大きなわらじとは対照的にこちらはミニミニわらじです。
2月の中旬の日曜日、地区民が伝統文化芸能保存館に集まり心を込めて
このミニわらじを作ります。
毎年200個を作りますが大好評であっという間に無くなってしまいます。
地区民は早朝から稲藁を持ち寄り3時間余りで大わらじ(金剛草鞋・こんごうばっこ)や大注連縄を作ります。
婦人会は田楽や猪汁を作り町内外からのお客さんに振舞います。一方朝顔グループ(若妻?会)は当日の懇親会の賄いの準備をします。まさに地区民総出の一大行事です。
この日は地区内外よりたくさんのアマチュアカメラマンや見物のお客さん、地区外で暮らす出身者が帰省し小さな地区が大勢の人でにぎわいます。
大わらじや大注連縄が出来上がると薬師堂に奉納され、祭事が執り行われ百万遍が唱えられます。
一方傍らの東屋では大数珠廻しが行われ、伝統文化芸能保存館では念仏が唱えられます。
完成した大わらじは長さ約3メートル、巾約2メートル、重さ約300キログラム、大注連縄は直径約15センチ、長さ約15メートルです。
ここから約800メートルの地区入り口まで運びます。
この大わらじは途中までしか作りません。
その理由は「この地区にはこんなに大きなわらじを履く大男がいるぞ。まだ途中までしか出来ていないがどれだけ大きくなるかわからないぞ。この地区に入ってくる者(悪霊)はこの大男が踏み潰すぞ」という意味があります。
堂の口あけは東津野や梼原の一部地域にに祭事として残っています。ただこのような大きなわらじを作るのは宮谷だけです。
この大わらじは宮谷地区の魔除けとされ、外部から進入してくるものに対する威圧のシンボルとして古くから伝えられてきました。それと同時に地区内の人々には団結を促し、外に向けては地区の団結をアピールする存在であったと思われます。
宮谷の大わらじは地区の連帯の証として昔も今もここを通るもの全てを見下ろしています。
〒785-0502
高知県高岡郡津野町北川(宮谷)
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