高校の部(前半)





1中国広島県鈴峯女子高等学校/宇根岡俊二
銀賞

4/交響詩「ローマの祭」より 五十年祭、主顕祭 (O.レスピーギ/仲田 守)

サウンドは悪くないのですが、ブレンドがもう一つという感じ。マーチではパーカッションがノリきれていなく、テンポが決まりませんでした。各奏者のテンポ感があっていないようでした。また、シンバルの音はこのマーチには違和感がありました。
「ローマの祭」では、コンクールでは珍しい「五十年祭」が聞けて楽しめました。どのパートもよく吹けているんですが、ソロのピッチがフラット気味で残念でした。またTrpのソロは全て二本重ねて演奏しており、魅力半減といった感じです。7年ぶり2回目の出場です。




2四国高知県県立岡豊高等学校/秋津 守
銅賞

2/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」 (R.シュトラウス/齋藤 淳)

岡豊は「おこう」と読むそうです。
レディアントはテンポが速すぎました。そのためか音が不鮮明で、雑な印象を受けました。Trpソロは緊張したのでしょうか残念。サウンドが薄く、ピッチの悪さも露呈。ティルはホルン3人でよく吹きましたが、全体的に整理されてなくこの曲の魅力を引き出すまではいかなかったようです。しかしながら、四国からは久しぶりの初出場、おめでとうございます。




3北海道北海道旭川商業高等学校/佐藤 淳
金賞

1/「スペイン狂詩曲」より II. マラゲーニャ IV. 祭り (M.ラヴェル/森田一浩)

サウンドはあたたかく豊かでした。マーチはおとなしい演奏で、前に進まない感じを受けます。もう少しメリハリと躍動感がほしいところです。
スペインは欲を言えば、もっともっとアツクなってほしい感じがしました。イングリッシュホルンは高音の音色にもっと艶がほしいと感じましたが、なかなかの好演でした。18年ぶり2度目の出場で初の金賞受賞ですね。





4九州長崎県県立長崎東高等学校/瀬戸口仁志
銀賞

4/「イースト・コーストの風景」より (N.ヘス)

クリアなサウンドで軽快なマーチでした。ただ、楽器の響きを止めてしまうような奏法が見うけられ残念です。トリオのFlとTrpの装飾はおざなりな印象を受け、せっかくのメロディを引き立たせることができませんでした。
自由曲は実に楽しい演奏でした。Oboe、Trpのソロは音色、歌い方ともに素晴らしかったと思います。各セクションがクリアに聞こえ、見事に整理されていました。昨年、山形大学が演奏して話題になった最後のサイレンはホイッスルに変わっていました。しかし、全体を通しても明るいサウンドと楽しげな演奏がホールいっぱいに広がった好演でした。





5北陸石川県金沢市立工業高等学校/幸正勤也
銀賞

2/交響詩「ローマの噴水」より (O.レスピーギ/磯崎敦博)

このレディアントも速めのテンポ。支部大会よりも良くなっており、細かい部分も良く吹けていました。ここもTrpソロはスタンドプレイ! このソロ、楽譜は簡単なのですが、魅力的に演奏するのは難しいようです。
噴水は出だしのオーボエのピッチが悪いです。この部分で聴衆をひきつけて欲しいところですが、最初から印象が良くないまま曲が進行していきました。北陸大会から3ヶ月もあり、どれだけ変わっているか期待したのですが…。今年で3年連続、来年はお休みです。





6東北宮城県仙台向山高等学校/水口俊彦
銀賞

1/ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲 (Z.コダーイ/森田一浩)

躍動感があり、後半の盛り上がりも見事な、なかなか良いマーチだったと思います。
「くじゃく」は木管がしなやかで上手です。フルート、ピッコロのソロ、上手ですね、美しいハープの響きに乗って素晴らしいです。バンド全体がよく歌えており、スケールの大きい演奏でした。8年ぶり5回目の出場です。





7関西大阪府明浄学院高等学校/小野川昭博
銀賞

4/「アルプス交響曲」より (R.シュトラウス/八田泰一)

昨年に続いて2年連続2回目の出場ですね。
マーチのイントロ部分は少しきたなく聞こえましたが、その後は自然な歌い方で良かったと思います。最後だけが不自然で違和感がありましたが、昨年にくらべサウンドが格段に良くなっており驚きました。アルプスは技術的には申し分なく、よく吹けており、特にホルンセクションの上手さが光りました。ティンパニーは2セットも使い贅沢な打楽器群でした。アルプスをコンクールでやる場合、カットについて論議されますが、そのことはさておいてもなかなか良い演奏でした。





8西関東埼玉県埼玉栄高等学校/大滝 実
金賞

3/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より 夜明け、全員の踊り (M.ラヴェル/中村俊哉)

非常に美しいサウンドで最初から他の団体とは違いました。高校の部では唯一の「エンブレムズ」でしたが、スネアドラムとシンバルを2つずつ使用し、実に整然とした演奏だったと思います。自由曲は3回目のダフニス。各パートが美しくクリアに聞こえ、それでいて見事な統一感をもった演奏でした。2台のハープも十分効果的で、ラストに向けた盛り上がりは圧巻でした。最後の音が消えた瞬間、ホール内が割れるほどの大歓声と拍手に包まれました。ブラボーはあまり好きではないのですが、これだけの演奏を見せ付けられると仕方ないのかもしれません。私としても3回のダフニスの中では一番好きな演奏です。3年連続出場で3年連続の金賞です。





9中国島根県出雲北陵高等学校/片寄哲夫
銅賞

2/ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲 (Z.コダーイ/森田一浩)

名指揮者にあやつられ、テンポ感は流石という感じ。サウンドが多少濁り気味で重たく感じます。ここもTrpソロはスタンドプレイでした。(今年の流行なんでしょうか。笑) くじゃくの冒頭は低音セクションのピッチが決まらず残念です。よく吹けているのですが、仙台向山に比べると雑然とした印象でした。





10東関東神奈川県横浜創英短期大学女子高等学校/常光誠治
銀賞

4/歌劇「トスカ」より テ・デウム (G.プッチーニ/鈴木英史)

美しく丁寧なマーチでした。トリオの歌い方も良かったし、Trpのベルトーンも美しく決まりました。決して鳴らし過ぎないサウンドが耳に心地よく響きました。
トスカは、金管セクションが上手です。余計な力が入っていなく、ちゃんとブレンドされた魅力的なサウンドとなりました。バスドラムも美しく響き、曲を締めていました。決して派手さは無いのですが、確かな技術と表現で見事な演奏だったと思います。





11関西京都府洛南高等学校/宮本輝紀
銀賞

4/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」より 夜明け、全員の踊り (M.ラヴェル/林 紀人)

クリアなサウンド、良い音がしていました。しかしフォルテが多少汚く聞こえます。
Bbクラリネットが5人ぐらいだったでしょうか、、この人数でのダフニスは「なんだかなぁ…」という感じ。埼玉栄と同じく3回目のダフニスです。もう洛南名物とでもいうべき「楽器の持ち替え」が今年も見られました。私が確認できた範囲だけでも、オーボエとクラリネット、弦バスとクラリネット、弦バスとトランペット、クラリネットと打楽器、トロンボーンとユーフォ、あたりでしょうか。もちろん、どの楽器もちゃんと演奏できており、見事なダフニスだったのですが、楽器の持ち替えの度に席を移動するのが非常に目立ち、落ち着きの無い演奏でした。2年ぶり9回目の出場。





12東海愛知県安城学園高等学校/吉見光三
金賞

1/バレエ音楽「青銅の騎士」より  (R.グリエール/林 紀人)

午前の部の白眉。とにかくサウンドが美しく、躍動感に満ち溢れた素晴らしいマーチでした。大きな流れのなか、非常に豊かな響きで歌っています。もうこのサウンドだけでも金賞ものですね。自由曲も序奏から豊かなサウンドがホールいっぱいに広がりました。木管金管のブレンドが素晴らしく、また音の処理が上手いです。特に最後の「偉大な都市への讃歌」は感動的であり、「美しい」という言葉に尽きる演奏でした。2年ぶり4回目の出場で3回目の金賞受賞です。





13九州福岡県福岡工業大学附属高等学校/屋比久勲
金賞

4/元禄 (櫛田月失之扶)

明るいサウンドでこの課題曲にはマッチしていました。しっかりとしたテンポで堅実なマーチはお手本のようでした。
自由曲の「元禄」では、美しく幻想的な絵巻物を見せられているようでした。随所に見せる日本特有の「間」の取り方も素晴らしいと思います。楽曲自体の難易度はそれほど高くないように思いますが、それだけに個々人の高い技術でより完璧な作品に仕上げられていました。各ソロも非常に上手でしたし、パーカッションの上手さも光っていました。ラストのコードも見事に決まり、堂々の金賞です。





14東京東京都玉川学園高等部/長谷部啓
銅賞

1/交響詩「ベトナムの回顧」 (D.ギリングハム)

落ち着いたテンポのマーチでしたが、木管の音色がくすんで聞こえ、幼い響きになってしまいました。自由曲は緊張感のある演奏でした。東京のバンドは現代曲が好きですね。しかし、どうも楽譜を音にしているだけで、感銘度に欠けたというのが正直な印象です。81年の特別演奏のステージ以来、実に18年ぶりの全国出場、名門復活です。





15西関東埼玉県県立伊奈学園総合高等学校/宇畑知樹
金賞

4/トッカータとフーガ ニ短調 (J.S.バッハ/森田一浩)

最初の音から他とは違う響きがしました。洗練されたサウンドと、手馴れた歌い方で、心地良いマーチとなりました。
森田一浩氏編曲の「トッカータとフーガ」。個々人のレベルはかなり高く、音色に艶があり、見事なオルガンサウンドを醸し出していました。チェレスタ、ハープが十分に効果的に使われたアレンジで色彩感溢れる演奏でした。午前の最後を見事な演奏で締め、昨年お休みからの復活を金賞で飾りました。4回目の出場で4回目の金賞受賞、見事です。






【前半まとめ】

金5、銀7、銅3という結果。金賞内訳は北海道1、西関東2、東海1、九州1です。初出場は岡豊(四国)、長崎東(九州)、横浜創英短大女子(東関東)の3校。3出で常連高校がお休みで、初出場や久しぶりに復活の団体が多いのが目立ちました。
金賞の5団体はサウンドの良さが突出しており、私は特に安城学園伊奈学園に感銘を受けました。金沢市立工業、埼玉栄、福工大附属3年連続出場で来年お休みになります。



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