小咄


其の九 『本当にいいのか?』(Wizardryの看板調)

 ではどうする、と来るわけだが、大したことは必要ない。

1.「ビーム兵器の威力はマシンガン程度のビームガン、バズーカ並のビームライフル、戦艦主砲

クラスのビームスマートガンスマートガンとおおよそ三つの段階があるものとする」

2.「ビームスマートガンを一発喰らうと、MSならまず撃破される」

3.「ビームライフルを二・三発喰らうと、MSなら半死半生となる」

4.「ビームガンを喰らっても、さほど痛くはない」

以上のように設定する。つまり、今まであった「戦艦の主砲並」のビーム兵器はビームスマートガ

ンに分類されるとする。ビームライフルなら運さえよければ(主役なら)一撃でMSを倒せる道理だ

(この論理ではガンダムのビームライフルの威力についてすり替えを行っていることになる。しかし

ビームライフルでも直撃、クリティカルということになれば一番可能性の高いダメージ倍加の判定で

敵を撃破できる。ビームガンではそうはいかないということだ)。


其の十 『盾防御戦用MS……零號機?』

 ここまでの設定の変更で、なんとかシールドの有効性が見えてきたようだ。

 とりあえずBR相手なら一発二発ならなんとか耐えそうである。ビームガン相手ならどうというこ

とはない。MGのように数を打ち込む武器ならともかく、発射数の少ないBGでは有効打は無理であ

ろう。そして、今まで通りにBSGを喰らったりすると、一撃でやられるか、あるいは大破するのは

免れないだろう。


其の十一 『格闘武器一覧 NO.1644「手拭い」,民明書房編「MSの武器」』

 武器の口径など各種のデータについて述べると、基本資料はやはりTV版一年戦争のデータである。

ただし、これにはかなり適当に述べている箇所がある。

 ついでOVA版だが、例えば「0080」の場合、スラスターの出力が異様に大きい。後に「00

83」で直されているが、大体二倍になっている。

 比較的最近に設定された(実はこの文章の執筆時点で「第08MS小隊」の設定資料を手に入れて

いなかったりする)「0083」ではかなり詳細なデータを得ることが出来るが、完全に信用することは

出来ない。

 例えばジャイアントバズーカである。この武器の口径は880mmだということである。公国軍の

もう一つのザクバズーカは240mmであり、連邦軍のハイパーバズーカは360mmである。ジャ

イアントバズーカだけ880mm?また、ガンタンクの大砲の口径は120mmである。ガンキャノ

ンは240mm。しかるにザメルの大砲は680mm。簡単に880mmとか680mmとかいうが、

『大和』の主砲は460mmなのである。あれが三門揃うと千トンの駆逐艦に匹敵する重量になるの

だ。たかだか数十トンのMSが680mmを据え付けたり出来るのか?


其の十二 『これまで採集したデータによりますと……』(声:岩永哲哉)

 基本的にMSの図体は人間の十倍を想定している。当然、武器の口径も人間版の十倍である。バズ

ーカの定番であるカールグスタフ対戦車砲の口径は84mm。RPG7Vは40mm(ただし、弾丸

径は85mm)。LAW−80で94mm。では、ハイパーバズーカの360mmがおかしいのか?

しかし、M−203グレネードランチャー(M−16のバレル下部によくへばりついている)の口

径は40mm。こうなるとどちらも一概に否定もできない。結局、どちらもOKということだろう。

ただし、自動装弾装置もショックアブソーバーも不要なバズーカならともかく、普通の「大砲」を装

備するMS(ザメルやガンタンク)が大口径砲を装備するのはやはり無理と考えるべきだろう。

 こうした問題点を解決するためにデータの修正は必要になるだろう。あえて設定資料を無視する必

要もでてくるわけである。なるべく設定資料に添ったデータを揃えてはいるが、設定資料が不統一な

のではやむを得ない話だ。

 現実世界をベースにしたフィクションの場合、データは全て「実際に存在するもの」である。これ

はその分野における専門家が製作し、そのほとんどは実際に用いられて問題をチェックしたものであ

る。しかし、SFの場合はそうはいかない。データは架空のもので「おそらくそうであろう」もので

しかない。専門家が検討したわけでもなく(十中八九はそうだろう)、「現実」の中でテストされる

こともない。

 最初に述べたとおり、アニメーションのデザイナーとゲームのデザイナーとでは、その辺りに存在

する問題に対する受けとめ方が異なってしまう。重要度が異なっているのである。アニメーションの

世界で物語を作る上で、MS一機の身長や重量、あるいは武器の口径などに最高の重要性を感じるこ

とはない。「リアリティ」はそのような点で出すわけではない。あくまでも話の中が問題だ。

 ゲームの場合はそうではない。少なくともこのシステムにおいては武器の口径やMSが何月何日に

登場したかといった些細なことに注意を払っている。出来る限りの資料を揃えたはずである。

 もちろん、このデータが有効なものかどうかは実際にゲームをするプレイヤー達が判断する問題な

のだが。さて、どんなものだろうか?


もどる

つづき

G−インデックス