の川の話が好きです。 (19:37:22) |
「ONE PEACE」26巻 尾田栄一郎(集英社) |
・む。おもしろさが下がった。そう思わないか諸君? ・空島編がはじまりました。でも、不法入国ということでいきなり追われる立場になりました。で、ゾロ+オンナ2人+チョッパーとルフィ+サンジ+鼻の2チームに分かれての冒険になりましたと。 ・まあ、空に浮かんでる島ということでおわかりになると思いますが、かなりファンタジーが入っております。多分に、前回アラバスタ編の反動ではないかと思われます。でも、やっぱり人vs人の戦いはあるのです。 ・むー、まだいろいろな結論を出すのは早計かと思います。もうちょっと様子をみたいと思います。思いますが、26巻はおもしろさが下がったと感じました。はじめて、「そこになにが起こってるのかわからない病」も起こりましたし。(ナミが禁断の島で不法入国者を退治してるシーン) (11:42:47) |
「ピューと吹く!ジャガー」4巻 うすた京介(集英社) |
・安定してますね。なんつーか、ジャガーとピヨ彦の掛け合い以外のバリエーションをかなり意図的に混ぜ込むことで、ワンパターン化を防いでるという感じがします。そいで、2回以上にまたがる大ネタはジャガーとピヨ彦をドーンと前面に。この場合でいえば、焼肉勝負と釣り勝負、ユニばーさんスタジオあたりかな。 ・ほかに、マンガ内マンガとか、そういう「はみ出した」系のネタ(月刊少年タオル)なんかも、いい感じだった。 ・個人的には、うすた氏の「文字」がオチになってるギャグが好きなんだ。「マサルさん」の「ボスケテ」とか。 ・で、今回は焼肉勝負での「のどあめ」が非常におかしかった。ここで「のどあめ」が出るセンスこそがうすた氏の「美味しさ」のヒミツだと思う。というか、おれが追い続けるヒミツ。 ・あと、本作でいえば、ハマーがやっぱりいいね。よって、「焼肉勝負」がもっとも「笑率」が高かった、「笑撃」の回でしたね。ヒップホップ忍者ってのもどうかと当初は思っていたけど、彼のキャラで急成長株になったね。 ・高菜(紅一点キャラ)のネットアイドル編もなかなか(これもハマーがオチになってるな)。知り合いや同級生、姉妹、妻あたりがナイショでネットアイドルやってるってのは、案外と恐怖ですね。多分、衝撃は「実はAV嬢」ってのにわりと肉薄するくらいじゃないですかね。 ・コミックオマケの知り合い使った写真ネタはつまらないのでやめれ。 (13:22:51) |
「風雲児たち」8巻 みなもと太郎(リイド社) |
・毎度毎度マンセー意見ばかりじゃ読むほうも書くほうもワンパターンでいけません。馴れ合いは怠惰への折り返し地点であり、怠惰は堕落への入り口でございますよ。 ・だから、ちょっと毛色のちがったアプローチで。 ・本作品はギャグマンガで、それはすなわちギャグがあるということ。みなもと氏のギャグは、最近(幕末編)ではわりと薄れているけど、流行ネタをかませるってのがある。 ・で、この時期(最終巻は1999年発行だから、それまで延々あるけど、とりあえず、6巻あたりからかな)は、「おれたちひょうきん族」から流れるマンザイブーム全盛のころで、そのネタが多い。 「シットルケ」「できましぇ〜ん」「アホちゃいまんねん、パーでんねん」「タケちゃんマン」と。まあ、いい年齢ぶっこいた人にはナツカシかろて。 ・それに当時の流行(TVネタ)をならべますと。 「クイズ面白ゼミナール(鈴木健一司会)」「こっちこいゲーンキ(CM)」「泉重千代(長寿世界一)」「なげたらアカン(CM)」 ・など。時期的にはどうなるんだろ?おれが高校生になったくらいか。1984年とか? ・これらは、すべてワイド版のみの巻末オマケ「ギャグ注」というギャグの解説に詳しい説明がある。 ・ちなみに「〜〜ってか」ってのは、「おれたちひょうきん族」での、いまや大先生サマになられた片岡鶴太郎のギャグです。おれも影響を受けていて、未だに使ってます。 ・こういう時事ギャグってのは、古びるって、見事な証明になりますが、逆に、当時の風俗を記録してるというメリットもあるんですね。 ・やや、横道になりますが、ピチカートVの小西氏が「女性上位時代」というアルバムを出したときのインタビューで、まさにそのようなことをいってました。これまでは「エバーグリーン」な普遍性の高い音楽作りを心がけていたが、今は時代の空気をパックするような音楽にしか興味が無いってなこと。 ・今、ギャグマンガのみならずマンガの多くはエバーグリーン的なものが大半を占めるようになっている。たとえ、時事ネタを扱っても、それをエバーグリーン的に昇華させているというかね。(例:「ビリーバーズ/山本直樹」) ・そういうのは多分「正解」だとは思う。昔のマンガを読む場合、時事ネタがキツイのは「ノイズ」にしかならないからな。 ・と、ここまで書いて、これまでの文章をひっくり返す事実に気がついたおれだ。ここまで書いた分がもったいないのでこのままつづけさせていただくと、今、その時事ネタが「オタクネタ」になったんだね。 ・たとえば、ガンダム。たとえば、ジョジョ。今なおケンシロウ。そういうのひっくるめたステレオタイプのオタク(むしろヲタク)ってのが重宝されてますね。そうだったそうだった。 ・ということで、壮大な、無意味前フリになってしまいました。ユカイユカイ。 ・本文。8巻は、田沼親子の苦闘がメインですね。最近の流れは、田沼親子の政治采配と杉田玄白らのインテリゲンチャチームの鎖国ゆえの苦悩の2つですよね。それらの枝葉末節というカタチで、今回は田沼ジュニアの非業の死を乗り越えた田沼意次の北海道調査隊が白眉ということになってるのです。 ・というか、ほぼ北海道がその舞台の中心といえる8巻でした。アイヌ民族の悲劇、松前藩と幕府とのバランスゲーム。そして、北海道調査隊の苦難をコッテリキッチリと描いている。 ・前は沖縄で、今度は北海道と。まあ、日本人もアコギなことしてますね。 ・あいかわらず目を見張るおもしろさと。←この1行で済ませられます。 (18:35:38) |
「刑務所の前」1巻 花輪和一(小学館) |
・映画にもなった(なる)「刑務所の中」。もちろん、その年のパーわセーブマンガ大賞も総ナメさ。ついでにほかのマンガ賞もいろいろもらってたみたいだし。 ・マンガ家の花輪和一氏が銃刀法違反で刑務所に入れられた体験を事細かに観察した ・そうしたら黙ってられないのが小学館さ。小学館ったら、ヨソの子がちょっといいもの持ってるのみたらすぐ欲しがるダダっ子みたいなところあるじゃん?欲張りサンなんだよねえ。原秀則とかしかいないからってさ。 ・で、本書なんだけど、これ、小学館の思惑とちがうんだろうなあ。いきなり時代劇になってるもんなあ。それに「1巻」だしなあ。 ・だから、まだ、話がよくみえてないのですね。 ・作者が拳銃マニアで、ホンモノの銃のガラクタを手に入れました。サビサビのボロボロです。でもホンモノです。それを丹念に直していきます。ものすげえ細かい描写でサビを取って掃除していきます。 ・そして、それと並行して、鉄砲鍛治屋の娘の物語も描かれる(時代劇)。 ・両者はカンケイあるようなないような、微妙なつながりで、加えて突然刑務所の話やらもインサートされて、非常にグネグネしてるんだな。 ・多分に、鉄砲鍛冶の娘は花輪作品において、よく見る顔です。なんとなれば、花輪氏の分身的な存在かもしれません。早見純氏の純といっしょですね(このたとえわかりづらいだろ)。 ・だから、花輪作品、とくに「刑務所の中」は本書を読むにあたって必読。どこでも手に入るでしょう。 ・それと、他作品も読まれること推奨。「猫の谷」あたり。 ・そうすれば、というか、そうしなければ本書は楽しめませんね。 ・そして、そうすれば、非常に楽しめます。 (21:09:18) |
「hexamix」櫻見弘樹(大都社) |
・こないだ中古200円で買った「しっぽの仕組み」がおもしろかったのでご祝儀買い。 ・非エロの短編集といったオモムキ。 ・かなりバラエティーに富んだ作品群であり、あとがきによると、読みきりはどうせコミックにならないからと、自分が描いたことのないもの(ジャンル)を選んで描いていたそうです。 ・学園ホラーコメディ「事件ですよ!」 ・陸上部ギャグ「たかし君フルスピード」 ・バリバリガンアクション(殺し屋イチ風味)「イルミネイト・レッド・ドット」 ・荒唐無稽系チャンバラアクション「風巻く剣士」 ・学園格闘コメディ「ザ・鳩高バトルメイツ」 ・推理マンガ「3人目のO」 ・と、まあ、芸達者ですよ。絵はイキイキしてるし、けして、それぞれのジャンル、手を抜かずに水準以上に仕上げている。そいでもって、人気が出た場合、そのまま連載できそうな完成度や練りこみ具合も感じられる。 ・でえも、やっぱ、どれもこれも決定打的なのはないね。 ・こういうのみてると、櫻見氏が細野不二彦氏とダブってくる。いろいろなタイプを小器用にこなしてるし、そこでのアレンジの方向性や芸風も似ている気がする。というか、櫻見氏が影響を受けてる気が。 ・そういってみれば、どことなく「サンデー」系ですよね。 ・巻末広告にあったエッチなやつ「ラブストローク11」ってのを今度は読みたいなと思いました。 (14:33:04) |
「花園メリーゴーランド」5巻 柏木ハルコ(小学館) |
・んー。本屋でみかけて、「そういや、最終巻って読んでないな」と思ったくらい。最初のインパクトはすごかったけど、巻を追うごとにものすごい勢いでなくなったよなあ。 ・んー、祭りの夜の脱出劇が最終巻最大の見せ場ですか。で、1巻冒頭につながって終了と。 ・んー、夜這い文化が民俗学的なのかよくわからんが、高尚な人の解説なんてのも巻末にありましたな。 ・んー、おれは、柏木氏の最高傑作は、非エロの「よいこの星」だと思うのですが、あれも考えてみればセクシャルな部分がかなり内在してるマンガでございまして、これからは、薄皮で見え隠れするタイプのエロを追及されると長持ちするのではと思いました。こういうアケスケなのを描くという作風は、ある種の消耗品ですね。 ・あとがきマンガがおもしろかったです。たしかに熟女好きにはいい感じですよね。 (15:01:47) |
「teach!」高橋雄一郎(白泉社) |
・なぜ、これを買ったのかというと、カンです。 ・飛び級で16歳にしてアメリカで教員免許をもった少女が高校に赴任してくる。そいでもって、幼稚園時代の幼馴染がいて、あと、いろいろ。 ・あと、小さいときに事故を起していろいろな人の身体が混ざったフランケンシュタイン状態で、感情が高ぶったら傷跡が浮き出たりする。 ・あと、なんだかヒミツの力があり、アメリカの軍事衛星を動かせたりする。 ・でも、上記の設定はよくわからんまま、たいして活用されもせずに、1巻分、センセイ主人公の学園コメディとして続いて終わりますわ。 ・えーと、いいところ:女の子がカワイイ。悪いところ:他全部。といった感じですかね。冷静に考えれば出来損ないの「BE FREE!/江川達也」をさらに半日煮込んで「萌え」を隠し味に少々。ハイ、「teach!」の出来上がり。といった感じですか。 ・作者自体方向性が定まらないまま、とりあえず、1回入魂で描き上げたぜ!感がありますね。だから、「連作」的で、なんつーか、単行本1冊分続いてるけどグルーヴが感じられない。 ・意外とキャリアのある人のようですが(今ちょいと検索してみた)、どうでしょう1回原作モノをやられては? (16:37:17) |
「つゆダク」1巻 朔ユキ蔵(小学館) |
・「クイックジャパン」で知ったんだっけかな。あの朔ユキ蔵が「スピリッツ」で連載するって。 ・で、タイトルもチェックして、長いこと待ってたんだけど、全然音沙汰がない。ま、マンガサイトとかあまりチェックしてないし、なーんか、どうなってるんだ?と思ってたら、2巻発売のアナウンス。「?」って、いちおう探してみたんだわ。したら、オビに作者名がキレイに隠れてる。なーんで、こんなことするかねー。おれみたいに、「あの」朔ユキ蔵だってことで、探している人も多いだろうに。 と、思ってたんだわ。 ・朔ユキ蔵といえば、「少女、ギターを弾く」を頂点に、アナーキーリリシズムみたいな、とにかく特異な作品を描く人という印象が強い。とくに、「向こう側」にいってラクになりたいが、ラクになれないで、「ここ」に留まってもだえ苦しむという人描写がスゴイってイメージがある。 ・それが「スピリッツ」というメジャーで、どんな展開になるんだろう?と思っていたら、これが驚愕。「王道」なんですよ。ド王道です。語呂悪いな。 ・1日11回オナニーせずにいられないエロボケの露崎クン。憧れのアイドルとお近づきになるためにテレビ局入社を決める。なぜか、入社試験なのにサバイバル実習があり、そこでも、露崎クン、ガシガシとオナニーしまくり。そして、それで入社が決まってしまう。 ・そして、彼の仕事は「セックス」だった。この先は読んでのお楽しみといいたいところだけど、このあと2巻も引き続きやるので、ちゃっちゃと書いてしまうと、アイドルの欲求不満を解消するための局内セックス要員だったのです。ばーん。 ・ということで、モデルいるのかいないか微妙ですが、浜崎あゆみと前田亜季に女子アナみたいな人といたしてる1巻です。 ・これが、王道なんですよ。青年誌のエロコメ王道。やっぱ、青年誌とエロってのは切っても切れない関係でねえ。たぶん、最初の王道は小池一夫氏だと思うのですよ。で、その次は本宮ひろ志氏。その次が微妙ですけど、江川達也氏かと。そのラインじゃないかな。まさに「青年誌」のマンガなんですよ。 ・過去に「成年コミック」から青年誌に移行した人っていっぱいいますよね。でも、それらの誰よりも青年誌って感じがします。 ・というか、逆に、青年誌すぎるんですよ。王道すぎるんですよ。そこになんかあるのか?と訝しくなるくらい。もしかして、青年誌王道のパロディを密かにやってるんじゃないか?とかね。 ・そして、その王道すぎる王道がまたおもしろいんですよ。だから、朔ユキ蔵の名前はかえってジャマだったりするかもしれないので、作者名をオビで隠したのでは?と考えると興味深い。 ・うーむ。朔ユキ蔵恐るべし。 (22:38:49) |
「つゆダク」2巻 朔ユキ蔵(小学館) |
・2巻です。人気があるみたいです。たぶん、王道だからでしょう。朔ユキ蔵の成年コミック作品を触れていない人が、普通におもしろいということで、買っているんじゃないかと思われますよ。この人たちが「少女、ギターを弾く」とか「ちまたのオマタ」とか読んだらどんなリアクションするかみてみたいような気がします。 ・ま、それはそれと。セックス勝負マンガというラインでよろしいんでしょうか。今回はまた王道といえる、全世界に7人いる「フクマン」と交わることで、奇跡が起こるんだそうです。その旅がはじまりました。というか、もう1人交わってます。2巻ではさらに1人プラスというハイペースです。このペースだと、4巻くらいで全員と交わってしまうんとちがうか? ・そいでもって、その「フクマン」にいたるための「目標」も設定されました。トップアイドルの涼子ちゃんですね。彼女と交わろうとしたら、彼女が服を脱いだだけで射精してしまいました。彼女のオーラだけでつきあった男性がことごとく果ててしまうので、彼女はまだ処女という設定です。筒井康隆氏の「インタビュー」という短編や、故たかもちげん氏の「ハリマオ」でもあったネタですね。 ・彼女をヒーヒーいわせるために7人の「フクマン」と交わることにしたのでした。 ・でさ、彼は、生でやるという「売り」のために、中出し厳禁なのです。もし、中出ししたらパイプカットというペナルティがあるんですが、パイプカットすればいいじゃん?とおれは思うのですが。パイプカットすると強くなるっていうし。あと、大橋巨泉もパイプカットしたし。 ・えーと、手放しでよろこべないファクターがひとつあります。ぶっちゃけ、エロくない。ま、成年コミックのもそうでしたけど。 ・んーまー、でも、単純におもしろいんですけどね。 (23:08:48) |
「青春ビンタ!」3巻 私屋カヲル(少年画報社) |
・エロガキマンガですね。 ・そういや、主人公は、オナニーしすぎると、赤玉が出て危険とかいう設定はどこにいったのでしょう。 ・えーと、女に飢えてる男子高校生がムチャクチャするギャグマンガですね。 ・3巻はもう行き着くところまで行ってしまった感あり。 ・主人公ビンタは巨乳のアミに好かれてるのですが、ビンタは貧乳のモモカが好きと。で、巨乳のアミにホレられているもんだから、ヤロウにジェラシーの対象になったりするんですね。 ・そんな設定はどうでもいいような気もします。毎巻「萌え」を追求しております。そのため、女性の作画にえらい気張ってるような感じを受けます。もう、読んでるほうが疲れるくらい。ま、雑誌内の「エロ要因」だろうし、そのニーズに応えるために一生懸命なんすけど、ちょっとやりすぎな感じが。「ムリしてんの?」って気遣ってしまうくらいさ。 ・ホーケーネタ、ヴァレンタインネタがキツかったなあとくに。なんだか、ムリに盛り上げようって感じがして。 ・もうちょっと全体的に抑えて「チラリ」で、「萌え」るようにする方針にしたらいいんじゃないかなあと。ドーンと見せるのはサービスってだけじゃないんだねえ。この世界は奥が深いのです。ああ深いのです。 (02/12/01・23:38:47) |
「ふたつのスピカ」3巻 柳沼行(メディアファクトリー) |
・なんか、この人、いつまでたっても絵の上達がみられないなあ。表紙なんてちょっとマイナス方面にインパクトあるくらい。これは「完成」ってことなのかしら? ・で、話はというと、アレっすよ。いつもおれは大映ドラマを思い出すんだよなあ。「スチュワーデス物語」「スクールウォーズ」「スケバン刑事」「赤いシリーズ」などなど。ベタな演出。過剰な演技みたいな。「わかりやすさ」を最優先みたいな。 ・悲しいときは涙が出るし、ワケありの人はちゃんとその「ワケ」があるし。 ・宇宙飛行士を目指しているアスミが日本初の宇宙飛行士養成学校で、仲間とともに悩み喜び、協力して強くなってく。ってな感じか。 ・大きく話が動きそうで、妙に足踏み状態な3巻でした。そして、この話はどこまで行くのでしょうか?あずみは宇宙に行けるのでしょうか。 ・と、同じ宇宙モノの「MOON LIGHT MILE」とはまったく逆のベクトルにいます。 ・うーん、実は、今、こういう真正面でこういうドラマを紡いでるマンガってワン&オンリーかもしれない。 ・後半の読みきり(アスミの過去編)、作者のエッセイ風読みきりがよかったです。 ・本編はもうちょっと「宇宙飛行士」の学校みたいなところが欲しい。それは4巻以降に期待しておこう。そうです、おれはこのマンガ「期待」してます。なぜならおもしろいからです。まー、ツッコミどころが多々あるマンガではあるんだけどね。 「おれが読んでやらないと!」 って被保護性を刺激するんですよね。 (02/12/01・23:55:30) |