学年の総合は3段ロケットで

1.本校の3つの総合
本校の総合には,以下の3つのカテゴリーがある。

(1) ふれあい学習      ・自然とのふれあい&文化とのふれあい
(2) おもしろ発見タイム  ・12のメニューでこの指とまれ (概要は,こちらを参照。)
(3) パソコンベーシック   ・教科や総合の調査・表現活動の基礎として

それぞれ,以下に示すように学習集団や時数等は違うが,どの取り組みにおいても,「6つの原則」を貫くことが大切であり,この原則に合致しないものは「総合」としては扱わない(こちらを参照)。

ふれあい学習 おもしろ発見タイム パソコンベーシック
基本的なおさえ
(北野平6つの原則)
1.子供発信の問題解決であること
2.一人一人の問題解決を保証すること
3.内容知(これを知りたい)は,活動を推進するバネであること
4.ねらいは,指導要領のねらいを受けた,能力や態度であること
5.教師の役割は,子供が達成感や成就感を持てるための支援者であること
6.活動のきっかけづくりは,教師であること  (教師の,子供の実態を熟知した上でのロマンをぶつけること)
学習集団 3〜6学年 3〜6年特別編成 1〜6学年
時数
※Mは,「モジュール」。15分を1モジュール(単位)として,時数をカウントしている。
210M
(文化…60〜120M)
(自然…60〜120M)
96M (60分×24回) 30M
特徴 学校としての一貫性・発展性があり,しかも子供参画での計画・修正 教師の大胆な提案に応えて展開される楽しい活動 自由な調査・表現活動に結ぶ基本的な技能の修得
3段ロケット型推進
(1)全校的な視野から提示された一貫性と発展性のあるゆるやかな基底フレームに沿って
(2)各学年で年度当初に「仮りキュラム」を立てて
(3)子供との話し合いを重視して,子供参画のカリキュラム,時数を決定,GO!

・NETプロジェクトによる日常的な実践交流

・全員による授業研究にも積極的に公開,検討
この指とまれ型展開
(1)担任12名による活動への誘い
(2)児童の自主選択
(3)補助体制で,思い切って地域に飛び出す展開

・大胆な活動,子供選択の活動だが,クラブとの違い
を意識することで,問題解決の成立を考えようとしている。

・随時実践交流をしている
系統型展開
(1)教え,身に付けるべき内容の基底に沿って
(2)各学年の教育計画に位置付けて
(3)実作とは別に時数を確保

(設備整備の都合上,13年度6月から開始)

ここでは,学年の総合「ふれあい学習」における「3段ロケット型推進」について述べる。


2.「3段ロケット」とは

以下の3つの手順を踏んで実施するということである。

(1)全校的な視野から提示された一貫性と発展性のあるゆるやかな基底フレームに沿って
(2)各学年で年度当初に「仮りキュラム」を立てて
(3)子供との話し合いを重視して,子供参画のカリキュラム,時数を決定,GO!

(1)のゆるやかな基底フレームについては,ここ(昨年度のもの)にも述べている。
今年度は,昨年度の実績に立って,資料(このページの下部)のように基底フレームを整備した。
この基底がないと,学校としての一貫性・発展性のあるカリキュラムを立てることができない。しかし,かっちりとしたものでは子供が参画し,教師と子供が一体となって創り上げていくダイナミックな動きは出て来づらい。そこで,一貫性がありながら,しかもある意味でいいかげんなところもあるフレームをつくる必要があるのである。これが,ロケットの1段目である。この基底フレームは,前年度の2月段階で,その年度の実践を各学年で反省し,交流する際に赤ペンで書き入れたものを元に,3月の全体会で次年度のものを提案している。1段目の点火は,前年度のうち,ということになる。

(2)「仮りキュラム」は,誤変換ではない。子供参画の余地を十分に残す意味で,あくまでも「仮り」の年間計画を各学年が立てる。これが,3段ロケットの2段目である。これへの点火は春休み中である。各学年が立案したものを,研究部で検討を加え,修正したものを年度初めの懇談会で全学年が保護者に配布して説明した。

(3)3段目への点火は,日々の実践の中で行う。すなわち,「今年はこれをやりましょう!」と教師側から一方的に示すのではなく,「去年は,これこれをしていたけれど,今年はどうしようか」「○年生になったのだから,今度はもっと〜してみないか。やりたいこと,アイディアを募集するよ」などという教師の呼びかけに,子供が応えて主体的に参画することを大切に考えているのである。


3.しかしベストではない

しかし,3段ロケット型の構成は,実はベストではない。総合の趣旨から言えば,理想は「白紙単元」と呼ばれるものであろう。すなわち,仮りキュラムさえもない状態から,教師も子供も持てる力を十分に発揮し(つまり学年の発達段階に自然に合致し,目標を自然にクリアしていくような),しかも各学年が自由自在に展開しつつ,学校としての一貫した方向や学年を追っての発展性が見えてくるような展開である。
これは,理想であるがまずできない。そこで,3段ロケットを採用しているのであるが,その実践の際には,いつも「白紙単元」へのあこがれを持ち続けてやっていくことが大切であると考えている。


4.進みながら常に微調整

総合では,子供との話し合いを重視する。
子供たちは「この活動は,自分たちで選んだ。自分たちで決めた。」と思っている。「先生は,自分たちがやりたい活動をやらせてくれている」と感謝している。

総合は,問題解決の学習であり,3つのH(Heart,Hand,head)を十分に働かせて活動が進み,確かな力を獲得する。それを考えると,ます子供たちのHeart(心情)を大切にするところから学習が始まるのである。Heartを引き出し,Hand(具体的な活動)について相談し,Head(認知)でつかんだものを交流し合う話し合いはとても重要である。
保護者にも,「子供たちの希望がこれこれでしたので,こういう時間配分,場の設定になりました」などと説明する。そして,事実それはその通りなのである。

しかし,一見「子供の声に動かされている」ように見えて,この話し合いの過程で教師は実に多くの制限や方向付けを行っている。これを,「フレームワーク」と呼ぶ。子供は,「すべて自分たちで」と思っているが,実は特に話し合いの初期段階では,教師のフレームワークは重要である。3段ロケット型の推進をする上で,この「子供の声に動かされて」ということと「フレームワーク」のかねあいをつけながら,推進していくためには,子供をしっかりと見取りながら進めていくこと,また小さなことこそを教師間で交流しあいながら進めていくことが大切である。

ロケットも3段目に点火して,身軽になった。未知の空間を旅するときには,常に方向を見定め,微調整を図ることが大切である。羅針盤は,子供である。節目には,全体で交流などもしながらフレームを常に修正していく柔軟性を大切に,これからも子供と一緒に楽しい総合を進めていきたい。


資料

人とのふれあいを通し,文化への理解を深める総合的な学習(60〜120M)・基底

1,2年 3年 4年 5年 6年
ねらい (生活科の
    ねらい)
遊びを中心に,いろいろな人と交流する中で,日本・北海道の文化を見つめ,考える。 世界に目を向け,相手の立場を理解し,共に生きるための方法を考え,実践する。
活動 ふれ合い感じる 遊び・調査・追求 追求・企画・奉仕的活動
地域・
日本の文化
・昔の遊びをしよう。
・雪祭り探検に行こう
・消費者協会の方から学ぼう
・札幌ラーメン博士になろう
・昔の生活についてお聞きしよう
・北海道の郷土料理を作ろう,食べよう
・雪祭り探検に行こう
・北海道博士になろう
・道外の学校と交流しよう
・北海道の郷土料理を作ろう,食べよう
・雪祭り探検に行こう
・伝統工芸について地域で調べよう
・区民センターで地域の方と活動しよう
・お米博士になろう(栽培,収穫祭,調理,わら細工)
・身の回りの外国さがしをしよう
・雪祭り探検に行こう
・火起こし,昔の食事に挑戦しよう
・小樽の町探検を通して,北海道をもっと知ろう
・雪祭り探検に行こう
外国の文化 (現行カリキュラムでは,特に設定していないが,地域にいる外国の方とのふれ合いなどは考えられる。)
・雪祭りでの外国人との交流
・外国の歌遊びをしよう
・外国の遊びや歌を覚えよう
・外国の学校の様子を聞いてみよう
・簡単なあいさつの言葉を覚えよう
・あいさつをいろいろな外国語で言ってみよう
・JICAの方と交流しよう
・朝鮮学校の人と遊ぼう
・世界の料理を調理して,世界レストランを開こう
・外国の人が困っていることを聞いてみよう
・領事館に行こう
・ユニセフの活動を知ろう
・日本の習慣と外国の習慣を比べてみよう
・外国語のことわざから学ぼう
・外国の方を招いて,日本の小学校のよさを伝えよう・NGOの活動を知ろう
いろいろな人 ・おじいちゃん,おばあちゃんと遊ぼう。
・子供広場へ招待しよう。
・楽しい1日入学をつくろう
・障害をもつ方の話を聞こう
・校区のやさしさを発見しよう
・手話であいさつしてみよう
・点字を読もう
・老人ホームを訪問してみよう
・点字で書いてみよう(点字ペン)
・盲導犬に学ぼう
・札幌のやさしさ発見をしよう
・独居老人宅を訪問してみよう
・老人介護の方法を学ぼう
・加齢体験をしてみよう
・車椅子で町探検をしよう
・盲導犬と歩こう
人材 市役所観光課,山形元校長,消費者協会,ALT,朝鮮学校,JICA,老人クラブ,区民センター,緑愛園,神愛園,北野の四季,盲導犬協会佐々木会長,区役所社会福祉協議会

自然とのふれあいを深める総合的な学習(60〜120M)・基底

1,2年 3年 4年 5年 6年
ねらい (生活科の
   ねらい)
自分の興味や関心のあるものを見つけ,調べる 環境保全・豊かな地域づくりのために背景をとらえ,働きかける
活動 ひたる 探検・発見 発見・調査 調査・追求 追求・奉仕
厚別
・河原で遊ぼう
・水遊びを楽しもう
・生き物を探して飼おう
・川の上流,下流をたどろう
・川の生き物図鑑を作ろう
・雨の日の川を見に行こう
・護岸工事って何だろう
・橋の歴史を調べよう
・土木事業所の方,地域の方に学ぼう
・顕微鏡で微生物を調べよう
・魚はどこにいるか調べよう〜流れの速いところ,遅いところ
・いかだやカヌーで川下りをしよう
・カモを探そう
・ヤマベを釣ろう
・ホタルプロジェクト,カーロプロジェクトに参加しよう
・北野の水質,大気汚染を調べよう
・厚別川クリーン作戦を企画しよう
・厚別川の源をたどろう
動植物 ・飼育舎,水槽,花壇,校区の自然
・アサガオ,教材園
・野菜収穫パーティ〜保護者,幼稚園の先生,お年寄り等
・川の生物
・野菜収穫パーティ〜地域の方
・厚別川水族館
・清田公園等のバードウォッチング
・鈴虫を飼おう
・北野の畑を探検しよう
・野菜収穫パーティ〜地域の方
・顕微鏡標本づくり(花粉,微生物,川の生物)
・野鳥図鑑づくり
・野菜収穫パーティ〜地域の方
・森林の減少
・水田を作ろう
・巣箱を作ろう
・野菜収穫パーティ〜地域のお年寄りを招いて
・絶滅動物について調べよう
〜動物園,野鳥の会の方に話を聞こう
その他 ・雪のランドを作ろう ・ネイチャーゲームをしよう
・雪は,どうして降るの?
・ネイチャーゲームをしよう ・堆肥を作ろう ・交通量と大気の汚染の関連を調べよう
・酸性雨,身近な生活排水について調べよう
人材 保護者,町内会,土木現業所,白川野外教室,青少年科学館,さっぽろ雪祭り実行委員会,円山動物園,日本野鳥の会札幌支部

パソコンベーシック・インターネット活用学習(30M〜)・基底

1,2年 3年 4年 5年 6年
ねらい パソコンに慣れ親しむ 自分の学習を表現する便利な道具として,使いこなす 世界の人と交流する有力な武器として使いこなす
パソコン操作 ・一人でコンピュータの起動,終了,データの保存ができるようになろう
・タブレットやマウスでお絵かきしよう
・簡単なゲームをしてマウスを使えるようになろう
・ソフトキーボードやキーボード(ローマ字入力)+お絵かきソフトで絵日記をかいてみよう
・デジカメ画像を使って表現しよう
・ワープロで文書を書いてみよう
・デジカメ画像を使って,自分の調べ学習をまとめよう
・学習ソフトの使い方を知ろう
・友達とメールの交換をしよう(LAN)
・表計算ソフトでデータを整理してみよう
・プレゼンテーションをしてみよう
・ホームページを作ろう
インターネット関連 ・楽しいサイトを見てみ
よう
・知りたいことを検索し
てみよう
・インターネットの情報を取り入れて活用しよう
(※著作権についてはしっかり指導する)
・電子メールやテレビ会議システムを使って,情報を発信・受信してみよう▼(プライバシーの保護に配慮する)
・個人の学習テーマに沿って,ホームページを作成し,全校に発信しよう
備考 ※パソコンベーシックに関しては,個人の進捗状況を把握することが重要である。転入生等への配慮も加味して,簡単な達成度評価表(別紙)を個人に持たせ,状況を把握し,個別指導に生かすものとする。

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