ワンダー!  11月号

11月は大きな行事も終わり,日常の授業中心の日々でした。この間,私は「3つのH」理論を生活科を中心に具現化することに専念することができました。

第66号 生活科子供ひろば,うれしいお知らせ
第67号 生活科・子供ひろば2
第68号 個人懇談の話題
第69号 学校公開のご案内,国語学習への協力依頼
第70号 楽しさってね,係決定
第71号 本当のバリアフリー
第72号 学校公開指導案
第73号 Sさんの読み聞かせ
第74号 子供からのラブレター
第75号 北野の四季訪問に向けて
第76号 続・北野の四季訪問に向けて


平成13年11月2日(金) 第66号  生活科・子供ひろば

◇生活科では,北野の四季への訪問をひとまずお休みして,1年生を招待しての「子供ひろば」への取り組みがスタートしました。(本当は,北野の四季への訪問は,札教研の日で最終にしようと思っていたのですが,子供たちの「もう一度!」という気持ちが強く,また訪問することになったのです。)

◇「子供ひろば」は,昨年この子たちが1年生の時に自分たちが招待される側として経験していますので,容易にイメージができます。しかし,反面「昨年あったものをする」という固定された発想から抜け出せないというデメリットもあり,その辺をどう創造的に展開していくかがポイントになります。
 前にも書きましたが,生活科で探検をしたり,何かを作ったりするのは,自分(たち)の活動を自分でプロデュースする力を育てるためです。ですから「前と同じ」では,活動が通り一遍のものになり,3つのHが十分に働く展開とはならないのです。

◇とはいえ,限定された時間の中で進めなければならないのが学校教育の宿命です。北野の四季にかけた分,残された時間はそう多くはありません。そこで,「昨年のもの」への取り組みから始め,その点検活動などからレベルアップをしたり,別の活動に組み直す必然性を生むというポリシーで,進めることにしました。
 ま,子供たちは楽しく楽しく「昨年のもの」を始めているのですが。

◇子供たちが選んだ活動(お店)は,次の通りです。

○サッカーボーリング…亀君,土君,井君
○手品…板君,塩君,新君,矢君,菅君
○人間すごろく…服さん,新さん,神さん,竹さん
○スライムづくり…板君,佐君,近君
○まと当て…村さん,清君,清さん
○おばけ迷路…小さん,佐さん,大君
○くじ引き…加さん,坂さん,熊さん
○お絵かき…林さん,藤さん,本さん

 これまで準備をしてきて,今日2組と互いに見合う活動の予定です。さて,どんなことになりますことか。(報告は,次号で!)

学級のしくみを少し変えます

◇11月に入りましたので,席替えを実施しました。(略)
◇また,係も月曜日に見直すことになりました。どんな係ができるか楽しみですね。
◇ついでに,掃除や給食の指導を行います。少し,くずれてきています。

うれしいお知らせ

◇子供たちには,もう話したのですが「先生,ワンダーにかけば?」という声が多数なのでそれもいいなと思い,紹介します。
 先に聞いたのが塩君,次に聞いたのが神さんからです。この二人のおうちに,近々新しい家族が誕生予定です。
 神野さんは,12月ごろ。塩澤さんは,5月ごろの予定だそうです。

 本当に おめでとうございます!

 どうぞ,お大事にして,元気なお子さんを産んでくださいね。応援しています。
聞いた日は,子供たちと拍手で祝福しました。


平成13年11月5日(月) 第67号  生活科・子供ひろば2

◇金曜日にお知らせした,生活科の「子どもひろば」の様子をお知らせします。(写真は略)
それぞれのチームで,工夫を凝らした店づくりをしていますが,まだまだ工夫できそうです。子供たちの書いた振り返りのカードからも紹介しますね。

○サッカーボーリング…亀君,土君,井君
ペットボトルに水を入れ,それを蹴ったボールで倒すというゲームのコーナーです。
「もっとペットボトルをふやしたほうがいいってカードに書いてありました。だからこんどはペットボトルをふやしたいと思います。」(亀君)※「カード」とは,2組の子供たちが書いてくれたアドバイスのカードのことです。

○手品…板君,塩君,新君,矢君,菅君
トランプの手品などを,サングラスをかけるなど雰囲気たっぷりで熱演してくれました。
「もっと早くやる。来た人にすわってもらってちょっとさがってもらう。」(板君)「とにかくがんばる」(菅君)

○人間すごろく…服さん,新さん,神さん,竹さん
画用紙にマス(1回休みなどの)を書いて,手製の大きなさいころを振って,人間がコマになって進むすごろくです。
「さいころがじょうずにできたねってカードに書いてくれた。こんどはもっと長くしたほうがいい。」(神さん)

○スライムづくり…板君,佐君,近君
家から洗濯のりやホウ砂などを持ってきて,意欲的に作っていたのですが,なかなか固まらず…。また途中でのりもなくなってしまいました。
「作せん〜こんどからのりをいっぱいかうこと。」(板君)

○まと当て…村さん,清君,清さん
 ゴム鉄砲やトイレットペーパーの芯を使った鉄砲など工夫していました。
「まとあてをして,みんな来てくれてうれしかった。もっとペットボトルをふやす。」(清さん)

○おばけ迷路…小さん,佐さん,大君
体育館器具室にカーテンを引き,跳び箱を並べて迷路を造り,途中で「ワッ!」と驚かす。単純ですが,大人気でした。
「びっくりしたってかいていた人もいました。人間しか出てこないっていわれてショックだった。もっとちょっとこわくする。」(大君)

○くじ引き…加さん,坂さん,熊さん
 折り紙でたくさんのくじを作り,引いてもらう。これも人気で,全部のくじが開封されたようです。
「わたしがくじを読みました。よぶのもしました。もうちょっとにぎやかにした方がよかったと思いました。あと紙をおいたほうがいいと思います。」(加さん)

○お絵かき…林さん,藤さん,本さん
にぎやかなコーナーづくりをして,楽しくお絵かきができるように工夫しました。
「作せん〜はこを少しふやしたりする。そして,きれいにする。」(本さん)

 みんな,「次」を見ているのが良いですね!


平成13年11月5日(月) 第68号 個人懇談の話題

◇明日から個人懇談が始まります。以前,個人懇談に向けて,日程希望の調査表を配りましたが,その中の「担任に聞きたいこと,見たいデータ」に,ほとんどの方が何も書かれないでの提出でした。
きっと「何を書けばいいのかよく分からない」ということだったと思います。データと言っても,どんなものがあるのか,きちんと知らせていませんでしたものね。不親切でした。ごめんなさい。

◇というわけで,直前になりましたが,以下に懇談で話題にでき,私の方からデータ(数値的なものや記録,具体例)を示してお話しできそうなことをピックアップしてみました。

・基礎学力…国語(例〜漢字習得,音読,文章内容,作文)
       …算数(例〜文章題の把握,立式,かけ算の意味,計算の方法,図形の把握,空間認識)  
       …生活(例〜企画力,自己制御,アイディア,行動力,協力性,表現力)
       …音楽(例〜歌唱,リズム,鍵盤,鑑賞)
       …体育(例〜柔軟性,ボール運動,走,バランス,作戦,協力)
 ・学校生活…友達関係(例〜思いやり,遊びの輪,トラブルへの対処等)
       …基本習慣(例〜挨拶,片づけ,提出物,忘れ物,言葉遣い,乱暴,きちんと話す,話の聴き方,場面理解)
 ・家庭生活…基本習慣(例〜自立,手伝い,返事,挨拶,テレビ,読書)
       …人間関係(親への反抗,近所の方とのつきあい)
       …興味関心(好きな遊び,夢中になっていること,食卓の話題)
 ・学校,担任への要望。その他,どんなことでも

 まだあるかもしれませんが,とりあえず上を参考に,いくつか「これについて話し合いたい」ということを選んで来ていただけると,少ない時間での話し合いが効率的に進むのではないかと思います。参考になればうれしいです。
 
◇なお,全員にちょっとしたプレゼントをご用意していますので,どうぞお楽しみに。
(何かは,来てからのお楽しみ! あっ,景品などではありませんよ,もちろん!)
教室にパソコンを置きました

◇今日から,教室にパソコンを置きました。子供たちに自由に使わせます。パソコン室があるので,パソコンそのものに触れることはできるのですが,やはりたまにしか使わせられないので,もっと日常的に使わせたいこと。そして,2年生が喜び,楽しんで遊んだり学習したりできる環境を用意したいというのが設置の理由です。

◇ただし,好き勝手に使わせますと「弱肉強食」の場となるのは明らかですので,使用のルールとして「日直の日に,使う」を原則としました。2組の日直の子も使っていいことにしましたので,多いときは4,5人の子が群がることになりそうです。
 他は,私が判断して他の子にも使わせるようにします。

◇さて,今回用意した環境の中に,実は私が所属する研究団体が開発したプログラムが入っています。『ケンチャコ大冒険』というソフトです。このソフト,実は売り上げが日本一で,現在は来年度から完全実施の新しい指導要領に合わせてのリメイクを急ピッチで行っています。(新しい版は,来年3月発売予定。)
 きっと,子供たちの口から「モンモンカードを何枚集めた」だの「チャッピーがかわいい」だのといった声が聞かれることと思いますが,それはこのソフトのキャラクターと,学習の成果がカードで与えられることですので,ご了承ください。

◇私とパソコンとの出会いは,実はもう10年も前に,別の会社でしたが学習ソフトの開発を命じられたことにあります。当時は,ウィンドウズもまだなく,マルチメディアで一歩先を行っていたFM−TOWNSというパソコン上で動くソフトを開発したのでした。使うことのできる容量や,色,文字数など制約がとても多く,苦労して作ったことが懐かしく思い出されます。今のソフトを思えば,信じられないくらい昔に感じますが,ほんの10年前のことなんですね。

◇さて,こんな思い出話をしたのは,この子たちとパソコンのつき合いも,きっと数年後には「いやあ,小学校2年生の頃は,あんなに制約の多いソフトでやっていたのか」と思われるものになるのだろうな,と予想するからです。特に「学校のも,教室のもインターネットにつながっていなかったんだよなあ。よくそれで使えたな。」などと思い出されることは確実でしょう。
ですが,パソコンに親しみ,楽しく学習ができる環境を今のところベストの形で(本当はもっと台数が多いといいのですが)提供できますことを,うれしく思います。
 懇談においでの際は,必要でしたら画面を見ることもできますので,ご希望ならどうぞおっしゃってください。


平成13年11月8日(木) 第69号  15日は学校公開へ!

◇来週の木曜日,15日は第2回目の学校公開日です。朝の会,中休みや給食までをも含め,1日のすべての教育活動を公開します。どうぞ,お気軽にご参加くださいね。さて,今回は次の点について説明とお願いをしたいと思います。

◇Aタイムは,生活科で1年生や地域の方に「子どもひろば」を公開して交流する活動となっています。おうちの方も「お客さん」として出店にご参加ください。Bタイムは,他の学習の予定です。地域の方も楽しんで参加していただけるような短詩の授業などを考えています。

◇さて,Cタイムですが,3年生以上のチャレンジタイムとなっています。これは,4月にご説明しましたが,自分が苦手意識をもっていることに積極的に挑戦する時間です。

◇その後,教育方針説明会となっております。子供たちの育ちや見えてきた課題について各担当者が説明します。さらにその後,教育実践発表会の際にもったフリートークの第2弾があります。これは,日頃から思っていることを,どんなことでもおうちの方や地域の方と学校が文字通り膝を交えて語り合おうというものです。

◇このCタイムとその後の会に,ぜひぜひご参観・ご参加をいただきたいのです。
 チャレンジタイムは,2年生は下校となり,直接の参加はありません。ですが,来年この子たちも取り組む活動ですので,ぜひ様子をご覧いただきたいと思います。そして,学校全体がどんな方向に進もうとしているかを見ていただきたいのです。
 教育方針説明会も同じです。そして,フリートークにもぜひぜひご参加いただきたいのです。子供たちに留守番をさせても,それに見合う以上のものが得られるはずです。

◇子供たちには,いつも「自分のこともしっかりね。でも,人のこと・みんなのことも大切にね」「自分に何かをしてくれる友達はうれしいね。でも,自分は友達に何をしてあげられるか,もいつも考えようね」などと言っています。
 おうちの方にも,「午後は2年生も下校するから見なくてもいい」とか「フリートークは,あまりおもしろくなさそうだから避けよう」などと我が子中心,受け手の発想で臨むのでなく,学校全体を見る視野をもち,積極的に自分の思いを発信して,よりよい学校づくりにお力を添えていただけるようにお願いします。そんなおうちの方の姿勢は,必ず子供に良い影響を及ぼします。どうぞ,日程を空けてご参加ください。

国語学習へのご協力をお願いします

◇国語では,「きつつき」というおもちゃの作り方を題材に,作る手順などを相手に正しく伝えるための工夫を考える学習を進めています。今,書かれていることから,全員がきつつきを完成させ,「できた!」と大喜びしているところです。そこで,これからは,その発展として,いろいろな手作りおもちゃ作りに挑戦していきます。
 そこでまず,

・比較的短い時間で,しかもある程度の難度があり,
・子供たちの手だけで手作り可能な
・材料等も入手が容易な(紙は学校にあります)

おもちゃを一つ選ぶように指示しました。
◇そして,そのおもちゃをまず自分で作ってみること。そして,その作り方を友達に伝える作文を書くことに取り組み,さらにその作文を見て,友達がちゃんと作ることができるかどうかを確かめるというように学習を発展させていきます。
 考えられるおもちゃの例として,

・ぶんぶんごま  ・ブーメラン  ・紙飛行機   ・パラシュート  ・ぱっちんガエル

などが子供たちから出てきています。

◇ただ,折り紙などは作るのは容易でも,作り方を文章で表現するのがかなり難しいので,それは私の方から除外するようにアドバイスしていきます。子供はそこまで見通しが利きませんから,取り組ませて後半苦労させるのは避けたいからです。(生活科等の試行錯誤とは,ちょっと違います。失敗の中から学ぶことが難しいのです。作文を書く段になって,なかなかうまく書けない場合,その原因がどこにあるのかを子供はまず把握できないし,もし把握できたとしても,「じゃあ,折り紙でないものに」と修正するのは,かなり難しいことだからです。)

◇どうぞ,この週末にご家庭で手作りおもちゃの選択にアドバイスをお願いします。また,材料等の準備にもご協力いただけますよう,お願いします。実際に作るのは,まだ先になりますが,月曜日に決めたおもちゃを検討したいと思いますので。
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おまけ
・月曜日は,クイズ&チャレンジラリ−です。子供たちは校内では特別教室に,校外では公園にかくされたクイズに挑戦し,地域の方に自分たちが育てた花の種をプレゼントしてきます。お時間のある方は,どうぞ様子をご覧ください。異年齢集団の中でのお子さんの様子を見ることも,意義あることではないでしょうか。


平成13年11月9日(金) 第70号  楽しさってね・・・

◇私はインターネット上で,いろいろな人と知り合います。今日ご紹介するのは,以前ご紹介した山形の佐藤さんとのつながりの中で知り合った,北海道の中学校教師山本真吾さんです。
 私がいつも子供たちに言っていることと同じ趣旨ですが,すっきりとやさしく詩にしてくださっています。(ホームページ「In this way」より)

楽しさってね

 わたしが楽しいだけの1日ではなく
 あなたが楽しいだけの1日ではなく
 あの人が楽しいだけの1日ではなく
 みんなが楽しい1日だとイイね

 わたしが100%楽しいと、あなたが楽しくないかもしれない
 あなたが100%楽しいと、あの人が楽しくないかもしれない
 あの人が100%楽しいと、だれかが楽しくないかもしれない

 わたしがほんのちょっとがまんして
 あなたがほんのちょっとがまんして
 あの人がほんのちょっとがまんして
 みんなでほんのちょっとがまんすると
 みんなが80%楽しいんじゃないかな
 みんなで楽しいと、120%楽しいよ

 人と人が生きていくって、そういうことじゃないかな
 一人でいても、きっと楽しくないよ
 だから、みんなでほんのちょっとがまんして
 みんなでほんのちょっとがんばって
 楽しくいこうよ

URL http://www.eva.hi-ho.ne.jp/schingo/

◇前号で15日の学校公開のことを書きました。学校公開の日は,自分中心,我が子中心の気持ちを「ほんのちょっとがまんして」,どうぞご参加くださいね。(しつこいですね。もうこれ以上は言いません。)

係決定

◇新しい係が決まりました。お知らせします。
○机並べ(新しくできた係です。帰る前に,教室の点検をしてくれるのだそうです。)  …板君,佐君,塩君,新君,土君
○プリント(朝,職員室に寄って配布棚のプリントを教室に運びます。)
  …板君,佐さん
○体育(体育の時間の準備運動をします。体育館では,ライディーンを。外ならラジオ体操を。)…井君,清君,小さん,村さん
○電気(朝教室に来たら点灯。教室を空けるときは消灯します。テレビ番組があるときにスィッチを入れるのも。)…大君,亀君,近君
○日めくり(黒板横の日めくりを毎朝めくります。)…菅君,矢君
○朝自習(月,水,金曜日に黒板に問題を出します。) …新さん,熊さん,清さん
○朝の歌(水曜日に,朝の会の中で音楽をします。その伴奏と指揮。)  …加さん,服さん
○かざり(給食便り等に色を付けたり,折り紙で教室を飾ってくれたりします。) …神さん,竹さん,林さん,本さん
○黒板(休み時間に黒板を掃除します。)…坂さん,藤さん

◇今回,この係を決定するに当たって,私は子供たちに「日直さんでもできるような仕事じゃなくって,うんと工夫してアイディアを出せるようなのを考えてね。」と言ってみました。係と当番の違いは,アイディアや企画性の濃淡の違いだと考えているからです。そろそろ,3年生に向けて自分たちで企画,実行していく内容が多いものにしては,と思ったのですが,子供たちとの話し合いの中から新たに出てきたのは「机並べ」と「日めくり」でした。子供たちにすれば,目に見える仕事を選びたいという気持ちが強いようなのです。
 ま,今回はこれでいきます。3学期くらいには,もっと企画性の高いものに少しずつ目を開いていきたいと考えています。たまに,お子さんが係の仕事を自覚的にやっているかどうかなど,聞いてやってくだされば,うれしいです。
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おまけ
・前号で,「月曜日は,クイズ&チャレンジラリ−です。」と書きました。間違いでした。火曜日です。10時半頃からの活動となります。お時間のある方は,どうぞ!
・読み聞かせの会,こちらは月曜日です。我が家の家人も聴きにくるようです。(ほんの少しですが,読み聞かせなどやっているものですから。)


平成13年11月12日(月) 第71号  本当のバリアフリ

◇個人懇談,ありがとうございました。一人一人の子について,この半年の育ちを共に喜び合い,課題を確かめ合ったひとときは,私にとって幸せなひとときでした。お忙しい中学校に足を運んでいただき,また心を開いていろいろなお話をお聞かせくださり,ありがとうございました。

◇その中で,私はいくつものワンダー=驚きを与えていただきました。私が感じるよりもずっと,保護者の皆さんが感じている内容の豊かさに,何度も何度もびっくり,そして感動させられました。「いつも子供の側にいる」ということのすごさを感じました。

◇あるお母さんが,北野の四季での授業の話から,「子供たちとお年寄りが自然にふれ合う姿を見て,私も何かしなくてはと思い,ケースワーカーの資格を取るための勉強を始めることにしたんです。本当に子供たちの姿に感動したんです」とおっしゃいました。思わず私は,「お母さん,応援します!」と言ってしまいました。

◇別の数名のお母さんに教えていただいたのが,私もよく把握していなかった「その後の北野の四季訪問」のことです。それは,「家の外で遊んでいるなと思ったら,『お母さん,北野の四季(施設の名前です)に行ってくるから。』と言って,4人で北野の四季に出かけて行ったんです。そして,名刺を事務室でコピーさせてもらって配り,おやつまでいただいてきちゃったんです。もう,びっくりしました。」というお話でした。前に,新さっぽろ探検の後に,家族を案内して新さっぽろまで行った子や,友達同士で新さっぽろまで探検に行った子の話を聞いていましたが,北野の四季にも,同じように子供たちだけで行っていたのですね。

◇そして,あるお父さんからは「先生,これまで学校で付けようとしたのとは違う力が確かに育っていますね。これまでの学力は,冷たい感じがしたけれど,横藤学級で育つ学力は,明るくて温かくて生き生きとした力ですね。明るい未来を開く力ですね。」とのメールをいただきました。うれしかったです。

◇先々週の日曜日,北野児童会館にて「福祉祭り」が開催されました。知り合いの盲導犬協会会長佐々木さんがご講演されるということで,我が家の子供を連れて行ったのですが,そこで思いもかけない人たちに会いました。
 それは,この春に卒業させた現在中1の子供たちでした。聞くと,北野中学校に「福祉祭り」のボランティアを募集したところ,全部で12名ほどの子達が名乗りを上げてくれたそうなのですが,その中に北野平の卒業生が8名いて,北野小の卒業生もその子達に引っ張られてきていた様子なのです。
◇中学生たちは,食堂でおそばを運んだり,お団子を運んだり,あるいは車いすを押すために廊下で待機していたりと,さまざまに取り組んでいました。
 合間に声をかけると,「6年生の時に『やさしさ発見』だっけ?あの勉強したからさ。」などと言うのです。(本当は「ふるさと再発見」という名前の学習だったのですが,そんなことはどうでもいいと思いました。)

◇「ふるさと再発見」は,自分たちの町札幌が体に障害を持つ方達にとって,本当に優しい町なのかを見直そうという学習で,子供たちが全市に散ってそれぞれの課題を追求しました。車いすで大通りまで行ったチームも有れば,新さっぽろのサンピアザのお店で「障害を持った方がいらしたら,どんな配慮をしているのか」というインタビューをしたチームもあります。車いすに乗ったり,加齢体験装置を付けたりして学校の周りを歩き,坂道や段差の有無を身をもって体験したチームもあります。そうした体験が,今回のボランティアへの応募に生きていたらしいのです。

◇今,バリアフリーということが盛んに言われます。そして,建物の入り口や中の段差をなくすこと,車いすでも通れるように廊下を広く取ること,ブザーやスィッチ類を低く設置することなどが進められています。
 また,総合的な学習が始まるということで,いろいろな施設に小中学生が行って,体験活動をすることも増えています。北海道盲導犬協会などは,もう年内の予定をとっくにオーバーしてしまっていると聞きました。
 しかし,あちこちで見かけるこうした動きのどこかに,私は「うそ」と言ったら言いすぎでしょうか,「浅さ」を感じてしまうこともままあるのです。何かが欠けていると感じるのです。それらの体験活動が,どこから始まりどのように個々に受け止められ,どこに向かうのか。そこに疑問を感じることも多いのです。活動は確かにあるのですが,内面が見えない。そしてどこか冷たい。

◇以前,車いすの生活をしている方に聞いた話です。大人の人が子供に向かって「じろじろ見るんじゃありません。」と言っていたのに,その子が「どうして座っているの?」と聞いてきたことがあり,その方は大人より子供の方の言葉にずっと救われた気持ちになったそうです。「どうしてって聞く子の心って,バリアがないんだよね」と。

◇そんなことを聞いたこともあったものですから,北野の四季で,ごくごく自然にお年寄りとふれ合う子供たちの姿。自宅周辺での遊びの延長で行こうとする気持ち。それを感じて自ら新たな挑戦を始めるお母さん。卒業してからもごく自然にボランティア活動に名乗りを上げるという姿を,本当にうれしく思いました。そのどれもが本当の「バリアフリー」ということなのではないかと強く思いました。

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おまけ
・上の話に関連します。今週15日の木曜日,昼2時ころから,UHBテレビの「ゴーゴーママ」という番組に,私のかつての教え子で今は車いすで生活をしている本間篤史という子(といっても,もう30才を過ぎましたが)が登場します。番組の中の「卒業写真」というコーナーで,生放送なのだそうです。私もビデオ映像でほんの少し登場しそうです。もしお時間がありましたら,どうぞご覧いただき,上の話題と併せてバリアフリーということを考えていただければと思います。


平成13年11月15日(木) 第72号 本日の公開内容

◇今日は,ようこそ第2回学校公開へおいでくださいました。
 以下,簡単に本日の2年1組の動きを説明いたします。

◇朝 (1モジュール=15分)
 ○習熟タイム
  基礎・基本の学習です。今日のメニューは,漢字。教科書の文章をひらがなで書き,  それを漢字交じり文に直すトレーニングです。漢字の「使い方」がポイントです。
  なお,習熟タイムのある日は朝の会はお休みとなりますので,すぐにAタイムが始ま  ります。

◇Aタイム(6モジュール=90分)
 ○教科=生活科「子どもひろば」
○ねらい
1年生を招待しての子供広場開催の本番です。1年生の気持ちや動きを意識して,自  分たちの選んだ活動(出店)を企画・準備してきました。さあ,1年生とうまく交流  することができるでしょうか?
○大体の流れと見どころ
┌───────────────────┬──────────────────┐
│主な活動 │こんなところを見てください │
├───────────────────┼──────────────────┤
│・出店の準備をします。 │・協力して手際よく準備をしているでしょ│
│ │ うか? │
│・1年生を迎えます。 │ ・親しみを持って1年生を迎えることが│
│・司会係の子が中心になって,歓迎の会を│ できるでしょうか? │
│ します。 │ │
│ │・おうちの方も各店の出し物を楽しみなが│
│・各出店で1年生と交流します。 │ ら,子供たちの工夫や相手意識をもって│
│ │ 取り組んでいるかなどをご覧ください。│
│・終わりの会をします。 │ │
│ │・「来たときよりも美しく」を実践しよう│
│・後かたづけをします。 │ という意識があるでしょうか? │
└───────────────────┴──────────────────┘
※各店の景品や最後に渡すプレゼントは,1年生分しかありません。
小さなお子さんなどは欲しがるかもしれませんが,どうぞご配慮く
ださいね。

◇中休み
 元気よく遊ぶ子供たちの様子をご覧ください。
◇Bタイム前半(4モジュール=60分)
○教科=算数「かけ算A」
○ねらい
かけ算九九の習熟場面です。フラッシュカードによるトレーニング,早口競争,そし  て,ノートへの「思い出しコーナー」と,日々繰り返している習熟練習をご覧いただ  き,その後6の段の構成へと導きます。
○大体の流れと見どころ
┌───────────────────┬──────────────────┐
│ 主な活動 │こんなところを見てください │
├───────────────────┼──────────────────┤
│・フラッシュカード,早口競争での5,2,│・意欲を持って九九に取り組めるでしょう│
│ 3,4の段の九九習熟を行います。 │ か? │
│ │ │
│・ノートを使って,思い出しをします。 │・「書く」ことは素早く,手際よくできて│
│ │ いるでしょうか? │
│ │・姿勢や鉛筆の持ち方はどうでしょうか?│
│ │・ここまでの集中は,いかがでしょう。 │
│ │ │
│・積み木表を使い, │・課題を把握し,適切に作業ができている│
│ 6の段 の九九を │ でしょうか? │
│ 構成します。 │・6の段が6ずつ増えていくことを,視覚│
│ │ 的に把握できているでしょうか? │
│・6の段の習熟を少しします。 │ │
│ │・覚えようという意欲は見えますか? │
└───────────────────┴──────────────────┘

◇Bタイム後半(2モジュール=30分)
○教科=国語「作り方がわかるように」
 ○ねらい
説明文「きつつき」の発展で,手作りおもちゃとその作り方の説明作文に取り組みま  す。今日は,そのおもちゃを決定し,教え合うことと,説明作文の書き方要領を把握  することがねらいです。
○大体の流れと見どころ
┌───────────────────┬──────────────────┐
│主な活動 │こんなところを見てください │
├───────────────────┼──────────────────┤
│・おもちゃを決めてきた子に,それを発表│・次の活動に向けて,おもちゃを決定し,│
│ してもらい,見せ合ったり教え合ったり│ 意欲を持っているでしょうか? │
│ します。 │ │
│ │ │
│・説明作文の書き方要領を教科書を元に考│・材料や順序,遊び方というプロットを │
│ えます。 │ 意識できているでしょうか? │
└───────────────────┴──────────────────┘

◇その後
 給食,清掃後下校です。チャレンジタイムと教育方針説明会もぜひご参観,ご参加くださいね。


平成13年11月16日(金) 第73号  Sさんの読み聞かせ

◇12日の月曜日,ボランティアのSさんによる読み聞かせがありました。
清さんのご紹介で実現した今回の読み聞かせですが,実に実にすばらしい時間となりました。
読んでいただいたのは,次の9冊。
・小さな小さなおばあさんの話
・アレクサンダとぜんまいねずみ
・3匹のやぎのがらがらどん
・大工と鬼六
・じごくのそうべえ
・おじぞうさん
・ねむいねむいねずみ
・おなかがすいたねずみ
・ふるやのもり

◇もう,間の取り方,声の大きさ,身振りや手振りがぐいぐいと子供たちを引きつけ,あっという間の1時間でした。
 お話を伺うと,どこかで専門的に学ばれたということでなく,「保育園の子供たちとの前で工夫をしていくうちに,少しずつコツがわかってきた」そうで,実践の中で培ってきた技術が,子供たちとの距離を一気に縮め,本の世界に引き込んでいく様子は圧巻の一語でした。プロの技だと,深く感動しました。今回,来られなかった方は,次回ぜひご覧になってください。(続編がありそうです。)

◇子供たちがSさんにお手紙を書きました。ほんの一部ですがご紹介します。
・Sさんは本がすきなんですか?わたしは本がすきなので,おへやにいっぱいあります。でも,読んでもらった本は,読んだこともないし,聞いたこともありませんでした。しらない本を読んでくれたから,とってもうれしかったです。わたしは読むのがすきだけど,聞かせたことはありません。帰ったらお母さんに聞かせたいと思います。
(佐)
・Sさん,さっきみつかったんですけどあせをかいていましたよ。わたし,Sさんが 9さつも読んだのでたいへんそうだなあと思いました。いちばんSさんがうまかったところはぜんぶですよ。(藤)
・「つかれてなあい。」って言われてうれしかった。そんなに読まなくてもよかったと思います。だってSさんだってつかれているようだし,そんなにむりしなくてもいいのにと思いました。こんども本読みにきてくれたらいいと思います。でもむりしなくても いいです。(亀)
・今日は本を読んでくれてありがとうございます。いろいろな声が出て楽しかったです。とくに「がらがらどん」や「おにろく」のこえがすごかったです。1時間いじょう読んでくれたのにすぐにおわった気がしました。(塩)
・とってもおもしろかったです。でもおもしろかったのは「じごくのそうべえ」です。じごくのそうべえでたのしかったのは,おにがおならをしたのがたのしかったです。(佐)
・みんなは,わらったりしていました。みんなが「わっはっは,きゃはは。」とわらっていました。本当に本読みがじょうずですね。Sさんはやさしいですね。せかい一じょうずみたいですね。
・3ばんめの話「三びきのやぎのがらがらどん」では,自分ももっていますから同じだなと思ったけれど,読んでもらったらなんか上手だったので,少し自分が読んでいるのとちがいました。(加)
・今日一ばん楽しかった本は,う〜んぜ〜んぶぜ〜んぶ楽しかったんだけど,中でも「小さな小さなおばあさんの話」です。でも,小さな小さな…とくりかえしているうちに,あたまの中が「小さな」ということばがなんどもあたまの中で回てんしていました。そしてわたしは小さなせかいにすいこまれそうになりました。もし,わたしが小さくなったら家の中をいろいろたんけんしたいよ。たとえば…とだなの中とか…ティッシュのは この中とか…お人形のハウスであそんだり,ふくのポケットの中に入ったりしたいよ。(服)
・学校でも読書マラソンというのをしてて,1日1回は本を読みます。ぼくは毎日毎日夜にふとんの中で本を読んでいます。1回も休んだことはありません。(新)
・ふるやのもりは,どろぼうとオオカミが入っていることをしらないで本とうに入っていると言うことがびっくりした。あと一二の三の二の四の五,三一二の四の二の四の五がむずかしかったです。まこもまほうにかかっちゃったかな?先生大すき。まこのうちにも来てね。(清)

◇まだまだありますが,紙面の都合でここまでとさせていただきます。いずれにしても,子供たちが絵本と出会った感動体験により,生き生きとした文章を書いていることがよく伝わってくることと思います。
 Sさん,本当にありがとうございました!

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おまけ
・明日,土曜日私は北九条小学校に出向しての仕事です。また学級を空けること,心苦しく思いますが,その分しっかりと勉強してきます。
・昨日のテレビ,10人以上の子が見てくれたそうです。朝,「先生,見たよ!」と多くの子が報告に来てくれました。ちょっと照れくさいものですね。


平成13年11月28日(水) 第74号  子供からのラブレター

◇個人懇談で,何人かのお母さんとお話ししたことです。
(1)日記を書かせていると,誤字や脱字が気になります。そこで,赤ペンで直していると,子供が書きたがらなくなってしまったんです。子供の気持ちを考えると,直さない方がいいのかもしれないが,間違えてもいいよとしてしまう気にもなれないし。どうしたら良いのでしょうか。
(2)2年生になってから学校のことをよく話すようになりました。ところが,こちらの聴き方がよくないのか,またこの頃はあまり話さなくなってしまったのです。「どうして?」って聞くと,「ちゃんと聞いてくれない。」と言われてしまいました。ちゃんと聞いているつもりなのですが…。
(3)もう小さい頃からなのですが,絵をかくすんです。この間「見せなさい!」と強権発動したら,それからますますかくします。失敗したかしら。
 そして,その後も似た相談をいくつか受けました。

◇私は,これに対して次のように答えました。
 子供が親や教師に言ったり書いたりするものは,すべて子供からのラブレターなのではないでしょうか。「ぼくって,がんばっているんだよ。」「私は,こんなことを見つけたんだよ。すごいでしょ。」「自分は,こんなよさを持っているんだよ。見て!」こんな,見てほしい,認めてほしいという気持ちがあって,子供はいろいろ言ったり書いたり,描いたりするのではないかと思うのです。
 幸いなことに,私に対しては子供たちは誰もかくしません。それは,子供の作品や発言をラブレターだととらえているからだと思います。

◇ラブレターを誰かに出したとします。相手からその返事が来て,ドキドキしながら封を開けたとき,赤ペンで誤字脱字を直されていたら,「あら,有り難い。」と思えるでしょうか?反対に「何なんだ,こいつは!」と怒り,百年の恋もいっぺんに冷めるでしょう。 また,赤ペンで直されないまでも「あなたは字がお上手ですね。」などという返事でも同じことでしょう。「きれいな便せんですね。」「記念切手が貼ってあって,うれしかったですよ。」なんて書いてあっても,ちっともうれしくないでしょう?
 ところが,これと同じことを親や教師は子供にしょっちゅうしているんですよ。
 日記や作文を書いたら「上手に書けたね」,絵に対しても「上手だね」。これは,心でかいた作品に対して,「上手・下手」という物差しで評価をしているのです。こんなことを続けられれば,もうラブレターを出したくなくなるのが当たり前ではないでしょうか。

◇すると,あるお母さんがおっしゃいました。
 「でも,先生はけっこうしつけが厳しい方ですよね?」
 そうです。大人のつとめは,子供にしっかりとした道徳の規準を示し,してはいけないことはいけないとビシッと指導することです。しかし,ラブレターに対しては添削や物差し評価をしてはいけません。

◇では,誤字脱字に対してはどうすればよいのか。
 例えば,日記に次のようにあったとします。

きの,デパトにいたよ。

 これを「きのう,デパートに行ったよ。」と書いてほしいと思い,「の」の後ろに「う」を挿入し,「パ」の後ろに「ー」を挿入し,「い」を「行」に訂正し,「っ」を挿入し…と直したら,子供は自分の伝えようとする気持ちに×を4つもつけられたとしか感じないでしょう。
 そこで,私は,次のようにしています。

きの,   デパトにいたよ。
     ↑「う」だね。

 このように,ちょっと「○だね」とか「○を入れよう」とかするだけで,高圧的な感じがなくなります。また,このお返事にさりげなく「そうかい。デパートに行ったのかい。」と正しい用法を添えてやります。もしかしたら,これを読んで気がついてくれるかもしれません。それくらいで良いのだと思っています。

◇お話には,一緒に笑ったり驚いたりすることを,かくさないようにしています。絵には「この絵を見ていると,先生にも海の音が聞こえてくるような気がするなあ。」などと話してやります。
 子供からのラブレターには,教師も子供と同じ高さで自分の心を伝えたいと思うのです。子供とフラットなところで,メッセージをくみ取ろうとすることで,子供たちはますます心を開いてくれます。
 それは,しつけを厳しくするのとは別の次元の問題です。

◇以前も書きましたが,教育は縦糸と横糸をうまく組み合わせて,その子その子の持ち味を生かして,ゴブラン織りを織るのに似た営みです。一見矛盾するかのような,しつけやけじめといった「上から下へ」の縦糸と「子供とフラットな関係」の横糸を,同時にバランスよく張って,織り続けたいと思います。
 ますます,かわいく伸びつつあるこの頃の子供たちです。


平成13年11月30日(金) 第75号  北野の四季訪問に向けて

◇子供たちの北野の四季訪問への意欲,衰えません。すごくうれしいです。もう,私の知らないところでどんどん子供たちの活動が広がっています。
 以前,子供の問題解決は3つのHがつながって,うまくつながっているときに成立し,次の活動を子供が自ら生み出していくと書きましたが,まさにそれが実現しています。子供たちが「先生,〜していい?」と来たり,「先生,見て!」と言って生き生きと練習や準備の様子を見せてくれることにもう感動の毎日です。

◇そんな子供たちの姿に意を強くして,以前書いた図を再掲します。(ちょっとかっこよく直しました。)

◇子供たちの活動をつき動かしているのは,お年寄りへの親しみと一緒の活動への思いです。そして,自分の存在感をお年寄りとのかかわりの中に感じている(Heart)から,活動(Hand)が生まれるのです。
 さらに,その活動の手応えの中から,子供たちは「もっとこうしようよ。」「じゃあ,これはこうしたらいいね。」と,頭(Head)を働かせているのですね。

◇実は,今回の活動をつき動かしている子供たちのエネルギーを引き出すのに,ちょっとした出来事がありました。それは,「子どもひろば」が終わったところで,「さあ,じゃあこれで子供広場も終わったから,今度は北野の四季に行く予定だったね。ところで,もう一度聞くけれど,本当に行きたいの?」と投げかけてみたのです。
 すると,元気のよい「うん!行くよ!」に混じって,「いや,もう行きたくない。」という子が2名出てきました。
 私は「シメタ!」と思いました。繰り返しの活動は,ともすれば惰性に流されて当初のエネルギーを失ってしまうことも多いからです。周りの子が「えっ,そんな…。」と驚くのを制して,私は「じゃあ,今回はやめにしましょう。算数の九九なら,やりたくないと言ってもじゃあやめましょうとはできません。2年生で,九九をしっかり覚えることは,日本中で決められていることだからです。でも,北野の四季に行くことは,絶対にそうしなければならないと決められている訳ではないのです。それに,一人でもいやいや行く子がいては,おじいちゃんやおばあちゃんに失礼だと思いませんか?だから,やめにしましょう。」と宣言しました。
 子供たちから,猛烈な勢いで挙手が起こりました。しかし,その場では取り合いません。時間の頃合いもちょうどBタイム終了の時刻。そのまま給食に入りました。(こうした場面では,私は独裁者となります。)

◇給食の時間,あちこちのグループで「ああ,行きたいなあ。」「だって,おばあちゃんにもう一度来るからねって約束したんだもん。」「僕,今度はプレゼントをもっといいもの作ろうと思っていたのに。」などと恨み節がたくさん聞こえて来ます。
 私は「そう。残念だったね。」くらいに軽く受け流していました。そのうち,「ねえ,○○はどうしていやなのさ。」という話に発展していきました。まったく自主的に子供たちが活動を実現しようとしていることに,私は内心感動しながら漬け物をかじっていました。
 周りの子の思いが伝わったのか,2人の子はぼそぼそと「だって,劇を失敗したら困ると思うんだもの。」「だって,勝手に遊んじゃいそうなんだもの。」と言います。すると,それに対して「じゃあ,劇でないのを選べばいいしょ。」「大丈夫だって。そしたら注意してやるって。」などと説得工作が始まりました。そして,「先生,Cタイムにもう一回話し合いの時間をちょうだい。」「いいでしょ。お願い。」となったのです。そこで,私は渋々と(内心はとっても感動しながら),OK。そんなところから始まった今度の活動なので,エネルギーの向かう方向がいっそう強く,鋭いものになっているのですね。

◇順調に,スイスイと事を運ぶのは,思うほどに子供を育てないものです。適度な抵抗を乗り越えて進む活動にこそ心が燃え,充実感が得られるのではないでしょうか。(反対される恋愛ほど燃え上がるって,なんのこっちゃ。)
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おまけ
・急ですが,明日10時15分頃から11時頃まで,平岡にある朝鮮学校の子供たちが本校に来て,高学年と交流活動を行います。そこに,2年生もお邪魔させていただくことになりました。2年生も歌と踊りを披露します。よさこいも踊ります。もし,都合のつく方はいらっしゃいませんか?(急な話ですみません)
・20周年記念の航空写真ですが,事故がありまして申込書を紛失してしまったそうです。今日子供たちに聞いてみましたが,誰が申し込んだか分かりません。お申し込みいただいた方,恐れ入りますが再度お申し込みをいただくことになりそうです。月曜日に正式 な文書が出されるということです。よろしくお願いいたします。


平成13年12月1日(土) 第76号  続・北野の四季訪問に向けて

◇前号では,子供たちの意気込みと勢いがすごいことだけをお知らせして終わってしまいましたので,今日は少し具体的にその動きをお届けします。
 まず,子供たちが考えた布陣は次のようです。

◎劇「クリスマス」〜佐くん,塩くん,菅くん,清くん,土くん,井くん
◎プレゼント〜林さん,大くん,亀くん
◎音楽「さよなら」〜板くん,近藤くん
◎音楽「モーニング娘。」  〜小さん,加さん,清さん,竹さん,本さん,藤さん
◎司会〜新さん,服さん,坂さん,板くん
◎劇の紹介〜新くん,佐さん,熊さん
◎クイズ〜村さん,神さん,矢くん

◇劇チームは,もう私が何も言わなくても,前回の学びを生かしてしっかりと短くてメリハリのある劇を作っています。一度リハーサルを行いましたが,他の子が大笑いする内容です。佐くん扮するサンタさんの後に塩くん扮するブラックサンタが現れて,井,土,清くんらが扮する子供たちのプレゼントを盗んでいく…。こんな話ですが,監督の菅くんの演出の元,とても楽しそうに取り組んでいます。

◇プレゼントづくりは,他の子もどんどん手伝いながら,折り紙になにやら書き込んで,ひとかかえの箱いっぱいにプレゼントを作りました。会場を飾るリングを作ったりするなど,発想も広がっています。

◇音楽「さよなら」は,板くんのリコーダーに合わせて近くんがマラカスを振ります。照れながらもがんばっている二人です。

◇音楽「モーニング娘。」は,レンタルビデオを借りてきて,放送室のスタジオで休み時間も研究に余念がありません。曲は『恋のダンスサイト』です。かっこいいです。

◇司会とクイズの子供たちは,自分の台詞をしっかりと紙に書いて練習も万全です。

◇そして,これらの動きでとても価値があるのは,私があれこれ指示を出していないということです。すべて子供たちが自分で決めています。
昨日も,中休みに音楽「モーニング娘。」の子たちが職員室にやってきて「先生,今日でビデオのレンタルが終わるの。でも,もう少し練習したいから,今日は生活科がない日だけれど,生活科の時間にしてください。お願い!」と言ってきました。

◇もう保護者の方は横藤のやり方がお分かりだと思いますが,こういう申し出には基本的に即座のOKを出さないのが,私の流儀です。(ただし,年度当初なら,即座に快諾します。「願えばかなう」という経験をさせることが必要だからです。また,断られてすぐに引っ込めるタイプの子が相手なら,即座の快諾はあり得ます。しかし,このときの子供たちの申し出には,強い意志が感じられましたので,私の流儀で対処することにしました。)
 そこで,「いやあ,Bタイムは体育と算数だね。体育は2組と一緒だから変えるわけにはいかないし,算数は8の段を鍛える予定だったんだけどなあ…。」とつぶやいてみました。子供たちは,いっそう「お願い!」と声を大きくします。そこで「でも,時間が欲しいのはあなた達だけのグループじゃないの?他のチームが必要だって言うんなら,考えてあげないこともないけれどなあ。」と言って,他の子の感触を探り出すという役目を引き受けさせるようにし向けました。
 結果,算数を少しだけやって,その後生活科ということになりました。

◇こうして,この子たちは「願えばかなう」。「押してもダメなら引いてみよう」,「一度でダメでもあきらめない」というような経験を積んだことになります。
 生活科や問題解決の授業では,「支援」が大切だと言われます。これを,狭く解釈して「何でも子供の求めに優しく応じるのが教師の役目である」などと勘違いしているのではないかと思う例も見かけます。しかし,私が考える支援は,3つのHが一人一人の子供の内面で生き生きと回り続けるために,子供にそれと気づかれないように働きかけるものです。「抵抗」「否定」「困難さ」といったマイナスイメージの働きかけを子供が自分の力で乗り越えて,自分自身に「ぼくってけっこうやるじゃないか」という思いをもたせたいのです。結果(例えば劇や音楽の出来映え)は,二の次なのです。

◇この間,子供たちと話していたときに「先生が教えてくれるから算数がよく分かるようになった。」「先生の漢字の成り立ちの話がおもしろい。」などと,言ってくれた子がいます。うれしい気持ちと共に,まだまだ自分の支援の未熟さを感じました。「先生のおかげで」と子供に感じさせるようでは,まだまだ私はアマチュアなのだなあ,と思うのです。 で,そのとき「生活科は?」と聞いてみますと,子供たち「へ?」と顔を見合わせ,「生活科は先生は何もしていないしょ!」と言われました。「そうだあ。」と私をにらむ子供たちの顔を見ながら,「もしかしたら生活科に関しては,ちょっぴりプロの域に近づいたかも…。」と小さな幸せを感じてしまいました。とてもうれしかったです。
 

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