-----

サクラ大百科 第十六巻

Volume 16

-----

10/21 収録




加山持ち込み企画
・サクラの四字熟語を追え!

KIGさんのご投稿


加山:(ポロロ〜ン)
や〜あ、しあわせだなぁ〜。四字熟語がテーマだなんて、まるで俺のためにたてられたような企画じゃないか〜。
紅蘭:なに言うてはんの。あんたが持ち込んだ企画やないの。
加山:まあまあまあまあ、紅蘭君!そんなことは気にしちゃいけない。では早速始めようじゃないか。
紅蘭:今回はサクラ1&2で使われとる四字熟語を、ゲストとともに解析しようっちゅうことでしたな。
加山:そうだよ、紅蘭君。そういうことだから、中国人である君をパートナーにしたのさ。サクラワールドではこの四字熟語が多く使われているのだ。たとえば神刀滅却(心頭滅却)と光刀無形(荒唐無稽)の二刀。華撃団の組構成の風花雪月、作戦名の風林火山、五行衆のきめゼリフ五行相剋などいたるところに出てくる。今回は花組メンバーの必殺技を中心に分析してみよう。
まずは簡単なところからはじめよう。最初のゲストの方、どうぞ〜。
カンナ:なんだよ、いったい。あたい、いまソーキそばを食ってたとこだったんだぜ。だいたいなんで屋根裏部屋なんかでこんなことやってんだ?
紅蘭:そういうことは加山はんに言ってぇな。
加山:いやあ、月組の習性ってやつかな?サロンのような明るくて広いところは落着かなくってね〜。
紅蘭:あんたは油虫か。
カンナ:で、なんの用なんだい。
加山:カンナくんがらみの四字熟語っていうと、サクラ1での合体技だな。
紅蘭:せやね、「久流々破(くるるんふぁ)」のときのかけ声「質実剛健天衣無縫百戦百勝電光石火」やけども…
加山:これは解析するほどのものでもないなあ〜。
というわけで最初のゲスト、桐島カンナさんでした〜。ありがとう!アディオース!
カンナ:お、おい、ちょっと待てよ。
紅蘭:あ、カンナはん、ちょっと端っこの方によっといてもらえます?すんまへんなあ。
カンナ:…なんだってんだ(ぶつぶつ)。
紅蘭:さて次のゲストですが。
加山:ハッハッハ。それは君なんだよ、紅蘭君。
紅蘭:えっ、ウチやったんですか?どないしよ。
加山:ハッハッハ。まあ、すぐ終わるから。
紅蘭:(……どついたろか。)
加山:君もサクラ1の合体技「凄絶・天象烈界破(せいぜつ・てんしょうれっかいは)」で四字熟語をかけ声に使ってるね。
紅蘭:まずは「飛竜乗雲(ひりゅうじょううん)」。これは英雄がチャンスをつかんで勢いを得ること。次に「竜駒鳳雛(りゅうくほうすう)」、凄まじい才能を秘めた二人の若者って意味ですわ。いやあ、我ながらかっこええなあ。
加山:ふむふむ。で、2の「超絶・猛火赤龍咬翔(ちょうぜつ・もうかせきりゅうこうしょう)」で使っている「牙龍天征(がりょうてんせい)」っていうのはひょっとして「画竜点睛」のもじりかい?
紅蘭:ち、ちがいますわ。なんでそんな「ツメがあまい」みたいな意味の言葉……あれは、そう、勇ましい龍が天に昇る様、ですわ。
加山:ほんとかい〜?まあいい、じゃ次のゲストを呼ぼう。
紅蘭:…ウチのコーナー、もう終わり?
カンナ:そんなこと言ったらあたいはどうなる……
加山:今回のメインゲスト・大神&さくらくん、アント〜レ〜(おはいり〜)!
大神:どうも〜
さくら:こんにちは〜
加山:やあ、おふたりさん、良く来てくれたね。
さくら:きゃっ、大神さん、なんだか「新婚さんいらっしゃい」みたいですね。
大神:うーん、じゃ「イエスノー枕」をもらって帰らなきゃ。(軟派度アップ)
さくら:やだもうっ、大神さんったらっ。
紅蘭:……この狭い屋根裏部屋でどうやったらそんな勘違いできるんかいな……。
加山:ハッハッハ、あいかわらず仲がいいんだなぁ。(くっ、大神のやろー。こっちの部下は掃除のおばちゃんだとかだってーのに!あとでいじめてやる)
さてサクラの世界で四字熟語といえば君たちふたりだね。まずはさくらくんだ。知らない人もけっこういるんだが、君の「破邪剣征」はもともと四字熟語だね?
さくら:えっ、そうなんですか?あたしお父様が言ってたのを真似してただけなんですけど。
紅蘭:さくらはん、しっかりしてぇな。もとは「破邪顕正」て書いてな、「はじゃけんしょう」あるいは「けんせい」て読む、仏教用語のひとつやで。
加山:意味は「邪見・邪道などを打破して、正見・正道を顕かにすること。転じて不正を打破し正義を表すこと。」だ。
大神:さすがは加山、故事成語マニアだなあ。
加山:そして必殺技名のほうなんだが、「桜花」シリーズのほうは俺にも良く分からない。が、1の「百花繚乱」、2の「百花斉放」は四字熟語そのままで、どちらも「さまざまな花が一斉に咲き乱れる様。転じて優れた学問・芸術、あるいはそれを担う人物などが、時を同じくして次々と現れること。」という意味だな。
さくら:ええ、それは私も知ってます。っていうより、名前つけたのあたしですから。
大神:えっ、そうなのかい?
さくら:そうですよ。我が真宮寺家伝来の技は「桜花放神」までで、あとはあたしの命名です。ですから復活したお父様が使っていた技は、あたしのより強力ではあるけど、「桜花爛漫」じゃなくて「桜花放神」でしょう?
大神:なるほど。
紅蘭:次は大神はんやな。……でもこれがけっこう問題なんやなー。
大神:へっ?なんでだい、紅蘭?
加山:それは俺から説明しよう。さくらくんの場合は普通の四字熟語が普通に使われているのだが、お前の必殺技はどうもうさんくさいネーミングのものが多いのだ。
大神:ぐっ、し、失礼な。俺の華麗な必殺技のどこがうさんくさいっていうんだ。
加山:うむ、これから説明していこう。
まずはお前の決まり文句「狼虎滅却」だ。さくらくんと同じように四字熟語から来ているものと思ったのだが、いくら調べてもこんな言葉はない。
紅蘭:ウチもこんな言葉知らんで。
大神:…………。
さくら:大神さん、がんばって!
加山:狼虎というと出てくるのは「如狼如虎(ろうのごとく、このごとし)」というような、凶暴だとか、残酷だとかという意味だ。「狼虎」は「冷酷で欲深く、他のものを害するものたとえ」だそうだぞ。
紅蘭:まあ、それに「滅却」つまり「滅ぼすこと」をくっつけてるっちゅうことは、「残酷な悪を滅ぼす」って意味と取れることはとれるなぁ。
大神:な、なんだ。それならいいじゃないか。俺が「悪を滅ぼし」さくらくんが「正義を示す」で、みごとに帝国華撃団のスローガンじゃないか。
さくら:きゃっ、うれしいです。大神さん。
加山:しかし大神。狼ってのはお前のシンボルなんだろう?それを「悪」として「滅ぼす」ってのはどうも具合が悪くはないか?
大神:……。
カンナ:それに虎ってのはあたいのシンボルだぜ、隊長。自分のだけならまだしも、あたいのシンボルまで滅ぼすってのはひどいぜ。
紅蘭:カンナはん、まだおったんかいな。
まあ、ええやないの。大神はんも困ってはるし、話を次にすすめまひょ。
大神:ほっ。
加山:うむ、じゃあ次だ。1での光武の必殺技は「快刀乱麻(かいとうらんま)」だったな。これは有名な四字熟語だ。本来は「快刀、乱麻を断つ」といい、「切れ味のよい刀でもつれた麻糸を断ち切ること。転じてこじれた物事を明快に解決すること。」だ。
紅蘭:なんや、銭形平次みたいやな。
さくら:でも、いかにも大神さんらしい必殺技です!
加山:次の「無双天威」、これが難問だった。音的にちかいのは「天衣無縫」と「天下無双」。これを混ぜてひっくり返した、と解釈するぐらいしか手はない。
大神:かなり無理があるな。
加山:誰のおかげで苦労してると思ってる。
大神:…べつに俺はそんなこと頼んで……
加山:うるさい、次行くぞ。「天地一矢(てんちいっし)」だな。これは出所が明らかだ。荘子の思想の一つ、万物一体観を示した言葉「天地一指(いっし)なり、万物は一馬なり。」からで、意味は「あらゆる差別・対立を超越した絶対的立場から見れば、天も地も同じ一本の指に過ぎない」ということらしい。
……大神、寝てないか?
大神:(ハッ)し、失礼なことを言うな。
加山:確かにスケールの大きな言葉だが、必殺技の名前としてはどうかな?
大神:ほっといてくれ。
紅蘭:(な、なんやしらんけど、妙にギスギスしてきたなぁ。)
カンナ:(だな。)
さくら:(加山さん、なんだか怒ってませんか?)
加山:「三刃成虎」はとりあえず飛ばして、「天狼転化(てんろうてんげ)」だ。こいつも難物だった。よくは分からんが音の響きからすると、釈迦の「天上天下唯我独尊」の「てんじょうてんげ」が元ネタだろうな。
大神:ちょっと待て、加山。なんで「三刃成虎」を飛ばしたんだ?
加山:ふっ、語るにおちたな、大神。お前やはり音のカッコよさだけに満足して、意味も知らずに使っているな?
大神:ギクッ。
加山:意味を知っているなら、俺がこの四字熟語を最後に回した理由が分かるはずだ!
さくら:どういうことです、加山さん?
加山:三刃成虎(さんじんせいこ)」の元ネタは明らかに「三人成虎(さんにんせいこ)」だ。この意味を説明してみろ、大神!
大神:うっ……。
加山:ふっ、やはりな。ならば、俺が説明してやろう。
「三人成虎」とは、虎が実際にはいなくても、三人の者が「虎がいる」と言えば、聞く者は信じてしまう。誤った話も、多くの人が言えば真実と同じ力を持ってしまうという意味なのだ。
大神:…………。
加山:お前、こんな「デマのできあがりかた」を必殺技にしてどうしようというのだ?!
大神:…………。
紅蘭:うわーっ、大神はん、やってもうたな。はずかしーっ。
さくら:大神さん、大きな声で叫んでた……さんじんせいこーって……。
カンナ:だいたい虎はあたいのシンボルだぜ。勝手に使うなよ。
紅蘭:カンナはん、そういう問題とちゃうわ。
加山:こんなわけの分からん必殺技でとどめを刺された五行衆もかわいそうにな。
大神:う、うるさいな。俺の必殺技だ、ほっといてくれ。
加山:まあ、そう気を悪くするな。今回はそんなお前のためにいい四字熟語を用意した。ぜひ次の必殺技名にしてくれ。
大神:おおっ、さすがは加山だ。で、どんなのだ?
加山:うむ。「剋撃剣真」というのだ。どうだ?
大神:……こくげきけんま?かっこいいじゃないか!で、意味は?
加山:うむ。研鑚をつみ、剣を極めた達人の一撃は誰にも真似できない。修行の大切さを表した言葉だ。
大神:おおっ、いいじゃないか!「こくげきけんま」か。
狼虎滅却……剋撃剣真〜!
さくら:きゃあ〜、大神さんかっこいぃ〜!
大神:よし!これから中庭で剋撃剣真のポーズを考えよう!さくらくん、つきあってくれ!(だだだだっ)
さくら:はいっ、大神さん!(ぱたぱたっ)
加山:…………。
カンナ:……行っちまったな。
紅蘭:……なあ、加山はん?「こくげきけんま」ってたしか……
加山:うむ。本来は「轂撃肩摩」と書いてな、街中がにぎやかでこみあっている様を意味する。
カンナ:ええっ?!じゃ、隊長に言ったのは…
加山:全部ウソだ。
紅蘭:やっぱり。
加山:いかにもあいつ好みの音の響きだったのでな。試してみたんだが、やはりひっかかったか。
カンナ:これからどうすんだよ?
加山:本人が気づくまでほおっておこう。
紅蘭:……一生気づかんのとちゃうかな……
カンナ:だな。
 
 
 
 
中庭にて
 
大神:狼虎滅却……剋撃剣真ぁ〜!
さくら:大神さん、もうちょっと左腕を上に……そう!ああ、かっこいいです!
大神:そうかい?よし!もう一度だ!
さくら:はい!がんばって、大神さん!
大神:おう!

 
 
 
 §あとがき§

 というわけで、さくらと一郎のWボケ夫婦オチでした。この四字熟語はかなりネタが多く、なかなかまとめきれないので、花組の必殺技に限定して分析しました。だれか加山のことわざと合わせてリストでも作ってくれないかな。
 上で「よくわからん」とした「狼虎滅却」「無双天威」「桜花シリーズ」は私が知らないだけで、なにか元ネタがあるのかもしれません。もうひとつ、どうしても分からなかったのが鬼王の「ショエキショウライ」。誰か知ってます?
 ではではネットスナフキンのKIGでした。おそまつ様でした。
 
 

 そう、よく考えてみればサクラにでてくる四字熟語ってのも、実際にある単語じゃないんですよね。その違和感をプレーヤーに気づかせないところ、よく作り込まれている証拠ともいえそうですが…(え、私が鈍感なだけ?) いや、そりゃいくら何でも真剣・白羽鳥はおかしいと思いましたよ、もちろん。(ばく)
 というわけで、今回のご投稿はとってもためになりました。天地は一指(いっし)なり、ふむふむφ(..) まじめなお勉強ネタとはいえ随所に織り込まれたボケねたは多分にKIGさんのセンスと、そして加山くんのキャラクターにあると思われます(^^;
 こちらのマシントラブルが原因で掲載がずいぶんと遅れてしまい、大変申し訳ありませんでした。ご投稿ほんとにありがとうございますー(^o^)/




←第十五巻へ 第十七巻へ→
大百科2 目次へ

ご連絡はこちらまで: takayuki あっとまーく sakura.club.ne.jp