ボークス透明シリコン 旭ワッカーと思ってたら信越製品、ボークス専売型番のようです
最近は専らこれ一本ですね、いつまで売り続けてくれるかがほぼ唯一の懸念事です、あ、硬化剤別売りがないのもあったかw
物性強度耐久性は万能トップクラス、収縮量が他に比して多め気配なので可動モデルには注意が必要かも。
透明であることのメリットは注型においてはあまり感じません、型にゴム流す際に気泡が残ってるとひと目でわかるのが最大のメリット、
ただそのメリットを活かすには脱泡設備が欲しい・・・最低限真空おひつは必要、計量後・混合撹拌後の2度泡抜きしてください。
この粘度だと脱泡できたものはドボっとひとかたまりで流し込む方が気泡を巻き込みません、
やってみれば一目瞭然ですが今までの常識だった糸のように流し込むのは逆効果になりますので注意しましょう、エア当てもかなり微妙です。
そして冬の硬化時間の長さには要注意・・・たっぷり加湿して2面流してめくるまで3日を覚悟せよ
※お手頃だったキロ3,360円から13年4月より3,980円に値上がり・・・アレか、褒めすぎたか
バイエル社
現在はGE東芝シリコーンの傘下
話によると美術用の転用ではなくGK用の独自開発品らしい、全体的に溶剤耐性が高い。
シロプレンRTV−2K
ゴムをくわえるようなモールドは苦手、シンプルなものには滅法強い。
平均的な使い勝手の良さと、2980円という安さとで急速に利用者が増えている製品、正直いうと、ほとんどの場合はこいつでいける。
硬さ・弾力・耐溶剤性は文句なし、特に耐溶剤性がよく、型が壊れるまで表面がカサカサになることが無い。
あえて難点をあげるなら、原型の凹部、シリコン型で凸部になるところが千切れ易いことと、脱型時にカドがあたって引っ掻くような場所も同様に削れ易いと言うことだろう(メカのフィン部・接合部のダボ・人形のワキや股間の隙間・引き抜いて外す部分のモールド等)
そういうところは後述の高強度ゴムを使うとして、実際はほとんどの原型で問題なく使えるだろう。
あと、ボディの強さも魅力的である、かなりきつくクランプしてもそこそこの変形ですむので結構気楽に使える。
便用上の注意として、触媒の混合率がシビアで型の持ちにずいぶん影響することがある。
少ないと2〜3日べとつき、多いと混合中に固まったり、カチカチのボロボロの型ができたりする。
作業可能時間は20分くらい、硬化時間は8〜12時間、泡抜けは良好、と。
新品でも主剤が透き通り気味のときはパウダー成分が沈んでいるので使用前には攪拌したほうがかなり良い
ロードシル社
ここもGE東芝シリコーンの傘下になったらしい…
白い大小のカップに青リングでお馴染みの、おフランスの会社ザンス。
最近体裁が変わって白い大カップ+キャタの小ビンのセットになりました、でも相変わらず便利なんよ、このカップ。
573番
特性はバイエルの2201とほぼ同等、ちぎやすいのも同様。
硬化時間は6時間程度とやや早目、キロ4300円
585番これも今無いみたい〜、と、思ったが、流通は兎も角モノ自体はまだありました。関東方面はハンズのどこかで入手可、多分渋谷かと…
ゴジラからメカ、フィギュアとなんでも使え、力技が効く超汎用型ゴム。店頭市販品ではほぼ最強の物性を誇る。
割れず・千切れず・削れずと、どんな扱いにでも壊れることなく耐えやがります。
粘度が高いので気泡の抜けが悪いものの、エアーで何とかできるレベルだし、温めてやれば作業時の粘度問題は気にしなくても良くなるしねー。
溶剤に余り強くはないのも離型剤を使えぱOK。
注型可能回数は40〜60回くらいと高い。お金に余裕があってちょっと複雑な原型だったら迷うことなくこれを買え!
とにかく型が千切れそうな原型のときはこれにしよう。粘土埋めの苦しみが1回で済むなら安いもんじゃないか。
キロ5800円
※旭化成ワッカーの半透明タイプ(M8520)はこれに結構近いです、半透明なので原型表面に残った気泡の除去がしやすいんですよ。
値段は585と同程度、何とか普及してほしいものです。
NEW 530番
最近まで533番だったものの改良版、バイエルの1406相当でちょっと柔らかめ。
硬化時間は12〜16時間とやや長め。
キロ2900円
信越シリコーン社
昔からおなじみのメーカー
1417番
KE-12、KE-17以来パッとした一般用グレードに恵まれなかった信越さんですが、コレが表に出てきたんで一変
物性は一般グレードのちょい上、独特の良い具合のモッチリ感と極上の溶剤耐性がウリですな。
ミョーなにおいとやはりきっかけが出来るとそこから裂けやすいのが難点ではありますが、フィギュアに使うにはまぁその心配はなく。
キャタにより硬度30と硬度40がありますが、30で十分ゆがまない硬さです。
限りなく業務用に近いグレードなので主剤の粘度が高く、温めてやらないと手流しでは卵付きの成型品になるので注意
それでも原型をきれいにして抜き方も安定させれば50以上のショットを安定して打てるってのはいいねぇ(テスト込みで65は安定かな)
硬化時間は可使レベルが約12時間、完全硬化は24〜30時間と安心できるまでは長め
(公式の深部硬化性良好で速硬化ってのは…逆ちゃうのか? 正直冬だと加温+加湿してやらんと24時間でも固まらないぞ)
キロ5500円前後、イベント直売以外安く買いにくいのも昔ながらやねぇ(^^ゞ
WFで安く買えたらコイツで型作り実践レポしようかな…とおもったが硬化遅いからなぁ、どうしようか。
ダウ コーニング社
業務用では昔からの定番メーカー
強度・溶剤耐性など品質面では一番安定(抜きあがり・寿命が読みやすい、の意味)しているメーカーではなかろうかと。
ポットライフが普通な割に完全硬化が早く、緊急時にはとってもありがたい性質です(条件によっては適正混合比でも4時間程度で硬化)
小売価格がどこも高いまんまだったので使うに使えずな状況でしたが、RCベルグさんが今時の価格で販売をはじめたので紹介〜。
8000番
他社のエントリークラスグレード、硬化の早さ・流動性・気泡の抜けはバツグン。
物性はややかなり硬め、引き裂きはきっかけのある部分はかなり弱い。
※以前はもっと硬いのもありましたが、最近の商品ではコレがおそらく一番硬い?
8600番
他社の高強度グレード、こちらも物性の割に硬化の早さ・流動性・気泡の抜けは8000程ではないもののバツグン。
物性はかなり柔らかめ、引き裂きに付いてはかなり耐えてくれるので少々荒い原型でもへっちゃら、
しかし、やわらか過ぎの嫌いがあるのでクランプは慎重に…
・・・・・・え?たいしてパッとしないじゃないかって?そりゃそうですよ
ダウについては実は上記の2種を状況に応じてブレンドして使うのがキモだったりするんですな、これが。
この組み合わせは、おおむね安定して50〜60ショットを抜ける上、同程度のショット数を取れるほかのゴムに比べると
圧倒的にゴム型が作りやすい、という利点があります。
欠点はとにかく1kg缶だと値段が高かったこと(笑…えなかったね、当時は)
更に、他のゴムに比べて比重が高いので1kgあたりの容量が80ccばかり少ないという追加攻撃もありー…
気になる混合比は〜
・平均的なモールドの原型の場合は8000と8600の5:5で強度と柔軟性のバランスを。
・くわえ込みや粗い面、逆テーパー、引き抜きなどがある原型には8000と8600の4:6でクランプつぶれを起こさず、かつ、粘り腰を。
・原型の形状が平易で精度を重視したい、もしくは大容積の原型でゴム型にたわみ変形などが起きそうな場合は8000と8600の6:4で硬さと引き裂き耐性を。
・・・と、いう混合比率が主。
当然、原型によってはこれ意外の比率で行う場合もありますので、そのあたりは流動的に。
強度は8600で、8000は硬度調整&コストダウンに使うっつーニュアンスだとわかりやすいかな?
混合についてはちょいとしたコツがありましてな、ざっと説明致しますと〜、
1.主剤は計量が難しいですがひとつの容器でどーっとまとめてしまってかまいません、が、先に攪拌しない方が良いと思います。
2.硬化剤は別々に計量して、混合前にかならず品番ごとの配合比が合っているかを確認すること、逆になってたら泣けますんで。
3.硬化剤の投入はペースト状(8000番)のものを先に軽く混ぜてなじませ、それから液体(8600番)を混ぜること。
先に液体を入れる、もしくは同時に混ぜるとペーストが浮いてしまってなっかなか混ざらないのですわ…
こんなかんじー、あと、主剤混合以後の作業は迅速に。
なお、コレ以外のくみ合わせ、特にメーカー違いの場合はブレンドしてもおおむね硬化しないと思っておいた方がよろしいです、
聞いた事のない組み合わせは事前にテストしないと翌日に泣きながら原型にブレークリーンかけて洗ってることになると思います。
・・・・・・ブレークリーンで未硬化のシリコンの大多数が洗い流せるって話はしたっけか??
3498番
ベルグ独自品?8600と同等な感じがします
扱い方も同様でよろしいかと
戎堂式型取り量産講座
=はじめに=
型抜きに失敗したときのデータを残しておき、失敗の原因が原型側か、型の設計が、型の製作か、量産工程かを記録・解析・分類をし、以後の製作に役立てることで、無駄な時間・金・気力の浪費を減らし、かつ、複製製品の品質を向上させ、キット購買者の無駄手間を省き、製作意欲に水を差さず、次回購入時の安心感を与える事……によって、売る方も買う方もみんなでしあわせになろうよという趣旨でスタートした企画であり、私の失敗の記録を僅かでも皆さんの役に立てて頂こうとするものが本サイトの目的であります。
もっとも、私自身、一般的な作業の手引きはモデルグラフィックスの特集(67〜70号)や、ホビージャパンのプラモ大好きで学んだうえでスタートしたものですし、通常の作業を行なう分にはこれらの本を読めば大慨のことはこなせる様になれるでしょう。
と、いうわけで、ここで紹介する手段は、ある程度は量産経験がある人を対象にしたステップアップ講座(但し、ほとんど変化球や反則技の2択ですが…)に絞らせていただきました(時間もあれへんし)。
まあ、版を重ねる内、どない転ぶかは知ったこっちゃあれへんちゅーて、えーかげんなのは、ま、ご愛嬌。
では、はじまりはじまりー 。
でわ、まずはお勧め材料・道工具紹介からいきましょうか。
I.粘土埋め編 スパチュラ・粘土へら
面ならし用>>>>スプーン型・葉っぱ型・竹べら・指
パーティングライン用>>>>葉っぱ型、小・鈎型・削った割り箸・爪楊枝
ちなみに芸人の場合、パーティングライン周辺はほとんどコレ一本
Point 面ならし用は力強く、ダイナミックな作業に耐えられる強靱なものを、パーティングライン用は、繊細に思い通りの作業が出来る形で、かつ、原型に傷を付けないギリギリの鋭さを持ったものをチョイスする。
Point 粘土面がそのままシリコンの合わせ面及び、パーティングラインになります。
従って、面の処理が荒いとキャスト漏れが、構成が甘かったり、雑だったりすると型ズレが、パーティングラインがいいかげんだとゴム型の断裂、湯流れ不良、バリの発生等が起きます。
原型の詰めこみ過ぎや合わせ目の面積が少なすぎると全部のトラブルが降ってきます。
II.2面型製作時の原型埋め用油粘土
これはもうボークスなどで売ってるほいくねんどが一番でしょう。
柔らかさよし、作業性よし、原型離れよし、ゴム離れよし、耐久性よしといった具合で、もー他のヤツ便えねーっス。
ちなみに粘土とゴムの相性が悪かった場合、粘土の油分がゴムに吸われて固まって、ゴムから剥がれなくなったり、逆に、シリコンオイルで粘土がズルズルのドロドロに溶けてしまったり、温度によって固すぎたり柔らかすぎたり等、思い出すのも嫌なトラブルが出てきます。
しかも、今まで何の問題もなく使えたのにゴムを替えた途端ダメ状態になったりすることもあるんです。
でも、この粘土は今の所国内外問わず、どの型取り用シリコンでも安定して使えるのでイチ押しです。と、いうか、これしか使ってないです。
ちなみにこの段階でフッ素系離型剤を吹いてからゴムを流せば粘土がむっちゃ剥がしやすくなります、その代わり、小さいパーツはシリコンからはがれやすくなり、粘土はがしのときにポロっとはずれちゃったりするのでソラマメより小さい部品には掛からないようにした方が良いです。
III.シリコン対シリコン用離型分離材
原型に対する浸食度の小ささと抜群の型離れの良さ、取り扱いの簡便さで『リンレイワックスブルーシリコーン・バリヤー』がおすすめ。
普通に使えば1缶で一生もつんじゃないかと思うくらいののびのよさで、薄塗りでも十分な効果を発揮、溶剤も弱いので塗装原型もそんなに影響を受けない。床用ワックスのコーナーで購入。
500g入り缶1本あれば十分です、薄塗りするために別容器に移し湯煎してしゃぶしゃぶに溶かしてから使うと大吉、特に冬は必須。
ただ、MMFのぬいたろうって離型剤が無茶苦茶使い易いのでワックスもほとんど使わなくなるであろー、とおもったが、やっぱりワックスの方が確実なんだな〜、ふぅ。
IV.型枠板
1辺が20センチを超えないのであれぱ1.2ミリ厚の白色ブラバンがおすすめ。
ざらざらの面を内側、ゴムを流し込むほうに向けて組むと、出来あがった型が作業台にピッタリとくっつかない型に仕上がります。
たわまないようにヒモや布粘着テープの細切り等で十字の桁を渡しておくのも予防としてはGOOD。
細長い型や、容量の大きな型を作る場合はブラバン組みだとゴムの重みに負けてたわんでしまい、そこからゴムが流れて漏れるんで、そういう場合は5〜7ミリ厚のベニヤ合板を使います。
ノコで正確に切り分けて、ゴムと接する所はワックスを塗っておきます。
型枠の角を止めるときは、粘着力の強さ、信頼性、作業性の良さ、剥がしやすさから、布粘着テープを使います。
ただし、1巻98円とかの安物は絶対使っちゃだめ、1時間後に剥がれてたりするので、ここは高くてもニチバンとかの有名メーカー品を使うように。
コレ重要
2面目を流す前に1面目の型枠を剥がしてしまうと
ほぼ確実に歪んだ不良型が出来ちゃいます、合掌
V.バックアップ用の石膏
美術用の一番安い(1キロ200〜300円)の物でOK、ちゃんと指定の混水量で混ぜてつくること。
流しにくいからって柔らかく練ると、残った水分で発泡したり、すぐ割れたりするよ、後から作り直してもピッタリ合う押さえ板にはなんないよ。
キロ500円位の石膏なら、重量比で石膏6:水4くらいの割合がこの場合の適量です。
ばっちりの混合比で混ぜ合わせるとさすがに流せなくなるんで若干ゆるめの練りですが、それでも注ぐだけで流れるようではあきまへん、んだば、ソフビとかの筒状の口の狭いところ→主に脚の部分などの場合、どうやって流し込むかというと、遠心力と液状化現象を利用します。
遠心力>>>スプーン、ヘラなどで筒の口に空気抜きの穴を残し(ストローを刺しておく方法もある)たまま石膏を詰め込み、一杯になったところで筒を勢いよく振って石膏を打ち込みます(部屋で作業する際は袋に入れたほうがよかろー)。この方法はおおざっぱですし、筒の先が曲がっていたりすると空洞が残ります。でもタダです。
液状化現象>>>難しい事はさておいて、水に溶けない粉末を含んだ泥(スラリー)に振動を与えると泥が液体のように流動性を持つようになる現象を利用した方法で、石膏を流し込む方法です。
アンマ用の電動マッサージャー等の強力なバイブレーターを使います、が、100円ショップの奴はパワー不足です。
流し込む対象と石膏カップに振動を与えると、石膏がトロトロになるのでそのまま流し込みます、先が曲がっているところは石膏を水と思って傾けてしまえば空気が抜けます。
さしあたって、石膏が振動で結構はねるので、アンマ機は袋詰めに、テーブルには新聞紙を敷いておいたほうがよろしいでしょう。
VI.ウレタン樹脂
品質の安定性で見るならやっぱりまだまだハイキャストかなあ、まあ最近は昔ほどひどいのは見ないから、何をウリにしてるかでメー力ーを選んでもいいでしょう。
物自体で注意しなきゃならんのは、とにかく古い物はよくないって事(特にB液)と、蓋を開けたらすぐ閉めて湿気にさらさないって事、極端な温度変化のある場所におかないこと、混ぜムラを出さない事(特に混い色の物)くらい…かな。
あと、夏場なんかは暑さですぐ固まるからって、手流しの場合は冷蔵庫で冷やしてはイケマセン、缶の中でも汗かいて、全部お釈迦になりまス(ただし、一遍に2キロくらい使うような大物の時は有効、それでも1回分ずつ小分けにしておかねばなりませんが…、まあ、最後の手段の1つとして覚えておく位でイイです、そんな無茶しないような型を作るほうが現実的な解法なんで)。
↑もし、蛇ノ目の真空注型機で抜くのなら、ポットライフ延長の方法としては有効…一応ね。
最近出てきたノンキシレンタイプのキャストについて・・・
よーするに成分を割る溶剤がキシレン(臭いがキツイ・型を痛めやすい)から、ナフサ(ニオイはマイルド?・型に優しいらしい)になっただけ。
確かに短期集中大量生産時の型表面の膨張は減りそうですが、コレって最近激安シリコンを使う割合が増えてるからって言う理由っぽいなぁ…
個人的にはこんな危険物のニオイ少なくしてどーするよ?とも思いますが…、アレルギーの主原因はウレタンの成分そのものだしね。
おすすめは、準備万端で慣れてはいるけどあのニオイだけはど〜も…とか、かぶれの被害を少しでも抑えたい、という人向けかな?
決して換気を手抜きするためではないのでそこんとこ注意だわさ
物性
原液に付いては少し粘り気が増えるので流しにくくなります。
出来あがりの収縮が少ないという意見がありますが、溶剤の混合量はキシレンタイプとほとんど同じです、
蒸発速度が緩やかなだけなので、最終的に溶剤が抜けきれば同じ所まで縮みます。
↑痩せ易い部分に変化があるそうなので、可動メカ等収縮について特に注意をしている人はデータ収集しなおし?
VII.シリコン⇔ウレタン用離型分離剤
フロン規制前はイイのがあったんですがねーな〜んてしみじみこいてもしょうがない。
おおきくわけて2種類、シリコン系とフッ素系があります、GK業界では梨地製造剤のよーなものだったパラフィン系はほぼ絶滅した模様。
んで、おすすめはフッ素系。少量で十分効果があるうえに膜が薄いので原型の再現性が抜群、おまけに落ちやすい。
シリコン系は粒がでかく、生ガスが離型剤に溶けたまま出てくるので、型が冷えちゃって汗をかいて、その水分で発泡するという悲しいことが良く起きます。
生ガスに付いてはドライヤーとかで乾かしゃすむんだが、めんどーだし、離型剤成分はキャストに染み込んであとから沸いてきやがるし。
と、いう訳で、フッ素系。高いけど。
コレに付いてはムービー置きましたんで、使用量の目安にでもしてください。
作業手順(写真追加)
まず、ゴム型のサイズ、原型の配置や向きを決定するために、紙の上に原型を置き、型のクランプ部分の予約・壁の厚さ・湯口、湯逃げの設計を行ないます。
その際、上からだけでなく、横方向からも3次元的にチェックすることが重要です。
ここで重要な点は『厚さ方向にダイナミックな起伏を作らない』ということです。
合わせ面の起伏、特に、斜めの面が多いと、クランプ時にはピッタリと合っているようでも、湯を流した段階で、湯が潤滑剤の役目をして型がズレることが多々あります。
これを避けるためには、粘土埋め段階で合わせ面を可能な限り平面にする、起伏は大きな階段状に作り、一段ごとに必ずダボを掘る、という処理が効果的です。
次に外壁の厚さですが、外壁に一番近いゴム型の注型部分の原型の厚みよりも厚く取れれば変形はそう起きないでしょう。
最小は5ミリから、最大は3センチ位を目安にして下さい。3センチもあれば大概の圧力は吸収できます。
外壁が極端に薄いとクランプ方向に変形したり、湯漏れが起きたりします。ちなみに、どちらも致命的な失敗につながります。
次は、回路設計とダボ打ちです、注型回路は紙上の設計段階で、ほぼ完成状態まで考えておいて、粘土埋めが済んだ段階で、起伏を考慮した上で粘土の上に切り取りラインを記入、または、ランナーを埋めていくと良いでしょう。
この設計を怠ると、注型時に必要な流速を確保出来なかったり、回路自体が作れなかったりしますので、これも致命的欠陥に繋がります。
この注型回路を組む際、注型時に天井側になる面の外壁をわざと余分目(合計4センチ位)にしておいて、排出口にプールを作り、注入時に巻き込んだ気泡をプールに押し出す脱泡方法をとることもあります(傾けたり、揺すったりできない型や、薄モノ、細モノ等にポンプ法で注型する場合にプールを使います)。
次に、ダボですが、経験上直径7〜10ミリ、深さ5〜8ミリの壁付の四角錐、又は、円錐の、先端を飛ばして平らにしたものを、5ミリ間隔で打った場合にかなり有効に機能していると感じます、球形の物は丁度半分になるように仕込んでください。
逆テーパーのダボは、一見した所はしっかり保持しそうな見た目ですが、実際は合わせる際にゆがんだまま引っ掛かってたりして泣くことが多かったです(やっとるんやん)。
なお、掘りダボと盛りダボのどちらでも大して結果は変わりませんが、掘りダボのほうがラクだと思います。
上記のポンプ法についてですが、薄いものや細長いもの(羽根や剣など)を抜くときに、複製品の3〜5割(旧表記5〜8割)の容量のきれいな丸棒をアンダーゲート法の湯口に使い、湯を流し、ゲートにいっぱいになった時点でゲートと同径の棒で注射器の要領でゆっくりとプールに溢れるまで押し込んでゆき、溢れさせてから、圧力を逃がすためにポンプを少し引き戻します。
この方法で、湯の粘りに負けて流れていかないところに強制的に流し込むわけです。
ポンプ法の注意点は、強引に押し込まない(バリ・ズレの発生原因)、最後に圧力を逃がすのを忘れない(圧力をかけたまま固めると後々ひどく変形する)、ゲート棒付近の壁を厚めにする(圧力で液漏れを起こす、1センチ以上が目安)の、以上3点です。
あと、ポンプ法を使わないといけない様な原型は、普通に流す型とは分けて作っておく事。
それと 1回分の湯の量が多すぎたり(500g以上)、少なすぎたり(30g以下)だと、失敗することが多いです。
パーツごとの注型方法・分割線の設定・型埋め時の向きを決めたら、次は型の枠内にどのパーツをどれだけ配置するかを検討します。
まず、同じ型の中には同じようなサイズ・ディティールをしたパーツを揃える様にします。
これは、湯の固まりかたの違いからくる要素です。
大小のパーツを同じ型で流す場合、発熱量や連鎖反応などの具合で大きなパーツから先に固まり、小さなパーツはそれよりずいぶん後に固まることになります。
ワンオフの場合は特に問題ないのですが、型をはがせるのが全部のパーツ(小パーツ)が固まってからになるので、その間、大パーツは硬化熱とガスを出しながら、固まっているにも関わらず型から取り出せない、と、いう事になり、型にずいぶん負担がかかります。
量産用型がこんな型だとすぐに型の変形や破損が起きて型の作り直しを迫られます。
この例は、トゲやバーニアノズル、ウイングや指、ペルト、はねた髪の毛などの細かいディティールが大きなパーツに直接付いている場合も小パーツ+大パーツの時と同様に考えておくこと。
やむをえず、そんな型を作らざるを得なかった場合はゴム型全体を40〜60度に暖めておく事である程度なんとかなりますが、あまりおすすめできません(暖めること自体は収縮を防ぐためにも良いのですが、型の製作時、ゴム中に泡を巻き込んでいると泡の中の空気が熱で膨らんでその部分が泡の形に凹むので個人レベルではちょっと…ね)
んで、量産時の暖めかたですが、 ファンヒーターで温める、こたつの中に入れる、食器乾燥器をつかう、等の方法で…、ドライヤーやストーブは表面ばかり熱くなって型が反ったり、熱すぎて焼けたりする場合が多いので超要注意っス。
材料の無駄を無くすこともできます。
厚モノと薄モノ・縦モノと横モノを同型に並べて横から見てください、はい、もうおわかりですね、薄モノの上のゴム、むっちゃムダでしょ。
あと、失敗が多そうなパーツは別の型に分けるか同じ型に入れる場合でも独立して注型できるようにしておきましょう。
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<悪例>
注型口1ヶ所のみ、全5パーツの型の内、1パーツが2分の1の確率で失敗する型を作ってしまいましたとしましょう。
余ったシリコンは無し、明日がイベントだったりした時、予定数を揃えるためには、その1パーツの為に、4パーツを無駄にした量産を数がそろうまで繰り返さねぱなりません、数によってはその途中で型が壊れてしまうかもしれないでしょう。もっとひどい場合、その1パーツが全パーツを台無しにしてしまう事もあるでしょう。
こんなことにならないために、1枚の型に入れる原型はなるべく平均的な形状で揃えたほうが良いです。
あと、数と容量もほどほどにしておいたほうがいいです。必ずどこかにしわ寄せが行って作り手かお客さんのどっちかが泣くことになりますから(1枚で10パーツの入れればどこかに大きな気泡が残ったり、ひどくズレたりします。とか、1回の注型量1.5kgとかだと注型途中で固まります)。