(2002年5月〜8月)
Sorry,Japanese Only.



8月29日(木)
宮城県栗原郡高清水町・迫屋酒造店
「純米吟醸酒 桂泉(けいせん) 阿佐緒(あさお)」
 とてもなめらかで、味に広がりがある。香りは穏やかだが、キラリとした優しいだけではない主張がある。高精米歩合(50%)なのだが、使用米のひとめぼれの性格のためか、ひ弱さを感じない。蔵の技術の高さを実感するとともに、ひとめぼれのおもしろさを再確認させられる。全体の印象は、澄んだ水といった感じがする。


8月26日(月)
福島県郡山市・仁井田本家
「純米原酒 鳳金寶(おおとりきんぽう) 自然酒」
 野趣に富んでいるというか、色沢といい、味といい、とても自然な力強さが感じられる。濃醇で、ほどよい甘さが舌にからんでくる。もちろん酒に変わりはないのだが、滋味あふれる身体によい飲み物を飲んでいるような感じがする。淡麗な味に慣れてしまった酒飲みならば、この味がなんとなく懐かしい味に思えてくるかもしれない。時々、飲みたくなる味、そして、忘れてはいけない味だと思う。


8月19日(月)
山形県新庄市・最上川酒造
「純米酒 最上川(もがみがわ)」
 純米酒らしい香り。飾りのない米の味が、しみじみとしており、なんとなく、ひなびた雰囲気が感じられる。派手なところはないものの、米と水だけで造られたという純粋さが伝わってきて、うれしくなる。日本酒の種類は様々だが、この酒に関していえば、奇をてらわないオーソドックスな純米酒だからこそ、安心して心地よく飲めるのかもしれない。


8月13日(火)
山形県東置賜郡高畠町・米鶴酒造
「純米吟醸酒 うきたむ」
 ほどよく枯れた感じがする。辛さの中に苦み渋みがあり、高精米歩合とはいえ、すっきりしすぎず、米の旨味が味に奥行きをつくりだしており、とても飲みごたえがある。もちろん、このまま(?)でも美味しいが、何年か寝かせたら、どんな味になるのだろう、と思わせるような単調ではない味わいがある酒。


8月8日(木)
山口県岩国市・酒井酒造
「純米生 五橋(ごきょう)」
 まろやかで優しく、味のバランスが良い。生のフレッシュな香りのなかに、米の旨味がとけこんでいる。美味しい酒の条件が、過不足なく備わっているというか、それらの全てがあって当然といわんばかりに、さりげなく伝わってくる。軽やかでありながら、落ち着いた雰囲気があり、不思議な感じがする。暑い時期だからというわけではないが、冷やして飲むと、とてもいい感じがする。


8月4日(日)
宮城県黒川郡富谷町・内ケ崎酒造店
「本醸造原酒 鳳陽(ほうよう) ひや」
 さすがに原酒だけあって、インパクトが強いが、適度に熟成が進んでおり、少し丸みがかった味がある。強さの中にも鳳陽さんの酒らしく、独特の透明感があり、はっとさせられる。味わうことに集中していると、なんとなく暑さを忘れてしまうから不思議である。暑い日が続いて、冷たいビールの類ばかり飲んでいるうちに、身体がだるくなってきたので、シャキッとさせるために暑気払いの意味で、この酒を選びました。



7月21日(日)
千葉県佐倉市・旭鶴
「純米吟醸酒 旭鶴(あさひづる)」
 ほどよい吟醸香から、味は繊細かな?と妙な先入観を抱いてしまうが、口に含むと米の旨味がじんわりと広がって、さわやかな力強さが伝わってくる。やや辛口の味が、全体を引き締めており、柔軟であるがしっかりした酒という印象をうける。千葉の酒ということで、独特の雰囲気が感じられるのもおもしろい。
 冷やすと味が冴えるような気がする。


7月13日(土)
秋田県仙北郡神岡町・福乃友酒造
「純米吟醸酒 生酒 春うさぎ」
 発泡のにごり酒なのだが、栓を開けたとたん、勢いよく発泡して、瓶の外まであふれ出すすごさ。今まで飲んだ発泡のあるにごり酒の中で、一番すごい。そのインパクトだけでも、この酒を語る価値がある。香りと味は、たしかに吟醸酒らしい佇まいがあり、もろみの粒が残っていて、適度なアクセントになっている。単なるにごり酒にとどまらない、おもしろい味わいがある。


7月8日(月)
福島県喜多方市・大和川酒造店
「大和川 純米吟醸 鑑評会出品酒」
 華やかな香りの中に、山廃の酒のような香りも感じ取れる。かすかにオリが入っているところに飲み心がそそられる。酒米を45%まで磨いているとは思えないほどの力強さと味の豊かさがあり、一口飲むたびに、「うーん」と、うなってしまう。鑑評会の出品酒ということは、蔵の思い入れが相当に詰まっていることでもあり、そのひとつとして、地元産の米を使っていることからも、その気持ちうかがえる。個性的な味からは、酒の強い自己主張が伝わってきて、「力作」という感じがする。


7月5日(金)
京都府与謝郡伊根町・向井酒造
「赤米酒 伊根満開(いねまんかい)」
 古代米(赤米)で造られた純米酒。ピンクがかった赤い色沢と酸味が強くほのかに甘い味は、まるでロゼワイン?と錯覚するほどだが、よく味わうと、やっぱり後味は日本酒らしい。女性を意識したのかな?とも感じるが、アルコール度数が一般的な日本酒と変わらないので、それ相応に酔える。酒が好きな人であれば、こだわりなくこの美味しさが理解できると思う。
 食前酒なんかにとても良いかもしれない。


7月4日(木)
宮城県登米郡石越町・石越醸造
「本醸造 澤乃泉(さわのいずみ)」
 味の力強さと幅の広さは、さすがという感じがする。
 どんなシチュエーションでも、たとえば、一人で静かに飲んでも、大勢でがやがや飲んでも、ちっぽけな肴でも、豪勢な料理でも、この酒だけは超然としているというか、常に同じスタンスで接してくれるおおらかさを持っていると思う。流行に左右されず、常に質の高さを保ちつつ、信念をもって造らている酒という思いを抱かせる。


7月1日(月)
岩手県二戸市・南部美人
「純米酒 南部美人(なんぶびじん)」
 米の芳ばしい良い香りと、ふっくらした味は、まさに純米酒。きれいで整った味の中に、豊かな広がりがあり、比較的、味の濃い料理にも負けない柱の強さが感じられる。色づいた自然な色沢も良い。しっかりした味があるからこそ、この酒だけを味わうも良し、料理と一緒に楽しむも良し、とてもオールマイティな酒だと思う。



6月28日(金)
京都府与謝郡伊根町・向井酒造
「純米酒 京の春 竜宮歓待酒」
 独特の酸味を感じるが、すぐに辛口の後味に変わっていく。米の旨味はあるのに、くどさがないのは、使用米の「祝」の特性なのだろうか?飲み口と後味が、まるで別の酒を飲んでいるような感じがする。どこかしら控えめな印象があるものの、主張するところは、あいまいにしないといった明確さがある。何よりもネーミングがおもしろい。
 タイやヒラメの舞い踊りならぬ、お造りかなにかと、この酒で歓待されたら、酒飲みであれば、誰でも幸せな気分になれると思います。


6月24日(月)
福島県喜多方市・大和川酒造店
「大和川 吟醸生無濾過」
 美山錦を50%まで磨いて仕込まれただけあって、とてもきれいな香りがあり、澄んだ味がする。のど越しが良く、生のフレッシュな感じと米の持つ旨味が、ほどよくバランスを保っており、まろやかな味わいになっている。 飲み飽きしないのは、やはりなんといっても水の良さのたまものだろう。すーっと入ってきて、いくらでも飲めそうだ。
 大和川さんの酒らしく、包み隠さない潔さもあって、とてもおいしいです。


6月22日(土)
秋田県仙北郡神岡町・福乃友酒造
「純米吟醸酒 無調整 生酒 冬樹(ふゆき)」
 どちらかと言えば、例年よりも辛い感じがする。伝わってくる魅力は多いのだが、なによりも、この酒にしかない独特の味わいがあり、他のどの酒にも似ていないという意味での圧倒的な存在感は、あいかわらずである。
 今年の出来具合は、どうかな?と、気になってしまう酒のひとつであるだけに、つい思い入れを抱いてしまう。ちょっと気が早いかもしれないが、来年も楽しみです。


6月14日(金)
山形県寒河江市・月山酒造
「純米酒 棚田の郷(たなだのさと)」
 しっかりとした米の味の中に、ひなびた雰囲気がある。同県山辺町大蕨地区の米を酒米としているとのこと、実は、美しい風景として知られいるこの地区の棚田を、以前から一度実際に見てみたいと思っていただのだが、その田で育まれた米で醸された酒を味わう機会にめぐまれるとは…。なんとなく日なたのにおいがする心安らぐ味は、まだ目にしたことがない美しい棚田の風景を充分に想像させる。いつかは、訪れてみたいです。


6月11日(火)
宮城県南郷町・川敬商店
「本醸造 黄金澤 蔵出し」
 きどったところがなく、快活な雰囲気がある。辛口で軽やかな味わいの中に、米の旨味が感じられて、蜂蜜を舐めた時のような(?)後味がある。全体から伝わってくる日本酒然としたところも、とても良いと思う。昼間からお茶代わりに飲んで、難しい話題ではなく、世間話に興じたくなる。
おいしいです。


6月9日(日)
福島県喜多方市・大和川酒造店
「本醸造 超辛口生」
「超」がつくだけあって、かなり辛い。おおげさに言えば、辛いものを食べた時のようなヒリヒリとした感じさえする。本当に辛い。それにもかかわらず、生酒のすがすがしさが違和感なく伝わってくるから不思議である。どこまで突っ走るかわからないくらいの辛さを優しくなだめるような香りのやわらかさもあり、独特の辛口酒となっている。
 本当に辛い酒を飲みたい人は、おすすめかもしれない。


6月3日(月)
山形県南陽市・山栄遠藤酒造店
「純米酒 東の麓(あずまのふもと)」
 飴色の色沢が良い。すっきりしとした辛口の飲み口と後味に残るかすかな酸味が効いている。派手なところはないものの、酒としての力強さは申し分なく、実直でぼく訥な雰囲気がある。蔵元がある地元で買ったのだが、緑あふれる山の麓の町並みがとてもしみじみしており、この酒には、その佇まいどおりのイメージが備わっているような気がする。地酒としてのあたたかさが、じんわりと伝わってくる酒です。



5月31日(木)
島根県邇摩郡温泉津町・若林酒造
「開春 米の雫 純米無濾過生原酒」
 繊細だが、頼りないという感じはない。豊かな味の広がりがあり、深い余韻がすばらしい。まさに米の旨味を凝縮した雫を味わっている感じがする。やや高めのアルコール度数が、心地良い酔いを誘ってくれるような気がする。一滴も無駄にすることなく、肴を何もつままずにじっくりとこの酒の味だけを楽しみたくなる。
 すばらしい酒だと思います。


5月28日(火)
鳥取県気高郡青谷町・西本酒造場
「純米酒 笑(えみ)」
 純米酒らしく、しっかりした米の旨味と芳ばしい香りがある。まろやかな中にも、かすかな苦みがアクセントになっている。酒の個性をより明確にするもののひとつに、仕込水があると思うが、この酒も清々しい水の心地よさがあるゆえに、飲み飽きしない味になっているのかもしれない。
 酒造りに女性の蔵人が参加しているという先入観にとらわれたくはないが、全体に通じる雰囲気がとても優しい酒だと思う。


5月26日(日)
福島県喜多方市・大和川酒造店
「大和川 純米生無濾過」
 大和川さんの酒らしく、持ち味がストレートに伝わってくる。キラキラとした印象と米の微妙な味わいは、まさに「きれいすぎない味の純米の生酒」という感じ。包み隠すことは何もないといった潔さがある。水の良さは言うまでもなく、すーっと入ってくる酒。
 おいしいです。


5月21日(火)
高知県土佐市・亀泉酒造
「本醸造 亀泉」
 何も知らされないで飲んだら、吟醸酒?と思ってしまうくらいの香りがある。米の旨味が強いが、くどさはなく、柔らかな口当たりから感じられる洗練された味わいは、とても心地よい。ほどよい苦みを軸にした味には、本醸造の枠にとらわれない幅の広さが感じられる。
 すばらしい酒だと思います。


5月19日(日)
秋田県仙北郡神岡町・福乃友酒造
「純米吟醸酒 神宮寺(じんぐうじ)」
 甘く感じる香りが独特。柔らかだが、はっきりとした輪郭をもった味は、とても深くかつ落ち着いており、口に含んで味わっていると、森の中のしんとした空気を深呼吸しているような感じがしてくる。酒自体が、超然としているというか、どっしりとした存在感があり、とても完成度が高い酒だと思う。


5月15日(水)
宮城県古川市・橋平酒造店
「ササニシキ特別純米酒(生) 玉の緒 生粋」
 生酒の清々しい香りが良い。飲み口はスッキリしていながらも、米の旨味は充分にあり、ほどよい苦味、渋味がアクセントになっている。軽やかさのなかにも、適度な重さがあり、単調ではない味わいが感じられる。しっかりとした味わいでありながら、繊細さも兼ね備えているササニシキの持ち味が、十分に味わえる。飯米としてのササニシキが、ここまできれいな酒に変わってしまうのだから、おもしろいと思う。


5月12日(日)
岩手県二戸市・南部美人
「南部美人 上撰」
 どのような種類の酒であれ、蔵に携わる人々が、精魂込めて醸した酒であるならば、飲み手に伝わってくるものが相応にあると思うが、この酒もその類にもれない独特の持ち味があると思う。特定名称を冠してはいないものの、なめらか、かつ、しっかりした味からもたらされる飲み心地は、酒質の高さを十分に表わしている。妥協しない酒造りのなかに、良い酒を手頃な価格で提供したいという蔵元の姿勢が感じられて、とてもうれしい。美味しい酒だと思います。


5月6日(月)
福島県喜多方市・夢心酒造
「大吟醸 夢心(ゆめごころ)」
 透明感のある洗練された味わいのなかに、つつましさ、しとやかさがあるというか、優しく穏やかな印象が感じられる。とてもきれいな味がするのは、水の良さのなせる技であろう。地の米と良い水、それに蔵人の力が加わって大切に造られた酒といった感じがする。
「夢心」のネーミングも造り手の気持が、伝わってくるようで、かなり良いと思う。


5月4日(土)
岩手県一関市・両磐酒造
「特別純米酒 蘭のしずく」
 つややかな色沢とやわらかな口当たりがよい。甘さと辛さのバランスが整っており、米の旨味とコクは、まぎれもなく純米酒。どこかしら枯れた味わいがあり、苔むした古刹のような雰囲気が感じられる。腰を据えてじっくりと飲みたくなる酒。


5月2日(木)
福島県喜多方市・大和川酒造店
「カスモチ原酒 弥右衛門酒生」
 日本酒度が、マイナス18と聞いただけで、どれほど甘口の酒?と、想像してしまうが、飲んでみると、意外にスッキリしている。生原酒なので、相応の重々しさはあるものの、トゲトゲしておらず、とてもまろやかで、仕込水の良さがよくわかる。穏やかな雰囲気のなかにも、十分な力強さがあり、比較的しっかりした味付けの料理に合うような気がする。




みねがとおります