学校改革メモ
2002年に向けて,各学校で学校改革が始まっていることと思う。しかし「開かれた学校」などというスローガンが一人歩きをし,具体的にどこをどう変えたのかがよく見えない感じも否めない。
本校でも,ささやかに取り組んでいる。その一端を紹介したい。
1.固定時間割の廃止
新しい学習指導要領に対応するためには,固定時間割では対応できない。そこで,本校では「15分モジュール」で日課表を組み,授業時数のカウントや週案等をすべて15分を単位として運用することとした。
それに伴い,固定時間割は作らない。もちろん,配布,掲示もしない。2週ごとに印刷して配布するのである。以前からあった教室のマグネット式時間割は撤去した。
また,火,木曜日の職員朝会を止め,その時間帯に「習熟タイム」と呼ばれる基礎・基本の定着のための時間をとった。さらに,月1回,「チャレンジタイム」という苦手な学習を克服するための特別講座(跳び箱,習字,リコーダー等技能的な内容のもの)を開設もしている。
(これらは,教科の時数で実施し,その内容についてはプリントによる各学年の報告で2週間ごとに交流しあい,見直すシステムを作っている。)
2.校務運営組織の改編
これまでの「行事・児童活動・学級活動」という特別活動準拠の校務運営組織では,新しい枠組みの教育を創っていけないと考え,改編した。
まず,「学校創造プロジェクト」という,学校運営の中枢を担う機関を設けた。ここでは,日々の子供の動きに対応して「今,子供がこれこれだから,授業はこれが重点になる」というように,日々の実践への指針を打ち出すのである。また,各部のチーフからの報告や要望を交流し,無理なく無駄なく業務が運営できるようにするのである。
また,各学年2学級,全校で12学級という規模から,学年の担任を「ネットプロジェクト」「アクトプロジェクト」のどちらかに1名ずつ配置し,全職員による経営参加を目指している。
「ネット」は,教師と子供・子供と地域や保護者・教師と家庭や地域のネットワークづくりを目指す。具体的には,研究推進,参観懇談の企画,各種研修,地域での生活の指導,校内生活の指導,総合的な学習の推進等が挙げられる。
「アクト」は,子供主体の活動を推進する。全校縦割りの活動,学校行事,周年行事,委員会,クラブ等の推進である。
3.総合的な学習の時間
学校改革を具体的に進める上で,大変有効なのが総合的な学習の時間(以下,総合と略す)に全校体制で取り組むことである。(本校の基本的な考えは,こちら)
平成13年度は,時数も増やし,また「おもしろ発見タイム」も1学期から実施することとした。
しかし,一番大事なのは「総合」とは何か,ということの共通理解を図ることである。
「クラブ」と「おもしろ発見タイム」は,どう違うのか。
「総合」と「合科」は,どう違うのか。
このようなことを話し合う中で,問題解決的な学習が成立していなければ,形が総合っぽくてもダメなのだという共通認識が育ちつつある。
また,地域や保護者との連携も具体的にどのように進めるべきなのかが見えてきている。
4.保護者や地域との連携
保護者や地域との連携も積極的に推進する。
(1)年間教育計画の作成と配布
各学年で,「目指す子供像」「行事」「教科学習」「総合」「コンピュータ」「懇談」等の推進を盛り込んだ年間の予定表を作成し,4月の参観懇談で配布した。5月には,これを元に年間の教育計画について担任が熱く語るのである。
(2)家庭訪問の廃止,個人懇談の増設,地域訪問週間
家庭や地域での子供たちの様子を知り,真に連携を求めたいと考える。そこで,家庭訪問を廃止し,その期間は「地域訪問」とした。これは,方面別に子供の下校と一緒に地域を回り,子供の家の所在を確認し,近隣の公園や子供が出入りする店を巡視,ご挨拶するという趣旨である。その代わり,個人懇談を年間2回に増やし,密接な情報交換ができるようにした。
(3)テーマを持った懇談
懇談時には,担任からの話だけでなく,ビデオや教室巡回により学校長,教頭,教務主任,養護教諭等も参加するようにした。そのため,各回の懇談には「本校の総合の取り組みについて」等のテーマを設け,あらかじめ年間教育計画表にて周知するようにした。
(4)学校公開
参観日とは別に,朝の会から休み時間や給食も含めてすべてを公開する日を年間2回設けた。この案内は,保護者だけでなく地域や近隣の学校にも呼びかける。
(5)教育活動に関するアンケート・教育方針説明会
年間2回,本校の教育活動への評価アンケートを保護者に問う。子供の育ちとして,現れなければ,改革も研究も意味がないからである。そして,それをもっとも正しく評価するのは保護者であると考えている。
また,本校の教育方針について保護者に構想や進捗状況を説明する会も設けた。これも年に2回実施し,忌憚のない意見をいただくこととした。
(6)校内授業研究,各種発表会への招待
授業研究や,総合等の発表会などには,保護者や地域の方,近隣の学校の方が自由に参加できるようにした。
以上,大変ざっぱくだが今のところの報告である。いくらかは学校を変えようとしている,学校を開こうとしていることが伝われば幸いである。
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