シリコンゴム使用レポート 但しかなり時代遅れ

 ボークス透明シリコン 旭ワッカーと思ってたら信越製品、ボークス専売型番のようです

 最近は専らこれ一本ですね、いつまで売り続けてくれるかがほぼ唯一の懸念事です、あ、硬化剤別売りがないのもあったかw
 物性強度耐久性は万能トップクラス、収縮量が他に比して多め気配なので可動モデルには注意が必要かも。
 透明であることのメリットは注型においてはあまり感じません、型にゴム流す際に気泡が残ってるとひと目でわかるのが最大のメリット、
 ただそのメリットを活かすには脱泡設備が欲しい・・・最低限真空おひつは必要、計量後・混合撹拌後の2度泡抜きしてください。
 この粘度だと脱泡できたものはドボっとひとかたまりで流し込む方が気泡を巻き込みません、
 やってみれば一目瞭然ですが今までの常識だった糸のように流し込むのは逆効果になりますので注意しましょう、エア当てもかなり微妙です。
 そして冬の硬化時間の長さには要注意・・・たっぷり加湿して2面流してめくるまで3日を覚悟せよ

 ※お手頃だったキロ3,360円から13年4月より3,980円に値上がり・・・アレか、褒めすぎたか



 バイエル社
 現在はGE東芝シリコーンの傘下
 話によると美術用の転用ではなくGK用の独自開発品らしい、全体的に溶剤耐性が高い。


 シロプレンRTV−2K

 ゴムをくわえるようなモールドは苦手、シンプルなものには滅法強い。
 平均的な使い勝手の良さと、2980円という安さとで急速に利用者が増えている製品、正直いうと、ほとんどの場合はこいつでいける。
 硬さ・弾力・耐溶剤性は文句なし、特に耐溶剤性がよく、型が壊れるまで表面がカサカサになることが無い。
 あえて難点をあげるなら、原型の凹部、シリコン型で凸部になるところが千切れ易いことと、脱型時にカドがあたって引っ掻くような場所も同様に削れ易いと言うことだろう(メカのフィン部・接合部のダボ・人形のワキや股間の隙間・引き抜いて外す部分のモールド等)
 そういうところは後述の高強度ゴムを使うとして、実際はほとんどの原型で問題なく使えるだろう。
 あと、ボディの強さも魅力的である、かなりきつくクランプしてもそこそこの変形ですむので結構気楽に使える。
 便用上の注意として、触媒の混合率がシビアで型の持ちにずいぶん影響することがある。
 少ないと2〜3日べとつき、多いと混合中に固まったり、カチカチのボロボロの型ができたりする。
 作業可能時間は20分くらい、硬化時間は8〜12時間、泡抜けは良好、と。

 新品でも主剤が透き通り気味のときはパウダー成分が沈んでいるので使用前には攪拌したほうがかなり良い



 ロードシル社
 ここもGE東芝シリコーンの傘下になったらしい…
 白い大小のカップに青リングでお馴染みの、おフランスの会社ザンス。
 最近体裁が変わって白い大カップ+キャタの小ビンのセットになりました、でも相変わらず便利なんよ、このカップ。


 573番

 特性はバイエルの2201とほぼ同等、ちぎやすいのも同様。
 硬化時間は6時間程度とやや早目、キロ4300円


 585番これも今無いみたい〜、と、思ったが、流通は兎も角モノ自体はまだありました。関東方面はハンズのどこかで入手可、多分渋谷かと…

 ゴジラからメカ、フィギュアとなんでも使え、力技が効く超汎用型ゴム。店頭市販品ではほぼ最強の物性を誇る。
 割れず・千切れず・削れずと、どんな扱いにでも壊れることなく耐えやがります。
 粘度が高いので気泡の抜けが悪いものの、エアーで何とかできるレベルだし、温めてやれば作業時の粘度問題は気にしなくても良くなるしねー。
 溶剤に余り強くはないのも離型剤を使えぱOK。
 注型可能回数は40〜60回くらいと高い。お金に余裕があってちょっと複雑な原型だったら迷うことなくこれを買え!
 とにかく型が千切れそうな原型のときはこれにしよう。粘土埋めの苦しみが1回で済むなら安いもんじゃないか。
 キロ5800円
※旭化成ワッカーの半透明タイプ(M8520)はこれに結構近いです、半透明なので原型表面に残った気泡の除去がしやすいんですよ。
 値段は585と同程度、何とか普及してほしいものです。


NEW 530番

 最近まで533番だったものの改良版、バイエルの1406相当でちょっと柔らかめ。
 硬化時間は12〜16時間とやや長め。
 キロ2900円



 信越シリコーン社
 昔からおなじみのメーカー

 1417番

 KE-12、KE-17以来パッとした一般用グレードに恵まれなかった信越さんですが、コレが表に出てきたんで一変
 物性は一般グレードのちょい上、独特の良い具合のモッチリ感と極上の溶剤耐性がウリですな。
 ミョーなにおいとやはりきっかけが出来るとそこから裂けやすいのが難点ではありますが、フィギュアに使うにはまぁその心配はなく。
 キャタにより硬度30と硬度40がありますが、30で十分ゆがまない硬さです。

 限りなく業務用に近いグレードなので主剤の粘度が高く、温めてやらないと手流しでは卵付きの成型品になるので注意
 それでも原型をきれいにして抜き方も安定させれば50以上のショットを安定して打てるってのはいいねぇ(テスト込みで65は安定かな)

 硬化時間は可使レベルが約12時間、完全硬化は24〜30時間と安心できるまでは長め
 (公式の深部硬化性良好で速硬化ってのは…逆ちゃうのか? 正直冬だと加温+加湿してやらんと24時間でも固まらないぞ)
 キロ5500円前後、イベント直売以外安く買いにくいのも昔ながらやねぇ(^^ゞ

 WFで安く買えたらコイツで型作り実践レポしようかな…とおもったが硬化遅いからなぁ、どうしようか。



ダウ コーニング社
業務用では昔からの定番メーカー

 強度・溶剤耐性など品質面では一番安定(抜きあがり・寿命が読みやすい、の意味)しているメーカーではなかろうかと。
 ポットライフが普通な割に完全硬化が早く、緊急時にはとってもありがたい性質です(条件によっては適正混合比でも4時間程度で硬化)
 小売価格がどこも高いまんまだったので使うに使えずな状況でしたが、RCベルグさんが今時の価格で販売をはじめたので紹介〜。


 8000番

 他社のエントリークラスグレード、硬化の早さ・流動性・気泡の抜けはバツグン。
 物性はややかなり硬め、引き裂きはきっかけのある部分はかなり弱い。
 ※以前はもっと硬いのもありましたが、最近の商品ではコレがおそらく一番硬い?

 8600番

 他社の高強度グレード、こちらも物性の割に硬化の早さ・流動性・気泡の抜けは8000程ではないもののバツグン。
 物性はかなり柔らかめ、引き裂きに付いてはかなり耐えてくれるので少々荒い原型でもへっちゃら、
 しかし、やわらか過ぎの嫌いがあるのでクランプは慎重に…



 ・・・・・・え?たいしてパッとしないじゃないかって?そりゃそうですよ
 ダウについては実は上記の2種を状況に応じてブレンドして使うのがキモだったりするんですな、これが。
 この組み合わせは、おおむね安定して50〜60ショットを抜ける上、同程度のショット数を取れるほかのゴムに比べると
 圧倒的にゴム型が作りやすい、という利点があります。
 欠点はとにかく1kg缶だと値段が高かったこと(笑…えなかったね、当時は) 
 更に、他のゴムに比べて比重が高いので1kgあたりの容量が80ccばかり少ないという追加攻撃もありー…


 気になる混合比は〜

 ・平均的なモールドの原型の場合は8000と8600の5:5で強度と柔軟性のバランスを。

 ・くわえ込みや粗い面、逆テーパー、引き抜きなどがある原型には8000と8600の4:6でクランプつぶれを起こさず、かつ、粘り腰を。

 ・原型の形状が平易で精度を重視したい、もしくは大容積の原型でゴム型にたわみ変形などが起きそうな場合は8000と8600の6:4で硬さと引き裂き耐性を。

 ・・・と、いう混合比率が主。
 当然、原型によってはこれ意外の比率で行う場合もありますので、そのあたりは流動的に。
 強度は8600で、8000は硬度調整&コストダウンに使うっつーニュアンスだとわかりやすいかな?

 混合についてはちょいとしたコツがありましてな、ざっと説明致しますと〜、

 1.主剤は計量が難しいですがひとつの容器でどーっとまとめてしまってかまいません、が、先に攪拌しない方が良いと思います。
 2.硬化剤は別々に計量して、混合前にかならず品番ごとの配合比が合っているかを確認すること、逆になってたら泣けますんで。
 3.硬化剤の投入はペースト状(8000番)のものを先に軽く混ぜてなじませ、それから液体(8600番)を混ぜること。
 先に液体を入れる、もしくは同時に混ぜるとペーストが浮いてしまってなっかなか混ざらないのですわ…

 こんなかんじー、あと、主剤混合以後の作業は迅速に。


 なお、コレ以外のくみ合わせ、特にメーカー違いの場合はブレンドしてもおおむね硬化しないと思っておいた方がよろしいです、
聞いた事のない組み合わせは事前にテストしないと翌日に泣きながら原型にブレークリーンかけて洗ってることになると思います。
・・・・・・ブレークリーンで未硬化のシリコンの大多数が洗い流せるって話はしたっけか??


 3498番

 ベルグ独自品?8600と同等な感じがします
 扱い方も同様でよろしいかと



戎堂式型取り量産講座

=はじめに=

 型抜きに失敗したときのデータを残しておき、失敗の原因が原型側か、型の設計が、型の製作か、量産工程かを記録・解析・分類をし、以後の製作に役立てることで、無駄な時間・金・気力の浪費を減らし、かつ、複製製品の品質を向上させ、キット購買者の無駄手間を省き、製作意欲に水を差さず、次回購入時の安心感を与える事……によって、売る方も買う方もみんなでしあわせになろうよという趣旨でスタートした企画であり、私の失敗の記録を僅かでも皆さんの役に立てて頂こうとするものが本サイトの目的であります。

 もっとも、私自身、一般的な作業の手引きはモデルグラフィックスの特集(67〜70号)や、ホビージャパンのプラモ大好きで学んだうえでスタートしたものですし、通常の作業を行なう分にはこれらの本を読めば大慨のことはこなせる様になれるでしょう。
 と、いうわけで、ここで紹介する手段は、ある程度は量産経験がある人を対象にしたステップアップ講座(但し、ほとんど変化球や反則技の2択ですが…)に絞らせていただきました(時間もあれへんし)。
 まあ、版を重ねる内、どない転ぶかは知ったこっちゃあれへんちゅーて、えーかげんなのは、ま、ご愛嬌。
 では、はじまりはじまりー 。



 でわ、まずはお勧め材料・道工具紹介からいきましょうか。


I.粘土埋め編 スパチュラ・粘土へら
 面ならし用>>>>スプーン型・葉っぱ型・竹べら・指
 パーティングライン用>>>>葉っぱ型、小・鈎型・削った割り箸・爪楊枝
 ちなみに芸人の場合、パーティングライン周辺はほとんどコレ一本
 Point 面ならし用は力強く、ダイナミックな作業に耐えられる強靱なものを、パーティングライン用は、繊細に思い通りの作業が出来る形で、かつ、原型に傷を付けないギリギリの鋭さを持ったものをチョイスする。
 Point 粘土面がそのままシリコンの合わせ面及び、パーティングラインになります。
従って、面の処理が荒いとキャスト漏れが、構成が甘かったり、雑だったりすると型ズレが、パーティングラインがいいかげんだとゴム型の断裂、湯流れ不良、バリの発生等が起きます。
原型の詰めこみ過ぎや合わせ目の面積が少なすぎると全部のトラブルが降ってきます。





II.2面型製作時の原型埋め用油粘土
 これはもうボークスなどで売ってるほいくねんどが一番でしょう。
 柔らかさよし、作業性よし、原型離れよし、ゴム離れよし、耐久性よしといった具合で、もー他のヤツ便えねーっス。
 ちなみに粘土とゴムの相性が悪かった場合、粘土の油分がゴムに吸われて固まって、ゴムから剥がれなくなったり、逆に、シリコンオイルで粘土がズルズルのドロドロに溶けてしまったり、温度によって固すぎたり柔らかすぎたり等、思い出すのも嫌なトラブルが出てきます。
 しかも、今まで何の問題もなく使えたのにゴムを替えた途端ダメ状態になったりすることもあるんです。
 でも、この粘土は今の所国内外問わず、どの型取り用シリコンでも安定して使えるのでイチ押しです。と、いうか、これしか使ってないです。
 ちなみにこの段階でフッ素系離型剤を吹いてからゴムを流せば粘土がむっちゃ剥がしやすくなります、その代わり、小さいパーツはシリコンからはがれやすくなり、粘土はがしのときにポロっとはずれちゃったりするのでソラマメより小さい部品には掛からないようにした方が良いです。



III.シリコン対シリコン用離型分離材
 原型に対する浸食度の小ささと抜群の型離れの良さ、取り扱いの簡便さでリンレイワックスブルーシリコーン・バリヤー』がおすすめ。
 普通に使えば1缶で一生もつんじゃないかと思うくらいののびのよさで、薄塗りでも十分な効果を発揮、溶剤も弱いので塗装原型もそんなに影響を受けない。床用ワックスのコーナーで購入。
 500g入り缶1本あれば十分です、薄塗りするために別容器に移し湯煎してしゃぶしゃぶに溶かしてから使うと大吉、特に冬は必須
 ただ、MMFのぬいたろうって離型剤が無茶苦茶使い易いのでワックスもほとんど使わなくなるであろー、とおもったが、やっぱりワックスの方が確実なんだな〜、ふぅ。



IV.型枠板
 1辺が20センチを超えないのであれぱ1.2ミリ厚の白色ブラバンがおすすめ。
 ざらざらの面を内側、ゴムを流し込むほうに向けて組むと、出来あがった型が作業台にピッタリとくっつかない型に仕上がります。
 たわまないようにヒモや布粘着テープの細切り等で十字の桁を渡しておくのも予防としてはGOOD。
 細長い型や、容量の大きな型を作る場合はブラバン組みだとゴムの重みに負けてたわんでしまい、そこからゴムが流れて漏れるんで、そういう場合は5〜7ミリ厚のベニヤ合板を使います。
 ノコで正確に切り分けて、ゴムと接する所はワックスを塗っておきます。
 型枠の角を止めるときは、粘着力の強さ、信頼性、作業性の良さ、剥がしやすさから、布粘着テープを使います。
 ただし、1巻98円とかの安物は絶対使っちゃだめ、1時間後に剥がれてたりするので、ここは高くてもニチバンとかの有名メーカー品を使うように。

コレ重要
 2面目を流す前に1面目の型枠を剥がしてしまうと
ほぼ確実に歪んだ不良型が出来ちゃいます、合掌




V.バックアップ用の石膏
 美術用の一番安い(1キロ200〜300円)の物でOK、ちゃんと指定の混水量で混ぜてつくること。
 流しにくいからって柔らかく練ると、残った水分で発泡したり、すぐ割れたりするよ、後から作り直してもピッタリ合う押さえ板にはなんないよ。
 キロ500円位の石膏なら、重量比で石膏6:水4くらいの割合がこの場合の適量です。
 ばっちりの混合比で混ぜ合わせるとさすがに流せなくなるんで若干ゆるめの練りですが、それでも注ぐだけで流れるようではあきまへん、んだば、ソフビとかの筒状の口の狭いところ→主に脚の部分などの場合、どうやって流し込むかというと、遠心力と液状化現象を利用します。

 遠心力>>>スプーン、ヘラなどで筒の口に空気抜きの穴を残し(ストローを刺しておく方法もある)たまま石膏を詰め込み、一杯になったところで筒を勢いよく振って石膏を打ち込みます(部屋で作業する際は袋に入れたほうがよかろー)。この方法はおおざっぱですし、筒の先が曲がっていたりすると空洞が残ります。でもタダです。

 液状化現象>>>難しい事はさておいて、水に溶けない粉末を含んだ泥(スラリー)に振動を与えると泥が液体のように流動性を持つようになる現象を利用した方法で、石膏を流し込む方法です。
 アンマ用の電動マッサージャー等の強力なバイブレーターを使います、が、100円ショップの奴はパワー不足です。
 流し込む対象と石膏カップに振動を与えると、石膏がトロトロになるのでそのまま流し込みます、先が曲がっているところは石膏を水と思って傾けてしまえば空気が抜けます。
 さしあたって、石膏が振動で結構はねるので、アンマ機は袋詰めに、テーブルには新聞紙を敷いておいたほうがよろしいでしょう。



VI.ウレタン樹脂
 品質の安定性で見るならやっぱりまだまだハイキャストかなあ、まあ最近は昔ほどひどいのは見ないから、何をウリにしてるかでメー力ーを選んでもいいでしょう。
物自体で注意しなきゃならんのは、とにかく古い物はよくないって事(特にB液)と、蓋を開けたらすぐ閉めて湿気にさらさないって事、極端な温度変化のある場所におかないこと、混ぜムラを出さない事(特に混い色の物)くらい…かな。
 あと、夏場なんかは暑さですぐ固まるからって、手流しの場合は冷蔵庫で冷やしてはイケマセン、缶の中でも汗かいて、全部お釈迦になりまス(ただし、一遍に2キロくらい使うような大物の時は有効、それでも1回分ずつ小分けにしておかねばなりませんが…、まあ、最後の手段の1つとして覚えておく位でイイです、そんな無茶しないような型を作るほうが現実的な解法なんで)
 ↑もし、蛇ノ目の真空注型機で抜くのなら、ポットライフ延長の方法としては有効…一応ね。


 最近出てきたノンキシレンタイプのキャストについて・・・
 よーするに成分を割る溶剤がキシレン(臭いがキツイ・型を痛めやすい)から、ナフサ(ニオイはマイルド?・型に優しいらしい)になっただけ。
 確かに短期集中大量生産時の型表面の膨張は減りそうですが、コレって最近激安シリコンを使う割合が増えてるからって言う理由っぽいなぁ…
 個人的にはこんな危険物のニオイ少なくしてどーするよ?とも思いますが…、アレルギーの主原因はウレタンの成分そのものだしね。

 おすすめは、準備万端で慣れてはいるけどあのニオイだけはど〜も…とか、かぶれの被害を少しでも抑えたい、という人向けかな?
 決して換気を手抜きするためではないのでそこんとこ注意だわさ

 物性
 原液に付いては少し粘り気が増えるので流しにくくなります。
 出来あがりの収縮が少ないという意見がありますが、溶剤の混合量はキシレンタイプとほとんど同じです、
蒸発速度が緩やかなだけなので、最終的に溶剤が抜けきれば同じ所まで縮みます。
 ↑痩せ易い部分に変化があるそうなので、可動メカ等収縮について特に注意をしている人はデータ収集しなおし?





VII.シリコン⇔ウレタン用離型分離剤
 フロン規制前はイイのがあったんですがねーな〜んてしみじみこいてもしょうがない。
おおきくわけて2種類、シリコン系とフッ素系があります、GK業界では梨地製造剤のよーなものだったパラフィン系はほぼ絶滅した模様。
んで、おすすめはフッ素系。少量で十分効果があるうえに膜が薄いので原型の再現性が抜群、おまけに落ちやすい。
 シリコン系は粒がでかく、生ガスが離型剤に溶けたまま出てくるので、型が冷えちゃって汗をかいて、その水分で発泡するという悲しいことが良く起きます。
 生ガスに付いてはドライヤーとかで乾かしゃすむんだが、めんどーだし、離型剤成分はキャストに染み込んであとから沸いてきやがるし。
 と、いう訳で、フッ素系。高いけど。
 コレに付いてはムービー置きましたんで、使用量の目安にでもしてください。



作業手順(写真追加)

 まず、ゴム型のサイズ、原型の配置や向きを決定するために、紙の上に原型を置き、型のクランプ部分の予約・壁の厚さ・湯口、湯逃げの設計を行ないます。
 その際、上からだけでなく、横方向からも3次元的にチェックすることが重要です。
 ここで重要な点は『厚さ方向にダイナミックな起伏を作らない』ということです。
 合わせ面の起伏、特に、斜めの面が多いと、クランプ時にはピッタリと合っているようでも、湯を流した段階で、湯が潤滑剤の役目をして型がズレることが多々あります。
 これを避けるためには、粘土埋め段階で合わせ面を可能な限り平面にする、起伏は大きな階段状に作り、一段ごとに必ずダボを掘る、という処理が効果的です。

 次に外壁の厚さですが、外壁に一番近いゴム型の注型部分の原型の厚みよりも厚く取れれば変形はそう起きないでしょう。
 最小は5ミリから、最大は3センチ位を目安にして下さい。3センチもあれば大概の圧力は吸収できます。
 外壁が極端に薄いとクランプ方向に変形したり、湯漏れが起きたりします。ちなみに、どちらも致命的な失敗につながります。

 次は、回路設計とダボ打ちです、注型回路は紙上の設計段階で、ほぼ完成状態まで考えておいて、粘土埋めが済んだ段階で、起伏を考慮した上で粘土の上に切り取りラインを記入、または、ランナーを埋めていくと良いでしょう。
 この設計を怠ると、注型時に必要な流速を確保出来なかったり、回路自体が作れなかったりしますので、これも致命的欠陥に繋がります。
 この注型回路を組む際、注型時に天井側になる面の外壁をわざと余分目(合計4センチ位)にしておいて、排出口にプールを作り、注入時に巻き込んだ気泡をプールに押し出す脱泡方法をとることもあります(傾けたり、揺すったりできない型や、薄モノ、細モノ等に
ポンプ法で注型する場合にプールを使います)。

 次に、ダボですが、経験上直径7〜10ミリ、深さ5〜8ミリの壁付の四角錐、又は、円錐の、先端を飛ばして平らにしたものを、5ミリ間隔で打った場合にかなり有効に機能していると感じます、球形の物は丁度半分になるように仕込んでください。
 逆テーパーのダボは、一見した所はしっかり保持しそうな見た目ですが、実際は合わせる際にゆがんだまま引っ掛かってたりして泣くことが多かったです(やっとるんやん)。
 なお、掘りダボと盛りダボのどちらでも大して結果は変わりませんが、掘りダボのほうがラクだと思います。

 

 上記のポンプ法についてですが、薄いものや細長いもの(羽根や剣など)を抜くときに、複製品の3〜5割(旧表記5〜8割)の容量のきれいな丸棒をアンダーゲート法の湯口に使い、湯を流し、ゲートにいっぱいになった時点でゲートと同径の棒で注射器の要領でゆっくりとプールに溢れるまで押し込んでゆき、溢れさせてから、圧力を逃がすためにポンプを少し引き戻します。
 この方法で、湯の粘りに負けて流れていかないところに強制的に流し込むわけです。
 ポンプ法の注意点は、強引に押し込まない(バリ・ズレの発生原因)、最後に圧力を逃がすのを忘れない(圧力をかけたまま固めると後々ひどく変形する)、ゲート棒付近の壁を厚めにする(圧力で液漏れを起こす、1センチ以上が目安)の、以上3点です。
 あと、ポンプ法を使わないといけない様な原型は、普通に流す型とは分けて作っておく事
 それと 1回分の湯の量が多すぎたり(500g以上)、少なすぎたり(30g以下)だと、失敗することが多いです。


 パーツごとの注型方法・分割線の設定・型埋め時の向きを決めたら、次は型の枠内にどのパーツをどれだけ配置するかを検討します。
 まず、同じ型の中には同じようなサイズ・ディティールをしたパーツを揃える様にします。
 これは、湯の固まりかたの違いからくる要素です。
 大小のパーツを同じ型で流す場合、発熱量や連鎖反応などの具合で大きなパーツから先に固まり、小さなパーツはそれよりずいぶん後に固まることになります。
 ワンオフの場合は特に問題ないのですが、
型をはがせるのが全部のパーツ(小パーツ)が固まってからになるので、その間、大パーツは硬化熱とガスを出しながら、固まっているにも関わらず型から取り出せない、と、いう事になり、型にずいぶん負担がかかります。
 量産用型がこんな型だとすぐに型の変形や破損が起きて型の作り直しを迫られます。
 この例は、トゲやバーニアノズル、ウイングや指、ペルト、はねた髪の毛などの
細かいディティールが大きなパーツに直接付いている場合も小パーツ+大パーツの時と同様に考えておくこと。
 やむをえず、そんな型を作らざるを得なかった場合はゴム型全体を40〜60度に暖めておく事である程度なんとかなりますが、あまりおすすめできません(暖めること自体は収縮を防ぐためにも良いのですが、型の製作時、ゴム中に泡を巻き込んでいると泡の中の空気が熱で膨らんでその部分が泡の形に凹むので個人レベルではちょっと…ね)
 んで、量産時の暖めかたですが、 ファンヒーターで温める、こたつの中に入れる、食器乾燥器をつかう、等の方法で…、ドライヤーやストーブは表面ばかり熱くなって型が反ったり、熱すぎて焼けたりする場合が多いので超要注意っス。

 材料の無駄を無くすこともできます。
 厚モノと薄モノ・縦モノと横モノを同型に並べて横から見てください、はい、もうおわかりですね、薄モノの上のゴム、むっちゃムダでしょ。
 あと、失敗が多そうなパーツは別の型に分けるか同じ型に入れる場合でも独立して注型できるようにしておきましょう。
     ↓
     ↓
     ↓
  <悪例>
 注型口1ヶ所のみ、全5パーツの型の内、1パーツが2分の1の確率で失敗する型を作ってしまいましたとしましょう。

 余ったシリコンは無し、明日がイベントだったりした時、予定数を揃えるためには、その1パーツの為に、4パーツを無駄にした量産を数がそろうまで繰り返さねぱなりません、数によってはその途中で型が壊れてしまうかもしれないでしょう。もっとひどい場合、その1パーツが全パーツを台無しにしてしまう事もあるでしょう。
 こんなことにならないために、1枚の型に入れる原型はなるべく平均的な形状で揃えたほうが良いです。
 あと、数と容量もほどほどにしておいたほうがいいです。必ずどこかにしわ寄せが行って作り手かお客さんのどっちかが泣くことになりますから(1枚で10パーツの入れればどこかに大きな気泡が残ったり、ひどくズレたりします。とか、1回の注型量1.5kgとかだと注型途中で固まります)。

==書き忘れていましたが、当書では、アンダーゲート法とサイドゲート法についてのみ==
==フォローしています。良品を作るにあたり、トップゲート法は==
==手流しにおいて、通常使うべき手段ではないという主観からの結果です。==





 さて、出来上がりの目安が立ったらいよいよ粘土埋めです。
 ここで使う粘土は通常の油粘土なんですが、かなり相性の善し悪しがあるようです。
 店によっては、相性の悪いものを一緒にならべてあるので、目的に合ったものか聞いてみるほうが良いでしょう。
 (以前はハンズですら粘土造形用の粘土並べて売ってやがりましたからねー、そりゃバリヤコート塗ればくっつかないけどさー)

 相性が良いものは適度な粘り気を持ちつつ、剥がすときには、千切れずまとめてはがすことができ、原型にへぱりつかず、シリコンオイルに溶けません。
 ボークス販売のほいくねんどは現状オールマイティにどのメーカーのゴムでも使える唯一の品(だとおもう)。

 上記の説明のうちの、2つ以上の条件が相反する油粘土は別のものに換えたほうが良いでしょう。
 あと、複数回の使用には都合が悪い物もあります、たとえば粘土の油をゴムが思いっきり吸う(粘土を剥がした時、接触面がカチカチになり、粘土がボソボソになる)場合など相性が悪いと言えます。



 では、作業に入ります。

 まず、粘土を軽く練ります、板状の物をカッターもしくはスケッパーで細く切って練り合わせると楽です。

 次に設計の厚さ・サイズにあわせてノシます(この作業の前に、新聞紙等を敷いておけぱ、自由に動かせて楽かも)。

 次は、設計通りに原型を埋めます。ここで重要なポイントは、パーティングラインを原型の断面の最大径の部分に集めることと、できる限り垂直水平のラインで構成して、クランプ時の型ズレの原因となる斜めのライン、つまり、坂道を作らない。というところです。

 つぎはダボです、前述のものを、設計時の空気溝・湯口を考慮しつつ打っていきます。今までの経験上、規則的に配置したほうがズレにくい様です。

 ここで、ダボ掘りに使う棒なんですが、木の棒を使う場合は表面処理をしてツルツルにしておくコト、デコボコのままだと打ったダボもデコボコになって、密着性が落ちます。
 私はワックス塗りに使っているうるし筆の柄尻を使っています。
 形は申し分無し、表面は塗りでツルツル、おまけに原型に薄く残った粘土は筆で掻き取れるので一石二鳥です。
 




 つぎ、型枠を組みます。
 通常の物は、1.2ミリ厚の白プラ板が一番(透明は柔いので)、大きなものや長いものはヘタってしまうので5ミリ厚のベニヤ板を使ってます。
 

 枠組みの注意点は、注型口のある面は台と水平になるように組む事と、ゴムが漏れないようにしっかり隙間を埋める事と、深い型は枠がヘタらない様に開放側の対辺を広がらない様にテープや紐で固定する事、枠の貼り合わせは布粘着テープを使うと楽なこと、ですかね。

 ここまでの段階で、流れそうになさそうなところが出てきた場合、勇気を出して(あきらめて、ともいう)、原型の分割を見直した方がいいかも。
 今ならまだ問に合います(何がやねん?)。





 それではいよいよシリコン流しです。ここで紹介する方法は既存の方法プラスアルファで考えてください。んでは、どぞ。



シリコンゴムの選択

原型の形態〜必須条件の順に、条件に該当するゴムをレビューから探してください(高く付く場合もありますが、この時点で時間的に逼迫してる場合が多いので(笑)確実を取った方が無難)

*シンプルなもの→安いものでほぼOK

*容積が多いもの→1パーツ1kg以下なら耐熱性は考慮しなくてよし、ただ、柔らかいゴムを使う場合、複製品のつぶれを防ぐ工夫が必要(壁を厚く取る、合わせ目に溝を切る、等)

*1パーツ1kg以上→量産時は耐熱タイプ材料の型が必要かも、通常タイプは硬化熱による熱変形や劣化が顕著に出ます。

*表面が複雑なもの→ゴジラのように、凹凸の多いものには引き裂き強度の高いもの。

*凹部、逆ハングの多い物→引っ張り強度の高い物。

*薄物→硬めのもの(型は薄くしすぎないように、最低5oずつは余裕が必要)

*ゴジラ→表面が複雑ですね

*飛行機→羽根が薄いっスね、精度も大事だし

*フィギュア→基本的にはシンプルです。ディティールが多い所だけ丈夫なやつ使えぱOKっす。




混合・攪拌時の注意

 説明書をよく読み、混合比は厳守。
 触媒を多く入れて急速硬化させる方法もあるんですが、いつの問にか型の『一部だけ』が変形してたり、固まらなかったり、混ぜてる問に固まったり、カチカチになったりと致命的なトラブルが結構多発(頻度はメーカーによってかなり違う)するので混合比はホント厳守。
 チューブ入りのタイプは別のところ(小皿とか)に一旦出して計量すると、何適目か数え間違えてもフォローが効くっス。

 定量を用意したらいよいよ混合・攪拌です。
 で、どんな容器を使ってます?ガラスはあとで硬化したゴムが取れないので×、
 ペットボトルを切ったモノは使えそうなんですが凸凹のところが混ざらないんでこれも×、
 食器は毒性云々で絶対×、
 で、結局、販売時の容器で直接(ロードシルのフタは文句無し)又は、理科学用品のポリビーカーに落ち着いています。

 ところが最近は100円ショップが宝の山です、台所関係のコーナーへGO!

 大量攪拌時の伏兵はポリの洗面器とバケツです。
 あと、攪拌棒ですが、棒よりも実はヘラ状の物の方が混ぜやすいです。個人的な一番は軸一体成型の料理用のゴムペラ(これが世間一般でメジャーなほうのスパチュラだったりする(笑)、次に30cmのアクリル定規、厚さが5o位あるやつです、他は適当に太い棒ですな。
 あ、ヘラでもパテナイフの様な柔らかすぎるのは良くないです。
 
 で、しっかりと混ざったら、そのまんま5分間ほったらかしにして(この間に流れにくい細かいディティールなどにたらしておきます)巻き込んだ空気を抜きます。

 エアーコンプレッサーをもっている人は、エアをジグザグにあてて気泡をトバすと早くていいです(ジグザグを深く切ると折りたたみでエアを包み込むんで気をつけてください)。
 エアを抜いたら次は全体に薄くかけて、ゴムで原型をかるく覆うようにしてください。
 覆ったら1分ほど待って、ある程度なじませます(この時点でヘアドライヤーの温風(つまりプラ板原型には使えません)で1面最大1分を目途にして温めてやると流動性が上がり気泡を抜きやすくなったり)。
 で、あとはエアを駆使して隅々までシリコンを押し広げて気泡を飛ばしてください(コンプレッサー無い人もガスブロアやエアダスターで代用してください、吹きつけの風圧と気圧差で気泡を割るのが常圧下では一番効率いいし、確実です)。


 次に全体を覆うわけですが、流し方の工夫で、ここでも巻き込んだ気泡を飛ばせます。
 方法は、コンデンスミルク(練乳だよ)をかけるときの様に、少しずつ、糸状に、途切れさせないように流す、と、いうこと。
 流す際の糸状になるそのときに、気泡が伸びて裂けるので、泡が減り、ゆっくり流すことで、残った泡が浮いてくる。と、いった具合です。
 あとは固まるまで待ちます。
 ここで、片面が硬化してから1日以上空けて2面目を流すと型のズレが出てきます。
 これは、硬化時の化学反応で生成されたアルコールが蒸発してその分僅かにゴムが縮むために起こる現象、これは縮重合タイプのゴムである以上防げません。
 時間配分を考えて、固まる頃にはお出掛けから帰っておいてください。


 ここで、シリコンの硬化に最適な環境を作ってやると、歪みや気泡の少ない型をごく短時間で固めることが出来ます。
 一般家庭では、食器乾燥機+塗れ布巾を併用すると良いでしょう。
 シリコンは硬化の際に水分を吸収して硬化します、その際に反応生成物としてアルコールが発生します。アルコールがゴム内で飽和状態になると硬化反応が阻害されます。
 このアルコールをゴム内から除去する為に熱と換気を与えます、好条件を作ってやれば、硬化時間が3〜6時間に短縮されます。
ちなみに熱自体はゴムの硬化にまったく影響を与えません、夏になるとゴムが早く固まるのは、じつは湿度が高いせいだったのです、その証拠に熱のみを与える為にタッパーなどの密閉容器にゴムを入れ、炎天下の屋外に放置して60℃くらいの熱を与えていても硬化には通常の時間がかかります。
以上の条件を踏まえて、塗れ布巾を型と一緒に食器乾燥機に入れて熱を加えてやると、塗れ布巾の湿気で硬化を促進させ、乾燥機の熱風でアルコールを蒸発させ、換気するのが条件としてほぼ完璧なものができることになります、冬場の場合はガス・石油ストーブで部屋を暖めてやれば同様の効果をえられます。


アルコールが良く抜けるならズレが出るはずだろーとの指摘がありましたが、2面目を流す時にも同じようにしてやると、熱膨張分だかなんだかでどういうわけかきれいな型に仕上がります(笑)。

 次の作業ができるくらいに固まったら、ここで、まずバックアップ板、石膏の裏打ち板を作ります。

 何でここで作っちゃうかと言いますと、反対側の面を流す段階ですでに型を歪めちゃってる場合がめっちゃ多いからです、てーか、クランピング以外の段差の原因はコレがほとんどですな。
 その為にも、ここで基礎平面を作っておく必要があるのです。
 まず、石膏を『正しく』練ります(石膏はいい加減に練ってもそこそこまで固まりますが、正しく練れば水気が飛んでカチカチに、短時問で固まります)。

 では、正しい練りかたの説明です。


 容器(専用の物が無ければペットボトルを切ったものや紙コップなどの使い捨て容器で代用)に、必要容量の6〜7割のきれいな水を入れます。

 次に『水を入れてから』石膏の粉末を水気が見えなくなるまで入れます。

 軽く混ぜて、マッ○シェイク位の粘り気になれば、1分間ほどかき混ぜてください。
 棒のあとがミゾになって残る様になったら、ゴムの上からゆすりながら流し込みます。

 全体に均一に行き渡ったら、5分くらいで熱くなるので冷めるまで待ちます、爪で弾いて カンカン♪ と、いい音がすれば硬化終了です。
 石膏板は固まっても2面目の出来上がりまで剥がさないでおきます、その方が歪みのない型が出来る為です。
 あとは自然乾燥させてください、加熱乾燥はもろくなるので×。
(裏技で、500ccの水に食塩を軽く1つまみ程溶かしたもので石膏を練ると硬化が劇的に早まります、ゆるめに練る時はおすすめ)


 石膏は化学反応時に水分を使用するので完全硬化に近ければ近いほど固く、乾いた物に仕上がります。


バックアップができたら次は粘土取りです。

 裏返して台敷きの紙を剥がし、枠板を『外さずに』粘土を剥がします。

 逆テーパ部や凹モールド部の取り残しには注意して、原型は剥がしてしまわないように注意(もし剥がれた場合はあきらめて再製作)。

 粘土を剥がし終えたら面を1時間くらい外気にさらして硬化させた後、対シリコン用の離型剤を、ゴム面全体に溜まりや塗り残しの無い様に塗り、乾かします。
 原型に付着した部分は全部ふきとります(着いたまま、ゴムを流すとワックスが付着したままの形の複製品ができる)。



 反対面も同様に、バックアップまで作ったら、いよいよ型を割ります。

 ワックスを離型剤に使った場合、ちょっと力を入れたらパカッと外れます、この時に先に剥がれたほうの型を量産時も先に剥がした方が良いでしょう。

 もし、原型に不備があり型を割れなかった場合(ファンド原型の仮り組み用のドリル穴や、ブラバン組み原型の貼り合わせのすきまにゴムが入って取れない等)原型かゴム型のどちらかを儀牲にすることになります、神頼み、合掌。



 注型回路作成

 型を割って、原型を取り出したら1時間ほど外気にさらして完全硬化させます。
 次に設計時の注型回路とできた型を照らし合わせて問題がないか確認をして(怪しい箇所が出て来たら再検討)切り出します。

 

 よーく切れる状態のカッターでVの字に切っていきます(切りすぎてYの字にならないように超注意)。
 けっこうすぐに刃がダメになるのでしょっちゅう交換しなきゃ段目です。
 使い捨てメス(模型転用品含む)があればそっちのほうがダンゼン良いです。
 が、新しく出たNTカッターもいいです。

 注意する点は型を合わせた時に切り口がピッタリとこう―◇―、斜め四角になるように位置・太さ・深さを両面共に合わせること。
 いいかげんな切りかただとその部分で気泡を発生させたり、流れなかったり、そこから型が裂けたりします。
 Point 注型回路の設計に慣れてきたら5ミリ径の丸棒で粘土埋めの時点でランナーを組んでおくとペストです、やっぱ丸棒が一番やね。



テスト注型の前に…


 回路が切れたらいよいよテストショットの注型ですが、その前に型のチェックをしてください。
 切りすぎて貫通しそうなところや、見るからにちぎれてしまいそうなところはありませんか?やばい所は事前に補強しておきましょう。

 そーゆー場合はバスコーク等のコーキング用シリコンで接着補強します。
 まず、離型剤等の油分を溶剤と石鹸で洗い流し、よーくよーく乾かします
 乾いたらコーキング剤を練り出して、爪楊枝で割れ目に少し多めに塗り込みます。
 で、はみでたものは、ひび割れの所をわずかに残して掻き取ります。
 そのままコーキング剤の指定の硬化時間まで安置しておきます、でも、厚さ1〜2ミリなら2時間も待てばOK。
 固まったら指で軽くこすって薄膜になっているところをこすり落とします。
 で、修理完了です。  あ、コーキング剤を買うときは、変成タイプ(色が塗れると書いてある=キャストが喰い付く)じゃないことを確認してください。

 Point この方法で、量産中にぶっこわれた型の補修もできますが、油取りと硬化待ちは手抜きせず十二分におこなってください。
注1 シリコンとキャストは染み込むものに付いちゃうともう取れません。服は汚れても平気なものを着用しよう。
注2 テーブル・床には新聞紙やゴミ袋などでカバーをかけましょう。ただ、新聞紙は上からこするとインクが移るので下にピクニックシートか何かを敷いたほうが良いでしょう。
家族は敵にしないほうがよかです



キャスト使用上の注意

 水分を吸収すると硬化時に発泡します(ちなみに発生するのは炭酸ガス)。
 蓋はすぐ閉めるようにして、使用時以外は外気に触れさせないようにしましょう。
 攪拌時の道具も割り著や紙コップ等水分を噛むものは使わずに、ポリ製や金属製のものを使うようにして事前に回避しましょう。
 あと、以外と気づかない所で、A液・B液を別々に計量している場合、カップに残った液が待ち時間に水分を吸っている事が結構多いです(解決法)
 また、日をあけて作業する場合はカップを完全に空にしておきましょう。
 攪拌用具は溶剤に浸けても大丈夫なものを使用してください(軽量はペットボトルでもいいですが、混合は凸凹の少ないポリ容器が無難、100均のタッパー容器なんかは全国どこでも手に入ると思うのでイイですな)。


 次に量による硬化時間の変化についてですが、少ない順に50g以下→500gまで→1kgまで→それ以上と、この4段階位で硬化速度が加速度的に早まります。
 メーカ提示の数値に最も近いのが100g〜500gの量なので、これを一般の平均値と考えて、50g以下はこの時間の大体5倍、1kgまでは平均値の半分、1kg以上だと2分の1から3分の1くらいまで、劇的に変化します。

 さらに温度差による変化も加わります。冬期の18度と夏期の30度の温度条件下では、冬期で50%程長くなり、夏期では30%程短くなります。
 ちなみにメーカー測定時の温度は24度前後だったはずです。
 つまり、良く取れば、大物は冬、小物は夏が作りやすい、悪く取れば、冬には小物は固まらず、夏の大物は混ぜてる間に固まる、と、いうことになります。
 これを回避する為、季節によってはゴム型の設計段階で形態・ディティール・流速・容量を考えて配置する必要があるわけです。



テスト注型


 注型を始める前に、テーブル・道具の防水、養生を確認します。
 ハカリもラップとアルミホイル&ポリ袋で包んでおきましょう。
 シリコン系の離型剤を使う場合、特に強制換気と床・家具のカバーに気を使うこと、床に付くとすっごく滑るので大変危険です。
 机の養生はキャンプ用品のアルミ箔の使い捨てヤキソバ用フライパンをお勧め、理由は見ればわかります。

 では、いよいよテスト注型です。まず、素のまま1回目の注型を行ないます。
 1回目はキャストの必要量が分からないので心持ち多めに注型します。
 硬化前に残ったキャストの量を控えて、ある程度の目安とします。
 固まったら、取り出しの際に引っ掛かる箇所・気泡のたまる所・流れが悪い所をチェックして、湯逃げ・空気抜き等を切り直します。

 傾向けたらなんとかなる場合は、傾けるときの湯の量・方向・角度等を石膏板に記入しておくと便利です。
石膏板以外でクランプしている場合はシリコン型の上面にボールペンでデータを書き、コーキング剤の透明なものを薄く塗ってコーティングすると良いでしょう。
テストを繰り返し、問題をクリアーできたらいよいよ量産です。



量産開始

 準備が終われはいよいよ量産です、テストのチェックにしたがって注型し、脱型時はゴムがちぎれないように気を払い、硬化物は変形しないように置く。
 離型剤は若干離して吹きつけ、結露しないように注意(夏場は特に)する。

 ゴム型の温度が高いと、型が熱で変形したり、硬化が異常に早まったりするので注意。
 と、あとは細かい注意を常に払っておけぱまあ問題ないでしょう。


 あとはあれだ、抜いたら即セットで小分けだな(笑)セット組みに時間を割くよりポリ袋必要セット数用意して抜いた端から分けておけば
いざセット組んだらパーツ足らんとかそもそも抜きの数足らんとかのトラブルを防げます。

 ★その他、型取りに関して読者より問い合わせがあったもので公開可能な回答に付いてはQ&Aコーナーに掲載してありますので
それも合わせてお読みいただくと良いでしょう。