6年生通信ー7月



1.修学旅行無事終了
2.全校朝会にて〜話の聴き方,聴き取り方
3.プール学習にて
4.国語「ディベート」第2回〜学校給食をやめて弁当にすべし
5.学級ホームページづくり進行中
6.国語「ディベート」・その後〜大人と子供はどちらが得か
7.すばらしい親30項目
8.連絡
9.国語「川とノリオ」にて
10.終業式になりました

7月3日(月) 第36号  修学旅行・無事終了

■修学旅行も無事に終わりました。保護者のみなさんのご理解とご協力に感謝いたします。本当にありがとうございました。
 旅行の様子や子供たちの印象は,「花さき山」(学年通信)にてお届けする予定です。どうぞお楽しみに。
 さて,今日は修学旅行でお世話になった方々へのお礼状書きをしました。その中から,いくつかご紹介します。

○あきさん,松井ドライバーさんへ。(「あきさん」は,1号車のガイドさんの名前です。)
 こんにちは。修学旅行の日は,たいへんお世話になりました。すごくバスの中が楽しかったです。あきさんの演歌です。あと,バスの運転をしてくれた松井さん,ありがとうございました。運転は,すっごくうまくて安心して乗ってられました。ありがとうございました。(K)

○あさだ園の人たちへ
 6月29日は,たいへんお世話になりました。いちごをたくさんつんでくれてありがとうございました。あまくておいしいいちごでした。お母さんとお父さんとなおで食べました。これからもおいしくてあまいいちご作りをがんばってください。(S)

○宇宙記念館のみなさん,最初にクイズの問題はちょっと難しかったけれど,楽しかったです。オペレーションショーは,宇宙の問題はちょっとくらいしか分からなかったけど,5問も正解したからとてもうれしかったです。2度とないことだったので,うれしかったし,ありがとうございました。(K)

○ログヴィレッジの方々へ。
 この度はたいへんお世話になりました。ログヴィレッジの部屋のふとんが,ふかふかしていて気持ちが良かったです。また部屋のベッドのふとんで寝たいと思っているぐらい気持ちが良かったです。お世話になりました。(O)

■この子たちは,本当に心根が優しく,素直です。こういうお礼のお手紙を書くときにも,素直に感謝の気持ちを表現してくれ,読んでいると心が和みます。きっと,この手紙を受け取る方も,笑顔で読んでくれることと思います。

■今日は,さらに修学旅行のまとめをしようと投げかけ,話し合い活動から見学グループによるまとめの学習に入りました。紙芝居や,ポスター形式で,自分たちの見学や体験をまとめる活動に,どの子も生き生きと取り組んでいました。
 修学旅行で,計画を立てること・調べることの意味や方法を学び,当日は楽しく活動し,さらに,きちんとそれをまとめるという一連の学習の中で,子供たちの生きる力,学ぶ力をいっそう伸ばしてやりたいと思います。

全校朝会にて〜話の聴き方,聴き取り方

■今朝,全校朝会がありました。司会の宮崎先生が「6年生の話への集中が良いですね。」とほめてくださいました。
 確かに,5年生の初めの頃に比べると,おしゃべりをする子,ふらふらと動く子はぐっと少なくなってきています。(まだ,今日私に注意された子もいましたけどね。)

■しかし,態度は確かによくなったけれど「聞き取り方」は,どうか。実は,5年生の時から,何度も全校朝会の後に教室で思い出しをしていますが,どうも教室に帰ってくるまでに話の内容をほとんど忘れてしまう,というかきちんと聞き取っていないようなのです。前回の全校朝会の時にも,学校長の話などを教室で復唱させたところ,それは無惨な結果だったのでした。そこで,「7月の全校朝会の時に,また思い出しをするからね。」と予告しておいたのです。
 さて,今日も教室に帰るとすぐに小さなカードを配り,そこに「校長先生は,今日3つの話をなさいました。3つ目の話は,さらに6つに分かれます。箇条書きで書きましょう。
ついでに,M先生の話も箇条書きで書きましょう。」と指示しました。

  校長先生の話  
1.
2.
3.@
  A
  B
  C
  D
  E
  M先生の話

(右のような図を板書しました。)
子供たちの目が点になりました。動きがぴったり止まりました。「あれ? 言ってあったよね?」と聞きますと,何人かは「うん,言った。」後は,「そうだっけえ?」
 約5分かけて,カードにどれぐらい書けたと思います?
 全部,きちんと書けたら「5」。
 1〜2項目書けなかったら「4」。
 5項目くらいしか書けなかったら「3」。
 1〜2項目しか書けなかったら「2」。
 1つも書けなかったら「1」,と自己評価させてみました。
 結果は,「5」が0人。「4」が2人。「3」が4人。
「2」が12人。そして,「1」が12人という結果でした。

■答え合わせをしていますと,学校長の話の1番目「夏休みまでもうすぐですね」とM先生の「あいさつをしましょう」が入っていたり,学校長の話の2番目「自分の成長への自覚をもちましょう」に,3番目の各学年へのメッセージである「リコーダーがんばっていますね」が入っていたりと,混同が目立ちました。いくつかの話を混同しているということは,問題が大きいです。とっても大きいです。
 3番目のEでの6年生への話は,「修学旅行では自主研修をがんばりましたね」という内容のものでしたが,これを書けた子は17名でした。さすがに自分事の話題は,耳に入ったようですが,ここしか書けていない子も多かったです。

■話を聞き取る能力は,すべての学習の基礎です。社会に出たときにももっとも大切な力の一つです。学校長は,話すときに「1つ目は〜」と,整理して話しております。こういう話を聞くときは,指を折りながら聞くようにと,5年生の時から指導を続け,また何度か教室で練習もしているのですが,なかなか効果が上がりません。ま,5年生の時には,「1」がほとんどで,残りは「2」「3」しかいなかったことを思えば,進歩はしているのですが。今後の課題と改めて強く思わされました。
 お子さんのカードを添えますので,どうぞおうちでも「話の聞き取り方」について,話し合ってみてください。


7月4日(火) 第37号  プール学習にて

■水温,室温,気温の3拍子が揃って,6年生はじめてのプール学習を行いました。今日,1組は8名もの不参加者がいましたが,教室で絵画展の絵の仕上げなどをしていてもらうこととし,24名での実施となりました。準備運動を終えて,まずプールに入って水遊び。次のようなメニューです。

1.壁際に沿って走って移動して,「流れるプール」づくり。 水流ができたところで,体を浮かせると黙っていても前へ進みます。
2.クラス対抗で,「テレポート競争」。これは,壁にせなかをつけた状態で,各クラス向かい合って並んだ状態から,合図で相手の壁にできるだけ早く移動するもの。
3.水を掛け合い,横を向いたりしてしまったら負けよの「我慢ゲーム」。
4.「もぐりっこ競争。」15秒間,もぐっていられる人が何人いるか。
5.「波づくり」。これは,プールの中に2列に並んで手をつなぎ,指導者の声に合わせてリズミカルに前後に動くことで,プールに波を起こすもの。 

 以上を,大体15分間で実施しました。

■ここまでの遊びは,久しぶりのプール学習ですので,水そのものへの慣れを取り戻すことにねらいがあります。子供たちは,キャーキャー言って,楽しみながら遊んでいました。
 それはよいのですが,次のような行動をとる子もほんの数名ですが目に付きました。

@「流れるプール」で,ちょっと流れができると,すぐに浮きたがる。
A「テレポート競争」で,早々と壁から離れてズルをする。
B同じく「テレポート競争」で,わざとゆっくりやって,負けの判定を喜ぶ。
C「波づくり」でも,ちょっと波ができると,すぐにつないでいる手を離して浮きたがる。

 そこで,休憩時間に子供たちを集合させたとき,@とCについて,イソップ童話の「アリとキリギリス」の喩えを引いて,指導しました。
「冬になって,困ってしまったキリギリスのように,目先の楽しさに惹かれてしまった人がいますね。」
「波を大きくしようと取り組んでいる人のそばで,自分だけ遊びだして平気なのでしょうか。」
 さて,どの程度子供たちは受け止めてくれることでしょうか。
 なお,AとBについては,また機会を改めて指導しなくては,と考えています。 

■休憩時間の後は,自由に練習。ばた足のうまくなった子〜M君,Kさん,他。
 
国語「ディベート」第2回目

■ディベートの第2回目を実施しました。
 今回の論題は「学校給食をやめて,弁当にすべし」。賛成派,反対派,判定係に分かれて実施しました。なかなか面白い意見が飛び出しました。

賛成派
・持ち歩きができる  
・お弁当のおかずについて話が弾む 
・好みのものが食べられる 
・給食のおばさんが苦労しない  
・給食は水をたくさん使うけれど,弁当なら地球にやさしい  
・うさぎのリンゴのように手の込んだものが楽しい
反対派
・お代わりが楽しい  
・朝お母さんが早起きしないとだめで,体をこわす
・弁当は時間がたつと冷める,くさる 
・栄養が考えられている
・めん類は弁当では無理 
・持ち歩くとグシャッとなる


■これらの意見が出たところで,相手への質問となりましたが,ここが我がクラスはまだまだ弱いところです。
 例えば,「K君は,弁当なら好きなものばかり食べられると言いましたが,好きなものばかり食べていると,栄養が偏るんじゃないですか。」という質問に,「全部とは言っていません。」「いや,言いました。」「言ってないって!」というようなやりとりに時間を使ってしまうのです。(@)
 また,「給食は,栄養士さんが考えてくれて栄養があると言いましたが,弁当だって栄養が少しはあるんじゃないですか。」とかもありました。(A)

■ディベートの本場,欧米に行きますと上のようなやりとりは,低学年段階であっという間につぶされるでしょう。おうちの方は,どこが弱いかお分かりになりますか?

■私は,ここを取り上げて,次のように指導しました。
@〜ここは,「K君は,弁当なら好きなものばかり食べられると言いましたよね?」とまず確認しなさい。相手が「はい。」と言ったのを確認してから「それなら,…」と批判すれば相手は,困るのです。
A〜これでは,「栄養士さんvsお母さん」の問題になってしまいます。勝敗は,明らかに栄養士さんです。ここは「確かに給食は栄養があると思います。しかし,嫌いなものが出て,残したとすれば,結局栄養はとれないんじゃないでしょうか?」のように,論点をずらしてやりましょう。

■日本人は,議論が苦手だと言われます。この子たちが将来社会で活躍するときには,小さいことから議論に長けた欧米の人たちと一緒に,という時代になるでしょう。(今も,もうそうなりつつありますが。)ディベートを通じて,論理的な思考を鍛えていくことが大切だと考えています。


7月6日(木) 第38号  学級ホームページづくり進行中!

■教室においてあるパソコン。朝や休み時間,そして総合の調べ学習などに,たくさん活用しています。子供たち全員がマウスの使い方にも慣れましたので,いよいよ学級のホームページづくりに取り組み始めました。
ホームページ係さんがまずタイトルを決めました。タイトルは「Friend」です。 学年目標である「みんなの気持ちを一つに」からも考えたということで,なかなかよい題名ですね。さらに,みんなのプロフィールを入れるページを作ることとし,私が作った表に,みんなの名前をローマ字で入力しました。(ローマ字が苦手な子も多かったので,その分は係の畑中さんが入力してくれました。ありがとう!)
 次に,全員の顔写真をデジカメで撮り,それを貼った一人一人のページを私の方で作りました。今,そのページに,それぞれの子が自分のプロフィールを入力しているところです。懇談会の日は,全員のプロフィールが記入済みの予定ですので,どうぞパソコンをクリックしてみてくださいね。お楽しみに!

■なお,このホームページは,いわゆるインターネットのホームページとは違い,ご家庭ではご覧になれません。(プロバイダと呼ばれる業者と契約して,回線使用料を払わないと,インターネットには乗らないのです。)でも,お宅で見てみたいという方は,申し出ていただければ,フロッピーに入れて差し上げますので,懇談の折りにでも遠慮なくおっしゃってください。
 
■インターネットといえば,私は自分のホームページに,この学級通信の「共に育つ」を,子供たちの名前はすべてイニシャルにして公開しています。以前,「かつての教え子から」というタイトルで,車椅子でがんばっている子のことを書いたことをご記憶でしょうか? ホームページに公開するに当たって,その子に確認のメールを入れましたところ,次のような返信が来ました。

先日はお忙しいところありがとうございました。
HPの方は拝見させて頂きました。
私の方は全く問題ないので実名でもかまわないくらいです。
どんな形であれ今の世界に入ったのも何かのお導きがあったのでしょう。
これから私が色々と情報を発信できればいいと思っています。
(疲れない程度にですけど)
またメールします。

   本間篤史(ATSUSHI HONMA) ahonma@nifty.com

 「実名でもかまわない」ということなので,名前までご紹介しました。

■ついでにもう一つ。地震で揺れる神津島の神津小学校の先生との昨日のやりとりも紹介しましょう。

横藤様
 こんにちは。お氣づかい、ありがとうございました。
 地震は続いています。
 昨晩は、豪雨。地盤がゆるんだところへダブルパンチです。
 今日も、休校です。

一刻も早い終息を祈っております。

国語「ディベート」・その後

■今日,3度目のディベートを行いました。論題は「大人と子供はどちらが得か」。これは,明日予定されている2組との対戦,「ディベート集会」の予行練習です。
 1組は,「大人が得」という立場で論を展開します。子供たちに,大人が得な例をよく調べておく(これをリサーチといいます)ようにと言っておきました。しかし,やっぱりだ〜れも調べてきてはいません。そこで,きちんと調べてデータをとっておくと,どんなにディベートを有利に展開できるかを,シュミレーションしてみました。
 つまり,私が一人で「子供が得」を主張し,子どもたちと意見を戦わせるのです。
 詳しくは,ナイショです(明日のことがありますからね)が,まず1回目は,少しリサーチした結果を披露しながら,じわじわと子供たちを論破していきました。子どもたちは,「次から次へと先生が言ってくるから,押された。」などと言いました。そこで,「リサーチして,自分に有利な情報を持っているから論破できるんですよ。これでも,まだ押さえてやさしくしているんです。」と言いますと,「じゃあ,今度は本気でやってみて。」とのリクエスト。そこで,2回目をすることになりました。
 2回目は,私の方から主張を3分間。ところが,その先はなしになってしまいました。判定役の学級委員さんが「では,子供が得の方の主張をどうぞ。」と言って,ストップウォッチを押しても,子どもたち大人派は,ついに一言も主張すらできない状態になってしまったのです。私の主張が,あまりにも破壊力が強すぎたため,誰もそれに立ち向かえなくなってしまったのです。
 「どう? リサーチによってデータを持っているということはすごいことでしょ?」と言うと,子供たち,「う〜ん。」とうなっていました。「先生,先生は今の主張に言い返すことができるの?」と聞かれましたので「もちろんです。今の主張は,まだ甘いんですよ。」と言いますと,「ディベートって奥が深いんだ!」とびっくりしていました。
 さてさて,明日の大会はどうなりますことか。


7月7日(金) 第39号  すばらしい親30項目

■家人が,子供相談のプロである,精神科医の方の講演会に行って,資料をもらってきました。その中に,「すばらしい親30項目」というのがありました。ご紹介しますね。

1.言うべきときに,びしっと子供に言えるお父さん
2.ここぞというときに,愛の鞭をふるえるお父さん
3.「しつけは女のしごと」と,奥さんに責任を負わせないお父さん
4.子供の前で,お父さんをほめるお母さん
5.子供の悪いことを,かくさずにお父さんに相談するお母さん
6.おばあちゃんやおじいちゃんに,子供の養育をまかせないお母さん
7.ほかの兄弟(姉妹)と比較して,「あんたはだめね」と言わないお母さん
8.なんでも子供をかばおうとしない親
9.子供に仕事(家庭内での役割)を与えて,きちんとやらせている親
10.なにごとも学校まかせにしない親
11.金や物で,子供に言うことをきかせようとしないしない親
12.子供の前で学校や先生の悪口を言わない親
13.休日でも朝遅くまで寝ていることを許さない親
14.子供の小遣いの使い方を,きちんと指導できる親
15.給食がない日(遠足や土曜)に,心のこもった弁当を作ってやる親
16.子供に,毎日きちんと朝食をとらせる親
17.子供のテレビ視聴をコントロール(制御)できる親
18.子供がパーマやマユ毛のそり落としなどをしたとき,強い指導ができる親
19.子供がタバコやシンナーを吸っているのを知ったとき,断固としてやめさせることができる親
20.子供が自分の部屋に居さえすれば勉強していると思いこまない親
21.子供の親しい友達の名前を知っている親
22.子供が「勉強する」と言って外泊しようとしたり,友達を家に泊めようとするのを許さない親
23.良くないことを「みんなもやっている」と逃げようとしても叱れる親
24.外から出入りが自由にできる部屋をつくらない親
25.子供部屋に,いつでも自由に入れる親
26.鍵のかかる子供部屋をつくらない親
27.電話を頻繁にかけたり,かかってきたりするようになったらおかしいと思う親
29.夫婦共稼ぎでも,子供のことにより一層気をつけている親
30.子供が今何をしているか,どういう心情かを知っている親

■バスジャック事件の17才の親が「説得する自信がない」と語ったのは,衝撃的でした。 子供の成長に,一番影響しているのはやはり親です。学校も,役割と責任は大きいと思いますが,親はそれの何倍も大きな役割を担い,責任を持っているのです。
 明日,あさってはお休み。夏休みも近いことですので,ご参考になればと紹介させていただきました。


7月17日(月) 第40号  いくつか連絡です

■本日予定されていたプール学習は,室温が低いため中止となりました。今学期は,もう予定されておりません。2学期,またがんばりましょう。

■明日,調理実習があります。「ご飯とみそ汁」です。3,4校時に作って,給食と一緒に食べます。ですから,量は少な目でよろしいです。今日,5校時にグループで内容や持ち物等について話し合いました。
 ご家庭にあるもので,貸していただくもの等もあろうかと思います。また,買う物については,後日人数で割って精算するように指導いたします。ご協力をよろしくお願いいたします。下に,持ち物や買い物の計画をメモさせます。

■私事ですが,お休みをいただいて,参加してきました太極拳の全国大会の報告です。結果は,「24式太極拳」の部で6位でした。6位までが入賞で,ぎりぎりのところで賞状とメダルをいただいてきましたので,子供たちに見せることができました。今日,1,2組の子どもたちに,おみやげのお菓子を食べてもらいながら,ちょっと大会の様子を話して聞かせました。子どもたちは,拍手をしてくれました。うれしかったです。


7月18日(火) 第41号  国語「川とノリオ」にて

■新出漢字の学習を終えて,今日やっと文章の中身に入りました。1学期は,3分の1程度しか進めないと思います。
さて,この題材は戦争を背景としつつ,悲しい中にも詩情豊かな描写の美しい文章で綴られています。ここは,これまでのように通読をせず,文章の叙述に沿って読み進めていく方式を採用しました。
今日は,冒頭の部分(以下)から,「早春」とタイトルの付いた部分を読みました。
 
■冒頭の部分には,レトリック(文章の飾り)が多用されています。まず言葉の意味を押さえた後,「ふつうの言い方と違う場所をさがしてみましょう。」という発問で,そのレトリックを見付ける学習に入りました。 さて,おうちの方はいくつ見付けられますか?

 町外れを行く,いなかびたひと筋の流れだけれど,その川はすずしい音をたてて,さらさらと休まず流れている。日の光のチロチロゆれる川底に,茶わんのかけらなどしずめたまま。
 春にも夏にも,冬の日にも,ノリオはこの川の声を聞いた。
 母ちゃんの生まれるもっと前,いや,じいちゃんの生まれるもっと前から,川はいっときの絶え間もなく,この音をひびかせてきたのだろう。山の中で聞くせせらぎのような,なつかしい,昔ながらの川の声を――。

■子供たちは,まずすぐに「川が人のように描かれている」ことを見付けました。「川なのに行く,声,休まずなどと書かれている」というのです。そこで,「人にたとえて描いているんだね。これを擬人法といいます。」とまとめました。
 ところが,ここで子供たちの追求はストップです。「ふつうの言い方と違う」という発問が悪かったのかもしれません。そこで,次のように学習の流れを変更しました。
・「しずめたまま。」は,途中で切れています。本当なら,どのように続くのですか?
〜これにより,「流れている」が省略されていること。そして,それは前の文の繰り返しになるから,省略してスッキリとさせたことを押さえました。
・では,「川の声を――。」の後は?
 〜ここで,同じく「ひびかせてきたのだろう」が省略されていることを押さえました。そして,「省略法」と名付けました。

■さらに,第1文を「その川は,で始まる文にしてご覧なさい。」と指示して,この文が「倒置法」を使って書かれていることを押さえようと思ったのですが,ちょっとこれはハードルが高かったようで,ほとんどの子が直せませんでしたので,私の方で板書して説明するに留めました。

■このように,進めていって,次の箇所に来ました。

 すすきの銀色の旗の波と,真っ白いのぼりに送られて,ノリオの父ちゃんは,行ってしまった。
 暗い停車場の待合室で――父ちゃんのかたいてのひらが,いっときもおしいというように,ノリオの小さい足をさすっていたっけ。

 子供たちの中から,「戦争に行ったんだ。」というつぶやきが出ました。根拠を聞くと,「のぼり」「いっときもおしい」が出され,なかなか鋭い目の付け所です。
 と,そのとき一人の子がふざけ始めました。テレビのキャラクター(?)の名前を出して,戦いをパロディーにする内容でした。周りの子を引き込んで,笑わせようとするものでした。
 私は,静かに言いました。「あのなあ,○○君,この話は昔本当にあった戦争を題材にしているのさ。本当にたくさんの人が死んだ戦争だったのさ。それを,そうやって面白がるのは,やめてほしい。他の人は,どうですか? 平気ですか?」
 他の子は,はっとして静まりました。○○君も,神妙にしています。
 そこで,さらに言いました。「面白く,楽しく学習することはとても大切です。でも,面白がっていいことと悪いことがあるんじゃないだろうか。人の悲しみを笑うのは,やめましょう。」

■小さな出来事ですが,こうした小さなことを,小さなうちにきちんとしておかなくては,大きな成果は得られないものだと思っています。
────────────────────────────────────────
エトセトラ
・今日の調理実習,なかなか良かった!何より,素早く仲良くできました。下調べもよくやっていました。(5人分のおみそ汁を25cmの大鍋に満杯作ったり,何度もお米を炊いている途中でふたを開けて見たりもあったけれど。)修学旅行の取り組みで鍛えた力がかいま見えました。出来上がると「おいし〜い!」。大成功です。



7月21日(金) 第42号  終業式になりました

■1学期の終業式になりました。第1号に書きましたが,教育は別れの日に照準を合わせた営みです。卒業の日までの時間が,少しずつ少なくなっていきます。今日は,ミニ別れの日です。やり残したことも多く,及ばなかったことが山積みです。
 いつも,休みの前には思うのですが,「やった〜,明日から休みだ!」とは,思えません。「ああ,もっと時間があれば。」「あの子に,こうしてやりたかった。この子には,こんなことを言ってやりたかった。」という思いの方が,大きく心を占めてしまいます。子供たちと過ごした時間が長くなるにつれて,どんどん子どもたちを好きになってきました。ミニ別れなのに,なぜか切なくなってしまいます。
 でも,救いなのは,子供たちが本当に楽しそうに「休みだ,うれしいな!」と喜んでいる顔を見ることです。

■今日,通知表を渡します。不完全な人間が,子供たちの豊かな世界のほんの断片を見て,「よい,もう少し」とつけたものです。くれぐれも,通知表を前に子どもを責めることのないようにお願いします。
 しかし,決していい加減につけている訳ではありません。私なりの根拠があって,判断したものですので,もし内容等で疑問がありましたら,いつでもご相談ください。
 今回,通知表をつけてみて思ったことは,「聴き方」がよくなって来ている子は,学習内容もよく理解し,また自信がついてきているなあ,ということです。学習は,まず聴くことから,と改めて思いました。
 聴くことという能力は,次のような日常生活の習慣に支えられています。
 ・朝,はっきりと「おはよう」のあいさつができる。
 ・名前を呼ばれたり,話しかけられたりしたとき,まず「はい。」と言える。
 ・複雑なことを頼んだとき,メモを取ろうとする。
 およそ,このようなことの積み重ねから,考える力,受け止める力,応用する力が付いていくのだと思っています。

■ある雑誌に,次のような話が載っていました。
 働き盛りの人を100人集めて,2つのグループに分けて実験しました。
 Aグループ50人には,「今から1か月,好きなことを何でもしてよい。したいこと,食べたいもの,何でも要求に応じる。」といいました。
 Bグループ50人には,「今までどおり,ふだんと変わらない行動をするように。」といいました。
 Bグループになった人たちはさかんにAグループの人たちをうらやましがりました。それから1か月たちました。
 Bグループ50人は,意識は実験前とまったく同じでした。ときどき文句をいいながらも,そこそこはたらきました。仕事のあい間をぬってレジャーを楽しむという,今まで通りの生活でした。
 しかし,Aグループ50人は,あれもしたい,これもしたい,こんなものが食べたい,あんなものが見たいと,したいことすべて満たし,遊びまくり,食べまくりました。
 しばらくすると,ほとんど全員が「したいこと」がなくなりました。それで,一日中寝てばかりになったというのです。
    (明治図書「授業のネタ・教材開発」8月号,有田和正氏の論文より)

■これを読んで,私は「感覚遮断実験」を思い出しました。これは,学生達を集めて,目にはアイマスク,耳には耳栓,手や足には厚い手袋,ソックスで,感覚を遮断してしまい,どれくらい耐えられるかを実験したものです。
 何もしないで,寝ているだけで,当時の平均的なアルバイト料の数倍の報酬が与えられるということで,多くの学生が集まりましたが,全員2日目には,「やめたい」と申し出たということです。「退屈」に耐えられなかったのです。
子供たちも,夏休みにこうした状態に陥りがちなのではないでしょうか。そこで,子どもたちのだらだらした態度,欲求不満を解消しようと,おうちの方が叱咤激励したり,サービスにレジャーに連れ出したり,…という図式がおおくなりがちだと思うのですが,そうではなく,子どもが自分で自分の時間をデザインできるようにしてやることこそが,夏休みを快適なものにするためのポイントだと思うのです。

■今日,休み前最後のメッセージとして,子供たちに「具体的な計画を描くこと」を言いたいと思っています。下のメモは,その一つの例です。ぜひ,おうちの方と話し合って,具体的なものにしていってください。

■では,始業式の日まで,お元気で! 昨年と同じように,ラジオ体操や盆踊りなど,子供たちの様子を見に行ってみたいと思います。
また,何かありましたら葉書やお電話を気軽にくださいね!

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