A Year Of War 2_ex

第二章 「南極条約」 レファレンス




連邦軍

・人物編

レビル
中将。ルウム戦役で捕虜となり、南極会議で公国側が連邦を屈服させる切り札として使お
うとしたが、連邦軍の工作により奪還され、逆に連邦の切り札となってしまった。その後
の歴史において、南極会議の主役とされるわけではあるが、本人にしてみればいい迷惑か
もしれない。かもしれないが、彼の意志とは無縁にどんどんと英雄に祭り上げられていく。
このあたりは第三章以降で描かれるだろう。

マクファティ・ティアンム
中将。第二章では名前だけ出ている。実戦部隊の指揮官としてはレビルに次ぐ声望があっ
た。ちなみに海軍出身。

チェン
大佐。ルウム戦役で左腕と左目を失った。アイパッチと鉤爪が欲しいところだ。現在ルナ
2の病院で療養中。次に復帰するのはいつのことになるかは分からないが、准将となって
いる予定。実のところ、彼らが思っているよりは早い時期になるはずだ。人材不足ゆえ。
チャイナ系四九歳。

ネフ
少佐から中佐に仮昇進。ナンは「増えた給料分……」なんてことを言っていたが、仮昇進
の場合、権限は中佐並だが給料は少佐のままである。残念でした。チェンが入院した後、
ドック入りした『エクゼター』の艦長代理だったが、修理の目途も立たないまま古巣のM
S開発チームに戻される。この時点で本人には知らされていないが、実際にはそのまま対
MS戦闘を研究する研究チームに横滑りとなる。まあMS開発計画とも密接に絡むので、
本人も表だっては文句を言わないだろうが。ちなみにそのあとは正式に中佐に昇進して指
揮参謀過程(CGS)である。エリートというのは先が見え易すぎるね(笑)。アングロサ
クソン系三一歳。

ナン
大尉から少佐に昇進。ルウム戦役でボール部隊を率いて艦隊を守り通した戦果と指揮能力
を評価され、戦役後少佐に昇進した。普通昇進したら部隊指揮官を交代して次の任地に赴
くのだが、彼の場合、部隊を解散されて部下の大半共々テルアビブの第六開発団に赴任し、
テストパイロットをすることになった。普通なら彼はともかく、下士官である彼の部下た
ちがテストパイロットをすることはないはずなのだが、単なるテストパイロットというだ
けではなく、システムとしての部隊構成までテストするための配置ということになってい
る。しかしそうならば彼の所属は宇宙軍から陸軍に移るのだろうか?設定にはないが、連
邦軍の陸海空宇宙の四軍を「統合軍」の様な組織に再編する必要があるだろうな。レビル
の指揮権とかの問題もあるし、このあたり結構ややこしいのだ。まあ、彼と部下たちが活
躍するのは次の章以降だろう。インド系三〇歳。

マクベイン
准将から少将に昇進。ルウム戦役の頃までは、アラスカのアンカレッジで基地司令をやっ
ていた。前任の人事課長が倒れたことから急遽抜擢され、混乱しきった連邦軍の人事を担
当する。人事課長とかいっておきながら黙って戦争のシミュレートを行うあたり、考えよ
うによってはかなりのくせ者だろう。確かに戦争の推移を読めなければ、包括的な人事計
画なんぞ組めないだろうが。チェンと同期の友人でもある。ということは宇宙軍の人間だ
ろう。四八歳。

ファン
中佐。連邦軍情報局の執行部門の責任者。この部隊は存在自体が部外秘になっており、表
向きには「管理四課」とか「調査二課六班」とかいろいろな隠れ蓑を羽織っている。レビ
ル奪還作戦を実施した指揮官である。なんか、こう書いていると『007』のMI6に所
属した(特攻野郎の)「Aチーム」みたいだ。部隊の性格としては、どちらかというと
『ジオブリーダーズ』の厚生省衛生二課(ハクンド)が近い。ただし、指揮官のキャラは
全然違う。真面目というより余裕あるユーモアを漂わせた感じである。薔薇の騎士(ロー
ゼンリッター)のシェーンコップが近いかな?姓からして某植民惑星軍の特殊部隊幹部を
思い出すが、たぶん彼がMSに乗ることはないだろう。名前だけを見ればチャイナ系。海
軍出身の三八歳。

ロイド
連邦軍情報局副局長。レビル奪還という不可能事を企画し、成功させる。イメージとして
は悪の秘密警察長官である。セリフの落としどころでメガネがキラーンと光るイメージを
想像して欲しい。なんか指をパチンと鳴らせば、失敗した部下の足下の床が消えてなくな
ったりするようなイメージである。しかも、そこまでやってもベタが入らないキャラであ
る。うーむ。声は塩沢兼人……になるとベタだな。ああ、『テッカマンブレード』のフリ
ーマンがいい。あんな感じ。しかし、フリーマンがメガネ君でキラーン……ま、いいや。
お気に入りのキャラだし。アイリッシュ系の四六歳。見た目はもっと老けている。一応、
陸軍少将。

リーヴィス
少佐。ファンの十年来の腹心。ありがちなキャラ設定だが、ファンと対照的に真面目っぽ
いキャラ。つまりカスパー・リンツか(リンツが真面目?相対的にね)。「力」のファン
と「技」のリーヴィスってところですか。レビル奪還作戦ではサイド6(リーア)に対す
る牽制攻撃を指揮した。海軍出身の三四歳。

ガラント
大尉。ファンの部下の中ではもっとも頭の切れる男。論理マシーンの気があるらしい。ま
あ、これもありがちな気もするが。ファンの作戦では副官を務めた。陸軍出身の二九歳。

イン
大尉。ファンの部隊で、コムサイのコクピットを制圧する班の指揮官を務めた。作戦の最
重要任務を担当しただけあって、戦術能力は非常に高い。寡黙で面白みのない人間と思わ
れているが、実のところは独特のユーモアセンスを持ち合わせているらしい。独特なため
に周囲には分からないだけ。独特すぎるとやばいんだが。宇宙軍出身。コリア系の二九歳。

バーク
大尉。ファンの作戦ではコムサイを電子的に制圧する『アルファ2』の指揮官を務めた。
作戦の原型を立案した人物でもある。空軍出身の電子戦のエキスパート。ミノフスキー粒
子全盛のこの時代であっても、電子戦がバカにならないということですかね。アフロアメ
リカン(って人種がこの時代にあるのかな?)の三一歳。

アンリ
軍曹。リーヴィスの部隊に参加。トラップに引っかかって爆死した可哀想な人。結局、今
回の作戦で唯一の戦死である。トラップに引っかかったとはいえ、爆発物の取り扱いでは
部隊内でもトップクラスだったらしい。能力が高いとはいっても、だから安全だといえな
いあたりがこの稼業のつらいところだろう。名前からすればフランス系。二六歳。

連邦最高行政会議議長
地球連邦の元首である。名前は未定。アメリカの小説でいうところの『大統領』に相当す
る。配役としての性格も比較的近い。かといってMSに乗ってジオンのMAと戦ったりす
る訳じゃないが。あまり無能なキャラにはしないつもり。作者にとって一番ナイスな元首
というのは自由惑星同盟(フリープラネッツ)の薔薇が似合う御仁だが、あれにすると連
邦が滅びてしまうのでパス。一番格好良いと思ったのが『沈黙の艦隊』の大統領。まあ、
どの程度で釣り合いをとるかは展開次第だろうね。

リュー・ホンユー
連邦議長の第二補佐官。担当は安全保障。つまり戦争全体に対する助言者である。本編で
も触れたが、連邦議長には三人の閣僚級補佐官がついており、首席補佐官が国務全般、第
二補佐官が安全保障担当、第三補佐官が経済を担当する。アメリカの国務長官や補佐官た
ちを考えればいい。実際には他にも補佐官はいるが、特に重要なのはこの三人だけ。あと
は各省庁の閣僚ということになる。三四歳の時に政権樹立と同時に任命され、三年後の現
在三七歳でもこの地位におり続けているというのは、やはり優秀なのだろう。コロニー落
としやら地球降下作戦やらで振り回される連邦議長の目となり耳となり脳味噌となり場合
によっては盾にもなる大変な仕事である。軍部は無能だし情報局の連中はテロまがいの作
戦を行うしアホのオズウェルは鼻高々でわめき散らすし……いや大変な仕事だ。ちなみに
彼女の名前の漢字表記は「劉紅玉」。亭主一名子供三名。あと、科学者の兄一人(名前は
アレだ。おおう、ジョークだって)。

ジョージ・オズウェル
地球連邦政府交渉団団長にして連邦政府自治問題担当議員。南極会議の「花形」である。
ヤツこそバラがふさわしい。政治家としては筋金入りの無能。政治屋としての能力に秀で
ており、このポストもそのおかげである。無能者を政策決定の中枢から遠ざけたい連邦議
長の意向で南極入りしたのだが、見事に会議を成功させ鼻高々で戻ってきたものだから関
係者(特にヤング)の頭痛は悪化する一方である。いいなぁ、こういうキャラ。マイアミ
出身。気鋭の四二歳。

マイケル・ヤング
連邦政府自治省事務次官。コロニー行政を司る自治省の官僚トップ。交渉団のナンバー2
という建前だが、トップがトップなので実質的なナンバーワン。主な仕事はオズウェルの
お守り役。この会議が終わればオズウェルの顔を見ずに済むことだけを心の慰めとしなが
ら公国側交渉団との絶望的な折衝を繰り広げてきたあげくが、まさかの大逆転で会議は連
邦側の大勝利。おかげでオズウェル氏はやる気満々である。哀れなことに彼とオズウェル
氏との関係はこの先も延々と続くことになる。オズウェル氏と同じマイアミ出身。おかげ
で安穏と引退も出来やしない。四五歳。日本の官僚と比べるとちと若めだが、連邦官僚の
人事制度はそこそこ柔軟に出来ている。

ラジャブ
准将。『メイジャイ2』ことスカーヴィズ型空中早期警戒管制機(AWACS)の指揮官。
連邦で最も強力な「目」を司った人物である。だもので「見えないふりをしろ」とかいう
訳の分からない命令も下りてくるわけだ。こういう仕事をしていると政治的にやばいネタ
も見えてきて大変だろう。

イリヤ・キレンコフ
准将。総合防衛戦防空戦闘主任副調整官。長ったらしい職名だが、要するに「地球防衛軍」
の当直司令官である。総責任者は主任調整官のカーン大将だが、三交代制で代理指揮官が
その場その場の指揮を執る。それを副調整官といい、彼女はその主任というわけだ。もち
ろん重要局面ではカーンが指揮を執るのだが、通常は彼女たちが地球の空を護るというわ
けである(いや、空だけというわけじゃないが)。ロシア系。ただし生まれはグラナダ。
四六歳。

カーン
大将。防空戦闘主任調整官。イリアの上司。えらい人たちとの折衝は彼の仕事である。
「は、大統領閣下、デフコン1の発令を提言します。……はい、義務を尽くします。合衆
国、永遠なれ」




・装備編

E−14Fスカーヴィズ
連邦軍空中早期警戒管制機(AWACS)。AWACSとは、大型の航空機に大出力のレ
ーダーと高性能のコンピュータを装備し、可能な限り遠距離から敵情報を掌握して、自軍
の適切な戦力を統制することを任務とした、「空飛ぶ司令部」のことである。自前のレー
ダーだけでなく他のレーダーやソナーなどの情報もリンクによって入手し、敵の脅威を評
価して、適切な戦力の投入を指示するわけで、レーダーによる索敵や無線による通信を主
力とした現代では最強の「戦力」である(このあたりの感覚はわかりにくいかもしれない
が)。ミノフスキー粒子が幅を利かす時代に入り、特に地球降下作戦以降無線が使えなく
なったことから通信が弱体化するようになるとその価値は低下したのだが(通信について
は後述する)、公国軍が地球に降りてきていないこの時点ではその有効性は損なわれてい
ない。A型からF型までの六タイプが存在する。AWACSという単能機の割にタイプ数
が多いのは、ミノフスキー時代に入り索敵や通信の方法が一変したことに対する連邦軍の
苦心の現れである。F型は従来型のセンサーに加え、ニュートリノによる索敵を可能にし
たAPS−411を搭載している。このため、「地球の裏側でも探知可能」な性能を手に
入れた(ただし、状態にもよるが往々にして分解能が30メートルを越えるため、航空機
やMSの探知に使えるかどうかは疑わしいとされる。無論、地表の物体を走査するのはほ
ぼ不可能である)。もっとも、自慢の索敵能力も通信能力の限界のため、地球降下作戦以
降は有効性が低下した。ちなみに、ニュートリノセンサーをはじめとする各種機器のため
に天文学的な生産費が必要な上、特に信頼性の面で問題のあるAPS−411の保守のた
め、その維持費も莫大なものとなり、「三機揃えば空母機動部隊一式が買える」と評され
るほどの「超」兵器となってしまった(ちなみに、一機のスカーヴィズを常時飛ばすため
には、最低でも三機、出来れば六機揃える必要がある)。このため、連邦軍の力をもって
しても、常時三機以上を飛ばし続けることは不可能であった。当然、地球開始作戦開始と
同時に公国軍に真っ先に狙われ、連邦軍はその対応に苦慮することになる。なにせ簡単に
生産できるような代物ではないため、一機落とされると大事になるからだ。開戦時に一二
機のF型が就役しており、終戦までに八機が他の型から換装されたとされているが、開発
部隊で試作されたセンサーやコンピュータを搭載したD型やE型が、F型と同じような任
務を行っていた例も少なからず確認できる。これを破壊しようとした公国軍は、空中から
の攻撃はほぼ不可能なため、破壊チームを送り込んだり、果ては衛星軌道からの制圧攻撃
まで試みるに至った。彼らの努力が実って破壊されたのは一一機(内、空中で撃墜された
のは七機)である。(作者コメント:話を一つ作ってしまった。にしても、機動部隊十一
個が潰されたわけかい)

AC−11Dヴェイグ
連邦軍強襲機。原型はC−11Bホワイトベアー。大気圏離脱・再突入の可能な速度と耐
久性能が売り物だった高速輸送・空挺作戦用の特殊輸送機を改造し、特殊部隊の輸送用と
したもの。C型とD型とがある。C型は一般的な生産型で、特殊部隊だけでなく一般部隊
の強襲任務などにも用いられた。D型は完全に特殊部隊専用機であり、元来は空軍の特殊
救難装備だった。この装備は、軌道上から大気圏に「落ちる」物体を保護するために開発
された。構造は簡単で、本編で述べているとおり、要するに液状の高分子体を落下方向に
吹き出し、その気化熱で温度の上昇を食い止めようとするものである。この程度の原始的
な冷却方法でも、意外と有効であることが判明し、のちにバリュートシステムとして発展
を遂げた。この話で、ヴェイグは二機使用されており、一機は兵員輸送任務、もう一機は
電子工作任務に従事した。このあたりからもこの機体の汎用性が伺える。




公国軍


・人物編

ギレン・ザビ
公国総帥。大将。行政府のトップである最高行政長官と、軍部のトップである統帥総監を
兼任している。一年戦争の主役といってもいい。この小説では「機械のような」論理の化
け物。この人物を書き込めるかどうか、この時点ではあまり自信がない。のちに父親に
「ヒトラーのしっぽ」と評されるが、あんなヒゲと一緒にすんな! ヒゲどころか眉毛も
ないぜ! アニメ史上最高クラスの演説の達人。「立てよ国民!!」

キシリア・ザビ
少将。戦略防衛軍司令官。ザビ家の長女。顔はともかく頭の中は長兄にそっくり。肉親に
対する情愛は彼女の方がやや上か。戦略防衛軍とはいっても月とア・バオア・クーの防衛
を担当するというだけで、それほど権限がある役職とも思えないのだが、長兄・次兄に次
ぐ公国軍におけるナンバー3である。なにやら後ろの方で画策するのが好きなのは長兄似
で、彼女の影響力も多分にそのあたりから出ているのだろう。要するに派閥形成がうまい
ということである。どちらかというと大艦巨砲主義のドズルに対し、MSの重要性を早く
から認め、公国軍の編成をMS主体にした功労者でもある。おそらく、この点が彼女の最
大の実績だろう。花の二四歳。

マ・クベ
中佐。おそらく、アニメ史上最高の芸術愛好家。メックリンガーなんぞ目じゃないっス。
全てはその死に様のため。劇場版で彼がテキサスコロニーに出陣しなかったことは無念中
の無念である。この小説では、地球降下作戦の頃まではキシリアの副官を務めたとしてい
る。地球降下作戦において、大佐に昇進した彼がアジア方面に対する第一次降下作戦司令
官を務めることになる(ちなみに北米方面に対する第二次降下作戦の司令官はガルマであ
る)。陶磁器類、特に北宋の青磁がお気に入り。彼のセンスはのちに専用機となる、あの
ゴージャスなグフからも分かるだろう。

ダルシア
ジオン公国政府内閣総理大臣(首相)。こう書くと彼が行政府のトップみたいだが、実際
には彼の上に最高行政長官という役職があり、これが最高権限を持つ。首相の仕事は内閣
の調整役であり、その権限は日本の総理大臣よりもかなり低い。大統領に強い権限を持た
せた政治システムを持った国における首相みたいなものか。人事権を握られていることか
ら、フランスよりさらに弱く、ロシア並かも(議会も存在するが、もちろんギレンの言い
なりである)。

ケビム
ジオン公国公国政府外務院長官(外相)。外相なんていっても、外交の対象になる相手は
月面都市群・サイド6を除けば連邦政府だけである。外交交渉である南極会議で大恥かい
たので、彼の立場は今まで以上に弱くなっただろう。

ミハイロフ
南極会議で、ケビムについた補佐官の一人。法務を担当した。なんかいいにくいことをず
けずけと言う、端から見ると煙たい謹言居士みたいな人物。言いたい放題を言うワリに、
あまり現状を打破する役には立たないというのが、この手の人物のお約束みたいなものな
んだな。

ガリバルディ
ゲルググの次に制式化が予定されていたMS……ではなく、南極会議でケビムについた補
佐官の一人。非軍事情報を担当し、報道官も兼任していた。えらく忙しいポストを兼任し
ていて大丈夫なのかというところだが、案の定レビル登場という決定的瞬間にケビムに助
言できず、報道のイニシアティブを握ることに失敗した。その理由は人材不足だというこ
とだそうである。……寒い話だとは思わんかね。

サリー
ケビムの秘書。ガリバルディの伝言を頼まれたのだが、別の仕事に走り回っていたので彼
の助言を伝えられなかった。やれやれだぜ。



続く

「一年戦争記」インデックス

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